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ゾーデドーロ(東の最果て)
ファントール大公巨城の、崖の中の地下室
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エウロペは一瞬で景色が変わり、どさっ!と石の床の上に落ちて、息が詰まって呼吸を整える。
途端
“ごめんなさい…。
気をつけたつもりだし、床に落ちる瞬間、支えたんだけど…”
と聞こえ、ついキョロキョロと周囲を見回しそうになって…気づく。
アースルーリンドの、能力者の仕業だと。
“どうして私を?”
尋ねると、相手は子供らしく、たどたどしく呟く。
“えっ…と…”
けれど他の誰かと話し合う、小さな呟きが聞こえた後。
はっきりとした声で言われた。
“私はエドウィン。
貴方を運んだのはシュアン。
シュアンは能力があり、私は話せる程度。
オーガスタス殿とワーキュラス殿、そしてダンザイン殿の御力を借りて、この地に飛んで来ました。
我々の探してるシャーレがこのままでは直、息を引き取る”
エウロペは名前が出た内の一人、オーガスタスだけが、アースルーリンドの来訪者だと言う事がイメージから分かった。
ワーキュラスは金の眩いばかりの光、ダンザインは白金の光に包まれてるイメージで、オーガスタスだけが人の姿のシルエットで、見えたので。
それでペンダントをかざしてた、跳ねた真っ直ぐの明るい栗毛の青年を思い浮かべる。
すると
“その方は神聖神殿隊付き連隊騎士の、ローフィス殿です。
オーガスタス殿は…”
と、頭の中にイメージを送ってくるので、玄関を出た際、ぶつかりそうになった長身で赤毛の青年だと気づく。
“そう。
その人です。
ワーキュラス殿は光竜で、一番能力が高く、左将軍と繋がっていて…。
オーガスタス殿は左将軍の補佐をしてる内に、左将軍を通じてワーキュラス殿とも繋がっているんです。
ワーキュラス殿は人の意識を辿る能力が大変優れてるので、オーガスタス殿から一緒にこちらに向かってる人々の意識を読んで、貴方に辿り着きました。
お願いです。
シャーレを探して…。
彼の意識は混濁して途切れ途切れだから、ワーキュラス殿ですら完全に辿れないし、居場所を見つけられない…”
エウロペはその混迷極まる難解な説明に、ため息を吐いた。
が、聞いてみる。
“死にかけてると…言ったな?”
エドウィンは誰かの声を聞いてるみたいに、頷いた気がした。
その後、返事を返す。
“貴方の探してる王子の中に、シャーレの意識が入り込み、本体から抜け出てしまっているので、本体は弱る一方です。
シャーレは貴方の王子に姿がとても似ているので…王子を自分だと、思い込んでしまっている”
エウロペは躊躇ったが、尋ねた。
“…どうしてそんな事に?”
エドウィンから…シャーレの意識から見つけたであろう、映像が流れてくる。
一見高貴な男に…抱かれ、意識を飛ばそうとしても体に与えられる強烈な感覚に引き戻され、その感覚に囚われて消耗していく様が、脳裏に浮かび上がる。
最初は男の顔と組み敷かれた後、真っ黄色のギザギザな色が飛びかい、次第に男にのし掛かられ、黄色に赤が混じり。
どんどん真っ赤に…。
そして全てが薄く白い膜に包まれ…。
多分その頃、彼は体を抜け出したんだろう。
ずっと薄く、白く膜を張った世界。
そしてその中で、くっきりした白い筋を見つけ、辿り…。
その先に、トラーテルの主寝室に居るエルデリオンの姿が、はっきり浮かび上がった。
横にレジィリアンス…自分の姿を見つけ、彼は混乱する。
ここにいない筈なのに、ここにいる?
