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接近
王妃の小舞踏会 その4
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曲調が変わると、王と王妃は楽しそうに、向かい合って腰に手を当て、飛んでは右の踵を前に出して床に付け、次は飛んで左の踵。
と言うように、その場で飛び始める。
レジィリアンスは当然、よく知ってる踊りだからそうしたけれど。
エルデリオンも同様、左右の足を交互に前に出し、レジィリアンスはエルデリオンの華麗なステップを見、驚きに目を見開いて、飛びながら尋ねた。
「この踊り、ご存知なんですか?!」
エルデリオンは笑顔で答える。
「母君は、大好きで。
母の舞踏会では必ず一度、踊りますから」
次に、真っ直ぐ立って体だけ横向き、両手を肩の上で合わせる。
パン!
今度は左。
パン!
次にエルデリオンは、飛び込んで来るレジィリアンスの手を取り、またくるりと一緒に回りながら、朗らかに告げた。
「毎回、とても盛り上がります!」
レジィリアンスは笑顔で、チラと横を見ると、このくだりでは流石のエリューンも、笑顔でテリュスと踊ってた。
回った後手を放して離れ、次にうんと近寄ると、相手の腰に腕を回し合う。
エルデリオンは抱き寄せる程近づく、レジィリアンスの体温を感じ、頬をほんのり染めた。
エルデリオンに意識されると、レジィリアンスまでもが意識し、恥ずかしげに俯く。
離れ、また腰に腕を回し…そして今度はくるりと回転して、お互いの位置を入れ替える。
その後、両手を相手と繋ぐと、一緒に飛びながら、あちこち跳ね回る。
エウロペとラステルの、飛ぶタイミングがちぐはぐで、すれ違い様レジィリアンスは思わず笑って叫んだ。
「貴方が相手と一緒に飛び跳ねられないの、初めて見た!」
エウロペは何とかラステルと、飛ぶタイミングを合わせよう試みながら、けど、合わず。
諦めかけ、叫び返す。
「誰にでも、初めての事はあります!」
レジィリアンスはその返答に、もっと笑った。
エルデリオンは飛びながらも巧みにステップを踏み、レジィリアンスはその足捌きの華麗さを見、笑顔で褒める。
「とてもお上手です!」
レジィリアンスはとても自然に、足を左右交互に前に出しながらも飛び跳ねていて、あんまり美しく可憐に見え、エルデリオンの笑顔は崩れない。
「楽しいですか?!」
エルデリオンに聞かれ、レジィリアンスは思いっきり、微笑んだ。
「とても!」
王と王妃は、レジィリアンスのそんな様子に揃って視線を送ると、やっぱり飛び跳ねながらも、微笑を浮かべた。
やがてもっと曲調が、早くなると。
皆二人組で飛び跳ねながら、広間中を飛びまくる。
青年らは高さを競うように、高く飛んでは広間の端まで飛び跳ね、年の行った者は息切れで、そこそこ飛びながら、苦笑した。
エルデリオンは軽やかに。
ウサギのように愛らしく飛び跳ねるレジィリアンスの手を握ったまま、自身もうんと高く飛んで、レジィリアンスに調子を合わせた。
こんな風に楽しく、レジィリアンスと踊れると思わなくて、ついデルデロッテに感謝の眼差しを送る。
けれどデルデロッテの元には、もう二人の美女が押し寄せ、五人の美女は競いながらも、次々にデルデロッテの前で飛び跳ね、デルデロッテは相手が変わる毎に手を取り一緒に飛んで、それどころじゃ無かった。
エルデリオンは広間の南端までやって来ると、その向こう。
開け放された扉の向こうの、広いバルコニーを見つめ、レジィリアンスに尋ねる。
「少し、涼みます?!」
レジィリアンスはすっかり暑くなって、頷く。
エルデリオンは飛び跳ねながら…庭に面する広いバルコニーに、飛び出した。
レジィリアンスの手を取り、バルコニーのうんと奥。
庭が間近な石のベンチに寄ると、一緒にへたり込むように、レジィリアンスと腰掛けた。
「…お疲れになりました?」
息の弾むエルデリオンに問われ、レジィリアンスは胸を押さえ
「ええ…少しだけ」
と笑う。
目が合うと、あちこちに松明の灯りの揺らめく、暗いバルコニーで。
二人っきりだと意識し、レジィリアンスはちょっと戸惑った。
けれどエルデリオンは笑顔で
「お飲み物をお持ち致しますか?」
と聞くので、レジィリアンスは目を見開く。
「貴方が?
王子様なのに?」
エルデリオンは悪戯っぽく笑うと
「テラスには、飲み物が常備されていますから」
と立ち上がり、少し離れた石のテーブルの上から、グラスを二つ、取って戻り、レジィリアンスに一つを差し出す。
「どうぞ」
レジィリアンスは受け取り、グラスを口に運ぶと、エルデリオンも口にしていた。
飲んでみると、少し甘いスモモの果実酒で、癖が無く、とても美味しかった。
「よろしければ、庭園を少し歩きませんか?
