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ゾーデドーロ(東の最果て)
王子らの行方
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ラステルはがっついてるギュンターとゼイブンを見ない振りし、スフォルツァ、ラフォーレン、オーガスタス、ローフィスに向かって問いかける。
「お国の様子、私では分かりかねるんですが、やはり国王がいらっしゃって、お城とかもあるんでしょうか?」
スフォルツァはチラとオーガスタスを見ながらも
「ええ。
ここほど立派で広大ではありませんが、国では宝石がたくさん出ますので。
王族は大変素晴らしい衣装を着けています。
が、貴族でも公爵以上の身分の者と、それ以下の身分の者ではかなり格差がございます。
ですが国王軍と呼ばれる近衛は、身分より実力重視。
腕が確かなら、猟師ですら軍に入る事が出来、出世も望めます」
と、一気に言い放つ。
ラステルは納得して頷いた。
「それで…。
お二人は家柄が大変良いんですね?
こちらの方々は…」
と、ローフィスと隣のオーガスタス。
その横でがっつくギュンターとゼイブンを見、言った。
「実力で認められていらっしゃるお方々」
アッカマン侯爵が頷く。
「彼の配下は大変身分の幅が広く、私は王宮警護担当なので品が求められますが。
大変重要な仕事をしている者は皆、普段地味な服装をしていますよ。
が、その実力は侮れません」
だがその時。
扉がいきなり開くと、その地味な服装の部下の一人が、素早くラステルに近寄り、耳打ちする。
「シュテフザインのエリューン殿とテリュス殿が。
二人の王子が寝室から突然消え…」
ラステルは聞くなり、目を見開く。
部下は目前で、ナイフやフォークを持ち上げてるアースルーリンドの客人にチラ、と視線を送った後、告げる。
「…能力者の仕業では無いかと。
アースルーリンドのお方に検証頂きたいので、ただちにお越し下さいとのこと」
ラステルが頷く間に、もうローフィスが口元をナプキンで拭きながら立ち上がる。
「…あんたらは食べてて、いい。
ゼイブン!立て!」
ゼイブンはスプーンを手に皿に顔を近づけ、屈んでいた。
が、顔を上げて問う。
「俺も?必要か?
ホントに?」
ローフィスは頷き
「来ないなら、オーガスタスに首根っこ掴んで引っ張って貰うが、それでもいいな?!」
と言いながら、横のスフォルツァに
「来てくれ」
と告げ、素早く扉に向かって歩き出す。
ラステルは直ぐ、跳ねた真っ直ぐの明るい栗毛、爽やかな美青年ローフィスの横に並び歩き出すと、早口で告げる。
「…ありがたい!」
「王子が行方不明と聞けば…大事ですよね?」
ラステルは思いっきり頷く。
アッカマン侯爵も立ち上がったが、まだぐずるゼイブンの椅子の後ろに、大変長身で体格良いオーガスタスが迫り、告げるのを見た。
「とっとと立たないと。
担ぎ上げて運ぶぞ?」
聞くなり、ゼイブンはチラ…と背後のオーガスタスを見、黄金に見える瞳が凄い迫力なのを見るなり、ガタン!と椅子を鳴らし立ち上がって、ローフィスの後を追った。
扉に歩き始めるアッカマン侯爵の横に、ゼイブンも並んで歩き出す。
アッカマン侯爵は反対横にスフォルツァが付くのを見た後、振り向き
「他の皆さんは、どうぞごゆっくりお食事下さい」
と告げ、扉を潜るなり、廊下を駆け去るラステルとローフィスの遠ざかる背を追った。
ローフィスとラステルは建物の外に出ても駆け続け、内門を潜った後、草原の丘を下った先の小さなコテージへ向かい、駆ける二人の姿を、月明かりの中見た。
「我が国の王子だけで無く、隣国シュテフザインの王子も一緒に消えたとのことですが…」
ラステルは言った後、駆けながら横のローフィスが、目を見開いて見てるのに気づく。
「つまり王子は二人?!」
問われて、ラステルは頷く。
先の二人は扉を蹴立てて玄関を突っ込んで行き、ローフィスとラステルも直ぐ後から突入した。
ローフィスは何も言わなくとも、テリュスとエリューンの後を追って居間に飛び込む。
二人は主寝室の扉の前で左右に避け、首振って室内を促す。
ローフィスはまるでそれに応えるように、主寝室に駆け込んでいく。
ラステルはその速さを見
「(なるほど、有能だ…)」
と、納得した。
ローフィスが駆け込んだ時。
エウロペは直ぐ振り向き、叫ぶ。
「この寝台から!
