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ゾーデドーロ(東の最果て)
ミューレアン城で集合
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船は風を受けて進み始め、シャスレ城の上空に差しかかった。
が、デュバッセン大公は髭もじゃ丸眼鏡に告げる。
「ここ、かなり焼けてますから。
少し左の城へお願いできます?」
髭もじゃ丸眼鏡は
「ミューレアン城?」
と尋ねると、デュバッセン大公は頷く。
エウロペは
「レジィとエリューンがいるので、私はここで降ります」
と告げると直ぐ、船のへりに乗り上がり、ロープを掴む。
テリュスも慌てて、ロープの垂れてるへりに向かうと、ロープを掴んでお尻を乗せる。
ラステルまでもが
「デルデ、デュバッセン大公のお守りを頼む。
デルデと公爵がモメたら、オーガスタス、貴方に仲裁頼みます」
と言うと、エウロペが下って行くロープを掴み、船から滑り降りて行く。
一同がその素早さに、呆然と降りて行く三人を、船のへりに立って見下ろした。
間もなくラステルの心話が、皆の脳裏に響く。
“レジィとエリューン、そしてロットバルトを連れて、私もミューレアン城に向かいますから!!!
ご馳走山盛りで、歓待して下さい!!!”
皆が、エドウィンとシュアンを見る。
が、銀髪の神聖神殿隊騎士が
“今の心話伝えたの、俺。
俺達も、ミューレアン城にこれ下ろしたら消えるから。
じゃないと、エドウィンもシュアンも。
ラフィーレも限界超して疲れ切ってるから、帰れなくなる”
赤毛の神聖神殿隊騎士も、無言で頷く。
髭もじゃ丸眼鏡だけが
「そんな!
もっと居て下さい!」
と懇願し、赤毛の神聖神殿隊騎士に
“帰れなくなった時点で、ほぼ力使えなくなって、ただの大男に成り下がるし。
能力使えないと、俺らも不便だし”
と言われ、銀髪の神聖神殿隊騎士にも
“今消えないだけ、ありがたいと思ってくれ”
と言われてしまい、しゅん。と顔下げた。
公爵は
「…逃げられたと思いましたけど。
また、会えるんですね」
と低い声で呟き、デルデロッテに
「エウロペの事、言ってる?」
と聞かれ、頷く。
その後公爵は、エルデリオンに近寄ると
「…あのサイズのデカい男がどう凄かったのか。
その辺り、聞かせて頂きます」
と詰め寄り、横にやって来て公爵の胸板掴み、牽制するデルデロッテに
「そりゃ聞きたいよな?
一物と乳首にリングまで使ってオトしたのに、それを上回るんなら、興味津々なんだよな?」
と睨み付られ、とうとうオーガスタスが二人の間に入り、両手を広げて左右に分けられ、言われた。
「…喧嘩するなら、ここから地上に放り投げるぞ」
ギュンターは腕組みし、俯いてぼそり…と言い捨てる。
「オーガスタスは、本気でやる」
オーガスタスの左側で胸に腕を入れられ退けられた公爵は、それを聞いてぞっ…とし。
右に退けられ、今だ胸元にオーガスタスの腕のあるデルデも、呻いた。
「…自重します」
オーガスタスは頷くと
「いい子でいろ」
と低い声で言い諭した。
空は太陽が中天を超え、オレンジの光を放ち始める。
デュバッセン大公だけが
「それよりラステル様、日が暮れる前に着きますかね?」
と呻いた。
エウロペがシャスレ城の屋上に着地すると、テリュスも少し横にスタッ!と飛び降り、ラステルも少し後に着地する。
屋上ですら、あちこち焦げ跡があり、階下に降りると、崩れた壁が廊下の床に瓦礫を転がしていた。
デュバッセン大公配下らが忙しく瓦礫を取り退け、部屋では割れたガラスや焦げたカーテン、絨毯、クッションやテーブル等を片付け、廊下を行き来して瓦礫を運んでいた。
「ラステル様!」
「大公は、こちらにいらっしゃいますかね?」
通りがかりに声をかけられ、ラステルは振り向く。
「ミューレアン城に向かってる。
ところでシュテフザインの王子はどこに居るのかな?
我々も彼を連れてミューレアン城に向かうから、馬を用意して欲しいんだけど」
「一階に伝えます」
「こちらです」
一人の配下が、さっ!と三人の前に立つと、案内し始める。
そこは北側の部屋だったけど、焦げ臭くも無くて、一番綺麗だった。
エウロペ、テリュス、ラステルが室内に入ると、寝台の横の椅子に座るラフィーレが、気絶してるみたいに寝台の上に顔を乗せ、寝入っていて。
寝台の上で身を起こしてるレジィリアンス。
少し離れた椅子に座る、エリューンとロットバルトの三人は、皆バンズを食べていて、一斉に振り向く。
エウロペは笑顔で
「レジィ、気がついた?!」
と駆け寄り、テリュスはお腹が減っていたので、ジロリ…と、ハムやチーズを挟んだバンズを手にする、エリューンとロットバルトを見た。
レジィも笑顔で
「エウロペ!」
と無邪気に微笑む。
エウロペは疲れ切って寝入ってるラフィーレを、起こさないようそっとレジィの横に立って、囁く。
「無事、君の中から…えっと」
「シャーレ?
