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誘拐されたレジィリアンス
連れ去られるレジィリアンス
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塔の上。
テリュスは喰い入るように、滑るエウロペを見つめる。
さっきから聞こえる、微かな…レジィの叫び声に耳を澄ます。
“やはり、気のせいじゃ無い…!”
テリュスは素早く騎乗すると、馬を塔から遠ざけ…草原の先にある、少し小高い丘を目指す。
何とか…屋上が伺い見え、テリュスは男が、屈んでいるのが見えた。
その男に、覆い被さるような小さな影。
月明かりで、長い金髪が翻った。
“エウロペの滑るロープを…切ろうとし、レジィが必死に、止めようとしてる…?!”
テリュスは視線を、ロープの先に送る。
小さな黒い人影…エウロペはまだ、屋上よりかなり手前!
ロープは心なしか、以前よりたわんで見えた。
テリュスは素早く、携帯してる小型の弓を取り出す。
暗かった。
そして、遠い。
テリュスは目標よりうんと上に向け、暫く狙い。
そして小弓を、放った。
「ええい邪魔するな!!!」
1/3まで切れた時、とうとうレガートは腕に絡みつく、レジィを思い切り払い、弾き飛ばす。
だんっ!!!
レジィは石床に転がり、転がる瓦礫の石で、背に腕に、傷を作った。
けれどあと少しでロープが切れそうなのを、泣きそうになって見つめ、ヨロめく足取りで…それでも必死に、レガートを止めようと歩き出す。
けどその時。
ヒ…ュゥゥウウウウウウン!!!
上からだんだん近づく音がし、レガートも気づいて見上げる。
が、次の瞬間レガートが
「が゛っ…!!!」
と叫ぶと、ナイフを手から落とし、体をがくんと大きく揺らすのを、レジィは見た。
カラン…!
レガートは肩に手を添えようと、もう片手を持ち上げ、けれど痙攣しながら身を屈め。
必死に激痛走る、右肩を見る。
小さな矢が深々と突き刺さり、レガートは痛みで震え、少しでも痛みを止めようと、大きく息を吐きながらも左腕を持ち上げ、矢を掴み。
瞬間引き抜く。
「ぐぅぅぅぅっ!!!」
激しい苦悶の表情で呻き、抜いた後。
はぁはぁ…。
と痛みの余韻に震え、次にかっ!!!と目を見開き、目前に滑り来る、エウロペを睨めつけた。
「…来い!!!」
レジィはレガートが突進し、腰に腕を回され抱き寄せられて、必死に身もがく。
「いや!!!
いやっ!!!」
けれどロクに力のこもらない体では抵抗すらままならず、レガートに胴を掴まれ、足は宙に浮いたまま運ばれ…。
屋上の扉まで来ると、乱暴に床に放り投げられ、痛みもロクに感じないまま、それでも顔を上げる。
レガートは鍵を取り出し、ロープの方に視線を投げながらも、幾度も鍵穴に鍵を入れそびれ、ガチャ!ガチャ!と鍵を滑らせながら…ようやく、鍵を差し込む事に成功する。
レジィはロープを伝う人物が、どんどん近づき、歓喜が心に溢れたけれど。
ロープはヂリヂリと…ねじれ…切れていって、気が気じゃ無かった。
けれど突然レガートに抱き上げられ、思いっきり叫ぶ。
「いゃぁあっ!!!」
扉の奥。
暗い石階段を下るレガートに運ばれながら…必死でエウロペの、無事を祈った。
エリューンは剣を抜き、デルデロッテも抜く。
ラステル配下の男ら四人は、寄ると素早く言葉を交わし、一人が剣豪二人に叫ぶ。
「ここを!!!
お任せしても構わない?!」
デルデロッテは飛び出して来る賊らに、剣を構え相対しながら叫び返す。
「一人も手伝いナシか?!」
ラステル配下の一人は去って行き、他三人は馬に駆け寄ると、何やら忙しく動き始めてる。
一人がデルデロッテに振り向き、ようやく叫んだ。
「出来れば我らの方に、奴らを近づけないようして欲しい!」
エリューンとデルデロッテはその返答に、思わず顔を見合わせた。
ラステル配下は、入り口の反対側の外壁へと駆け始め、デルデロッテとエリューンは入り口を死守しようとする賊らを牽制しながら、互いを見合う。
エリューンが囁く。
「入り口から入らないと…!」
デルデロッテも頷く。
「多分ラステル配下らは、尋常じゃ無い方法で侵入する気だから。
我々は正当に、入り口を攻略しよう。
右を任せて、いいかな?」
エリューンは去って行ったラステル配下が、ロープを塔の上に投げてるのを目にする。
“よじ登る気か…?!”
