ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第23話 『ゴゴリンに気をつけて』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第23話
『ゴゴリンに気をつけて』




 俺達三人はゴゴリンのいる洞窟を目指して移動していた。



「またクロエさんは遠くから見てるのかな?」



 俺はふと後ろを振り返ってみる。すると、



「あ……」



 ちょっと離れた場所。30メートルくらい離れた場所にクロエが隠れていた。木の影に身体を隠し、顔をちょこんと出している。



「なぁ、クロエさんがすぐそこにいるんだけど」



 俺はクロエをガン見しながら二人に話しかける。エイコイも振り返し、びっくりしている。
 しかし、レジーヌは振り向くことはせず、



「当然じゃない。あの人はああいう人よ」



「どういうこと?」



 俺が首を傾げると、レジーヌはスタスタと進みながら教えてくれる。



「今回はクロエさんが作った装備をフルで活かせる機会なのよ。そしてクロエさんは自由に私達を見てられる。あの人は自分が作った物がどうなるのか、間近で見ていたいタイプなの」



「それで後ろをついてきているのか……」



 セルゲイやドミニクの時のように遠くから見張っているものだと思っていたため、ここまで近いとちょっと緊張する。



 そんなことを気にしつつも、先へと進んでいくと、後少しで洞窟というところでエイコイが皆を止めた。



「なんだよ、エイコイ」



 俺が聞くと、エイコイは口元に人差し指を当てて静かにするように指示を出す。そして少し先の方を指で示した。



「なんかいるのか?」



 俺とレジーヌが覗き込むように前を見る。すると、前方の木に背中の焚き火のように燃えている虎を発見した。



「なんじゃありゃ!?」



 その姿に俺が驚くと、エイコイが解説を始める。



「あれはファイヤータイガーだ。背中の焚き火は群れで協力して起こしたもので、あの日を使って拠点を作り、獲物を焼くんだ」



「また変な動物が出てきたな……。でも、タイガーってことは……ヤバそうだな、早く逃げたほうがいいか?」



「うん。ファイヤータイガーは群れで動くんだ。近くに仲間がいるはずだし、早く離れたほうがいい」



 俺はエイコイの警告を聞き入れてさっさとこの場から離れようとする。しかし、一人、その場から動かないでいる人物がいた。
 それはレジーヌだ。レジーヌは俺達に問う。



「アンタ達、それで良い?」



「どういうことだよ?」



 俺とエイコイが首を傾げると、レジーヌはやれやれと説明する。



「クロエさんは私達が戦う姿を見たくてこうやって近くで見てるのよ。その期待を裏切る気?」



 そう、クロエはそれを見るために近くにいるのだ。
 しかし、エイコイは反発する。



「でも、避けられる戦闘は避けるべきだよ。僕はそう思うね」



「私はそうは思わないわ。アンタがビビってるだけなんじゃないの?」



 エイコイとレジーヌは睨み合う。なんだか雲行きが怪しくなってきた。



「なぁ、二人ともこんなところで喧嘩はやめようよ」



 俺は二人を止めるため間に割って入るが、二人はもうヒートアップしてしまい止まらない。



「クッズ。アンタはどっちの味方なのよ!!」



「そうだよ、相棒!! 君はどっちなんだい?」



 二人は俺の意見を聞こうと、俺に詰め寄ってくる。俺はそんな二人の勢いに負けて、後ずさる。



「いや、俺は……」



 俺が言いかけたところでだった。俺達の背後から唸り声が聞こえてくる。俺達はその唸り声の聞こえる方向を見ると、そこには先ほどの虎が立ち上がりこちらを警戒していた。



「「「み、見つかっちゃった……」」」



 虎は唸り声をあげて、低い姿勢でこちらに近づいてくる。



「おい、エイコイ!! 見つかった場合はどうしたら良いんだ!?」



 俺は剣を抜き、警戒しながらエイコイに尋ねる。エイコイも二本の剣を抜くと、



「仲間を呼ばれる前に倒すしかない。……弱点を狙って一撃で倒すんだ」



「弱点ってどこだよ!?」



「目や心臓……後は自分で考えろ!!」



 エイコイは弱点の場所がわかっているのだろう。しかし、それをうまく説明することができず、説明を放棄する。



 レジーヌも剣を抜いて同じように構えると、



「アンタ達、グダグダ言ってないで戦うのよ!! クロエさんに良いところを見せないと!!」



 そう言って先陣を切って特攻した。







 虎は想定以上に厄介な相手だった。背中の炎で周囲の森を燃やすし、毛皮は刃を弾くほどの防御力を持っていた。
 だが、群れを呼ばれる前に、どうにか倒すことができた。



 しかし、問題は戦闘が終わってから起こったのだ。



「ふぅ~。これで終わったわね」



 レジーヌが汗を拭き、剣をしまう。俺達も同様に剣をしまって戦闘終了に安心し切っていた。
 そんな時だった。剣をしまい、完全に油断しているレジーヌの後ろから、ピンク色の二足歩行の豚が現れる。
 豚は集団で十匹程度いただろう。そんな豚達はレジーヌをあっという間に縄で拘束する。突然の出来事に俺達は抵抗することもできず、



「え、なに、え!?」



 レジーヌを抱えて豚の群れは逃げ出した。
 反応の遅れた俺達だったが、状態を理解しレジーヌを助けに行こうとする。しかし、群れの中から数匹の豚が残り、俺達の行く手を阻む。



「なんだこいつら……」



「こいつら……ゴゴリンだ!!」



「これがゴゴリン!?」



 俺とエイコイは武器を構えて、レジーヌを連れ去ろうとするゴゴリンに攻撃を仕掛ける。
 レジーヌを連れ去るゴゴリンを守るように、立ち塞がっているゴゴリンは、背中や腰に装備していた武器を構えた。



「こいつら武器を使うのか!?」



 俺が剣を振り下ろし、その剣をゴゴリンが刀で防ぐ。武器を使いこなすゴゴリンに驚いていると、エイコイはゴゴリンと戦いながら、



「当然だ。ゴゴリンは人間の細胞が元になってるからな。武器も使えるし……」



 ゴゴリンは俺達と剣を交えて、実力を判断すると対応する人数を増やす。そして俺とエイコイを囲むような陣形になった。



「ゴゴリンは連携が取れる……」



「か、囲まれたァァァァァ!!!!」



 ゴゴリンに囲まれ、俺は頭を抱える。そんな中、縄で拘束されたレジーヌは、



「ちょ、放しなさいよォォォォォ」



 抵抗するが脱出することができず、そのまま連れて行かれてしまった。




「エイコイ!! レジーヌが連れていかれた!!!!」



「焦っちゃダメだ、相棒。このまま焦ると僕達もやられる」



 囲まれている中、エイコイは冷静に二本の剣を構え直す。



「レジーヌが連れて行かれた場所は予想がつく。ここを切り抜けて助けに行こう」



「エイコイ……。よし、やってやろう!!」



 俺は盾を前方に剣を強く握りしめた。









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