森と花の国の王子

あーす。

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記憶を取り戻したレジィ

トラーテルの朝 ラステルの提案とデルデロッテの提案

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 レジィはテリュスを見た。
そして俯く。

「…だからあの時…。
エウロペ、ロープで僕の方に…。
助けに…来てたから…」

テリュスは頷く。

「…どんなに辛くても、信じてろ。
エウロペは絶対見捨てない」

レジィはその時、微笑みながら涙を流し、そして頷いた。

ロットバルトはほっとし、ラステルは陽気な声で告げた。
「めでたしですね?」

テリュスはちょっと呆れてラステルに、振り向いた。

間もなく朝食の鐘が鳴る。
ロットバルトがレジィに促した。

「うんとお腹が減ったのでは?」

レジィは微笑んで、頷いた。


朝食の席に、遅れて着いたエウロペとエリューン、そしてデルデロッテは。
明るく晴れやかなレジィリアンスを見た。

特にエウロペは、目が合う度ににこにこと微笑まれ、微笑み返すものの首捻った。
けれど口を開く前、ラステルがロットバルトを促し、二人同時に立ち上がる。

「…もう行くの?」

レジィに尋ねられ、ラステルは微笑む。
「ええ。
こっちは色々、事後処理があるので。
エルデリオンが無理に友好国に攻め入り、シュテフザイン森と花の王国の王子を連れ帰ったため、誘拐という不祥事が多発したと。
王位第二継承者けいしょうしゃから、横やりが入りまくってます。
この声があまり大きくなると、エルデリオンの王位継承権けいしょうけん剥奪はくだつもあり得るので」

シュテフザイン森と花の王国の皆は、笑顔でさらっとそう言うラステルを、呆けて見た。

デルデロッテが、ため息交じりに囁く。
「…だから発言に影響力を持つ大物達を、今ラステルが抱き込んで黙らせてるところだ。
ロットバルトは会議の度に、その議題が出るとエルデリオンを庇って、退しりぞけてるんだろうし」

レジィは少し、不安そうに聞いた。
「…勝てそう…?」

ロットバルトは少し顔を下げる。
「肝心なエルデリオンが…憔悴しきってるので…。
もう少し毅然きぜんとした態度で退しりぞけて頂けると、私の言葉にも説得力が増すんですが…」

ラステルはレジィに囁く。
「もう少し落ち着いたら。
一度エルデリオンと、会って頂けませんか?」

エウロペが直ぐ、尋ね返す。
「今日、直ぐ?」

けれどロットバルトもラステルも、顔を見合わせた。
結局ラステルが返答する。

「まだ記憶が、彷徨さまよって情緒不安定でしょう?
エルデリオンは自分のせいでレジィ殿を酷い目に遭わせたと、たいそう落ち込んでる。
だから…また叫ばれたら、きっと激しく動揺するので…もう数日後。
完全に落ち着いてからがいいかと」

正直エウロペは、レジィが思い出したと分かり、レジィと会ってエルデリオンに笑顔が戻ると。
エルデリオンからの呼び出しが完全に無くなるかも。
と期待したので、がっかりした。
が、ラステルの提言に納得し、頷く。

「確かに、そうだ」

「デルデは行かないのか?」

テリュスに問われ、ラステルは微笑む。
「デルデは剣士としての評価はとても高いが、政治的場面ではまだまだ若輩者。
ロットバルトがそちらを担ってます。
デルデの公務は今の所、全て断ってるので。
レジィ殿が落ち着くまで、ここに滞在して貰います」

レジィが、デルデを見る。
「…ごめんね…」

デルデは途端、吹き出す。

ぷっ…。

レジィの目が、まん丸になった。
ロットバルトが代わりに、レジィに告げた。

「そりゃ退屈な公務より。
君らと居た方が、デルデロッテは何倍も楽しいさ」

デルデが笑いながら頷き、レジィも呆けたまま頷いた。

テリュスはデルデに笑顔で
「じゃ、お仲間か!
昨日しこたま水かけられた借り、どっかで絶対、返してやるからな!」
と陽気に叫んだ。

が、食後。
エウロペはテリュスを伴って、彼の部屋へ二人して消えた。

レジィがデルデに、しきりに記憶が戻った話を夢中でしてるのを。
エリューンは少し離れた椅子に腰掛け、聞いていたけれど。

突然生々しく、挿入された感覚が蘇り、ぎくっ!とする。
確かに…指なんかとは、何万倍も違う感覚で。

太くて固くて、更に熱く生々しいもので…否応なしに抉られ、感じさせられたのをひしひしと思い出し、顔下げた。

しかも密着した、デルデの筋肉の形。
温もり…。
汗ばんだ肌…まで、思い出す。

「(……………忘れていたかった………)」

デルデはレジィに
「もう奥、うずうずしなくなった?」
と聞いていて、レジィは頬染めると
「ホントは…ちょっと、なる。
けど恥ずかしくなるし…それに…嫌なことも思い出す」
「そんな時、私とした事、思い出した?」

レジィは首を、横に振る。
デルデは即座に忠告した。
「それはダメだね。
嫌な事が勝ってしまう。
楽しくて気持ちいいコトが勝たないと」

レジィは頬染めて囁く。
「…じゃまた、デルデにねだって・いい?」

デルデは魅力的な笑顔で頷き、エリューンを見た。

エリューンは視線を向けられ、二度見して気づく。
「…な…何です?」

デルデはレジィに視線を戻し、囁く。
「私も、ずっと公務サボって君らと居たいけど。
限界があるから…エリューンが私に代わって、してくれるって」

レジィは一変に、茹でダコみたいに真っ赤になった。
「え…え…っ?」

デルデは微笑みながら頷く。
「恥ずかしいよね。
でも最初だけ。
私がしてる時に、エリューンも参加して一緒にすれば。
だんだん、なんて事無くなるから。
保証する」

エリューンはデルデをじっ…と見た。

「…つまり二人の情事に、私も参加しろと」

デルデはすました言った。

「それが一番、手っ取り早い」
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