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激突
敵の登場
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森の中の細い道を進み、少し広い場所に出た途端。
目前に大勢の敵が、茂みの中から次々現れる。
先頭のラステルが歩を止める。
オーガスタスはラステルの背後から迫り出すと、ぐい!とラステルの胸元に腕を入れて背後に回し、先頭に立って敵と相対した。
あまりにも長身、そして迫力のオーガスタスが正面で睨み付けた時。
敵達はオーガスタスの素晴らしい体格と、あまりの迫力にのまれた。
が、立ち塞がる敵の背後から、突然大声で叫びながら正面に出てくる男がいる。
「ノール!
でかした!
そのまま王子らをこちらに連れて来い!」
満面の笑みを浮かべる、身分の高そうな中年の髭面男の視線を追って、皆が…ノルデュラス公爵に辿り着いて、公爵を一斉に見つめる。
公爵はラウールに見つめられ、美麗な面を少し苦く崩すと、さっ!と顔を上げ、怒鳴り返した。
「それはできない!
私はこちらに付く!
…もう父上の言いなりになるのはたくさんだ!」
“父上”の言葉に、皆一斉に身分高そうな中年男とノルデュラス公爵を見比べた。
「…美人の奥さん貰ったんだな」
デルデの呟きに、ロットバルトも頷く。
「公爵は母親似で、得をした」
少し腹の出た、それでも頑健な体格のノルデュラス公爵の父親、ウェセン大公は、エルデリオンを見、目を細めニヤつく。
デルデは気づくと睨み付け、さっ!とエルデリオンの前に出て自分の背にエルデリオンを隠した。
エディエルゼはミラーシェンが、がたがた震えるのに気づく。
「…まさか…あの男がお前を?」
エディエルゼが問うと、ミラーシェンは泣き顔で呟く。
「…たくさんいた…一…人……」
ざっっ!
咄嗟エディエルゼが剣の柄に手をかけ、迫り出そうとするその前に。
ギュンターが腕を伸ばし、制止する。
エディエルゼは目を見開いた。
剣を抜く前に気づかれ、制止されたのは初めて。
「(…なんて俊敏…。
カンがいいのか?)」
つい、エディエルゼは真顔で見つめる、金の髪を靡かせた長身美貌のギュンターを、見上げた。
「…ほう!
若くて…可愛い子が三人も…」
ロットバルトとゼイブン、ラフォーレンは背負うル・シャレファの三人を、舌なめずりして見る大公に呆れた。
「…よくこの性癖で、ノルデュラス公爵が産まれたな…」
ロットバルトの囁きに、かなり端のゼイブンも、かなり後ろのラフォーレンまでもが揃って、頷いた。
公爵は忌々しげに、一行の先頭に立つオーガスタスを無視し、組み敷ける美少年ばかり物色する、色惚け丸出しの父親を睨めつけた。
「母と結婚後に出た性癖で、あれで母と別居に至った。
年若い無垢な美少年を犯すのが大好きな、ど変態だ」
ラフォーレンはチラとそう告げた公爵を見た。
エディエルゼ王子が変態親父を睨み付けたまま、吐き捨てるように告げる。
「父親を尊敬出来ない事には、同情する」
公爵は素直に
「ありがとう」
と告げるので、硬派のエディエルゼは拍子抜けした。
大公は次にレジィリアンスを見つめ、横のテリュスとエリューンにも好色な視線を送るものだから、エウロペは咄嗟、テリュスが小弓を持ち上げようとするのを、遮らなくてはならなかった。
テリュスは異論を唱えようとし、振り向くエウロペに
「仮にも、ノルデュラス公爵の実父」
と言われ、項垂れながら呟いた。
「条件反射で、つい…」
エディエルゼが振り向く。
「私に斬り殺させてくれ」
テリュスは頷いて呻いた。
「エウロペが止めなかったら、今頃とっくに絶命してたな…」
ノルデュラス公爵が振り向く。
「一発で殺せたのか?
この距離で?!」
言った後、公爵は止めたエウロペを見つめ、眉をひそめる。
「…止めなくても、良かったのに…」
エウロペは目を見開いて、息子の公爵を見た。
ノルデュラス公爵は決まり悪げに顔を下げると
「迷惑男で、母もあいつの家の権力が凄くて、離婚できず困ってる。
それに…父には内緒だが、実は私は母が浮気して出来た子だ」
皆、それを聞いて大いに頷きまくった。
「…納得」
エルデリオンが言うと、ロットバルトも頷きながら呟いた。
「なんであれ(大公)からああなる(公爵)のかの、疑問が解けて嬉しい」
が、かなり離れた大公には聞こえてないらしく、ニヤつきながら美少年らをひとしきり見つめた後。
エディエルゼを見、縛り付けて屈服させる想像をしてるのか。
一際、ニヤけたデレ顔になった。
ラステルだけが冷静に敵の数を把握し、背後のローフィスに目配せする。
ローフィスは直ぐ気づき、頷く。
ラステルが一瞬で短剣を、大公の横の、隊長らしきごつく威厳ある男に投げた後。
ローフィスも一気に短剣を投げつけた。
一気に大公の横に並んでいた、五人の男が短剣を喰らって崩れ落ち、オーガスタスが剣を振り回して突進し、斬りかかる。
大公は目を見開いて膝を折ってその場に崩れ落ち、背後の部下らはオーガスタスのあまりの迫力に、背を向けて逃げ出し始めた。
大公は引いて行く味方に叫ぶ。
「ど、どこへ行く!
