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記憶を無くしたレジィリアンス
レガートの牢に駆け込む一同
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ラステルは窓に人影が通り過ぎるのを見た気がして、二度見する。
が、木の葉が揺れてるだけ。
視線を戻した後、慌てて気づき、扉を蹴立てて廊下に駆け出す。
暫く後、隣部屋の扉が開いて、テリュスが顔出すので。
振り向いて
「エウロペ殿は!」
と叫ぶ。
「ちょい前、出て行った」
テリュスの返事を背で聞いて、振り向きもせずラステルは突っ走った。
厩には誰も居なかったので、エウロペが馬を一頭、引き出すのは簡単だった。
飛び乗ると、手綱を波打たせ拍車かける。
ラステルが正面玄関に飛び出した時、駒音に気づき、振り向く。
馬は門へ向かって一直線。
閃光のような速さで、駆けて行く。
「チッ!」
舌打つと
「誰か馬を!」
と、大声で叫んだ。
庭に居た配下の一人が、厩に飛んで行く。
エウロペは一気に直線の敷石をかっ飛び、門に近づく。
が、門は閉まってた。
門の手前で、エウロペは馬を止める。
門番が、何事…!と門の横の番小屋から、飛び出して来た。
エウロペは馬の首を横に向け、坂になってる植え込みに、速度上げて突っ込んで行った。
凄まじい速さで坂を駆け上がり、そのまま門の横の壁を、馬ごと飛び越える。
「…嘘…」
門番が呆けて見てると。
ラステルが騎乗して突っ込んで来るのが見え、慌てて門を開けに走る。
駆け込むラステルに間に合い、門は無事開いて、速度も落とさずラステルは、一声叫び、駆け抜けて行った。
「私の後は、誰も出すな!」
が、その暫く後。
なんと王子エルデリオンと従者ロットバルトが、騎乗して現れる。
門番は慌てて
「も…もう開けるなと、ラステル様が!」
と叫ぶが、エルデリオンは速度を落とす様子無く、矢のように突っ込んで来る。
背後のロットバルトが、血相変えて吠える。
「さっさと開けろ!
王子に怪我させる気か!!!」
門番は慌てて門に張り付き、必死に引いて門を開ける。
まだ十分開いてないのにエルデリオンは突っ込み、素早く両足、馬の鞍の上に乗せ、すり抜けて行く。
ロットバルトは目を見開き、馬の速度を落とすと、もう少し門が開くのを待って、潜り抜けた。
夕陽は山の裾野に真っ赤な陽を残し、消えて行く。
空は少しずつ夜の帳が降り始め、まだ明るい空には、星が瞬き始めていた。
ラステルは必死に馬を飛ばすが、エウロペは更に速度を上げ、もっと先へと消えて行く。
「(…どれだけの腕だ…!)」
自分とて、乗馬は得意。
あのエウロペの速さに付いて行けるのは…今の所、知ってる乗り手はテリュスくらい…!
「エウロペ殿!」
背後で叫ぶが、先を走る駒音は、止む様子を見せない。
「(城は不案内…!
どうやって…レガートが捕らえられている牢獄に、辿り着く気だ?)」
ラステルは直ぐ、気づく。
配下の一人を捕まえ、案内させる…!
どんどん暗くなる道を、エウロペは迷いもせず、王城目指してひた走るのが、直線の道のうんと先に覗い見える。
次の茂みを曲がった時。
とうとうエウロペの姿は消え、その先の角も、その先も。
エウロペの姿はどこにも見えず、ラステルはエウロペの姿を、完全に見失った。
城の北西門は開いていて、潜り抜けると右に折れる。
その先にも、門がある。
エウロペが乗って来た馬はそこで乗り捨てられていて、正面門は閉まっていたが、横の通用口が開いてるのに気づき、ラステルは門番に叫んだ。
「開けろ!」
先が尖った鉄門は、直ぐ開く。
ラステルは乗り入れると、王城内にある警備塔の正面玄関に一直線に馬を走らせ、玄関階段前で馬から飛び降り、見張りに叫ぶ。
「馬を頼む!」
ラステルの姿を見た見張りは、直ぐ玄関扉を開けて通し、ラステルは潜って玄関広間を抜け、真っ直ぐ行って別棟へ続く渡り廊下を、駆け抜けた。
“こちらの方が近道だから、エウロペ殿より先に着けるはず…!”
ラステルは渡り廊下の先の扉を開け、入って直ぐ横の、半地下へと続く階段を降りた。
降りた先は石の壁と石の床。
左右に、牢に降りて行く短い階段が幾つもあり…レガートの牢へと続く階段を降りきった時。
扉の前の踊り場に、エウロペと配下の一人の姿を見つけ、目を見開いた。
「…すみません…」
配下に囁かれ、ラステルはほっとした。
「良かった!
彼に逆らえば、一瞬であの世行きだ!」
が、エウロペは憮然として告げた。
「ちゃんと丁寧に、案内を頼んだ」
配下はエウロペをチラ見し、ぼやく。
「ええ言葉は、丁寧でしたよ?
首は、閉められてましたけどね…」
それを聞いたラステルは、向き直ってエウロペに告げる。
「エウロペ殿!