母上の、自慢の庭園なんです」
レジィリアンスは頷いて、差し出すエルデリオンの、手を取った。
と言うように、その場で飛び始める。
レジィリアンスは当然、よく知ってる踊りだからそうしたけれど。
エルデリオンも同様、左右の足を交互に前に出し、レジィリアンスはエルデリオンの華麗なステップを見、驚きに目を見開いて、飛びながら尋ねた。
「この踊り、ご存知なんですか?!」
エルデリオンは笑顔で答える。
「母君は、大好きで。
母の舞踏会では必ず一度、踊りますから」
次に、真っ直ぐ立って体だけ横向き、両手を肩の上で合わせる。
パン!
今度は左。
パン!
次にエルデリオンは、飛び込んで来るレジィリアンスの手を取り、またくるりと一緒に回りながら、朗らかに告げた。
「毎回、とても盛り上がります!」
レジィリアンスは笑顔で、チラと横を見ると、このくだりでは流石のエリューンも、笑顔でテリュスと踊ってた。
回った後手を放して離れ、次にうんと近寄ると、相手の腰に腕を回し合う。
エルデリオンは抱き寄せる程近づく、レジィリアンスの体温を感じ、頬をほんのり染めた。
エルデリオンに意識されると、レジィリアンスまでもが意識し、恥ずかしげに俯く。
離れ、また腰に腕を回し…そして今度はくるりと回転して、お互いの位置を入れ替える。
その後、両手を相手と繋ぐと、一緒に飛びながら、あちこち跳ね回る。
エウロペとラステルの、飛ぶタイミングがちぐはぐで、すれ違い様レジィリアンスは思わず笑って叫んだ。
「貴方が相手と一緒に飛び跳ねられないの、初めて見た!」
エウロペは何とかラステルと、飛ぶタイミングを合わせよう試みながら、けど、合わず。
諦めかけ、叫び返す。
「誰にでも、初めての事はあります!」
レジィリアンスはその返答に、もっと笑った。
エルデリオンは飛びながらも巧みにステップを踏み、レジィリアンスはその足捌きの華麗さを見、笑顔で褒める。
「とてもお上手です!」
レジィリアンスはとても自然に、足を左右交互に前に出しながらも飛び跳ねていて、あんまり美しく可憐に見え、エルデリオンの笑顔は崩れない。
「楽しいですか?!」
エルデリオンに聞かれ、レジィリアンスは思いっきり、微笑んだ。
「とても!」
王と王妃は、レジィリアンスのそんな様子に揃って視線を送ると、やっぱり飛び跳ねながらも、微笑を浮かべた。
やがてもっと曲調が、早くなると。
皆二人組で飛び跳ねながら、広間中を飛びまくる。
青年らは高さを競うように、高く飛んでは広間の端まで飛び跳ね、年の行った者は息切れで、そこそこ飛びながら、苦笑した。
エルデリオンは軽やかに。
ウサギのように愛らしく飛び跳ねるレジィリアンスの手を握ったまま、自身もうんと高く飛んで、レジィリアンスに調子を合わせた。
こんな風に楽しく、レジィリアンスと踊れると思わなくて、ついデルデロッテに感謝の眼差しを送る。
けれどデルデロッテの元には、もう二人の美女が押し寄せ、五人の美女は競いながらも、次々にデルデロッテの前で飛び跳ね、デルデロッテは相手が変わる毎に手を取り一緒に飛んで、それどころじゃ無かった。
エルデリオンは広間の南端までやって来ると、その向こう。
開け放された扉の向こうの、広いバルコニーを見つめ、レジィリアンスに尋ねる。
「少し、涼みます?!」
レジィリアンスはすっかり暑くなって、頷く。
エルデリオンは飛び跳ねながら…庭に面する広いバルコニーに、飛び出した。
レジィリアンスの手を取り、バルコニーのうんと奥。
庭が間近な石のベンチに寄ると、一緒にへたり込むように、レジィリアンスと腰掛けた。
「…お疲れになりました?」
息の弾むエルデリオンに問われ、レジィリアンスは胸を押さえ
「ええ…少しだけ」
と笑う。
目が合うと、あちこちに松明の灯りの揺らめく、暗いバルコニーで。
二人っきりだと意識し、レジィリアンスはちょっと戸惑った。
けれどエルデリオンは笑顔で
「お飲み物をお持ち致しますか?」
と聞くので、レジィリアンスは目を見開く。
「貴方が?
王子様なのに?」
エルデリオンは悪戯っぽく笑うと
「テラスには、飲み物が常備されていますから」
と立ち上がり、少し離れた石のテーブルの上から、グラスを二つ、取って戻り、レジィリアンスに一つを差し出す。
「どうぞ」
レジィリアンスは受け取り、グラスを口に運ぶと、エルデリオンも口にしていた。
飲んでみると、少し甘いスモモの果実酒で、癖が無く、とても美味しかった。
「よろしければ、庭園を少し歩きませんか?
母上の、自慢の庭園なんです」
レジィリアンスは頷いて、差し出すエルデリオンの、手を取った。
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