王子らを拉致した者には、たんと褒美を取らせる!」
けれど数人が振り向き
「命が無くなったら褒美も受け取れない!」
「命に代えられるか!」
と怒鳴りながら、向かって来るオーガスタスを避け、左右に散って行った。
エディエルゼがあっと言う間に膝を付く大公の目前に、剣を振り被って襲いかかる。
けれどロットバルトがシュアンを背に担いだまま、横からエディエルゼにぶつかり止め、叫んだ。
「生け捕りに!
楽に死なせる気か?!」
エディエルゼは毅然とした騎士にぶつかり止められ、怒鳴りつけられて。
腹立ち紛れに剣をくるりと回し鞘に収め、一気に拳握って大公の頬を殴りつけた。
がっっっ!
どたっ!
背から地面に転がる大公の元に、テリュスがやって来ると、無言で蹴りつける。
がっ!
がっ!
がっっっ!!!
追いついたミラーシェンは、いやらしい目で見られただけのテリュスの蹴り様を、目を見開いて見つめた。
ノルデュラス公爵が横に来ると
「私の分も、残しといてくれないかな…」
とテリュスに呟く。
それでも思いっきり蹴りつけるテリュスを見たミラーシェンは、とうとう進み出ると、テリュスが蹴った後に蹴りつけ…。
テリュスと二人交互に、大公を蹴り始めた。
がっ!!!
ががっ!!!
がっつん!!!
ラウールが、呆れてぼやく。
「どこかで止めないと、死にますよ?」
ロットバルトは情けない顔して振り向くと
「…私は…テリュスやミラーシェン王子のような…小柄な相手に、それは弱くて」
と眉下げて告白した。
ギュンターが剣持って、敵に突っ込もうとした歩を止め、振り向いて問う。
「…誰も、止めないのか?」
ロットバルト、ラウール、ノルデュラス公爵が揃って振り向くと、皆同時に頷いた。
ギュンターが剣を鞘にしまい、戻って来てテリュスとミラーシェンを手で制す。
倒れ込んでる大公に屈み込んで見
「…何本か、折れてるな…」
と呟いた。
ミラーシェンは息切れして頷いたけど。
テリュスは
「ならまだイケるな」
と、しれっと呟いた。
目前に大勢の敵が、茂みの中から次々現れる。
先頭のラステルが歩を止める。
オーガスタスはラステルの背後から迫り出すと、ぐい!とラステルの胸元に腕を入れて背後に回し、先頭に立って敵と相対した。
あまりにも長身、そして迫力のオーガスタスが正面で睨み付けた時。
敵達はオーガスタスの素晴らしい体格と、あまりの迫力にのまれた。
が、立ち塞がる敵の背後から、突然大声で叫びながら正面に出てくる男がいる。
「ノール!
でかした!
そのまま王子らをこちらに連れて来い!」
満面の笑みを浮かべる、身分の高そうな中年の髭面男の視線を追って、皆が…ノルデュラス公爵に辿り着いて、公爵を一斉に見つめる。
公爵はラウールに見つめられ、美麗な面を少し苦く崩すと、さっ!と顔を上げ、怒鳴り返した。
「それはできない!
私はこちらに付く!
…もう父上の言いなりになるのはたくさんだ!」
“父上”の言葉に、皆一斉に身分高そうな中年男とノルデュラス公爵を見比べた。
「…美人の奥さん貰ったんだな」
デルデの呟きに、ロットバルトも頷く。
「公爵は母親似で、得をした」
少し腹の出た、それでも頑健な体格のノルデュラス公爵の父親、ウェセン大公は、エルデリオンを見、目を細めニヤつく。
デルデは気づくと睨み付け、さっ!とエルデリオンの前に出て自分の背にエルデリオンを隠した。
エディエルゼはミラーシェンが、がたがた震えるのに気づく。
「…まさか…あの男がお前を?」
エディエルゼが問うと、ミラーシェンは泣き顔で呟く。
「…たくさんいた…一…人……」
ざっっ!
咄嗟エディエルゼが剣の柄に手をかけ、迫り出そうとするその前に。
ギュンターが腕を伸ばし、制止する。
エディエルゼは目を見開いた。
剣を抜く前に気づかれ、制止されたのは初めて。
「(…なんて俊敏…。
カンがいいのか?)」
つい、エディエルゼは真顔で見つめる、金の髪を靡かせた長身美貌のギュンターを、見上げた。
「…ほう!