突然消えたように思う!」
ローフィスは叫び返す。
「見てないのか?!」
「見てない!」
エウロペの言葉を受け、ローフィスは寝台の横に立つと、胸にかけていた銀のペンダントを持ち上げ、何やら…口の中で唱え出す。
すると…寝台の上が金色に光り始め、掃き出し窓からローフィスの背後にやって来たデルデロッテも、扉の横に居たテリュスとエリューンもが、びっくりして見つめた。
金の光は横たわっていた二人の姿の、外回りが光ってる様子で、ローフィスは更に呪文を唱えると、一筋の光の筋が空間へ伸びて行き、窓へ。
ラステルは筋がどんどん伸びて窓の外へ続くのを見つめ、叫ぶ。
「この光を辿れば…二人は居る?!」
その時、戸口にアッカマン侯爵、ゼイブン、スフォルツァが姿を現し、呪文唱えてて返答出来ないローフィスに代わって、ゼイブンが怒鳴る。
「辿れればな!」
ラステルが直ぐ、アッカマン侯爵に頷くと、侯爵は玄関に向かって突進し、指笛を轟かせた。
ピィーーーーーィィィィィィィィィ!!!
が、ローフィスは背後、ゼイブンに首振る。
ゼイブンは仕方なさげにローフィスの横に進み出ると、やはり銀のペンダントをかざし、尋ねる。
「どっちだ?
速さか。
確かな軌道か」
ローフィスが振り向き
「確かな軌道!」
と答える。
が、呪文が途切れた時。
金の光の筋が、途端薄くなって行く。
ゼイブンが直ぐ、ローフィスに代わって呪文を唱え始める。
途端、光の筋は矢のように玄関を抜け、上空を駆け抜けて行った。
外では大勢の足音。
そして、アッカマン侯爵の
「あの光りの筋を追え!!!」
と配下らに怒鳴る咆吼が聞こえ、大勢の足音が散って行く。
ラステルが横を見ると、もうエウロペの姿は消えていて、エリューンもテリュスもが一緒に姿を消していた。
ゼイブンに呪文を代わって貰い、一息つくローフィスの両側に、ラステルとデルデロッテが付いて同時に尋ねる。
「我々が、二人が消えた場所に辿り着くまで。
呪文って交代で、唱え続けて頂けます?」
ラステルの問いと
「途中で消えたら、辿れない?!」
と叫ぶデルデロッテの声が重複し、響いた。
「…東に飛んだと言う事は、分かるんだが…。
この土地は不案内なので…もっと力のある者に見て貰わないと。
オーガスタスを呼んで…」
と呟きながらローフィスが振り向いた時。
開いた扉から、赤毛の凄い長身の若者が姿を見せる。
「…すっ飛んで次々人が出てくるから。
ぶつかりそうになった」
とぼやきながら。
ローフィスが見つめると、赤毛のオーガスタスは呻く。
「御大が。
ローフィスとゼイブンだけじゃ手に負えないから、行けと」
ラステルが、縋り付くように赤毛の青年の前に立つ。
「場所、分かります?!」
オーガスタスは手を差し出すので、ラステルはその手を見た。
後、またオーガスタスを見上げる。
オーガスタスは低い声でぼそりと告げる。
「…繋いで」
「あ、ああ…」
大きなオーガスタスの手を握ると…ラステルは金の光が身を伝ったように感じた。
アッカマン侯爵がやって来て、報告する。
「シュテフザインの皆さんが光の筋を追うので、配下に手伝うように告げました。
いつまで…光ってるんでしょう?」
ローフィスは呪文を唱えるゼイブンをチラと見た後
「どれだけ時間があれば、追えます?」
と聞き返す。
が、オーガスタスがラステルの手を握ったまま、眉間を寄せる。
「…かなり…遠い?」
ラステルは呻く。
「これ…これ、幻みたいに見えてる…景色って…」
「詳しい説明は後だ!