が、視線を目前の、敵に戻す。
右に三人。
左は四人。
返事をしようとした時、もうデルデロッテは突っ込んで行った。
エウロペは、もう屋根に辿り着く。
そう思った瞬間、レガートがレジィを抱き、屋上の扉の向こうに姿を消すのを、歯がみして見送った。
しかもロープはひどくたわみ、直前。
あともう少しと言う所で、ピタリと止まる。
エウロペは身を振る。
が、僅かに足が、届かない。
宙に吊り下げられ、落ちれば…足を折ればいい方。
ヘタすれば死ぬ。
見ると下では、ラステル配下らしき人影が、かなり下の塔の窓に、ロープのフックを引っかけ、強度を確かめ、登り始めてる。
エウロペは、一人じゃない。
と分かると、意を決し、体を思いっきり、前後に振った。
ざっっっっ!!!
瞬間、掴んでいたベルトを外し、屋上に飛び移る。
ダンッ!!!
エウロペが飛んだ反動で、ロープは切れ、激しい音を立てて屋上を飛んで行く。
エウロペは向かって来るローブの切れ端から、咄嗟体を床に沈め、避けた。
ロープは屋上から飛んで行き、暫く後二つの塔の間の草地に、一度跳ねた後落ちた。
エウロペは素早く立ち上がると、扉へと飛んで行く。
扉を開け、暗い石の階段を駆け下りる。
ここを…通り過ぎた時。
レジィの泣き濡れた顔が思い浮かぶと、眉を悲しげに寄せ、必死で後を追う。
階段を降りきると、広い…酷く朽ちた広間に出た。
かつては豪勢な…カーテンは垂れ、かつては美しかった椅子や、崩れかけた彫刻が並ぶ、今や不気味な大広間。
エウロペは背を向け、下に降りる階段を探そうとし…。
けれど振り向いて、広間の中へと、歩を向けた。
テリュスは喰い入るように、滑るエウロペを見つめる。
さっきから聞こえる、微かな…レジィの叫び声に耳を澄ます。
“やはり、気のせいじゃ無い…!”
テリュスは素早く騎乗すると、馬を塔から遠ざけ…草原の先にある、少し小高い丘を目指す。
何とか…屋上が伺い見え、テリュスは男が、屈んでいるのが見えた。
その男に、覆い被さるような小さな影。
月明かりで、長い金髪が翻った。
“エウロペの滑るロープを…切ろうとし、レジィが必死に、止めようとしてる…?!”
テリュスは視線を、ロープの先に送る。
小さな黒い人影…エウロペはまだ、屋上よりかなり手前!
ロープは心なしか、以前よりたわんで見えた。
テリュスは素早く、携帯してる小型の弓を取り出す。
暗かった。
そして、遠い。
テリュスは目標よりうんと上に向け、暫く狙い。
そして小弓を、放った。
「ええい邪魔するな!!!」
1/3まで切れた時、とうとうレガートは腕に絡みつく、レジィを思い切り払い、弾き飛ばす。
だんっ!!!
レジィは石床に転がり、転がる瓦礫の石で、背に腕に、傷を作った。
けれどあと少しでロープが切れそうなのを、泣きそうになって見つめ、ヨロめく足取りで…それでも必死に、レガートを止めようと歩き出す。
けどその時。
ヒ…ュゥゥウウウウウウン!!!
上からだんだん近づく音がし、レガートも気づいて見上げる。
が、次の瞬間レガートが
「が゛っ…!!!」
と叫ぶと、ナイフを手から落とし、体をがくんと大きく揺らすのを、レジィは見た。
カラン…!