そして彼は一瞬でエルデリオンごとレジィリアンスを運び、今度自分の本体を探すけれど…。
レジィリアンスの中から、出られなくって叫んでいた。
“これが…ワーキュラス殿が見つけた、シャーレの意識です。
部屋の中に思念波が残っているから…。
そこに居た皆の意識から、残留思念を拾い集めてつなぎ合わせ、ワーキュラス殿が見せてくれました。
ワーキュラス殿はこの思念からシャーレを特定し、探しましたが…。
強く感じる事の出来る左将軍はアースルーリンドにいて、ここからうんと遠い…。
ここの場所を詳しく知っている人は居ないし、シャーレの残す残留思念が途切れていて。
強く感じる場所はあっても、今、その場所に居るかどうか分からないと”
エウロペは、きっぱり言った。
“だが私もこの場は不案内だ”
エドウィンは言葉を返す。
“でも私は今、ワーキュラス殿と繋がっていて、貴方の意識とも繋がっている。
貴方の意識から、見た物をシャーレの意識と照らし合わせ、場所を特定します”
その時、響き渡る荘厳な声が聞こえる。
“そこはシャーレの意識から拾った場所に近い。
先に進み階段を降りると、シャーレがずっと囚われていた部屋に出る。
その部屋に送れと、シュアンに指示を出さなかったのは…。
その部屋に、シャーレをさらった者らが大勢居るから”
エウロペは頷いた。
この声の主が、多分光竜ワーキュラス…。
“お気遣い、感謝する。
で、シャーレの本体を見つけたら、どうすればいい?”
光竜ワーキュラスの荘厳な声が響く。
“貴方が見つければ、私には直ぐ分かる”
エウロペは内心
「(…要するに、さっさと見つけろって事か)」
と呟いた。
が、即座にエドウィンの
“お願いします”
と返す言葉が脳裏に響き
「(…心の中で呟く言葉は、筒抜け…?)」
と聞くと、荘厳なワーキュラスが、虹色の光を煌めかせて返事に代えた。
エルデリオンは暗く狭い石の階段を降りる途中、横に扉を見つける。
「ここは?」
尋ねると、木こりはおどおどと振り向く。
「着替えや…普段使う、控え部屋でさ…」
「そこで止まってろ」
言って剣を背に突きつけたまま、扉を開ける。
小さな部屋で、机の上に灯りの付いたランプ。
棚にはロープや金槌などの備品。
壁に汚いコートがかけてあった。
エルデリオンは見るなり木こりの背の衣服を掴み、一緒に部屋に入る。
強引に引いて椅子に座らせると、棚のロープを掴み、剣を脇に抱えて木こりをロープで椅子に縛り付けた。
そして木こりが手に持つランプを取り、コートを掴んで羽織ると。
棚からいびつな形の粗末な短剣を取り、剣を腰のベルトに挟み込んで、部屋の奥の扉を開ける。
その先は、広い石の通路。
エルデリオンは粗末なコートのフードを真被りにして顔を隠し、足音を殺してその石の通路を歩き出した。
通路の左右には幾つもの扉。
壁には通路沿いに、頭の位置に幾つもの穴がくり抜かれ、それぞれに蝋燭が灯っていた。
前から、二人の男がやって来る。
エルデリオンは咄嗟、近くの扉を開けようかと、歩を止め顔を下げ、迷う。
直ぐ近くの扉を開け、中に入ろうとすると
「おい!」
と、呼び止められた。
「…お前、こんな所で何してる!
上でお役目してたんじゃないのか?!」
けれど石床に響く足音に、二人はエルデリオンの背後からやって来る男を見た。
エルデリオンは
「(シャルレ・ドゼルか銀髪の青年か?!)」
と一瞬警戒し、懐で短剣の柄を握り込んだ。
が、背後から来た男は囁きながらエルデリオンの肩を掴む。
「俺が用を頼んだ。
いいからあっちを見て来い。
ファントール大公のお気に入りはどうなった?!」
身分高い男らしかった。
が、エルデリオンは俯いてるので、顔を見られない。
二人は戸惑いながら
「けどどっちも意識不明で。
どっちか目を覚ました方を、大公に差し出さないと…で。
薬師が今、大騒ぎしてまさ」
「いいから部屋の外で見張ってろ!」
「へい…」
二人の男は、背を向けて来た道を戻って行く。
エルデリオンはほっとした。
が、背後の男は屈んでエルデリオンの耳元で囁く。
「…エルデリオン王子ですね?」
エルデリオンはまた、ぐっ!と短剣の柄を握り込む。
が、男は少し離れて横の扉を開け、振り向いて告げる。
「こちらに…!