光の筋を、上空から見てる感じだが、見覚えある地形か?!」
オーガスタスに吠えられ、ラステルは更に呻く。
「上空からなんて、見た事無いので何と…も……。
!!!…ヤバいファントール大公の城の直ぐ側じゃ無いですか!!!」
それを聞くなり、アッカマン侯爵は背後に来てる部下の一人に怒鳴る。
「ファントール大公の城付近の配下に!
光の筋を見つけて追えと。
大至急伝令してくれ!」
部下は玄関にすっ飛んで行き、スフォルツァは慌てて横に避けた。
ラステルはまだ、呻いてる。
「…地下洞窟が…上空から透けて見えてるんですけど…」
「…じゃ、洞窟の中に居る?」
オーガスタスに問われ、ラステルは顔を下げて空間を見つめながら、呻く。
「…光が…一旦途切れ、真っ暗になった後…洞窟の中が光って…まだ移動してる!
川…沿いで…馬車?
行き止まりで馬に乗り換えて…絶壁を下って川ベリに…。
また…洞窟…?!
…途絶えた………」
アッカマン侯爵は、それを聞いて叫ぶ。
「けどまだ!
光の筋は光ってる!」
オーガスタスが顔を上げて言葉を返した。
「この筋の伸びた、うんと先の話だ。
多分ル・シャレファの力が不安定なんだな…」
ラステルは絶叫した。
「見える…って事は、この場所まで飛べますか?!」
デルデロッテもが詰め寄る。
「出来るのか?!」
ローフィスは目を見開き、オーガスタスは真顔で言った。
「光纏った『光の民』ならともかく。
人間が飛ぶなんてこの地じゃ絶対、無理」
ラステルもデルデロッテもが、聞くなりがっくり、首垂れた。
「お国の様子、私では分かりかねるんですが、やはり国王がいらっしゃって、お城とかもあるんでしょうか?」
スフォルツァはチラとオーガスタスを見ながらも
「ええ。
ここほど立派で広大ではありませんが、国では宝石がたくさん出ますので。
王族は大変素晴らしい衣装を着けています。
が、貴族でも公爵以上の身分の者と、それ以下の身分の者ではかなり格差がございます。
ですが国王軍と呼ばれる近衛は、身分より実力重視。
腕が確かなら、猟師ですら軍に入る事が出来、出世も望めます」
と、一気に言い放つ。
ラステルは納得して頷いた。
「それで…。
お二人は家柄が大変良いんですね?
こちらの方々は…」
と、ローフィスと隣のオーガスタス。
その横でがっつくギュンターとゼイブンを見、言った。
「実力で認められていらっしゃるお方々」
アッカマン侯爵が頷く。
「彼の配下は大変身分の幅が広く、私は王宮警護担当なので品が求められますが。
大変重要な仕事をしている者は皆、普段地味な服装をしていますよ。
が、その実力は侮れません」
だがその時。
扉がいきなり開くと、その地味な服装の部下の一人が、素早くラステルに近寄り、耳打ちする。
「シュテフザインのエリューン殿とテリュス殿が。
二人の王子が寝室から突然消え…」
ラステルは聞くなり、目を見開く。
部下は目前で、ナイフやフォークを持ち上げてるアースルーリンドの客人にチラ、と視線を送った後、告げる。
「…能力者の仕業では無いかと。
アースルーリンドのお方に検証頂きたいので、ただちにお越し下さいとのこと」
ラステルが頷く間に、もうローフィスが口元をナプキンで拭きながら立ち上がる。
「…あんたらは食べてて、いい。
ゼイブン!立て!」
ゼイブンはスプーンを手に皿に顔を近づけ、屈んでいた。
が、顔を上げて問う。
「俺も?必要か?
