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誘拐されたレジィリアンス
進むエウロペ
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エウロペは足音を殺し、ほんの少し開いた扉の中を覗き込む。
賊らが数人、暖炉の前で酒をあおっていた。
「…お頭はああ言ったが…。
地下道の仲間は、ほぼ全滅だぜ…」
「早々に掴まった方が、無難かもな」
「紅蜥蜴に仕事請け負うと…確かに、儲けも凄いが。
失敗すりゃ酷い事になる」
「…だな。
このヤマ終えりゃ、抜けるっつってたけどよ…。
紅蜥蜴の奴ら…それで済ましてくれるか?」
室内に、踏み込むべきかを覗ったその時。
ガタン!と椅子を鳴らし、一人が立ち上がる。
「泣き言だらけだな。
儲けを考えろ。
今回捕らえたのは…シュテフザインの王子だぜ?
たんまり貰える」
男が、こちらにやって来る。
が、背後から賊共の声が飛ぶ。
「掴まらなきゃな!」
「敵に回すのはオーデ・フォールを影で牛耳る、あのラステルなんだぜ?!!!!」
が、男は扉を開け、廊下に出て来た。
「…ふん。
からくりを全部知ってる俺なら。
逃げ切って大金手にするさ!」
吐き捨てるようにそう呟きながら。
エウロペは廊下を少し言った先で、男の背後に音も立てず滑り込むと、背後から喉に腕を回し、羽交い締めにして囁く。
「今死ねば。大金はまず、手に入らないな?」
男は喉を締め付ける腕に手を回し、引き剥がそうとした。
が、更に締め上げられ、喉を詰まらせる。
「…案内して貰おう。
声を立てれば、喉は潰れる」
男は必死で、僅かに動く首を、何とか縦に振る。
締められた腕がほんの少し、緩む。
乱暴に前に押され、男は冷や汗を掻きながら、ほんの数分で自分を殺す、その男に背に張り付かれ、ぞっとしながら歩を進めた。
男は隠し部屋へと暗殺者を連れて行く。
幾つもの罠があり、自分はそれを全て知っている。
…だから…暗殺者をその一つへ…導けば良い。
が、暗殺者に微塵の隙も無い。
エウロペはあくまでも冷静に、男にレジィの元へと、案内させた。
半地下の書斎へと入りると、掴んでる男の体を揺する。
男は動き出し、エウロペはピタリと背後に付き、男が隠し部屋を開けるのを待つ。
腕を首に回したまま、背後に張り付くので、男はエウロペを罠に導けなかった。
床板を開け、その細い地下へと続く穴を見つめ、背後を覗う。
が、エウロペは男の背後に張り付いたまま、男の胴にもう片腕回し、一気に飛び降りる。
どさっ!
エウロペは着地したが、男は右足滑らせ、背後に身を倒す。
倒れかかる男を胸で支えたエウロペは、首に腕を回したまま、“次に進め”と無言で男の背を胸で押す。
男は暗い部屋の端へ進むと、レバーを引く。
ゴトン…。
床板は下へと下がり始め…やがて、土壁に蝋燭の火が揺らめく地下空洞に出た時。
そこに滑車のレールを見つけ、エウロペは囁く。
「…車は、どこだ?」
男が横の、大きな鎖を巻く輪を示すので、エウロペは男に囁く。
「さっさと、巻き取れ」
男が滑車の前に踏み出す。
まるで自分一人の、重みしか感じない。
エウロペが、同時に歩を揃え、歩くから。
滑車のハンドルに手をかけ、回し始めると、ガラガラと音を立て、トロッコが引き戻されて来る。
エウロペは空洞に響き渡るその音に、警戒を強めた。
が、誰も駆けつけてくる気配が無い。
確実だった。
この先の、辿り着く場所に通じる通路は、他にもある…!