約束しましたよね?」
「殺さない。
約束する。
様子が見たいだけだ」
けれどラステルの眉間の皺は消えず、エウロペは
「…疑ってるな」
とぼやく。
「ええ、限り無くね!」
言われた途端、顔を背けて、エウロペは知らんぷりした。
けどその時。
慌ただしい靴音と共に、護衛兵の一人が
「こちらです…!」
と叫ぶ声と共に、エルデリオンが階段を降りて来る。
「エルデリオン…」
ラステルが呆けてると、背後からロットバルトも姿を見せ
「止められなくて…」
と、言い訳た。
が、木の葉が揺れてるだけ。
視線を戻した後、慌てて気づき、扉を蹴立てて廊下に駆け出す。
暫く後、隣部屋の扉が開いて、テリュスが顔出すので。
振り向いて
「エウロペ殿は!」
と叫ぶ。
「ちょい前、出て行った」
テリュスの返事を背で聞いて、振り向きもせずラステルは突っ走った。
厩には誰も居なかったので、エウロペが馬を一頭、引き出すのは簡単だった。
飛び乗ると、手綱を波打たせ拍車かける。
ラステルが正面玄関に飛び出した時、駒音に気づき、振り向く。
馬は門へ向かって一直線。
閃光のような速さで、駆けて行く。
「チッ!」
舌打つと
「誰か馬を!」
と、大声で叫んだ。
庭に居た配下の一人が、厩に飛んで行く。
エウロペは一気に直線の敷石をかっ飛び、門に近づく。
が、門は閉まってた。
門の手前で、エウロペは馬を止める。
門番が、何事…!と門の横の番小屋から、飛び出して来た。
エウロペは馬の首を横に向け、坂になってる植え込みに、速度上げて突っ込んで行った。
凄まじい速さで坂を駆け上がり、そのまま門の横の壁を、馬ごと飛び越える。
「…嘘…」
門番が呆けて見てると。
ラステルが騎乗して突っ込んで来るのが見え、慌てて門を開けに走る。
駆け込むラステルに間に合い、門は無事開いて、速度も落とさずラステルは、一声叫び、駆け抜けて行った。
「私の後は、誰も出すな!」
が、その暫く後。
なんと王子エルデリオンと従者ロットバルトが、騎乗して現れる。
門番は慌てて
「も…もう開けるなと、ラステル様が!」
と叫ぶが、エルデリオンは速度を落とす様子無く、矢のように突っ込んで来る。
背後のロットバルトが、血相変えて吠える。
「さっさと開けろ!
王子に怪我させる気か!!!」
門番は慌てて門に張り付き、必死に引いて門を開ける。
まだ十分開いてないのにエルデリオンは突っ込み、素早く両足、馬の鞍の上に乗せ、すり抜けて行く。
ロットバルトは目を見開き、馬の速度を落とすと、もう少し門が開くのを待って、潜り抜けた。
夕陽は山の裾野に真っ赤な陽を残し、消えて行く。
空は少しずつ夜の帳が降り始め、まだ明るい空には、星が瞬き始めていた。
ラステルは必死に馬を飛ばすが、エウロペは更に速度を上げ、もっと先へと消えて行く。
「(…どれだけの腕だ…!)」
自分とて、乗馬は得意。
あのエウロペの速さに付いて行けるのは…今の所、知ってる乗り手はテリュスくらい…!
「エウロペ殿!」
背後で叫ぶが、先を走る駒音は、止む様子を見せない。
「(城は不案内…!
どうやって…レガートが捕らえられている牢獄に、辿り着く気だ?)」
ラステルは直ぐ、気づく。
配下の一人を捕まえ、案内させる…!
どんどん暗くなる道を、エウロペは迷いもせず、王城目指してひた走るのが、直線の道のうんと先に覗い見える。
次の茂みを曲がった時。
とうとうエウロペの姿は消え、その先の角も、その先も。
エウロペの姿はどこにも見えず、ラステルはエウロペの姿を、完全に見失った。
城の北西門は開いていて、潜り抜けると右に折れる。
その先にも、門がある。
エウロペが乗って来た馬はそこで乗り捨てられていて、正面門は閉まっていたが、横の通用口が開いてるのに気づき、ラステルは門番に叫んだ。
「開けろ!」
先が尖った鉄門は、直ぐ開く。
ラステルは乗り入れると、王城内にある警備塔の正面玄関に一直線に馬を走らせ、玄関階段前で馬から飛び降り、見張りに叫ぶ。
「馬を頼む!」
ラステルの姿を見た見張りは、直ぐ玄関扉を開けて通し、ラステルは潜って玄関広間を抜け、真っ直ぐ行って別棟へ続く渡り廊下を、駆け抜けた。
“こちらの方が近道だから、エウロペ殿より先に着けるはず…!”
ラステルは渡り廊下の先の扉を開け、入って直ぐ横の、半地下へと続く階段を降りた。
降りた先は石の壁と石の床。
左右に、牢に降りて行く短い階段が幾つもあり…レガートの牢へと続く階段を降りきった時。
扉の前の踊り場に、エウロペと配下の一人の姿を見つけ、目を見開いた。
「…すみません…」
配下に囁かれ、ラステルはほっとした。
「良かった!
彼に逆らえば、一瞬であの世行きだ!」
が、エウロペは憮然として告げた。
「ちゃんと丁寧に、案内を頼んだ」
配下はエウロペをチラ見し、ぼやく。
「ええ言葉は、丁寧でしたよ?
首は、閉められてましたけどね…」
それを聞いたラステルは、向き直ってエウロペに告げる。
「エウロペ殿!
約束しましたよね?」
「殺さない。
約束する。
様子が見たいだけだ」
けれどラステルの眉間の皺は消えず、エウロペは
「…疑ってるな」
とぼやく。
「ええ、限り無くね!」
言われた途端、顔を背けて、エウロペは知らんぷりした。
けどその時。
慌ただしい靴音と共に、護衛兵の一人が
「こちらです…!」
と叫ぶ声と共に、エルデリオンが階段を降りて来る。
「エルデリオン…」
ラステルが呆けてると、背後からロットバルトも姿を見せ
「止められなくて…」
と、言い訳た。
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