ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第18話 『空の宝石』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第18話
『空の宝石』




 それから修行の日々が続き、数日が経過した。



 そしてある朝。ウィンクに見習いの三人は呼び出された。朝食を食べる前に呼び出され、腹を空かせながら整列する。



「それで朝からなんですか?」



 俺が聞くと、ウィンクはアイスコーヒーを飲みながら、



「今日から三日間。お前達に特別な修行をしてもらう」



「「「特別な修行?」」」



 三人は同時に首を傾げる。そんな中、ウィンクはマントの中から一枚の紙を取り出した。
 そこには丸い宝石が描かれていた。



「このパパラチア渓谷で入手できるスカイパールというものだ。この宝石を三日以内に入手する。それが今回の修行だ」



 パパラチア渓谷は俺達が今滞在しているすぐに近くにあるドーナツ型の渓谷のことだ。丸い円状に谷になっており、そこは霧がかかっていて見えない。
 この前、石を落としてみたが、いつまで経っても地面に落ちる音がしなかった。それだけ深い渓谷だ。



 説明を聞き、エイコイが手を上げる。



「質問いいですか?」



「ああ、なんだ?」



「もしも三日以内に入手できなかったらどうなるんですか?」



 そういえば、今回の修行は三日以内という条件付きだった。何かペナルティがあるのだろうか。



「三日以内に入手できなかったら、一週間ご飯を抜きにする」



 それを聞き、俺達の表情は固まる。



 現在、俺達三人は成長盛りだ。ご飯の時間になれば、三人とも絶対お代わりをする。そんな子供達からご飯を奪うのは犯罪的だ。



 それに旅路での飯だというのに、ここで食べているご飯は絶品だ。恐らくはご飯の支度をしているウィンクとクロエの腕だろう。
 もしも小学校の給食で二人が作った料理が出てきたのなら、全員がお代わりをするためにじゃんけん大会を始めるレベルだ。



 まず声を上げたのはレジーヌだ。



「それはあんまりですよ!!」



 さらにエイコイも



「そうですよ!! ご飯がなかったら修行に耐えられません!!」



 そして俺も



「ご飯だけが救いなんです!!」



 そう言って講義をする。しかし、ウィンクはニヤリと笑うと、



「なら、修行を三日以内に終わらせればいいじゃない」








 こうして俺達は修行のため、パパラチア渓谷の前にやってきた。



「それでここからどう探したら良いんだ?」



 俺は渓谷の前に立ち、独り言を呟く。俺に並んで渓谷を見ていたレジーヌは何かを思い出したように手を叩いた。


「そうだ! ここってそういえば、あれが生息しているはずよね?」



 そう言って俺の顔を覗き込んでくるが、あれだとなんのことかわからないし、俺が分かるはずがない。
 すると、それを聞き、エイコイが頷いた。



「あれってあれのことか!!」



 なんのことだよ……。



「そう、あれのことよ!!」



 二人でで解決したようで、あれについてのトークが弾む。
 空に浮かんでいて温厚で、可愛くて大きい。話を聞いた感じこんな感じだった。何が何だか分からない。



「おい、なんの話してるんだよ?」



 俺が尋ねると、エイコイとレジーヌは顔を合わせる。



「そういえば、相棒は知らないか」



「当然よ。私だってこの世界に来るまで知らなかったもの」



「まぁ、それにこの世界でも生息地は絞られるしなぁ~」



 そんな会話を続ける二人に俺は声を荒げた。



「だからなんなんだよ!!」



 すると、エイコイが俺の手を引っ張り、



「説明を聞くより見る方が早いよ!! さぁ、奴を探すぞ!!」



 エイコイが俺を引っ張って連れて行くと、レジーヌが後ろで、



「おー!」



 っと、元気よく叫びながらついてきた。








 三人で渓谷の外側を歩く。ドーナツの外側から穴の部分を確認しながら進み、4分の1ほど進んだところで、先頭を歩いていたエイコイが足を止めた。



「よし、いたぞ!!」



 エイコイが例のアレを発見し、俺にそれを見るように言う。
 俺はエイコイに言われるまま、渓谷に目をやった。



 そこには渓谷の空を浮遊する、無数の魚達の姿。羽もないのに空中を泳ぎ、ふわふわと浮く光景に俺は度肝を抜かれた。



 口をパクパクさせて驚いている俺に、エイコイは腕を組んで説明をする。



「この魚達はモンスターから棲家を追われ、海から空へと移住した魚類。この地域でも生息地が限られる世にも奇妙な魚達、フライフィッシュだ!!」



 そこにいるのは海の魚が中心であり、俺が見てわかるのは、クマノミやソラスズメダイくらいだ。他にもゲームで出てくるようなスズキなどもいるのだろうと思えるほど、多彩の種類の魚達が空を飛んでいた。



