ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第19話 『空の大捜索』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第19話
『空の大捜索』




 あれから俺達はジンベイザメに乗り、巨大な渓谷を捜索したが、宝石は見つかることはなかった。
 そして丸一日が経過する。





「結局、今日は見つからなかったか~」



 俺達はウィンク達の拠点にしているキャンプ地に戻り、夕食を食べていた。



 エイコイはトマトスープを飲み終えると、



「そうだね。明日もあの子は協力してくれるみたいだけど、この調子だと明日も同じ結果かもね」



 今日の探索で背中に乗せてくれたジンベイザメは、エイコイの交渉もあり三日間協力してくれることになった。



 レジーヌは柔らかく煮込まれた肉をホークで刺すと、それを手に口の前で止めて会話に参加する。



「問題はどこに宝石があるかね。ヒントがない中探すのは不可能に近いわ」



「ヒントか~。ウィンクさんに聞いてもはぐらかされるしな~」



 食事の前に、このままだと三日以内に見つけ出すのは不可能だと、交渉には向かった。しかし、ウィンクからはなんの情報も得られなかった。



「私達で探すしかないようね」



 レジーヌは会話を止め、ホークに刺してあった肉を食べようとするが、ホークを口に入れるが肉がない。



「……」



 そしてレジーヌは隣でモグモグと口を動かしているエイコイに目線を移す。



「あんた食べたわね」



「僕の家は落ちぶれてからまともに食えない時期があったからね。食える時に食え、それが僕のモットーさ」



 最後まで大事に取っておいて、締めの一口に食べようと思っていた肉を食われたレジーヌは、エイコイに掴み掛かる。
 エイコイもレジーヌに掴み掛かられて、反撃のため臨戦態勢になった。



「クズコイ、アンタとは決着をつけないといけないようね」



「人のことをクズコイと呼ぶレジーヌに、僕が負けるわけないだろ!! かかってこいやぁぁ!!」



 その後喧嘩を始めた二人だったが、三秒後にエイコイは負けた。








 食事が終え、皆が眠りにつく中。俺は一人、夜空を見ていた。



「綺麗な空だな~」



 空を覆うのは一面を覆うような星空。この世界に来て何度も驚かされた。だが、感動したのはこの星空だった。
 夜の明かりは星空しかない。夜道を照らす街灯も車のライトもこの世界にはない。



「どこにいても空では繋がってるって言ってたけど嘘じゃん。世界が違うんなら空は繋がってないよ」



 俺は空を見上げながら、ある人からの言葉を思い出す。



 空を見上げ、黄昏ているとテントからウィンクが出てきて俺の側へと寄る。隣に立ち、ウィンクも同じように空を見上げた。
 目が見えないはずのウィンクだが、見えないながらも何かを感じ取っているのだろう。空を見上げるウィンクの表情は安らかだ。



「平山君。君はこの世界に来たことを後悔してないのかい」



 空を見上げていたウィンクが突然そんなことを言い出した。俺は突然の問いかけに言葉が出ず、回答に困る。
 俺が答えずにいると、ウィンクは続ける。



「君の歳だ。家族が恋しくなるんじゃないかい」



「そうですね、恋しくはなりますね。でも、戻れたとしても会えませんから……」



「……そうか、すまんな聞くべきじゃなかったか」



「いえ、良いですよ」



 ウィンクは俺の隣で地べたに座り込む。それを見て俺もつられるように座った。



「なんで今更そんなこと聞いたんですか? もしかして元の世界に戻る方法があるんですか?」



 家族には会えない。
 だが、元の世界に心残りがないわけじゃない。



 友達ともまた会おうと約束をして別れた。明日遊ぶ約束だってした。それに叔母さんだって心配しているはずだ。



「ないよ。……聞いたのはただ………空を見てる君が寂しそうだったからね。俺も家族が恋しい時はこうして空を見るから、そうなのかと気になったのさ」



「ウィンクさんも恋しくなるんですか!?」



「当然さ、俺だって人の子だ。長年旅をしているが、忘れたことはないさ」



「そうなんですか……。ウィンクさんはなんで冒険者に?」



 俺は隣で座るウィンクの顔を見る。



「俺が冒険者になった理由か……」



 ウィンクは懐かしそうに見えないはずの目を見開き、遠くに目線を向ける。



「俺はある人に弟子入りしたくてね。村に来た魔法使いについて行って旅に出たんだ。それからずっとその人と旅をして、気づいたら今さ」



「故郷には帰らないんですか?」



「時が来たら帰るつもりだよ。とはいえ、無茶な目標を立ててしまった以上、それを達成するまで帰る気はないけどね」



「目標……ですか」



 世界地図を作ることだろうか。それを達成するまで故郷に帰らないっていうなら、本当に帰る気があるのかすら怪しい。
 まず達成できるかも怪しいことなのに。



 っと、ウィンクは俺の方へ顔を向けると、話を変える。



「君もやたらと魔法に興味があるみたいじゃないか。何か理由があるのかい?」



「俺にとって魔法は手段なんです……」








 俺の両親は警察官だった。正義感が強く、俺もそんな両親の影響を受けながら育っていった。



 だけど、数年前事件が起きた。



 犯人はアンス・ロボスという名のヒットマンだった。警官に恨みのある首謀者がヒットマンを使い、復讐を果たした。
 首謀者であった人物は捕まったが、ヒットマンは姿を消してしまった。



