ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第7話 『ドラゴンの倒し方?』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第7話
『ドラゴンの倒し方?』





 エイコイが描いた絵は、ドラゴンを穴に落として岩を生き埋めにして倒してしまおうという作戦。
 その作戦を見て俺とレジーヌは、



「セコい」



「流石はクズコイ、セコいわね」



 と、同じような反応を見せた。



「ちょっと!? なんで二人してそんなこと言うの!! レジーヌだって不意打ち狙いのずるい手だったじゃん!!」



「私のは不意打ちだけど、自分の手で攻撃するのよ。それを罠にハメて岩を落とすなんて。セコすぎるわ」



「同じようなもんだよ!!」



 レジーヌとエイコイでどっちの作戦の方がセコいのか言い合いを始める中、俺は顎に手を当てて考え込む。



「なぁ、岩を落としたくらいでドラゴンって倒せるか? 鱗が硬いなら効かないんじゃないか?」



 俺の疑問にエイコイは胸を張って答える。



「ふふふ、この一カ月間。ドミニクさんの自習の時間を有効活用していたのが、レジーヌだけだと思わないことだね!」



 エイコイはそう言うとポケットの中から丸い飴玉のような球体を取り出した。青く小さな玉で俺とレジーヌはそれがなんだか分からずに首を傾げた。



「これは僕が開発した魔道具、その名もボム丸君だ!!」



「なんだそりゃ!?」



 よく見ると、飴玉サイズのそれには黄色いペンで顔が描いてある。



「クロエさんはまだ魔道具の作り方を教えてくれないけど、元々僕はこういうのに興味があってね。簡単なものなら作れるんだ」



 自慢げに語るエイコイ。そんなエイコイの指先からレジーヌはスッとそのボム丸君を奪い取る。



「ちょ!? レジーヌ!!」



「名前からして爆弾かしら? かなり小型ね。小さく加工した魔石に魔力を込めて破裂させるって仕様かしら……」



 指先で摘んで観察を始めるレジーヌ。そして、



「実験は必要よね……」



「「おい!!」」



 レジーヌがボム丸君を草むらに向かって投げた。



 すると、閃光を放ちボム丸君は大爆発。周囲の草木を焼き焦がし、森の一部を吹き飛ばした。



「威力強っ!?」



 俺が驚く中、レジーヌは腕を組んで、



「まぁまぁね……」



 っと、口をパカパカさせて動揺を必死に隠そうとしている。これほどの威力が出るとは思っていなかったのだろう。



 爆発したボム丸君を手を伸ばし、エイコイは涙を流す。



「俺のボム丸くぅぅぅっん!!」



「何泣いてんだよ、まだあるんだろ?」



「あれ一個だけだよ!!」



「マジか……」



 俺とエイコイは同時にレジーヌの方へ目線を向ける。話を聞いていたレジーヌは、スッと顔を逸らした。



「わ、私知らなかったのよ……。実戦前に実験は必要じゃない……もし事故してたら大変だったわよ」



 言い訳を始めたレジーヌにエイコイは掴みかかる。もうグダグダだ。



「じゃあ、エイコイの作戦は生き埋めにして動けなくなったドラゴンにさっきの爆弾で攻撃するって作戦だったんだな」



 もう無くなっちゃったから出来ないけど。



 レジーヌの肩を掴み、泣き顔で揺らしていたエイコイは俺の言葉に反応して頷く。
 確かにあの爆弾なら、威力は十分だったかもしれないが、その前の穴とか岩を通すとか、無茶な作戦だったから結局実行はできなかっただろう。