ホントに?」
ローフィスは頷き
「来ないなら、オーガスタスに首根っこ掴んで引っ張って貰うが、それでもいいな?!」
と言いながら、横のスフォルツァに
「来てくれ」
と告げ、素早く扉に向かって歩き出す。
ラステルは直ぐ、跳ねた真っ直ぐの明るい栗毛、爽やかな美青年ローフィスの横に並び歩き出すと、早口で告げる。
「…ありがたい!」
「王子が行方不明と聞けば…大事ですよね?」
ラステルは思いっきり頷く。
アッカマン侯爵も立ち上がったが、まだぐずるゼイブンの椅子の後ろに、大変長身で体格良いオーガスタスが迫り、告げるのを見た。
「とっとと立たないと。
担ぎ上げて運ぶぞ?」
聞くなり、ゼイブンはチラ…と背後のオーガスタスを見、黄金に見える瞳が凄い迫力なのを見るなり、ガタン!と椅子を鳴らし立ち上がって、ローフィスの後を追った。
扉に歩き始めるアッカマン侯爵の横に、ゼイブンも並んで歩き出す。
アッカマン侯爵は反対横にスフォルツァが付くのを見た後、振り向き
「他の皆さんは、どうぞごゆっくりお食事下さい」
と告げ、扉を潜るなり、廊下を駆け去るラステルとローフィスの遠ざかる背を追った。
ローフィスとラステルは建物の外に出ても駆け続け、内門を潜った後、草原の丘を下った先の小さなコテージへ向かい、駆ける二人の姿を、月明かりの中見た。
「我が国の王子だけで無く、隣国シュテフザインの王子も一緒に消えたとのことですが…」
ラステルは言った後、駆けながら横のローフィスが、目を見開いて見てるのに気づく。
「つまり王子は二人?!」
問われて、ラステルは頷く。
先の二人は扉を蹴立てて玄関を突っ込んで行き、ローフィスとラステルも直ぐ後から突入した。
ローフィスは何も言わなくとも、テリュスとエリューンの後を追って居間に飛び込む。
二人は主寝室の扉の前で左右に避け、首振って室内を促す。
ローフィスはまるでそれに応えるように、主寝室に駆け込んでいく。
ラステルはその速さを見
「(なるほど、有能だ…)」
と、納得した。
ローフィスが駆け込んだ時。
エウロペは直ぐ振り向き、叫ぶ。
「この寝台から!
突然消えたように思う!」
ローフィスは叫び返す。
「見てないのか?!」
「見てない!」
エウロペの言葉を受け、ローフィスは寝台の横に立つと、胸にかけていた銀のペンダントを持ち上げ、何やら…口の中で唱え出す。
すると…寝台の上が金色に光り始め、掃き出し窓からローフィスの背後にやって来たデルデロッテも、扉の横に居たテリュスとエリューンもが、びっくりして見つめた。
金の光は横たわっていた二人の姿の、外回りが光ってる様子で、ローフィスは更に呪文を唱えると、一筋の光の筋が空間へ伸びて行き、窓へ。
ラステルは筋がどんどん伸びて窓の外へ続くのを見つめ、叫ぶ。
「この光を辿れば…二人は居る?!」
その時、戸口にアッカマン侯爵、ゼイブン、スフォルツァが姿を現し、呪文唱えてて返答出来ないローフィスに代わって、ゼイブンが怒鳴る。
「辿れればな!」
ラステルが直ぐ、アッカマン侯爵に頷くと、侯爵は玄関に向かって突進し、指笛を轟かせた。
ピィーーーーーィィィィィィィィィ!!!
が、ローフィスは背後、ゼイブンに首振る。
ゼイブンは仕方なさげにローフィスの横に進み出ると、やはり銀のペンダントをかざし、尋ねる。
「どっちだ?