レガートは肩に手を添えようと、もう片手を持ち上げ、けれど痙攣しながら身を屈め。
必死に激痛走る、右肩を見る。
小さな矢が深々と突き刺さり、レガートは痛みで震え、少しでも痛みを止めようと、大きく息を吐きながらも左腕を持ち上げ、矢を掴み。
瞬間引き抜く。
「ぐぅぅぅぅっ!!!」
激しい苦悶の表情で呻き、抜いた後。
はぁはぁ…。
と痛みの余韻に震え、次にかっ!!!と目を見開き、目前に滑り来る、エウロペを睨めつけた。
「…来い!!!」
レジィはレガートが突進し、腰に腕を回され抱き寄せられて、必死に身もがく。
「いや!!!
いやっ!!!」
けれどロクに力のこもらない体では抵抗すらままならず、レガートに胴を掴まれ、足は宙に浮いたまま運ばれ…。
屋上の扉まで来ると、乱暴に床に放り投げられ、痛みもロクに感じないまま、それでも顔を上げる。
レガートは鍵を取り出し、ロープの方に視線を投げながらも、幾度も鍵穴に鍵を入れそびれ、ガチャ!ガチャ!と鍵を滑らせながら…ようやく、鍵を差し込む事に成功する。
レジィはロープを伝う人物が、どんどん近づき、歓喜が心に溢れたけれど。
ロープはヂリヂリと…ねじれ…切れていって、気が気じゃ無かった。
けれど突然レガートに抱き上げられ、思いっきり叫ぶ。
「いゃぁあっ!!!」
扉の奥。
暗い石階段を下るレガートに運ばれながら…必死でエウロペの、無事を祈った。
エリューンは剣を抜き、デルデロッテも抜く。
ラステル配下の男ら四人は、寄ると素早く言葉を交わし、一人が剣豪二人に叫ぶ。
「ここを!!!
お任せしても構わない?!」
デルデロッテは飛び出して来る賊らに、剣を構え相対しながら叫び返す。
「一人も手伝いナシか?!」
ラステル配下の一人は去って行き、他三人は馬に駆け寄ると、何やら忙しく動き始めてる。
一人がデルデロッテに振り向き、ようやく叫んだ。
「出来れば我らの方に、奴らを近づけないようして欲しい!」
エリューンとデルデロッテはその返答に、思わず顔を見合わせた。
ラステル配下は、入り口の反対側の外壁へと駆け始め、デルデロッテとエリューンは入り口を死守しようとする賊らを牽制しながら、互いを見合う。
エリューンが囁く。
「入り口から入らないと…!」
デルデロッテも頷く。
「多分ラステル配下らは、尋常じゃ無い方法で侵入する気だから。
我々は正当に、入り口を攻略しよう。
右を任せて、いいかな?」
エリューンは去って行ったラステル配下が、ロープを塔の上に投げてるのを目にする。
“よじ登る気か…?!”
が、視線を目前の、敵に戻す。
右に三人。
左は四人。
返事をしようとした時、もうデルデロッテは突っ込んで行った。
エウロペは、もう屋根に辿り着く。
そう思った瞬間、レガートがレジィを抱き、屋上の扉の向こうに姿を消すのを、歯がみして見送った。
しかもロープはひどくたわみ、直前。
あともう少しと言う所で、ピタリと止まる。
エウロペは身を振る。
が、僅かに足が、届かない。
宙に吊り下げられ、落ちれば…足を折ればいい方。
ヘタすれば死ぬ。
見ると下では、ラステル配下らしき人影が、かなり下の塔の窓に、ロープのフックを引っかけ、強度を確かめ、登り始めてる。
エウロペは、一人じゃない。
と分かると、意を決し、体を思いっきり、前後に振った。
ざっっっっ!!!
瞬間、掴んでいたベルトを外し、屋上に飛び移る。
ダンッ!!!
エウロペが飛んだ反動で、ロープは切れ、激しい音を立てて屋上を飛んで行く。
エウロペは向かって来るローブの切れ端から、咄嗟体を床に沈め、避けた。
ロープは屋上から飛んで行き、暫く後二つの塔の間の草地に、一度跳ねた後落ちた。
エウロペは素早く立ち上がると、扉へと飛んで行く。
扉を開け、暗い石の階段を駆け下りる。
ここを…通り過ぎた時。
レジィの泣き濡れた顔が思い浮かぶと、眉を悲しげに寄せ、必死で後を追う。
階段を降りきると、広い…酷く朽ちた広間に出た。
かつては豪勢な…カーテンは垂れ、かつては美しかった椅子や、崩れかけた彫刻が並ぶ、今や不気味な大広間。
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