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接近
王妃の小舞踏会 その3
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間もなく、王妃とレジィリアンスが向かい合って、腕を絡ませくるりと回り始めると。
ラステルが叫んだ。
「近くの人と、二人組んで、回って下さい!」
エウロペが、エリューンとテリュスに顎をしゃくって促す。
自国の曲に、すっかりノリノリのテリュスは、エリューンと向かい合うと腕を絡ませ、強引に回った。
エリューンは
「ここは本来、男女で組むところなのに…」
とぼやきながら、無理矢理回らされていた。
その後ろのロットバルトが、エルデリオンの向こうのデルデロッテに目配せする。
デルデロッテはエルデリオンに振り向き、一緒に回ると同時。
エルデリオンに腕を絡ませたまま、前の列。
王妃とレジィリアンスの最前列へと、雪崩れ込んだ。
デルデロッテが王妃の横で
「私と組んで頂けますか?」
と丁寧にお辞儀し、エルデリオンは一気に笑顔で、レジィリアンスに肘を曲げて促す。
レジィリアンスは組んでた王妃が、長身を品良く屈めた美丈夫のデルデロッテに、微笑んで腕を絡ませるのを見、エルデリオンの曲げた肘に腕を滑り込ませた。
エルデリオンはとても嬉しそうにレジィリアンスと腕を絡ませ、くるりくるりと、一緒に回る。
後ろの列の貴族達は大盛り上がりではしゃぐと、横の列、少し離れた列の、意中の相手に腕を絡ませに、飛んで行った。
エリューンは曲に合わせ、幾度も自分と腕を絡ませる笑顔のテリュスに、ぶすったれながらも後ろの大騒ぎに視線を送ると、驚いて目を見開いた。
上品に着飾った貴族達が、組む相手を争ったり、すれ違い様ぶつかりあったり。
たいそうな騒ぎぶり。
エウロペは目前で腕を差し出すラステルを見
「…本気で?」
と尋ね、背後のあぶれたロットバルトを覗う。
が、ロットバルトは後ろの列のレディと、とっくに腕を絡ませ、笑顔で回っていた。
曲は、回る部分で曲調が盛り上がり、そのメロディが流れると皆一斉に相手目がけ、腕を絡ませに飛んで行く。
広間中の貴族らは子供のようにはしゃぐと、ずっと同じ相手と回る者もいれば、曲調が奏でられる毎、相手を変えて飛び回る者もいた。
けれどやがて少しずつ。
気づき始めた者から、足を止め、三つある大扉の一つを凝視し始める。
レジィリアンスはエルデリオンが、とても嬉しそうに頬を染め、自分に視線を注ぎ続けるのに見惚れながらも、くすぐったい気持ちになって、困った。
足が雲の上にいるみたいに、ふわふわした。
けれどエルデリオンも扉の方に振り向いた途端、回るのを止める…。
ついつられて、レジィリアンスも扉の方を見た。
濃いめの紫の上着を着けた、洒落た出で立ちの国王がそこに立っていて、にこにこ微笑むと、少しずつ静まり返る広間の皆を覗う。
とうとう、奏者も演奏を止めた。
王は自分を見つめる皆に
「気にせずともいい。
この広間で一番偉いのは王妃で、私は皆と同じ、一招待客だから」
と告げ、奏者に曲を奏でるよう、頷く。
曲が再び、奏でられ始めると。
国王はデルデロッテと王妃の前にやって来て、デルデロッテに
「私の愛しい人と、踊りたいのだが」
と告げた。
皆、踊り始めながらもついチラチラ、デルデロッテと王とのやり取りを覗う。
直ぐ横の、エルデリオンとレジィリアンスさえも。
デルデロッテは困った表情で
「本心は、お断りしたいのですが…。
国で一番身分の高く、王妃の夫である貴方のお申し出なら…。
…仕方が、無いですね」
と告げると、王妃の手を取り、大変優雅に屈んで、そっと手の甲に口づけた。
そして、仕方なさげに王妃の手を、王へと差し出す。
王はその、茶目っ気たっぷりのデルデロッテに笑い、王妃の手をデルデロッテから受け取ると、王妃に優雅な礼を取った。
次にデルデロッテは、棒立ちで父王と母王妃を見つめてるエルデリオンの横にやって来て
「パートナーを、国王に盗られてしまったので。
ぼやぼやしてると、貴方を押し退けてレジィリアンス殿と踊ります」
と言うものだから、エルデリオンは慌ててレジィリアンスに振り向くと、腕を絡ませ、回り始めた。
その後デルデロッテは、ラステルと踊るエウロペに振り向くと
「またも、盗られてしまった」
とぼやき、エウロペを呆れさせ、エウロペに
「君が良ければ、いつでも代わる」
と告げられた。
が、エウロペと腕を絡ませてるラステルに、エウロペは強引に回され、デルデロッテから引き離された。
間もなく華やかな美女が三人ほど。
デルデロッテの目前に飛んで来て、結局デルデロッテは美女らと代わる代わる、回り始める。
レジィリアンスは強引に回らされ、転びかけた。
途端、慌てたエルデリオンに
「すみません。
すっかり…焦ってしまって。
何せデルデロッテは、あんな調子ですから」
と、素晴らしいドレス姿の美女三人と一緒に回ってる、デルデロッテを目で示され、つい、焦るエルデリオンの様子がおかしくって、レジィリアンスはくすくす笑った。
エルデリオンは笑顔のレジィリアンスを、嬉しそうに。
けれど困惑気味に見つめ、尋ねる。