シャルレ・ドゼルとラウールが貴方を探してる…!」
エルデリオンは顔を上げてその男を見た。
グレイがかった栗色の、背まで届こうとするほど長い縮れ毛。
品の良い顔立ち。
綺麗な鼻のライン。
切れ長のブルー・グレーの瞳。
見た記憶があった。
男はエルデリオンの手首を一気に引き、室内へ引き入れて、扉を閉める。
間もなく廊下で
「エルデリオンはまだ見つけられないのか?!」
と叫ぶ、シャルレ・ドゼルの怒鳴り声が響き、エルデリオンは体を縮こまらせた。
間もなく激しく扉を叩く音。
男は開けて、激昂するシャルレ・ドゼルの怒鳴り声を聞く。
「どうなってる?!
どうして鎖で吊されたエルデリオンは居ず、代わりに閉じ込められた男達がいる?!」
男は丁寧な言葉で返答した。
「私は命じられていないので、分かりかねます。
が、早急に王子を探させましょう」
シャルレ・ドゼルはそれ以上怒鳴れない様子で、甲高い靴音を鳴らし去って行き、間もなく扉が閉まった。
エルデリオンは振り向いて、男に礼を言う。
「匿ってくれて、感謝…」
が、男に素早く口に布を当てられ、頭を後ろから押されて強引に薬を嗅がされ、エルデリオンは
「(…しまった!)」
と内心呟き、吸い込んだ香りで猛烈な眠気に襲われ、抱き止める男の腕の中に崩れ落ちた。
途端
“ごめんなさい…。
気をつけたつもりだし、床に落ちる瞬間、支えたんだけど…”
と聞こえ、ついキョロキョロと周囲を見回しそうになって…気づく。
アースルーリンドの、能力者の仕業だと。
“どうして私を?”
尋ねると、相手は子供らしく、たどたどしく呟く。
“えっ…と…”
けれど他の誰かと話し合う、小さな呟きが聞こえた後。
はっきりとした声で言われた。
“私はエドウィン。
貴方を運んだのはシュアン。
シュアンは能力があり、私は話せる程度。
オーガスタス殿とワーキュラス殿、そしてダンザイン殿の御力を借りて、この地に飛んで来ました。
我々の探してるシャーレがこのままでは直、息を引き取る”
エウロペは名前が出た内の一人、オーガスタスだけが、アースルーリンドの来訪者だと言う事がイメージから分かった。
ワーキュラスは金の眩いばかりの光、ダンザインは白金の光に包まれてるイメージで、オーガスタスだけが人の姿のシルエットで、見えたので。
それでペンダントをかざしてた、跳ねた真っ直ぐの明るい栗毛の青年を思い浮かべる。
すると
“その方は神聖神殿隊付き連隊騎士の、ローフィス殿です。
オーガスタス殿は…”
と、頭の中にイメージを送ってくるので、玄関を出た際、ぶつかりそうになった長身で赤毛の青年だと気づく。
“そう。
その人です。
ワーキュラス殿は光竜で、一番能力が高く、左将軍と繋がっていて…。
オーガスタス殿は左将軍の補佐をしてる内に、左将軍を通じてワーキュラス殿とも繋がっているんです。
ワーキュラス殿は人の意識を辿る能力が大変優れてるので、オーガスタス殿から一緒にこちらに向かってる人々の意識を読んで、貴方に辿り着きました。
お願いです。
シャーレを探して…。
彼の意識は混濁して途切れ途切れだから、ワーキュラス殿ですら完全に辿れないし、居場所を見つけられない…”
エウロペはその混迷極まる難解な説明に、ため息を吐いた。
が、聞いてみる。
“死にかけてると…言ったな?”
