83 / 418
接近
王妃の小舞踏会 その2
しおりを挟む
オレシニォンを出て、屋外の優美な庭園の中を通る、渡り廊下を抜け。
天井の高い大廊下を通り、休憩所のような豪華な広間に出た後。
真ん中が開いてる、くすんだ赤に金の蔦の飾り模様の入った、大変豪奢でとても高い扉を潜り抜ける。
すると天井はうんと高く、豪華なシャンデリアが無数に吊り下げられ、壁紙ほぼ一面くすんだ赤。
金の蔦飾りが至る所に彫り込まれた、50人ほどが入れる、楕円形の大広間に出た。
南側にはくすんだ赤絨毯が敷かれ、二段ほど高い位置に、金飾りの豪華で優美な椅子が一脚。
背後には、小薔薇模様のカーテン。
客は三つある扉から広間に詰めかけ始め、エルデリオンが入るなり、皆一斉に振り向くと、丁寧にお辞儀した。
レジィリアンスはエルデリオンの横で進む事、人がお辞儀していく姿に、目を見開く。
つい、背後のエウロペに振り向くけど…。
エウロペは流石、態度を変えず颯爽としたまま、微笑んで頷くので…。
レジィリアンスは、ほっとした。
エルデリオンの貴公子ぶりは素晴らしく、優雅に首を縦に軽く振って、お辞儀に応えていた。
やがて全ての招待客が勢揃いし、二段高い位置の、金飾りの豪華な椅子の方を、皆一斉に見つめる。
間もなくカーテンの影から、王妃が姿を現した。
王妃は明るい栗毛を結い上げ、ダイヤモンドで飾られたティアラを頭に乗せ、空色の地に小薔薇の刺繍が刺された、美しいドレスをまとっていた。
姿を現すと、息子である王子、エルデリオンに手を差し伸べる。
エルデリオンは頭を軽く下げ、階段を登り、その白く華奢な手を取った。
王妃の横に並ぶと、顔立ちの良く似た、美しくも高貴な王子と王妃に、皆が感嘆のため息を漏らす。
「…エルデリオンが帰国致しましたので。
この場を設けました。
エルデリオンのみならず、私もとても親交の厚い、シュテフザインの王子、レジィリアンス様も今回、客人として滞在頂いております」
王妃はそう告げると、エルデリオンに差し出した、反対側の手を、レジィリアンスに差し伸べる。
レジィリアンスは突然の事で戸惑ったけれど、背を軽くエウロペに押され、振り向いてエウロペに頷き、進み出る。
王妃は片側にエルデリオン。
反対側にレジィリアンスを迎え、客達に披露した。
が、客達は小声で囁きまくる。
「…王子?」
「本当に、少年なのか?」
「…美しすぎる…」
「オーデ・フォール、宮廷一の美少年を名乗ってた、エドアルドの地位も、危ないな…」
そう呟いた後、皆がこっそり、エドアルドを盗み見る。
が、肩までの明るい栗色巻き毛、そして珍しい紫の瞳。
整いきって美麗な顔立ち、紫のビロードの上着と、レースがふんだんに施されたドレスシャツを着けた華やかな美少年エドアルドは、表情を変えず、冷たい瞳でレジィリアンスを見つめていた。
「いつも舞踏会の始まりは、息子エルデリオンのダンスで始めましたけれど。
今日はシュテフザインの皆様の滞在を祝し、シュテフザインの名曲を、レジィリアンス様と踊りたいと思います」
レジィリアンスはびっくりして目を見開くけど。
王妃に促され、手を取ったまま王妃と共に階段を降りた。
人々は王妃らが進み来ると、潮が引くように後ろに下がり、場を開ける。
中央まで来ると、広間端に陣取った楽器奏者が、音楽を奏で始めた。
その曲が…レジィリアンスもよく知る曲で、ほっとしたように、王妃と並んでステップを踏み始める。
横に並んで足を交互に斜めに蹴り出す。
やがてエウロペとテリュス、エリューンまでもがラステルに連れ出され、二人の背後から、横一列に並んで、同様のステップを踏む。
デルデロッテが段の上に上がり、取り残されたエルデリオンの腕を取る。
反対側にロットバルトがやって来ると、段を降りてラステルらの列の後ろで、同様横に並び、ステップを踏み始めた。
王妃と共にレジィリアンスは、どんどんステップを踏みながら、前へと進む。
ラステルが客達に
「背後に同様、続いて下さい!」
と叫ぶと、エルデリオンらの列の後ろに、五人ほどの貴族らが、はしゃいで手を繋ぎ横一列になって、ステップを踏み始めた。
彼らが進むと、その背後にまた横一列、参加する貴族らの列が出来る。
客達は背後のスペースが開くと直ぐ、手を繋ぎあって横の列に、雪崩れ込み始めた。
