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逢瀬
闘技場での会話
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結局、ラステルとデルデロッテはエウロペに
「レジィに湯を使わせるので…」
と、部屋を追い出された。
デルデロッテは共同の居間を抜けながら、ラステルに
「君も早く、式典に出ないと」
と告げられた途端。
ラステルに背を向け、駆け去った。
レジィリアンスはエウロペの手を借りて、浴槽に入る。
エウロペの視線は、夕べ残したエルデリオンの愛撫の痕跡を、悲しげに目で追う。
レジィリアンスはエウロペが、とても心配してると分かって、湯の中で顔を俯けた。
けれどエウロペの優しい大きな手が、長い髪を束ね、湯をかけて洗ってくれるのを感じ、心から安堵して、うとうとし出す。
エウロペは何も言わず、指を髪の間に入れ、頭皮を揉みほぐしながら髪を洗った。
レジィリアンスは気持ち良さそうに顔を下げ、そして…泣きたくなるほど温かい気持ちに包まれて、エウロペの愛情に、心の中で感謝した。
一方、闘技場に足を運んだエルデリオンは、気もそぞろ。
父王も王妃も居ず、自分が姿を現すと、若き騎士達が一斉に、この場で最高身分の自分を仰ぎ見る。
横のロットバルトが頷き、エルデリオンは集う若き騎士らに、声を発した。
「君達の精進の結果が、今日判明する。
勝者には、10万デュカスと最高騎士部隊の入隊が、許可される!
皆、心して挑んで欲しい!」
エルデリオンの声に、騎士らも集まり来た見物客らも、大歓声を上げた。
横のロットバルトが手を上げると、場内は一瞬で静まり返り、最初の対戦する二人が、剣を携え中央に進み出る。
エルデリオンとロットバルトは同時に椅子に腰を下ろし、慌ただしさが一段落し、やれやれと安堵した。
やがて、エルデリオンの反対側の空席に、デルデロッテが姿を見せる。
控え騎士らが、今や国一の使い手と評判の、デルデロッテの姿を見た途端。
顔を一斉に、引き締めた。
デルデロッテは視線に振り向き、見つめる皆に、軽く頷く。
が、椅子に腰を下ろした途端。
試合を真面目な顔で、見てる振りしてるロットバルトに、尋ねられた。
「…ラステルは、大丈夫だったか?」
デルデロッテも真面目な表情を崩さず、視線は試合をしてる二人に向けたまま、言葉を返す。
「…大丈夫ですが…大変でした」
ロットバルトは“そうだろうな”とため息を吐き、エルデリオンも出来るだけ、狼狽えた表情を見せないよう、呟く。
「…レジィリアンスは…どう言ってた?
私の事…疑ってない?」
デルデロッテは肩を竦めたかったけど、真剣に打ち合う二人の剣士に目を向けたまま、小声で囁き返す。
「ええ。
彼は純粋培養なので。
疑う事を知らないらしい。
…ただ今後、媚薬が無くなると。
彼がどれ程、貴方を欲するかは、疑問ですね」
エルデリオンはがっくり首が下がりそうになって、耐えた。
なぜなら、中央で戦ってる二人、以外は。
皆自分らの表情を覗っていたから。
少しでも首を捻ったりすると、二人の内、どちらが不出来かを、囁き始めるので。
さらにそれを声高に叫ばれたりすると、戦ってる騎士二人の、士気にも影響を及ぼす。
「…忘れ…られない程度には…刺激した、つもりだけど…」
デルデロッテは、微かに頷く。
「エウロペ殿に、お許しは頂いた。
レジィリアンスがその気になったら、貴方を頼って良いと」
ロットバルトは横のエルデリオンが、真剣に試合を見てる、ふりをしつつも、嬉しそうなのをチラ見し、思わず口を開く。
「…では媚薬無しで。
どれ程貴方が必要に成るか。
それが問題ですな」
途端、エルデリオンから嬉しそうな雰囲気が消え、泣きそうに成るのを感じる。
ロットバルトはデルデロッテに、軽く睨まれてるのを意識した。
「…失言した」
素直にそう述べると、エルデリオンの気落ちした
「いや…。
その、通りだ」
と言う返事が聞こえ、ロットバルトはもっと、デルデロッテに睨まれてると思った。
「エウロペ殿も怒ってた。
貴方はレジィリアンス殿に、大変な好意を持たれてるとカン違いし…。
その気持ちを、弄んでると」
デルデロッテの潜めた声音に、ロットバルトは微かに頷く。
「…違いない」
言った後、気づく。
「…けれどラステルは、相変わらずだろう?」
デルデロッテは試合を見つめつつ、微かに頷く。
「…貴方、ラステルが反省したとこって、見た事あります?」
ロットバルトは、真剣な表情で試合を見てるように…エルデリオンからは見えたけど。
ぼそり…と言葉を返した。
「かつて一度も、見た事が無い」
“そういう事です”
と、デルデロッテに微かに頷かれ、エルデリオンは顔を下げたかったけど、ぐっとこらえた。
「レジィに湯を使わせるので…」
と、部屋を追い出された。
デルデロッテは共同の居間を抜けながら、ラステルに
「君も早く、式典に出ないと」
と告げられた途端。
ラステルに背を向け、駆け去った。
レジィリアンスはエウロペの手を借りて、浴槽に入る。
エウロペの視線は、夕べ残したエルデリオンの愛撫の痕跡を、悲しげに目で追う。
レジィリアンスはエウロペが、とても心配してると分かって、湯の中で顔を俯けた。
けれどエウロペの優しい大きな手が、長い髪を束ね、湯をかけて洗ってくれるのを感じ、心から安堵して、うとうとし出す。
エウロペは何も言わず、指を髪の間に入れ、頭皮を揉みほぐしながら髪を洗った。
レジィリアンスは気持ち良さそうに顔を下げ、そして…泣きたくなるほど温かい気持ちに包まれて、エウロペの愛情に、心の中で感謝した。
一方、闘技場に足を運んだエルデリオンは、気もそぞろ。
父王も王妃も居ず、自分が姿を現すと、若き騎士達が一斉に、この場で最高身分の自分を仰ぎ見る。
横のロットバルトが頷き、エルデリオンは集う若き騎士らに、声を発した。
「君達の精進の結果が、今日判明する。
勝者には、10万デュカスと最高騎士部隊の入隊が、許可される!