「…それは…お許し頂けると言う事ですか?」
エルデリオンに真摯に尋ねられ、レジィリアンスは笑いながらも思わず首を、縦に振った。
ラステルが叫んだ。
「近くの人と、二人組んで、回って下さい!」
エウロペが、エリューンとテリュスに顎をしゃくって促す。
自国の曲に、すっかりノリノリのテリュスは、エリューンと向かい合うと腕を絡ませ、強引に回った。
エリューンは
「ここは本来、男女で組むところなのに…」
とぼやきながら、無理矢理回らされていた。
その後ろのロットバルトが、エルデリオンの向こうのデルデロッテに目配せする。
デルデロッテはエルデリオンに振り向き、一緒に回ると同時。
エルデリオンに腕を絡ませたまま、前の列。
王妃とレジィリアンスの最前列へと、雪崩れ込んだ。
デルデロッテが王妃の横で
「私と組んで頂けますか?」
と丁寧にお辞儀し、エルデリオンは一気に笑顔で、レジィリアンスに肘を曲げて促す。
レジィリアンスは組んでた王妃が、長身を品良く屈めた美丈夫のデルデロッテに、微笑んで腕を絡ませるのを見、エルデリオンの曲げた肘に腕を滑り込ませた。
エルデリオンはとても嬉しそうにレジィリアンスと腕を絡ませ、くるりくるりと、一緒に回る。
後ろの列の貴族達は大盛り上がりではしゃぐと、横の列、少し離れた列の、意中の相手に腕を絡ませに、飛んで行った。
エリューンは曲に合わせ、幾度も自分と腕を絡ませる笑顔のテリュスに、ぶすったれながらも後ろの大騒ぎに視線を送ると、驚いて目を見開いた。
上品に着飾った貴族達が、組む相手を争ったり、すれ違い様ぶつかりあったり。
たいそうな騒ぎぶり。
エウロペは目前で腕を差し出すラステルを見
「…本気で?」
と尋ね、背後のあぶれたロットバルトを覗う。
が、ロットバルトは後ろの列のレディと、とっくに腕を絡ませ、笑顔で回っていた。
曲は、回る部分で曲調が盛り上がり、そのメロディが流れると皆一斉に相手目がけ、腕を絡ませに飛んで行く。
広間中の貴族らは子供のようにはしゃぐと、ずっと同じ相手と回る者もいれば、曲調が奏でられる毎、相手を変えて飛び回る者もいた。
けれどやがて少しずつ。
気づき始めた者から、足を止め、三つある大扉の一つを凝視し始める。
レジィリアンスはエルデリオンが、とても嬉しそうに頬を染め、自分に視線を注ぎ続けるのに見惚れながらも、くすぐったい気持ちになって、困った。
足が雲の上にいるみたいに、ふわふわした。
けれどエルデリオンも扉の方に振り向いた途端、回るのを止める…。
ついつられて、レジィリアンスも扉の方を見た。
濃いめの紫の上着を着けた、洒落た出で立ちの国王がそこに立っていて、にこにこ微笑むと、少しずつ静まり返る広間の皆を覗う。
とうとう、奏者も演奏を止めた。
王は自分を見つめる皆に
「気にせずともいい。
この広間で一番偉いのは王妃で、私は皆と同じ、一招待客だから」
と告げ、奏者に曲を奏でるよう、頷く。
曲が再び、奏でられ始めると。
国王はデルデロッテと王妃の前にやって来て、デルデロッテに
「私の愛しい人と、踊りたいのだが」
と告げた。
皆、踊り始めながらもついチラチラ、デルデロッテと王とのやり取りを覗う。
直ぐ横の、エルデリオンとレジィリアンスさえも。
デルデロッテは困った表情で
「本心は、お断りしたいのですが…。
国で一番身分の高く、王妃の夫である貴方のお申し出なら…。
…仕方が、無いですね」
と告げると、王妃の手を取り、大変優雅に屈んで、そっと手の甲に口づけた。
そして、仕方なさげに王妃の手を、王へと差し出す。
王はその、茶目っ気たっぷりのデルデロッテに笑い、王妃の手をデルデロッテから受け取ると、王妃に優雅な礼を取った。
次にデルデロッテは、棒立ちで父王と母王妃を見つめてるエルデリオンの横にやって来て
「パートナーを、国王に盗られてしまったので。
ぼやぼやしてると、貴方を押し退けてレジィリアンス殿と踊ります」
と言うものだから、エルデリオンは慌ててレジィリアンスに振り向くと、腕を絡ませ、回り始めた。
その後デルデロッテは、ラステルと踊るエウロペに振り向くと
「またも、盗られてしまった」
とぼやき、エウロペを呆れさせ、エウロペに
「君が良ければ、いつでも代わる」
と告げられた。
が、エウロペと腕を絡ませてるラステルに、エウロペは強引に回され、デルデロッテから引き離された。
間もなく華やかな美女が三人ほど。
デルデロッテの目前に飛んで来て、結局デルデロッテは美女らと代わる代わる、回り始める。
レジィリアンスは強引に回らされ、転びかけた。
途端、慌てたエルデリオンに
「すみません。
すっかり…焦ってしまって。
何せデルデロッテは、あんな調子ですから」
と、素晴らしいドレス姿の美女三人と一緒に回ってる、デルデロッテを目で示され、つい、焦るエルデリオンの様子がおかしくって、レジィリアンスはくすくす笑った。
エルデリオンは笑顔のレジィリアンスを、嬉しそうに。
けれど困惑気味に見つめ、尋ねる。
「…それは…お許し頂けると言う事ですか?」
エルデリオンに真摯に尋ねられ、レジィリアンスは笑いながらも思わず首を、縦に振った。
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