まだいる」
エウロペはそう言われ、目を見開く。
けどレジィは両手で掴む、バンズを放さず、笑顔で告げた。
「シャーレ、僕の中が気に入って、暫く居るんだって」
ラステルは呆れて聞いた。
「…神聖騎士は、どう言ってるんです?」
「えっとね、体の方が…回復し始めたら、自然に戻るから。
それまでは待つしか無いって」
レジィの言葉に、エウロペはため息吐く。
「ラフィーレが起きたら、詳しく聞いてみよう」
ラステルは
「けど直ぐ発ちますよ?
彼を起こさないよう出立するなら。
馬車じゃ無いと無理かな?
けど近道通って短時間で安全に行くなら。
馬車は無理ですけど」
とエウロペに説明する。
エウロペは心話で
“シュアン!
シュアン?”
と呼んでみる。
間もなく
“なに?”
とシュアンの返事が聞こえる。
“ラフィーレ、そっちに運べる?”
と聞くと、シュアンから返事が返って来た。
“僕、もう疲れて無理だけど。
神聖神殿隊騎士が運んでくれる”
言うなり、椅子に腰掛けて眠るラフィーレが光で包まれ、間もなく消えた。
ラステルは目を見開くと、横に立つエウロペに告げる。
「魔法使いの使い方、上手くなりましたね」
けどエウロペは言い返す。
「君ほどじゃないけどね」
二人が振り向くと、テリュスは立ったままバンズを手にし、エリューンとロットバルト同様、バンズに齧り付いていた。
暫く後。
焼けた瓦礫を片付けてるデュバッセン大公配下らは、廊下を、エウロペの腕に抱き上げられた金髪のとても綺麗なシュテフザインの王子が、バンズを食べながら運ばれて行くのを見た。
その後に続くラステルが頷くので、作業の手を止め、頷き返し。
その後からやって来る、テリュス、エリューン、ロットバルトが、歩きながら手にしたバンズを口に運び、もぐもぐしながら頷くのを見、頷き返した。
が、デュバッセン大公は髭もじゃ丸眼鏡に告げる。
「ここ、かなり焼けてますから。
少し左の城へお願いできます?」
髭もじゃ丸眼鏡は
「ミューレアン城?」
と尋ねると、デュバッセン大公は頷く。
エウロペは
「レジィとエリューンがいるので、私はここで降ります」
と告げると直ぐ、船のへりに乗り上がり、ロープを掴む。
テリュスも慌てて、ロープの垂れてるへりに向かうと、ロープを掴んでお尻を乗せる。
ラステルまでもが
「デルデ、デュバッセン大公のお守りを頼む。
デルデと公爵がモメたら、オーガスタス、貴方に仲裁頼みます」
と言うと、エウロペが下って行くロープを掴み、船から滑り降りて行く。
一同がその素早さに、呆然と降りて行く三人を、船のへりに立って見下ろした。
間もなくラステルの心話が、皆の脳裏に響く。
“レジィとエリューン、そしてロットバルトを連れて、私もミューレアン城に向かいますから!!!
ご馳走山盛りで、歓待して下さい!!!”
皆が、エドウィンとシュアンを見る。
が、銀髪の神聖神殿隊騎士が
“今の心話伝えたの、俺。
俺達も、ミューレアン城にこれ下ろしたら消えるから。
じゃないと、エドウィンもシュアンも。
ラフィーレも限界超して疲れ切ってるから、帰れなくなる”
赤毛の神聖神殿隊騎士も、無言で頷く。
髭もじゃ丸眼鏡だけが
「そんな!
もっと居て下さい!」
と懇願し、赤毛の神聖神殿隊騎士に
“帰れなくなった時点で、ほぼ力使えなくなって、ただの大男に成り下がるし。
能力使えないと、俺らも不便だし”
と言われ、銀髪の神聖神殿隊騎士にも
“今消えないだけ、ありがたいと思ってくれ”
と言われてしまい、しゅん。と顔下げた。
公爵は
「…逃げられたと思いましたけど。
また、会えるんですね」
と低い声で呟き、デルデロッテに
「エウロペの事、言ってる?」
と聞かれ、頷く。
その後公爵は、エルデリオンに近寄ると
「…あのサイズのデカい男がどう凄かったのか。
その辺り、聞かせて頂きます」
と詰め寄り、横にやって来て公爵の胸板掴み、牽制するデルデロッテに
「そりゃ聞きたいよな?