 エイコイとレジーヌが掴み合いの喧嘩を始める中、俺は溜息を吐くと、



「はぁ、しょうがない。やりたくなかったけど俺の思いついた作戦を教えるよ」









 ドラゴンの鱗は硬い。刃物も魔法も通じない相手に私達が勝てるはずがない。ならば、鱗がないところを攻撃するしかないのだ。



「弱点は腹だ。だが、相手は四足歩行、ひっくり返す必要がある」



 俺はレジーヌのことを指差す。



「そこでレジーヌの魔法の出番だ!!」



「え? 私!? でも、魔法ではドラゴンに触れられないわよ」



「ああ、だから直接魔法では攻撃しない。間接的に転ばせるんだ」



 俺は思いついた作戦をエイコイとレジーヌに説明する。そしてその説明を聞いた二人は本当に成功するかと疑問を思いながらも、作戦に賛同してくれた。








 準備を終えた俺は洞窟の前で寝ているドラゴンの前に立つ。俺が目の前にきても気づいてはいるが、ドラゴンは警戒もせず無視を続ける。



「まずはドラゴンに俺に興味を持ってもらわないとな」



 俺はそう独り言を呟くと、ポケットからあるものを取り出した。



 エイコイの話ではモンスターは魔素の集合体であり、生命体とはいえない不思議な存在らしい。
 本来のモンスターの習性は魔力を持つ動物を襲い、魔力を吸収してより上位のモンスターへ進化しようとする。だから他のモンスターなら出会った瞬間に襲ってくることが多い。
 だが、ドラゴンが違う。他のモンスターに比べて魔素濃度の高い環境でのみ発生するドラゴンは、発生時から膨大な魔力を持っており、人や動物を襲わなくても空気中にある魔力だけである程度の生活が可能だ。
 だから、ドラゴンは積極的には襲ってこない。



 しかし、生命体という括りに入れるか迷われるモンスターだが、そのモンスターには習性があり、生命体に近い感覚を持つ。



 俺はポケットから取り出した物は、紫色の塊。しかもとびっきり臭く、強烈な臭いを放つ物だ。



 これは作戦前にエイコイに紹介してもらった植物から作った物だ。その植物はこの森にしか生えていないが、その強烈な臭いを嫌がる動物は多い。
 一部の冒険者ではこれを身体に塗って、凶暴な動物やモンスターから身を守ることもあるらしい。



 俺はその塊をドラゴンに向けて投げつけた。しばらくポケットの中に入れていてポケットと手が臭いがそれは我慢だ。



 勢いよく投げられた塊は、ドラゴンの鼻の前にぶつかり、潰れて張り付く。



 モンスターであっても嗅覚を感じ、その原因を理解する知能はある。
 舐め切っていた相手に、突然臭い塊を塗りつけられたドラゴンはその臭いを嫌がり、立ち上がって前の手で鼻を擦り出す。しかし、なかなか臭いが取れず苦戦する。



 やがてドラゴンはその臭いの原因である俺に怒りを向けてきた。



 寝ていたドラゴンは起き上がり、俺のことを噛み砕こうと鋭い牙を剥き出しにして襲いかかってきた。



「来たァァァっ!?」



 俺はクルッとドラゴンの反対側を向くと、走り出す。そして全力でドラゴンから逃げ始めた。



「追ってきやがれーー!!!! 子ドラゴン!!」



 俺は必死でドラゴンから走って逃げる。相手はドラゴンといっても子供だ。羽が小さく空を飛ぶことができない。
 ドラゴンも首を振り顔を赤くしながら、走って追ってくる。



「よし、このまま、このままだ!!」



 俺は走りながらある場所を目指す。



 それは作戦を立てた時に事前に用意しておいたトラップ。レジーヌの影魔法と俺とエイコイが剣で切り通した丸太を、地面にひいておいた場所だ。



 俺は背後にドラゴンが追ってきているのを確認しながら、その場所を目指す。ドラゴンの走る速度は子供であっても人間の倍だが、短い距離なら追いつかれず逃げられる。
 そしてドラゴンに追われながらもついにその場所へと辿り着いた。



 俺は丸太を飛び越えて、大声で叫ぶ。



「今だ!!」



 すると、ちょうどドラゴンが丸太の上を通過したタイミング。その瞬間に合わせて、レジーヌが影魔法を発動させた。



 丸太の下にあった影を操作して、丸太をドラゴンごと持ち上げる。そして上半身の浮いたドラゴンは体制を崩してひっくり返ってしまった。



 まだ成長し切っていないドラゴンは、体格が不安定であり鱗が大きい。そのためひっくり返ったドラゴンは上手く体制を戻すことができない。



 そして鱗のない腹をむき出しになったドラゴンを狙い、



「とぉぉっう!!」



 近くの木の上に潜んでいたエイコイが、ドラゴンへ向かって剣を持って飛び降りた。下に剣を向けて着地と同時にドラゴンの腹に剣を突き刺す。



 剣がドラゴンの腹に突き刺さると、ドラゴンは叫び声を上げた。その声は森中に響き渡り、草木が揺れて俺達が耳を塞ぎたくなるほどの声量。
 だが、そんなドラゴンの最後の足掻きも無駄に終わる。



 突き刺した剣をエイコイは動かす。大きく力を入れているわけではない。角度と位置、それを全て理解した上でエイコイは剣を動かしていた。



「エイコイはやったのか?」



 俺はドラゴンの上に乗るエイコイを見守るレジーヌの元へ向かう。レジーヌは腕を組み、エイコイの様子を見守る。



「まだ分からないわ。でも、ドラゴンの弱点どころか、モンスターの個別の弱点も覚えてるなんて……。並の冒険者でもあそこまでの知識はないわよ」



 レジーヌはエイコイの姿を見ながらそんなことを口にした。



 俺もエイコイの凄さには勘づいていた。彼の戦闘力は俺と変わらないが、知識だけは異常に高かった。
 モンスターだけじゃなく、動物や植物までもだ。授業中にもその知識をいかれる場面では、一番力を発揮していたし、その知識が彼の得意分野なのだろう。



 やがてエイコイの剣はドラゴンの心臓に到達した。エイコイが心臓を切り裂くと、ドラゴンは霧状になって消滅していく。
 ドラゴンが霧になったことで、エイコイは尻を地面に強く打ち付けながら落下した。



「痛て……。ユウ、レジーヌ!! やったぞ、討伐できたぞ!!」



 ドラゴンが消えたことで発生した霧も、空気中に散らばっていき、エイコイは両手をあげて喜んだ。



「おおぉっ!!」



 俺とレジーヌもそれを聞き、両手をあげてバンザイする。



 ドラゴンを倒すことに成功したんだ。



 俺はレジーヌと共にエイコイの元に駆け寄る。



「やったな!! エイコイ、お前のおかげだ!!」



「何を言うんだ。僕はトドメを刺しただけだよ!! 君が囮になってくれたから、成功したんだ!!」



「何言ってるのよ。私のお手柄に決まってるじゃない!! 私の魔法がなければ、ドラゴンをひっくり返すことはできなかったのよ!!」








 こうしてドラゴンの討伐を終えた。各々喜んでドラゴンを倒した時のことを話していたが、俺はふと消えたドラゴンのことを思い出した。



「そういえば、ドラゴンが霧になって消えたけど、どうやって倒したことを証明すれば良いんだ?」



 そんな俺の問いにエイコイはふふふと笑うと、ポケットから小瓶を取り出す。



「すでに採取済みさ」



 何も入っていない空の容器のように見える小瓶。しかし、しっかりと蓋は閉めてあり、ペンでアースドラゴンと記入してある。



「なにそれ?」



 俺が首を傾げると、エイコイが自慢げに解説してくれる。



「これはドラゴンを倒した時に出てきた魔素を入れた小瓶だよ。ドラゴンを倒した時、霧になって消えたでしょ、あれはドラゴンを構成していた魔素なんだよ」



「そういえば、モンスターは魔素の集合体とか言ってたな」



「そう、それで倒した時に溢れた魔素を小瓶に入れることで証明になるんだよ」



 ということは、モンスターを倒してレベルアップみたいなことはできないのか。



 エイコイの説明を聞いた俺だが、まだ疑問は残る。



「モンスターを倒した魔素なんだろ? 他のモンスターで嘘ついたりできるんじゃないか?」



「それは無理だね。魔素濃度が違うし、クエストの確認の際に魔素に含まれるDNAも調べられちゃうから」



「魔素の集合体なのに遺伝情報とかあるのか!?」



「まぁ、元になったモンスターの情報だけどね。ワイバーンの場合はトカゲと鳥。コカトリスは鶏と蛇かな、ドラゴンの場合はちょっと特殊だけどね」



 エイコイの話を聞いていると、ずっと静かにしていたレジーヌが俺とエイコイの背中を突く。



「どうした?」



 レジーヌの方を向くと、空を見上げて大口を開けている。



 なんでレジーヌが静かなんだろう。そう思っていたが、俺とエイコイも空を見上げてその理由がわかった。



 天を覆う巨大な翼。鱗一つ一つが子ドラゴンの大きさに匹敵し、全体の大きさは山のようだ。茶色い鱗が全体を覆い、鋭い牙はどんなものですら貫通できるだろう。



「「「大人のドラゴンだァァァァァ!!!!」」」











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