エドウィンは誰かの声を聞いてるみたいに、頷いた気がした。
その後、返事を返す。
“貴方の探してる王子の中に、シャーレの意識が入り込み、本体から抜け出てしまっているので、本体は弱る一方です。
シャーレは貴方の王子に姿がとても似ているので…王子を自分だと、思い込んでしまっている”
エウロペは躊躇ったが、尋ねた。
“…どうしてそんな事に?”
エドウィンから…シャーレの意識から見つけたであろう、映像が流れてくる。
一見高貴な男に…抱かれ、意識を飛ばそうとしても体に与えられる強烈な感覚に引き戻され、その感覚に囚われて消耗していく様が、脳裏に浮かび上がる。
最初は男の顔と組み敷かれた後、真っ黄色のギザギザな色が飛びかい、次第に男にのし掛かられ、黄色に赤が混じり。
どんどん真っ赤に…。
そして全てが薄く白い膜に包まれ…。
多分その頃、彼は体を抜け出したんだろう。
ずっと薄く、白く膜を張った世界。
そしてその中で、くっきりした白い筋を見つけ、辿り…。
その先に、トラーテルの主寝室に居るエルデリオンの姿が、はっきり浮かび上がった。
横にレジィリアンス…自分の姿を見つけ、彼は混乱する。
ここにいない筈なのに、ここにいる?
そして彼は一瞬でエルデリオンごとレジィリアンスを運び、今度自分の本体を探すけれど…。
レジィリアンスの中から、出られなくって叫んでいた。
“これが…ワーキュラス殿が見つけた、シャーレの意識です。
部屋の中に思念波が残っているから…。
そこに居た皆の意識から、残留思念を拾い集めてつなぎ合わせ、ワーキュラス殿が見せてくれました。
ワーキュラス殿はこの思念からシャーレを特定し、探しましたが…。
強く感じる事の出来る左将軍はアースルーリンドにいて、ここからうんと遠い…。
ここの場所を詳しく知っている人は居ないし、シャーレの残す残留思念が途切れていて。
強く感じる場所はあっても、今、その場所に居るかどうか分からないと”
エウロペは、きっぱり言った。
“だが私もこの場は不案内だ”
エドウィンは言葉を返す。
“でも私は今、ワーキュラス殿と繋がっていて、貴方の意識とも繋がっている。
貴方の意識から、見た物をシャーレの意識と照らし合わせ、場所を特定します”
その時、響き渡る荘厳な声が聞こえる。
“そこはシャーレの意識から拾った場所に近い。
先に進み階段を降りると、シャーレがずっと囚われていた部屋に出る。
その部屋に送れと、シュアンに指示を出さなかったのは…。
その部屋に、シャーレをさらった者らが大勢居るから”
エウロペは頷いた。
この声の主が、多分光竜ワーキュラス…。
“お気遣い、感謝する。
で、シャーレの本体を見つけたら、どうすればいい?”