 残されたのは俺一人。そんな俺は叔母さんに引き取られることになった。








「魔法で復讐でもする気かい?」



 ウィンクは俺に尋ねる。俺は首を横に振ると、



「そんな気はないですよ。復讐なんてくだらないです」



「なら、なんでそんな話を?」



「俺は両親の影響を受けたって言ったじゃないですか。俺は魔法を使って悪い人達をいっぱい捕まえて、みんなを安心させたい。そして俺が強くなれば、俺が強ければ……俺みたいに悲しむ人はいなくなります」



 俺は立ち上がると、ウィンクに背を向ける。



「じゃあ、そろそろ寝ますね。明日も探すの頑張らないとですし。俺が寝ぼけて二人に迷惑かけたくないですから」



「ああ、そうだな……」







 翌朝、俺が目覚めるとすでにエイコイとレジーヌは起きており、二人は焚き火の前で座り込んでいる。



「おはよう相棒! やっと起きたか!」



「クッズ、遅いよ。私達は作戦会議してたのよ。あんただけの起きるのが遅いのは!!」



 レジーヌはそう言っているが、様子から見て不安で二人は早く起きてしまい、寝れなかったためこうして作戦会議を始めたのだろう。



「それで二人で相談して何か良い案はあったのか?」



 俺が聞くと、レジーヌは立ち上がって威張るように身体をのけぞらせる。



「当然よ。早起きをした私に感謝しなさい!!」



 そうやって威張っているが、その後ろでエイコイが小さな声で呟く。



「ま、僕が手持ちの本で調べただけなんだけどね……」



 どうやらレジーヌは何もしておらず。エイコイの力らしい。



「んで、何が分かったの?」



「ああ、スカイパールの在り方が分かった」



「マジかよ!!」



 俺は飛び跳ねてエイコイの元へ駆け寄る。



「それでどこにあるんだ?」



「焦るなよ相棒。分かったが、その在り方が問題なんだ……」



「問題?」



 エイコイは脇に挟んでいた本を開き、俺に見せてくる。そこにはタコの絵が描かれていた。



「このタコの名前はバルーンオクトパス。空を飛ぶ魚群と同じく、モンスターから追われて空へと逃げた生物だ」



「またモンスターじゃなくて進化した動物か……」



「そう、それでそのバルーンオクトパスの体内に住み着いている貝からスカイパールは取れるんだ」



 ということは……だ。



「そのバルーンオクトパスってのを倒さないといけないってことかよ」



「そういうこと」






 俺達は朝食を終えると、早速渓谷へ向かいジンベイザメに乗り込んだ。
 今日は昨日と違い、本腰を入れた本気装備だ。



 俺はジンベイザメの背中に座りながら、先頭で操縦しているエイコイに尋ねる。



「バルーンオクトパスか……。どんなやつなんだ?」



「全長は30メートル。体重は25キロ。体内にガスを取り込むことで空を飛ぶんだ」



「30メートル!? デカすぎだろ!! 俺達で倒せるのかよ?」



 エイコイの説明に俺が怖気付いていると、レジーヌが俺の肩に手を回して肩を組む。



「なによクッズ。怖がってるの?」



「怖いわ!!」



「はぁ……ダメねアンタは。私を見なさい!! いつでも戦えるわ!!」



 そう言って剣を抜いてポーズを見せるレジーヌだが、手が震えている。お前も怖いんかい!!



「二人ともあまり暴れないでよ。この子が怖がっちゃう」



 レジーヌがポーズを取ったからか。そのことについてエイコイから叱られる。



「「ごめんなさい」」



「んで、さっきの続きだよ。そのバルーンオクトパスなんだけど。渓谷の南側にある洞窟。そこが生息ポイントらしいんだ。まずはそこに行ってみるよ」





 空の旅を続け、目的地である渓谷の洞窟に辿り着いた。渓谷の壁に穴がいっぱい空いている。まるでチーズだ。



「あそこに住みついてるの?」



 レジーヌは腕を組みながらジンベイザメの端の方に立って洞窟を覗く。
 落ちるのが怖くないのだろうか……。勇敢すぎるのか、それとも馬鹿か。



「住処っていうか。生息地って感じ。本の情報だし、分布が変わってるかもしれないから絶対ではないよ」



 それを聞きながら、俺はジンベイザメの中央に立ち、洞窟を眺める。



「でも、ウィンクさんの言い方からして渓谷内には生息してるのを見つけたから、修行しにたんだろ。近くにはいるだろ」



 そうやって洞窟を見ていると、レジーヌが突然叫び出した。



「ギャァァァァッ!?」



「なんだ、どうした?」



 俺はレジーヌの見ていた方向を見ると、壁にある無数の穴から何かが飛び出してきて、こちらに向かってきている。
 ブンブンと羽を音を鳴らし、手足をぶらりとさせた存在。黄色い身体に黒い模様があり、形は人型であるが顔は人間ではなかった。



「あれはキラービーだ!!」



 その姿を見たエイコイはジンベイザメに命令を出し、蜂人間から逃げるように指示を出した。
 しかし、ジンベイザメよりもキラービーの方が空を飛ぶスピードが早く、あっという間に追いつかれて包囲されてしまった。



「「「イヤァァァッ!!!!」」」








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