速さか。
確かな軌道か」
ローフィスが振り向き
「確かな軌道!」
と答える。
が、呪文が途切れた時。
金の光の筋が、途端薄くなって行く。
ゼイブンが直ぐ、ローフィスに代わって呪文を唱え始める。
途端、光の筋は矢のように玄関を抜け、上空を駆け抜けて行った。
外では大勢の足音。
そして、アッカマン侯爵の
「あの光りの筋を追え!!!」
と配下らに怒鳴る咆吼が聞こえ、大勢の足音が散って行く。
ラステルが横を見ると、もうエウロペの姿は消えていて、エリューンもテリュスもが一緒に姿を消していた。
ゼイブンに呪文を代わって貰い、一息つくローフィスの両側に、ラステルとデルデロッテが付いて同時に尋ねる。
「我々が、二人が消えた場所に辿り着くまで。
呪文って交代で、唱え続けて頂けます?」
ラステルの問いと
「途中で消えたら、辿れない?!」
と叫ぶデルデロッテの声が重複し、響いた。
「…東に飛んだと言う事は、分かるんだが…。
この土地は不案内なので…もっと力のある者に見て貰わないと。
オーガスタスを呼んで…」
と呟きながらローフィスが振り向いた時。
開いた扉から、赤毛の凄い長身の若者が姿を見せる。
「…すっ飛んで次々人が出てくるから。
ぶつかりそうになった」
とぼやきながら。
ローフィスが見つめると、赤毛のオーガスタスは呻く。
「御大が。
ローフィスとゼイブンだけじゃ手に負えないから、行けと」
ラステルが、縋り付くように赤毛の青年の前に立つ。
「場所、分かります?!」
オーガスタスは手を差し出すので、ラステルはその手を見た。
後、またオーガスタスを見上げる。
オーガスタスは低い声でぼそりと告げる。
「…繋いで」
「あ、ああ…」
大きなオーガスタスの手を握ると…ラステルは金の光が身を伝ったように感じた。
アッカマン侯爵がやって来て、報告する。
「シュテフザインの皆さんが光の筋を追うので、配下に手伝うように告げました。
いつまで…光ってるんでしょう?」
ローフィスは呪文を唱えるゼイブンをチラと見た後
「どれだけ時間があれば、追えます?」
と聞き返す。
が、オーガスタスがラステルの手を握ったまま、眉間を寄せる。
「…かなり…遠い?」
ラステルは呻く。
「これ…これ、幻みたいに見えてる…景色って…」
「詳しい説明は後だ!
光の筋を、上空から見てる感じだが、見覚えある地形か?!」
オーガスタスに吠えられ、ラステルは更に呻く。
「上空からなんて、見た事無いので何と…も……。
!!!…ヤバいファントール大公の城の直ぐ側じゃ無いですか!!!」
それを聞くなり、アッカマン侯爵は背後に来てる部下の一人に怒鳴る。
「ファントール大公の城付近の配下に!
光の筋を見つけて追えと。
大至急伝令してくれ!」
部下は玄関にすっ飛んで行き、スフォルツァは慌てて横に避けた。
ラステルはまだ、呻いてる。
「…地下洞窟が…上空から透けて見えてるんですけど…」
「…じゃ、洞窟の中に居る?」
オーガスタスに問われ、ラステルは顔を下げて空間を見つめながら、呻く。
「…光が…一旦途切れ、真っ暗になった後…洞窟の中が光って…まだ移動してる!
川…沿いで…馬車?
行き止まりで馬に乗り換えて…絶壁を下って川ベリに…。
また…洞窟…?!
…途絶えた………」
アッカマン侯爵は、それを聞いて叫ぶ。
「けどまだ!
光の筋は光ってる!」
オーガスタスが顔を上げて言葉を返した。
「この筋の伸びた、うんと先の話だ。
多分ル・シャレファの力が不安定なんだな…」
ラステルは絶叫した。
「見える…って事は、この場所まで飛べますか?!」
デルデロッテもが詰め寄る。
「出来るのか?!」
ローフィスは目を見開き、オーガスタスは真顔で言った。
「光纏った『光の民』ならともかく。
人間が飛ぶなんてこの地じゃ絶対、無理」
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