天井の高い大廊下を通り、休憩所のような豪華な広間に出た後。
真ん中が開いてる、くすんだ赤に金の蔦の飾り模様の入った、大変豪奢でとても高い扉を潜り抜ける。
すると天井はうんと高く、豪華なシャンデリアが無数に吊り下げられ、壁紙ほぼ一面くすんだ赤。
金の蔦飾りが至る所に彫り込まれた、50人ほどが入れる、楕円形の大広間に出た。
南側にはくすんだ赤絨毯が敷かれ、二段ほど高い位置に、金飾りの豪華で優美な椅子が一脚。
背後には、小薔薇模様のカーテン。
客は三つある扉から広間に詰めかけ始め、エルデリオンが入るなり、皆一斉に振り向くと、丁寧にお辞儀した。
レジィリアンスはエルデリオンの横で進む事、人がお辞儀していく姿に、目を見開く。
つい、背後のエウロペに振り向くけど…。
エウロペは流石、態度を変えず颯爽としたまま、微笑んで頷くので…。
レジィリアンスは、ほっとした。
エルデリオンの貴公子ぶりは素晴らしく、優雅に首を縦に軽く振って、お辞儀に応えていた。
やがて全ての招待客が勢揃いし、二段高い位置の、金飾りの豪華な椅子の方を、皆一斉に見つめる。
間もなくカーテンの影から、王妃が姿を現した。
王妃は明るい栗毛を結い上げ、ダイヤモンドで飾られたティアラを頭に乗せ、空色の地に小薔薇の刺繍が刺された、美しいドレスをまとっていた。
姿を現すと、息子である王子、エルデリオンに手を差し伸べる。
エルデリオンは頭を軽く下げ、階段を登り、その白く華奢な手を取った。
王妃の横に並ぶと、顔立ちの良く似た、美しくも高貴な王子と王妃に、皆が感嘆のため息を漏らす。
「…エルデリオンが帰国致しましたので。
この場を設けました。
エルデリオンのみならず、私もとても親交の厚い、シュテフザインの王子、レジィリアンス様も今回、客人として滞在頂いております」
王妃はそう告げると、エルデリオンに差し出した、反対側の手を、レジィリアンスに差し伸べる。
レジィリアンスは突然の事で戸惑ったけれど、背を軽くエウロペに押され、振り向いてエウロペに頷き、進み出る。
王妃は片側にエルデリオン。
反対側にレジィリアンスを迎え、客達に披露した。
が、客達は小声で囁きまくる。
「…王子?」
「本当に、少年なのか?」
「…美しすぎる…」
「オーデ・フォール、宮廷一の美少年を名乗ってた、エドアルドの地位も、危ないな…」
そう呟いた後、皆がこっそり、エドアルドを盗み見る。
が、肩までの明るい栗色巻き毛、そして珍しい紫の瞳。
整いきって美麗な顔立ち、紫のビロードの上着と、レースがふんだんに施されたドレスシャツを着けた華やかな美少年エドアルドは、表情を変えず、冷たい瞳でレジィリアンスを見つめていた。
「いつも舞踏会の始まりは、息子エルデリオンのダンスで始めましたけれど。
今日はシュテフザインの皆様の滞在を祝し、シュテフザインの名曲を、レジィリアンス様と踊りたいと思います」
レジィリアンスはびっくりして目を見開くけど。
王妃に促され、手を取ったまま王妃と共に階段を降りた。
人々は王妃らが進み来ると、潮が引くように後ろに下がり、場を開ける。
中央まで来ると、広間端に陣取った楽器奏者が、音楽を奏で始めた。
その曲が…レジィリアンスもよく知る曲で、ほっとしたように、王妃と並んでステップを踏み始める。
横に並んで足を交互に斜めに蹴り出す。
やがてエウロペとテリュス、エリューンまでもがラステルに連れ出され、二人の背後から、横一列に並んで、同様のステップを踏む。
デルデロッテが段の上に上がり、取り残されたエルデリオンの腕を取る。
反対側にロットバルトがやって来ると、段を降りてラステルらの列の後ろで、同様横に並び、ステップを踏み始めた。
王妃と共にレジィリアンスは、どんどんステップを踏みながら、前へと進む。
ラステルが客達に
「背後に同様、続いて下さい!」
と叫ぶと、エルデリオンらの列の後ろに、五人ほどの貴族らが、はしゃいで手を繋ぎ横一列になって、ステップを踏み始めた。
彼らが進むと、その背後にまた横一列、参加する貴族らの列が出来る。
客達は背後のスペースが開くと直ぐ、手を繋ぎあって横の列に、雪崩れ込み始めた。
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる