森と花の国の王子

あーす。

文字の大きさ
167 / 418
記憶を無くしたレジィリアンス

侯爵を訪問(尋問)

しおりを挟む
 地下室の前には、ラステルの配下の見張りが、椅子に座っていて。
ラステル一行を見ると、立ち上がって扉を開けた。

窓には鉄格子のある半地下で、かなり明るかった。
清潔で綺麗な寝台。
暖炉があり、ソファとテーブルもある、かなり居心地の良い牢屋。

侯爵は一人掛け用ソファに腰掛け、ティーカップを持ち上げて、ぞろぞろと入って来る皆を見る。

ラステルを見ると、笑顔。
けれど次のエウロペを見ると、恐怖で顔を引きつらせ、その後のエリューンを見た途端、顔をデレつかせてそのまま視線を釘付けるので。
デルデロッテとテリュスは、顔を見合わせた。

「…見応えのナイ、ムサイ男ばっかだと思ったら。
綺麗どころもちゃんと、居るじゃ無いか!」

エリューンは侯爵に、スケベな目付きで見つめられ、思い切り眉間を寄せる。

侯爵はエリューンを見つつ、妄想に入ってる様子だった。
「…縛って…うんと、虐めたいな…。
きつい目で睨まれたりしたら、ぞくぞくする…。
挿入してのたうち回られたりしたら…興奮で絶頂」

侯爵は、エリューンの蕾に自身を捻り入れてる妄想してる様子で、情欲籠もる濡れた瞳でエリューンを、舐め回すように見る。

侯爵とエリューンの間に、咄嗟エウロペは割って入ると、ラステルの制止も間に合わず、胸ぐら掴み上げて立たせ、一気に顎に拳を叩き込む。

がっ!
「ぐわっ!!!」
どたん!

床に転がった侯爵は顎に手をやり、痛みに顔を歪めてる。
ラステルはほっとしたように、囁いた。

「解放しなきゃならない事も、あるかもなので。
一物、潰されなくて良かった」

侯爵はそれを聞いてぞっとする。
目前に立つエウロペが、凄く蹴りたそうに股間を狙ってたから。

「…潰しといた方が。
今後の犠牲者の、救済になるぞ?」

ラステルが、ため息交じりに囁く。
「…でしょうね。
ここに捕らえてる、いつか。
貴方は潰しそうな気がします」

エウロペはまだ、侯爵を睨みながら告げた。
「その予想は、正しい。
二度と。
エリューンをいやらしい目で見るな。
頭の中で裸に剥くなんて、もっての他。
今後私は、毎度彼を伴って訪れる。
その性癖が続くようなら、一物が潰れるのを覚悟しろ」

侯爵はエウロペに睨み付けられ、心底ビビった。

ラステルがおもむろに呟く。
「本題に入りましょうか。
君の捕らえたシュテフザイン森と花の王国の王子。
彼がどんな薬を飲まされたか、分かりませんか?
この質問に答えられたら、食事が豪華になるけど」

侯爵は直ぐ、顔を上げる。
「安物で不味くても、他に無いから仕方無く飲んでるが。
お茶とおやつも、ランク上げてくれる?」

ラステルは頷く。
「知ってるなら」

侯爵は慌てて訴えかける。
「連れて来た時、汚れていたので、湯に浸からせ綺麗にした」

エウロペもデルデロッテも、テリュスもが内心
「(その後、うんとスケベなコトするつもりで清めたんだな)」
と揃って侯爵を睨み付けた。

「…その際、世話した召使いが、髪にヤッコスがべっとり、付いていたと」

“ヤッコス”と聞いた途端、ラステルはエウロペに振り向く。
エウロペはカンカンに怒ってた。

「ヤッコスとエネを…同時に投薬したのか!!!」

侯爵は一瞬でビビりまくり、縮こまって囁く。
「だから…飲ませたのは私じゃない…」

デルデロッテはつい、横のエリューンに尋ねる。
「…あれだけビビるって…エウロペ殿は、どれだけ虐めたんだ?」
けれど反対横の、テリュスが呟く。
「発見場所で、レジィは両手両手首、寝台の隅に括り付けられ、卑猥な衣服でほぼ裸。
しかも情事の後らしき様子。
それを目にしたエウロペが、股間を思いっきり、蹴り上げたんだ…」

デルデロッテはエリューンからテリュスに
“こっちだったか”
と振り向き、話を聞いて暗くなった。

「…よく、潰れなかったな…」

けどラステルは、エウロペに囁く。
「記憶障害も。
記憶がある筈の時、侯爵の容姿をあまり覚えて無いのも。
これで納得が行く。
精神錯乱しないだけ、マシな方ですよ」

エウロペはまだ、かっかしてラステルに振り向く。
「実行犯のレガートに尋問したい!」
ラステルは素っ気無く言った。
「殺してしまうから、ダメです。
どうせ高熱で、じわじわ苦しんでるんですから。
元気になったらもっと色々、苦痛を与えられます。
今は回復の時間を下さい」

エウロペは、ラステルを見る。
「それは回復したら。
拷問してもいいという許可か?」

ラステルは頷く。
「殺さないんなら、幾らでも」

デルデロッテは今度、テリュスに尋ねる。
「拷問平気…って…。
よくあの人に、付いて行けるな?」

けれど今度は、反対横のエリューンが答えた。
「一晩中、レジィの身を心配して気が狂いそうだったんですよ?
私だって、許可を貰えたら指を全部、斬り落とすくらい出来ます」

デルデロッテはテリュスからエリューンに首振って視線向け、その返答に、思い切り顔を下げた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

雄牛は淫らなミルクの放出をおねだりする

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...