若くて…可愛い子が三人も…」
ロットバルトとゼイブン、ラフォーレンは背負うル・シャレファの三人を、舌なめずりして見る大公に呆れた。
「…よくこの性癖で、ノルデュラス公爵が産まれたな…」
ロットバルトの囁きに、かなり端のゼイブンも、かなり後ろのラフォーレンまでもが揃って、頷いた。
公爵は忌々しげに、一行の先頭に立つオーガスタスを無視し、組み敷ける美少年ばかり物色する、色惚け丸出しの父親を睨めつけた。
「母と結婚後に出た性癖で、あれで母と別居に至った。
年若い無垢な美少年を犯すのが大好きな、ど変態だ」
ラフォーレンはチラとそう告げた公爵を見た。
エディエルゼ王子が変態親父を睨み付けたまま、吐き捨てるように告げる。
「父親を尊敬出来ない事には、同情する」
公爵は素直に
「ありがとう」
と告げるので、硬派のエディエルゼは拍子抜けした。
大公は次にレジィリアンスを見つめ、横のテリュスとエリューンにも好色な視線を送るものだから、エウロペは咄嗟、テリュスが小弓を持ち上げようとするのを、遮らなくてはならなかった。
テリュスは異論を唱えようとし、振り向くエウロペに
「仮にも、ノルデュラス公爵の実父」
と言われ、項垂れながら呟いた。
「条件反射で、つい…」
エディエルゼが振り向く。
「私に斬り殺させてくれ」
テリュスは頷いて呻いた。
「エウロペが止めなかったら、今頃とっくに絶命してたな…」
ノルデュラス公爵が振り向く。
「一発で殺せたのか?
この距離で?!」
言った後、公爵は止めたエウロペを見つめ、眉をひそめる。
「…止めなくても、良かったのに…」
エウロペは目を見開いて、息子の公爵を見た。
ノルデュラス公爵は決まり悪げに顔を下げると
「迷惑男で、母もあいつの家の権力が凄くて、離婚できず困ってる。
それに…父には内緒だが、実は私は母が浮気して出来た子だ」
皆、それを聞いて大いに頷きまくった。
「…納得」
エルデリオンが言うと、ロットバルトも頷きながら呟いた。
「なんであれ(大公)からああなる(公爵)のかの、疑問が解けて嬉しい」
が、かなり離れた大公には聞こえてないらしく、ニヤつきながら美少年らをひとしきり見つめた後。
エディエルゼを見、縛り付けて屈服させる想像をしてるのか。
一際、ニヤけたデレ顔になった。
ラステルだけが冷静に敵の数を把握し、背後のローフィスに目配せする。
ローフィスは直ぐ気づき、頷く。
ラステルが一瞬で短剣を、大公の横の、隊長らしきごつく威厳ある男に投げた後。
ローフィスも一気に短剣を投げつけた。
一気に大公の横に並んでいた、五人の男が短剣を喰らって崩れ落ち、オーガスタスが剣を振り回して突進し、斬りかかる。
大公は目を見開いて膝を折ってその場に崩れ落ち、背後の部下らはオーガスタスのあまりの迫力に、背を向けて逃げ出し始めた。
大公は引いて行く味方に叫ぶ。
「ど、どこへ行く!
王子らを拉致した者には、たんと褒美を取らせる!」
けれど数人が振り向き
「命が無くなったら褒美も受け取れない!」
「命に代えられるか!」
と怒鳴りながら、向かって来るオーガスタスを避け、左右に散って行った。
エディエルゼがあっと言う間に膝を付く大公の目前に、剣を振り被って襲いかかる。
けれどロットバルトがシュアンを背に担いだまま、横からエディエルゼにぶつかり止め、叫んだ。
「生け捕りに!
楽に死なせる気か?!」
エディエルゼは毅然とした騎士にぶつかり止められ、怒鳴りつけられて。
腹立ち紛れに剣をくるりと回し鞘に収め、一気に拳握って大公の頬を殴りつけた。
がっっっ!
どたっ!
背から地面に転がる大公の元に、テリュスがやって来ると、無言で蹴りつける。
がっ!
がっ!
がっっっ!!!
追いついたミラーシェンは、いやらしい目で見られただけのテリュスの蹴り様を、目を見開いて見つめた。
ノルデュラス公爵が横に来ると
「私の分も、残しといてくれないかな…」
とテリュスに呟く。
それでも思いっきり蹴りつけるテリュスを見たミラーシェンは、とうとう進み出ると、テリュスが蹴った後に蹴りつけ…。
テリュスと二人交互に、大公を蹴り始めた。
がっ!!!
ががっ!!!
がっつん!!!
ラウールが、呆れてぼやく。
「どこかで止めないと、死にますよ?」
ロットバルトは情けない顔して振り向くと
「…私は…テリュスやミラーシェン王子のような…小柄な相手に、それは弱くて」
と眉下げて告白した。
ギュンターが剣持って、敵に突っ込もうとした歩を止め、振り向いて問う。
「…誰も、止めないのか?」
ロットバルト、ラウール、ノルデュラス公爵が揃って振り向くと、皆同時に頷いた。
ギュンターが剣を鞘にしまい、戻って来てテリュスとミラーシェンを手で制す。
倒れ込んでる大公に屈み込んで見
「…何本か、折れてるな…」
と呟いた。
ミラーシェンは息切れして頷いたけど。
テリュスは
「ならまだイケるな」
と、しれっと呟いた。
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