光竜ワーキュラスの荘厳な声が響く。
“貴方が見つければ、私には直ぐ分かる”
エウロペは内心
「(…要するに、さっさと見つけろって事か)」
と呟いた。
が、即座にエドウィンの
“お願いします”
と返す言葉が脳裏に響き
「(…心の中で呟く言葉は、筒抜け…?)」
と聞くと、荘厳なワーキュラスが、虹色の光を煌めかせて返事に代えた。
エルデリオンは暗く狭い石の階段を降りる途中、横に扉を見つける。
「ここは?」
尋ねると、木こりはおどおどと振り向く。
「着替えや…普段使う、控え部屋でさ…」
「そこで止まってろ」
言って剣を背に突きつけたまま、扉を開ける。
小さな部屋で、机の上に灯りの付いたランプ。
棚にはロープや金槌などの備品。
壁に汚いコートがかけてあった。
エルデリオンは見るなり木こりの背の衣服を掴み、一緒に部屋に入る。
強引に引いて椅子に座らせると、棚のロープを掴み、剣を脇に抱えて木こりをロープで椅子に縛り付けた。
そして木こりが手に持つランプを取り、コートを掴んで羽織ると。
棚からいびつな形の粗末な短剣を取り、剣を腰のベルトに挟み込んで、部屋の奥の扉を開ける。
その先は、広い石の通路。
エルデリオンは粗末なコートのフードを真被りにして顔を隠し、足音を殺してその石の通路を歩き出した。
通路の左右には幾つもの扉。
壁には通路沿いに、頭の位置に幾つもの穴がくり抜かれ、それぞれに蝋燭が灯っていた。
前から、二人の男がやって来る。
エルデリオンは咄嗟、近くの扉を開けようかと、歩を止め顔を下げ、迷う。
直ぐ近くの扉を開け、中に入ろうとすると
「おい!」
と、呼び止められた。
「…お前、こんな所で何してる!
上でお役目してたんじゃないのか?!」
けれど石床に響く足音に、二人はエルデリオンの背後からやって来る男を見た。
エルデリオンは
「(シャルレ・ドゼルか銀髪の青年か?!)」
と一瞬警戒し、懐で短剣の柄を握り込んだ。
が、背後から来た男は囁きながらエルデリオンの肩を掴む。
「俺が用を頼んだ。
いいからあっちを見て来い。
ファントール大公のお気に入りはどうなった?!」
身分高い男らしかった。
が、エルデリオンは俯いてるので、顔を見られない。
二人は戸惑いながら
「けどどっちも意識不明で。
どっちか目を覚ました方を、大公に差し出さないと…で。
薬師が今、大騒ぎしてまさ」
「いいから部屋の外で見張ってろ!」
「へい…」
二人の男は、背を向けて来た道を戻って行く。
エルデリオンはほっとした。
が、背後の男は屈んでエルデリオンの耳元で囁く。
「…エルデリオン王子ですね?」
エルデリオンはまた、ぐっ!と短剣の柄を握り込む。
が、男は少し離れて横の扉を開け、振り向いて告げる。
「こちらに…!
シャルレ・ドゼルとラウールが貴方を探してる…!」
エルデリオンは顔を上げてその男を見た。
グレイがかった栗色の、背まで届こうとするほど長い縮れ毛。
品の良い顔立ち。
綺麗な鼻のライン。
切れ長のブルー・グレーの瞳。
見た記憶があった。
男はエルデリオンの手首を一気に引き、室内へ引き入れて、扉を閉める。
間もなく廊下で
「エルデリオンはまだ見つけられないのか?!」
と叫ぶ、シャルレ・ドゼルの怒鳴り声が響き、エルデリオンは体を縮こまらせた。
間もなく激しく扉を叩く音。
男は開けて、激昂するシャルレ・ドゼルの怒鳴り声を聞く。
「どうなってる?!
どうして鎖で吊されたエルデリオンは居ず、代わりに閉じ込められた男達がいる?!」
男は丁寧な言葉で返答した。
「私は命じられていないので、分かりかねます。
が、早急に王子を探させましょう」
シャルレ・ドゼルはそれ以上怒鳴れない様子で、甲高い靴音を鳴らし去って行き、間もなく扉が閉まった。
エルデリオンは振り向いて、男に礼を言う。
「匿ってくれて、感謝…」
が、男に素早く口に布を当てられ、頭を後ろから押されて強引に薬を嗅がされ、エルデリオンは
「(…しまった!)」
と内心呟き、吸い込んだ香りで猛烈な眠気に襲われ、抱き止める男の腕の中に崩れ落ちた。
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