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誘拐計画
アッハ・ドルネスのパーティ 2
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エルデリオンとエウロペが料理と飲み物の乗ったトレイを持ち、テーブルに戻ろうとした時。
エルデリオンの前に一人の騎士が現れ、話しかける。
「…少しお話があるのですが…」
エルデリオンは彼を無視出来ない様子で、エウロペはさっ!とエルデリオンの手からトレイを奪うと、振り向くエルデリオンに一つ、頷き。
さっさとレジィの待つテーブルへと歩み去る。
エルデリオンは相変わらず、しなやかながら颯爽としたエウロペの背を見送り、話しかけて来る騎士に顔を戻した。
両手にトレイを持ってやって来るエウロペに、一番近い席にいたエリューンが即座に席を立つと、エウロペに近寄りトレイを一つを受け取って、テーブルへ運び置く。
直ぐテリュスの手が伸び、グラスと料理の皿を持ち上げると、レジィの前に置いた。
エウロペから、フォークとスプーンを手渡され、テリュスがそれを配る。
エウロペがソファに腰掛けた時。
テリュスもエリューンもがフォークを持ち上げ、腰を下ろしたと同時、食べ始める。
テリュスは味見した料理を、レジィに勧めた。
「これ。
絶品です」
レジィはフォークを持ったまま、皿の料理を眺めた。
「…分かった。
食べてみる。
…けどここの食事には、毒は入ってないと思う」
テリュスとエリューンは、気づいて同時に顔を上げた。
…つい諸侯を転々としてた頃の習慣で、このメンバーだとレジィより先に食べ、無意識に味を確かめてる事に、突然気づく。
二人、顔を見合わせフォークを下げると、エリューンがぼそり…と告げた。
「そうでした。
ここは身分に五月蠅い大国。
王子の貴方より、先に食べるのは…」
テリュスも、頷きながら同意する。
「…無作法だ」
エウロペはフォークを口に運び、もぐもぐさせながら、沈んだ表情で食事の手を止める二人を見、囁く。
「…じゃなくて、レジィは喉に詰まらせないか、心配してる。
君らが猛烈な勢いで、口の中に掻き込むから」
テリュスとエリューンは顔を見合わせる。
エリューンがグラスを手に取り、言葉を返した。
「…魚の骨が刺さったのは、一度だけです」
テリュスが皿に視線を向け、示すので、エリューンは皿を見る。
…多種ある料理の中、魚のムニエルが紛れてた。
エリューンはグラスを煽りながら
「でもここのコックは。
ちゃんと骨を全部、取り除いてるでしょう?」
と言い訳た。
皆、エリューンが喉に魚の骨を詰まらせた時。
レジィが泣き出しそうな表情で心配し、必死に横に付いて励まし続けた、辛い経験を思い出す。
エリューンは苦しそうで真っ青になり、何とかエウロペが、手持ちの道具の小さなピンセットで取り出したものの、刺さってた骨の大きさに、レジィは卒倒しかけた。
なぜならその食事は、本来レジィの前に置かれた皿だったから。
偶然立ち寄った、小さな宿屋での出来事。
テリュスはエリューンとレジィを側で護り、エウロペは一人出かけ、そこらかしこに配した部下の一人と接触し、誰が骨を入れたのかを突き止め、王に提言した。
後で犯人は、捕まったと聞かされた。
エリューンは念のため、フォークでムニエルを崩し始める。
すっかり崩れた魚の中に、骨は見当たらず、レジィはほっとし、エリューンはにっこり微笑んで、小さくほぐれた魚をフォークで突き刺し、口に運んだ。
レジィは心からの微笑を見せ、その笑顔がとても愛らしいと。
エリューンだけでなく、テリュスもエウロペも、思った。
けれどその時。
一人の騎士が、レジィリアンスの背後から屈み、覗いながら尋ねる。
「シュテフザインの、レジィリアンス様ですね?