一物と乳首にリングまで使ってオトしたのに、それを上回るんなら、興味津々なんだよな?」
と睨み付られ、とうとうオーガスタスが二人の間に入り、両手を広げて左右に分けられ、言われた。
「…喧嘩するなら、ここから地上に放り投げるぞ」
ギュンターは腕組みし、俯いてぼそり…と言い捨てる。
「オーガスタスは、本気でやる」
オーガスタスの左側で胸に腕を入れられ退けられた公爵は、それを聞いてぞっ…とし。
右に退けられ、今だ胸元にオーガスタスの腕のあるデルデも、呻いた。
「…自重します」
オーガスタスは頷くと
「いい子でいろ」
と低い声で言い諭した。
空は太陽が中天を超え、オレンジの光を放ち始める。
デュバッセン大公だけが
「それよりラステル様、日が暮れる前に着きますかね?」
と呻いた。
エウロペがシャスレ城の屋上に着地すると、テリュスも少し横にスタッ!と飛び降り、ラステルも少し後に着地する。
屋上ですら、あちこち焦げ跡があり、階下に降りると、崩れた壁が廊下の床に瓦礫を転がしていた。
デュバッセン大公配下らが忙しく瓦礫を取り退け、部屋では割れたガラスや焦げたカーテン、絨毯、クッションやテーブル等を片付け、廊下を行き来して瓦礫を運んでいた。
「ラステル様!」
「大公は、こちらにいらっしゃいますかね?」
通りがかりに声をかけられ、ラステルは振り向く。
「ミューレアン城に向かってる。
ところでシュテフザインの王子はどこに居るのかな?
我々も彼を連れてミューレアン城に向かうから、馬を用意して欲しいんだけど」
「一階に伝えます」
「こちらです」
一人の配下が、さっ!と三人の前に立つと、案内し始める。
そこは北側の部屋だったけど、焦げ臭くも無くて、一番綺麗だった。
エウロペ、テリュス、ラステルが室内に入ると、寝台の横の椅子に座るラフィーレが、気絶してるみたいに寝台の上に顔を乗せ、寝入っていて。
寝台の上で身を起こしてるレジィリアンス。
少し離れた椅子に座る、エリューンとロットバルトの三人は、皆バンズを食べていて、一斉に振り向く。
エウロペは笑顔で
「レジィ、気がついた?!」
と駆け寄り、テリュスはお腹が減っていたので、ジロリ…と、ハムやチーズを挟んだバンズを手にする、エリューンとロットバルトを見た。
レジィも笑顔で
「エウロペ!」
と無邪気に微笑む。
エウロペは疲れ切って寝入ってるラフィーレを、起こさないようそっとレジィの横に立って、囁く。
「無事、君の中から…えっと」
「シャーレ?
まだいる」
エウロペはそう言われ、目を見開く。
けどレジィは両手で掴む、バンズを放さず、笑顔で告げた。
「シャーレ、僕の中が気に入って、暫く居るんだって」
ラステルは呆れて聞いた。
「…神聖騎士は、どう言ってるんです?」
「えっとね、体の方が…回復し始めたら、自然に戻るから。
それまでは待つしか無いって」
レジィの言葉に、エウロペはため息吐く。
「ラフィーレが起きたら、詳しく聞いてみよう」
ラステルは
「けど直ぐ発ちますよ?
彼を起こさないよう出立するなら。
馬車じゃ無いと無理かな?
けど近道通って短時間で安全に行くなら。
馬車は無理ですけど」
とエウロペに説明する。
エウロペは心話で
“シュアン!
シュアン?”
と呼んでみる。
間もなく
“なに?”
とシュアンの返事が聞こえる。
“ラフィーレ、そっちに運べる?”
と聞くと、シュアンから返事が返って来た。
“僕、もう疲れて無理だけど。
神聖神殿隊騎士が運んでくれる”
言うなり、椅子に腰掛けて眠るラフィーレが光で包まれ、間もなく消えた。
ラステルは目を見開くと、横に立つエウロペに告げる。
「魔法使いの使い方、上手くなりましたね」
けどエウロペは言い返す。
「君ほどじゃないけどね」
二人が振り向くと、テリュスは立ったままバンズを手にし、エリューンとロットバルト同様、バンズに齧り付いていた。
暫く後。
焼けた瓦礫を片付けてるデュバッセン大公配下らは、廊下を、エウロペの腕に抱き上げられた金髪のとても綺麗なシュテフザインの王子が、バンズを食べながら運ばれて行くのを見た。
その後に続くラステルが頷くので、作業の手を止め、頷き返し。
その後からやって来る、テリュス、エリューン、ロットバルトが、歩きながら手にしたバンズを口に運び、もぐもぐしながら頷くのを見、頷き返した。
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