やっとトロッコがレールを伝い、戻って来た時。
エウロペは男の首に回した腕を解かないまま
「乗り込め」
と命じた。
乗った後、男が足元のレバーを引くと。
トロッコは一気に坂を、駆け下り始めた。
賊らが数人、暖炉の前で酒をあおっていた。
「…お頭はああ言ったが…。
地下道の仲間は、ほぼ全滅だぜ…」
「早々に掴まった方が、無難かもな」
「紅蜥蜴に仕事請け負うと…確かに、儲けも凄いが。
失敗すりゃ酷い事になる」
「…だな。
このヤマ終えりゃ、抜けるっつってたけどよ…。
紅蜥蜴の奴ら…それで済ましてくれるか?」
室内に、踏み込むべきかを覗ったその時。
ガタン!と椅子を鳴らし、一人が立ち上がる。
「泣き言だらけだな。
儲けを考えろ。
今回捕らえたのは…シュテフザインの王子だぜ?
たんまり貰える」
男が、こちらにやって来る。
が、背後から賊共の声が飛ぶ。
「掴まらなきゃな!」
「敵に回すのはオーデ・フォールを影で牛耳る、あのラステルなんだぜ?!!!!」
が、男は扉を開け、廊下に出て来た。
「…ふん。
からくりを全部知ってる俺なら。
逃げ切って大金手にするさ!」
吐き捨てるようにそう呟きながら。
エウロペは廊下を少し言った先で、男の背後に音も立てず滑り込むと、背後から喉に腕を回し、羽交い締めにして囁く。
「今死ねば。大金はまず、手に入らないな?」
男は喉を締め付ける腕に手を回し、引き剥がそうとした。
が、更に締め上げられ、喉を詰まらせる。
「…案内して貰おう。
声を立てれば、喉は潰れる」
男は必死で、僅かに動く首を、何とか縦に振る。
締められた腕がほんの少し、緩む。
乱暴に前に押され、男は冷や汗を掻きながら、ほんの数分で自分を殺す、その男に背に張り付かれ、ぞっとしながら歩を進めた。
男は隠し部屋へと暗殺者を連れて行く。
幾つもの罠があり、自分はそれを全て知っている。
…だから…暗殺者をその一つへ…導けば良い。
が、暗殺者に微塵の隙も無い。
エウロペはあくまでも冷静に、男にレジィの元へと、案内させた。
半地下の書斎へと入りると、掴んでる男の体を揺する。
男は動き出し、エウロペはピタリと背後に付き、男が隠し部屋を開けるのを待つ。
腕を首に回したまま、背後に張り付くので、男はエウロペを罠に導けなかった。
床板を開け、その細い地下へと続く穴を見つめ、背後を覗う。
が、エウロペは男の背後に張り付いたまま、男の胴にもう片腕回し、一気に飛び降りる。
どさっ!
エウロペは着地したが、男は右足滑らせ、背後に身を倒す。
倒れかかる男を胸で支えたエウロペは、首に腕を回したまま、“次に進め”と無言で男の背を胸で押す。
男は暗い部屋の端へ進むと、レバーを引く。
ゴトン…。
床板は下へと下がり始め…やがて、土壁に蝋燭の火が揺らめく地下空洞に出た時。
そこに滑車のレールを見つけ、エウロペは囁く。
「…車は、どこだ?」
男が横の、大きな鎖を巻く輪を示すので、エウロペは男に囁く。
「さっさと、巻き取れ」
男が滑車の前に踏み出す。
まるで自分一人の、重みしか感じない。
エウロペが、同時に歩を揃え、歩くから。
滑車のハンドルに手をかけ、回し始めると、ガラガラと音を立て、トロッコが引き戻されて来る。
エウロペは空洞に響き渡るその音に、警戒を強めた。
が、誰も駆けつけてくる気配が無い。
確実だった。
この先の、辿り着く場所に通じる通路は、他にもある…!
やっとトロッコがレールを伝い、戻って来た時。
エウロペは男の首に回した腕を解かないまま
「乗り込め」
と命じた。
乗った後、男が足元のレバーを引くと。
トロッコは一気に坂を、駆け下り始めた。
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