森と花の国の王子

あーす。

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接近

共同の居間にて その1

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 正直、エルデリオンはレジィリアンスの方から抱きつかれ、幸せすぎて心が舞い上がり、それだけで…策を授けてくれた、デルデロッテに感謝したいほどだった。

けれど、レジィリアンスの…性への羞恥を無くさせるため、胸に縋り付くレジィリアンスに囁く。

「…まだ…怖い?
気をそらすような話をすると、紛れますよ?
手ほどきは…全然、まだ?
自分を慰める方法は、エウロペ殿に教えて貰いましたか?」

レジィリアンスは“自慰”の事だ、と思い当たり、真っ赤に成って囁く。
「…あの…。
一度偶然、宿泊先の…若い女性が、池で水浴びしてるのを見てしまって。
その後…その…」

エルデリオンは感じ良く微笑んで、頷く。
まるで恥ずかしい事なんかじゃなく、何でも無い事のように。
「ええ」

「でも…どうしていいか、分からず…衣服で擦れてしまったら、もっと大きくなってしまって」
レジィリアンスはその時の事を思い出したのか…もぞ…と僅かに、腰を揺すった。
エルデリオンは目を見開く。
「それで、エウロペ殿に方法を尋ねた?」

レジィリアンスは恥ずかしげに俯くと、小声で言葉を返した。
「…いえ…。
人気の無い場所で…困ってしまって。
手で触れてみたら…その、気持ち良くなって。
それで…」

レジィリアンスはこんな話題、誰ともした事が無くて、描写に困った。
「後で、エウロペに…。
固くなって、その…普段と違うモノが出たと…。
そしたらエウロペは笑って
『出ないと、大変です。
それが女性の中に入って、赤ちゃんが出来るので』
って…」

レジィリアンスがエウロペの話をした途端、とても落ち着いて…。
安心してる様子で、エルデリオンはエウロペに嫉妬するよりも、落ち着いて微笑む、レジィリアンスに安堵した。

考えてみれば自分も、毎度物の分かった大人の従者らに、助けられてる。
彼らの存在が、どれ程安心か。
思い知っていたので、つい微笑み返した。

「私も…同様です。
やはり女中の、着替え中の…豊かな胸を見てしまって、そうなりました。
けどどうすればいいかは…デルデロッテと城の中を探検してた時、覗き窓からこっそり、男性の自慰を見ていたので。
マネしてみたんです。
その時の感覚と言ったら…」

レジィリアンスが大きな青い瞳で見上げるので、エルデリオンは我に返り、屈んでこっそり、小声で尋ねた。
「…不適切でした?」
レジィリアンスは首を横に振る。
「続きをお話頂けるの、待ってます」

エルデリオンはほっとして、微笑む。
「…一度も無い、快感で。
けれど…」

レジィリアンスは不安そうに眉を寄せた。
「…けど?」
「…手ほどきを受けた、最初の女性に、口に含まれてされた時。
その時には敵わない。
正直、口に含まれたあの感覚こそ、天国だと思いましたね。
後でデルデロッテに報告したら
『してくれる女性と、嫌う女性がいるから。
初めてで当たるなんて、ラッキーだったな』
って」

レジィリアンスはエルデリオンに微笑まれ、思わず微笑み返したけど。
自分の初めてが、エルデリオンだったと突然思い出し、真っ赤になる。
途端…股間が硬くなってきて、焦った。

エルデリオンは直ぐ、気づく。
「あの…」
「ええ、あの…!」
レジィリアンスは慌てて、立ち上がりかけて…固く成り始めていたので、足がもつれた。

エルデリオンは倒れ込んで来るレジィリアンスの華奢な体を、背をソファに倒し込んで抱き止める。
レジィリアンスはエルデリオンを下敷きにし、慌てて起き上がろうとした。
エルデリオンがソファの端に手を付き、上体を起こすと、レジィリアンスも一緒に体が持ち上がる。

エルデリオンは微笑んでいた。
「…大丈夫ですか?」
「私は…!
あの…ごめんなさい」

レジィリアンスは起き上がりかけて…結局、萎むどころかもっと固くなり、恥ずかしげに股間に手をやった。
「あの…最近、よく…こうなるんです…」
エルデリオンは、くす…と笑った。
「年頃になった、印だそうです」

けれどレジィリアンスは、狼狽えたように首を横に振り、身を起こしたものの、エルデリオンの上からは退けなくて…困惑していた。

でも半分起き上がってたエルデリオンは、レジィリアンスが…じれたように腰を横に、振るのを見た。
レジィリアンスは真っ赤になって囁く。
「けど…あの…。
お尻の奥…が…おかしくなるのは…普通なんですか?」

エルデリオンは自分が、一瞬で“雄”になった事を、自覚した。
「…普通の男は…つまり貴方のお国では、使わないでしょうが…。
我が国で、強い快楽を求める男は、刺激される事を好みます」

レジィリアンスは狼狽え、エルデリオンの顔が見られず、しきりに首を振り、なんとか退こうと周囲を見回す。

捕まえて、組み敷きたかった。
けれどエルデリオンはぐっ!と自制する。
「…とりあえず刺激を与え、放ってしまって、固く無くなれば。
少し、落ち着きます。
よろしければ私に、責任を取らせて下さい」

レジィリアンスは自分の願望をエルデリオンに見抜かれ、真っ赤になった。
「あの…」

エルデリオンはデルデロッテを、思い浮かべた。
出来るだけ優しく。
紳士的に囁きかける。
「ご自身で…されると言うのであれば…。
私は、場を外しますから。
失礼して…」

上に跨がるレジィリアンスの下から、抜けようと横にいざり始めると。
胸のシャツの合わせに、引き止めるように。

レジィリアンスの華奢な白い手が、縋り付いた。

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