「なんで魚が空を飛んでるんだよ……」



 俺が呟くと、エイコイが素早く説明をする。



「詳しい原理は分かってないんだけど、魔力を使ってんじゃないかって説が有力だね。んで魚群を見つけられれば」



 エイコイは魚の群れの美しさに目を輝かせていたレジーヌに目線を向ける。レジーヌは目線に気づいたのか、表情をキリッとした表情に戻すと、



「ええ、この辺りにいるはずね」



 そしてそれから俺はエイコイとレジーヌの後ろを歩き、魚群の中を探して行く。そうしているとついに発見した。



「コイツは……」



 そこには10メートルにも達する巨大な身体を持ち、まったりと泳ぐサメの姿。
 背中には白い水玉模様があり、横長の口を持っている。



「ジンベイザメか!!」



 それは空を飛ぶジンベイザメの姿であった。エイコイはジンベイザメを見ながら腕を組んで解説を始める。



「ジンベイザメは空飛ぶバスと呼ばれ、パパラチア渓谷の周辺国では移動手段として使われることが多いんだ」



「乗れるのか!?」



「当然。まぁ、ここのジンベイザメは野生だから、少し大変かもだけどね」



「マジか……」



 俺が驚く中、レジーヌは思い出したように叫び出す。



「あァァァっ!?」



「なんだよ。当然叫んで……」



 俺が耳を塞ぎながら文句を言うと、レジーヌは焦り始める。



「ジンベイザメの操縦って免許が必要じゃなかった? 私持ってないわよ!!」



「免許がいるのかよ!?」



 魚の上に乗るのに免許が必要なんて……。てか、誰も見てないなら、無理やり乗ってしまえば良いのではないだろうか。
 そんなことを考えていると、エイコイはふふふと笑い出す。そして懐から小さな紙切れを取り出した。



「ふふふ、持っているとも、特殊生物搭乗免許の二種をな!!」



 そこには写真写りが悪いのか、ブッサイクな顔をしたエイコイが映った免許があった。
 その免許証にレジーヌは目を輝かせる。



「やるわね。クズコイ、見直したわ!!」



「見直したならその呼び方をやめてもらおうか!」



 エイコイが免許を持っていることで、安全にジンベイザメに乗れることが分かった。
 レジーヌに名前の訂正を求め、文句を言い続けているエイコイに俺は空を見上げて尋ねる。



「乗れるのは分かったけどさ。あれにどうやって乗るのさ、届かないよ」



 ジンベイザメは空を飛んでいるのだ。俺達がジャンプして届くはずがない。そして呼んだからといって魚群が来るとは思えない。
 すると、エイコイはニヤリと笑い、



「相棒。僕を舐めてもらっちゃ困るぜ」



 そう言うと、エイコイは白い笛を取り出した。そして空を見上げて空を飛ぶジンベイザメを見比べる。



「さて、どの子が良いかな?」



 空中には数匹のジンベイザメが飛んでおり、その中からどのジンベイザメにするかを選んでいるようだ。しばらく悩んでいたエイコイだが、



「よし、あの子にしよう!」



 大きくも小さくもない平均的なパッとしないジンベイザメを選ぶと、そのジンベイザメの方へ顔を向けて笛を吹いた。
 笛が鳴ると空気が振動し、ジンベイザメが反応する。



 エイコイが選んだジンベイザメはゆっくりと空を泳ぐと、俺達の前にやってきた。



「なんだよ、その笛……?」



「特定の動物を呼び寄せることができる魔道具だよ」



 エイコイはジンベイザメの頭を撫でると、



「よし乗って良いって。この子に乗って渓谷を探そう」








 ジンベイザメの上に乗り、俺達三人は空の旅をしていた。
 渓谷を飛んで壁際に沿って、例の宝石が埋まってないか探す。



「見つからないな~」



 俺がぼやくとレジーヌがため息を吐く。



「そんな簡単に見つかるわけないじゃない」



「そうなんだよな~。ウィンクさんも意地悪だよね。手がかりを何も教えてくれないんだから」



「手がかりも自分で探せってことよ」



 空を飛んでしばらく経つが、宝石なんて見つかる気配がない。というか、宝石がこんな渓谷の壁に埋まっていたら、みんなが掘りにくるはずだ。



「なぁ、エイコイ。何か知らないのか?」



 俺は一番、手がかりになりそうな知識を知っていそうなエイコイに尋ねる。
 エイコイはジンベイザメを操縦しながら、



「スカイパールか……。僕も初めて聞く宝石だよ。でも、この渓谷で入手できるっていってたから、ここにあるはずだよ」


















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