皆、心して挑んで欲しい!」
エルデリオンの声に、騎士らも集まり来た見物客らも、大歓声を上げた。
横のロットバルトが手を上げると、場内は一瞬で静まり返り、最初の対戦する二人が、剣を携え中央に進み出る。
エルデリオンとロットバルトは同時に椅子に腰を下ろし、慌ただしさが一段落し、やれやれと安堵した。
やがて、エルデリオンの反対側の空席に、デルデロッテが姿を見せる。
控え騎士らが、今や国一の使い手と評判の、デルデロッテの姿を見た途端。
顔を一斉に、引き締めた。
デルデロッテは視線に振り向き、見つめる皆に、軽く頷く。
が、椅子に腰を下ろした途端。
試合を真面目な顔で、見てる振りしてるロットバルトに、尋ねられた。
「…ラステルは、大丈夫だったか?」
デルデロッテも真面目な表情を崩さず、視線は試合をしてる二人に向けたまま、言葉を返す。
「…大丈夫ですが…大変でした」
ロットバルトは“そうだろうな”とため息を吐き、エルデリオンも出来るだけ、狼狽えた表情を見せないよう、呟く。
「…レジィリアンスは…どう言ってた?
私の事…疑ってない?」
デルデロッテは肩を竦めたかったけど、真剣に打ち合う二人の剣士に目を向けたまま、小声で囁き返す。
「ええ。
彼は純粋培養なので。
疑う事を知らないらしい。
…ただ今後、媚薬が無くなると。
彼がどれ程、貴方を欲するかは、疑問ですね」
エルデリオンはがっくり首が下がりそうになって、耐えた。
なぜなら、中央で戦ってる二人、以外は。
皆自分らの表情を覗っていたから。
少しでも首を捻ったりすると、二人の内、どちらが不出来かを、囁き始めるので。
さらにそれを声高に叫ばれたりすると、戦ってる騎士二人の、士気にも影響を及ぼす。
「…忘れ…られない程度には…刺激した、つもりだけど…」
デルデロッテは、微かに頷く。
「エウロペ殿に、お許しは頂いた。
レジィリアンスがその気になったら、貴方を頼って良いと」
ロットバルトは横のエルデリオンが、真剣に試合を見てる、ふりをしつつも、嬉しそうなのをチラ見し、思わず口を開く。
「…では媚薬無しで。
どれ程貴方が必要に成るか。
それが問題ですな」
途端、エルデリオンから嬉しそうな雰囲気が消え、泣きそうに成るのを感じる。
ロットバルトはデルデロッテに、軽く睨まれてるのを意識した。
「…失言した」
素直にそう述べると、エルデリオンの気落ちした
「いや…。
その、通りだ」
と言う返事が聞こえ、ロットバルトはもっと、デルデロッテに睨まれてると思った。
「エウロペ殿も怒ってた。
貴方はレジィリアンス殿に、大変な好意を持たれてるとカン違いし…。
その気持ちを、弄んでると」
デルデロッテの潜めた声音に、ロットバルトは微かに頷く。
「…違いない」
言った後、気づく。
「…けれどラステルは、相変わらずだろう?」
デルデロッテは試合を見つめつつ、微かに頷く。
「…貴方、ラステルが反省したとこって、見た事あります?」
ロットバルトは、真剣な表情で試合を見てるように…エルデリオンからは見えたけど。
ぼそり…と言葉を返した。
「かつて一度も、見た事が無い」
“そういう事です”
と、デルデロッテに微かに頷かれ、エルデリオンは顔を下げたかったけど、ぐっとこらえた。
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