最高騎士部隊の騎士らをご紹介したいのですが」
食べているエウロペも。
エリューンも、テリュスもが顔を上げ
“まだ食事中だから、後で”
と告げようとした、矢先。
レジィリアンスは笑顔で立ち上がると、テーブルの皆に
「ご紹介頂いてくるから、みんなは食べてて」
と弾んだ声で告げる。
直ぐ、エウロペが席を立ちかけると、騎士は彼に微笑んで告げた。
「ここは顔見知りばかりの上、オーデ・フォールでも選りすぐりの騎士ばかり。
護衛の出番はありませんよ。
ごゆっくり、お食事下さい」
真っ直ぐの栗毛を背まで伸ばした、青い瞳の穏やかな態度の美青年騎士にそう言われ、エウロペは浮かした腰を下ろす。
騎士はレジィリアンスの背に腕を回すと、その向こうで立ち話をしてる一団へと、導く。
エリューンもテリュスも、エウロペを見た。
エウロペはレジィから視線を離さず
「姿が見えてる内は。
食事していよう」
そう、覗う二人に告げる。
テリュスとエリューンは頷いて、揃ってフォークを持ち上げ。
とても美味しい食事を、弾んだ笑顔で口に運んだ。
エルデリオンの前に一人の騎士が現れ、話しかける。
「…少しお話があるのですが…」
エルデリオンは彼を無視出来ない様子で、エウロペはさっ!とエルデリオンの手からトレイを奪うと、振り向くエルデリオンに一つ、頷き。
さっさとレジィの待つテーブルへと歩み去る。
エルデリオンは相変わらず、しなやかながら颯爽としたエウロペの背を見送り、話しかけて来る騎士に顔を戻した。
両手にトレイを持ってやって来るエウロペに、一番近い席にいたエリューンが即座に席を立つと、エウロペに近寄りトレイを一つを受け取って、テーブルへ運び置く。
直ぐテリュスの手が伸び、グラスと料理の皿を持ち上げると、レジィの前に置いた。
エウロペから、フォークとスプーンを手渡され、テリュスがそれを配る。
エウロペがソファに腰掛けた時。
テリュスもエリューンもがフォークを持ち上げ、腰を下ろしたと同時、食べ始める。
テリュスは味見した料理を、レジィに勧めた。
「これ。
絶品です」
レジィはフォークを持ったまま、皿の料理を眺めた。
「…分かった。
食べてみる。
…けどここの食事には、毒は入ってないと思う」
テリュスとエリューンは、気づいて同時に顔を上げた。
…つい諸侯を転々としてた頃の習慣で、このメンバーだとレジィより先に食べ、無意識に味を確かめてる事に、突然気づく。
二人、顔を見合わせフォークを下げると、エリューンがぼそり…と告げた。
「そうでした。
ここは身分に五月蠅い大国。
王子の貴方より、先に食べるのは…」
テリュスも、頷きながら同意する。
「…無作法だ」
エウロペはフォークを口に運び、もぐもぐさせながら、沈んだ表情で食事の手を止める二人を見、囁く。
「…じゃなくて、レジィは喉に詰まらせないか、心配してる。
君らが猛烈な勢いで、口の中に掻き込むから」
テリュスとエリューンは顔を見合わせる。
エリューンがグラスを手に取り、言葉を返した。
「…魚の骨が刺さったのは、一度だけです」
テリュスが皿に視線を向け、示すので、エリューンは皿を見る。
…多種ある料理の中、魚のムニエルが紛れてた。
エリューンはグラスを煽りながら
「でもここのコックは。
ちゃんと骨を全部、取り除いてるでしょう?」
と言い訳た。
皆、エリューンが喉に魚の骨を詰まらせた時。
レジィが泣き出しそうな表情で心配し、必死に横に付いて励まし続けた、辛い経験を思い出す。
エリューンは苦しそうで真っ青になり、何とかエウロペが、手持ちの道具の小さなピンセットで取り出したものの、刺さってた骨の大きさに、レジィは卒倒しかけた。
なぜならその食事は、本来レジィの前に置かれた皿だったから。
偶然立ち寄った、小さな宿屋での出来事。
テリュスはエリューンとレジィを側で護り、エウロペは一人出かけ、そこらかしこに配した部下の一人と接触し、誰が骨を入れたのかを突き止め、王に提言した。
後で犯人は、捕まったと聞かされた。
エリューンは念のため、フォークでムニエルを崩し始める。
すっかり崩れた魚の中に、骨は見当たらず、レジィはほっとし、エリューンはにっこり微笑んで、小さくほぐれた魚をフォークで突き刺し、口に運んだ。
レジィは心からの微笑を見せ、その笑顔がとても愛らしいと。
エリューンだけでなく、テリュスもエウロペも、思った。
けれどその時。
一人の騎士が、レジィリアンスの背後から屈み、覗いながら尋ねる。
「シュテフザインの、レジィリアンス様ですね?
最高騎士部隊の騎士らをご紹介したいのですが」
食べているエウロペも。
エリューンも、テリュスもが顔を上げ
“まだ食事中だから、後で”
と告げようとした、矢先。
レジィリアンスは笑顔で立ち上がると、テーブルの皆に
「ご紹介頂いてくるから、みんなは食べてて」
と弾んだ声で告げる。
直ぐ、エウロペが席を立ちかけると、騎士は彼に微笑んで告げた。
「ここは顔見知りばかりの上、オーデ・フォールでも選りすぐりの騎士ばかり。
護衛の出番はありませんよ。
ごゆっくり、お食事下さい」
真っ直ぐの栗毛を背まで伸ばした、青い瞳の穏やかな態度の美青年騎士にそう言われ、エウロペは浮かした腰を下ろす。
騎士はレジィリアンスの背に腕を回すと、その向こうで立ち話をしてる一団へと、導く。
エリューンもテリュスも、エウロペを見た。
エウロペはレジィから視線を離さず
「姿が見えてる内は。
食事していよう」
そう、覗う二人に告げる。
テリュスとエリューンは頷いて、揃ってフォークを持ち上げ。
とても美味しい食事を、弾んだ笑顔で口に運んだ。
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