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アールドット国王の別邸
やっと食事にありつく後続隊
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ゼイブンとエディエルゼ、ミラーシェンはちゃっかり作戦室の書斎に用意されていた、山盛りのご馳走にかぶり付いていた。
ゼイブンは扉の無い続き部屋の、豪華で広いソファだらけの部屋にオーガスタスがやって来て、テーブルの上の、まだ手の付けられてない料理が乗った大皿を持ち上げるのを見、声かけようかとも思った。
が、今食べてる料理が美味しすぎて、無理。
間もなくラウールが、階段裏に並ぶ扉の一つを開け、寝室から出て来て階段を降りて行く様子を、食べながら見守る。
「…風呂に浸かりに行くのか…」
ふいの言葉にゼイブンが振り向くと、バルバロッサ王が戸口から入って来ていた。
バルバロッサ王が艶っぽく麗しいラウールを、美味しそうなご馳走のように見つめてるのを見、ゼイブンは内心
「(男女イケるクチだっけ…)」
と、美丈夫のバルバロッサ王を見つめる。
浅黒い肌に珍しい金色の長髪。
更に青い瞳で体格も良く顔も整いきったイイ男。
とくれば…
“相手に困らず、やりたい放題なんだろうな”
と、ゼイブンはため息吐いた。
降りて行くラウールと入れ替わりに、エウロペがレジィを抱き上げ、ガウン姿のテリュスと階段を上がって来る。
エディエルゼが食事の手を止め、チラ…とバルバロッサを見上げる。
バルバロッサはエウロペに
「こっちに食事がまだかなりあるぞ!」
と声かけていた。
が、エウロペは頷くと、ロットバルトと話し込むラステルが、テーブルの皿の残り料理を摘まむのを見て
「こっちにも、かなり残ってるから。
でも、ありがとう」
と感じ良く微笑んだ。
バルバロッサは更に階段を上がり、上の寝室へとテリュスを伴って上がって行くエウロペに怒鳴る。
「ベルを鳴らして、食事を部屋に持って来るよう、召使いに頼め!」
エウロペは足を止めて頷き、また階段を上り、すっかり姿を消した。
バルバロッサ王はそれを見届けた後、ゼイブンの横の椅子にどかっ!と腰掛け、料理を摘まみ始める。
向かいに腰掛けるエディエルゼは、ゼイブン同様手づかみで食べる王を、目を見開いて見る。
ミラーシェンはレジィが運ばれて行くのを見
「僕…レジィの側に居たいんだけど」
と横のエディエルゼに告げた。
エディエルゼはフォークに肉を刺していたので、一瞬手を止め、固まる。
ミラーシェンは微笑むと
「ゆっくり食べてて。
上の寝室に居るから」
そう告げると、駆け出してテリュスが上がって行く階段へと駆けつける。
ミラーシェンも階段を上がって行くのを見、エディエルゼは食事に戻る。
バルバロッサ王は次々、手づかみで料理を掴むと、口に放り込みながらも無言。
ゼイブンが、呆れたように横のバルバロッサ王を見た。
エディエルゼだけが、訳が分からず向かいのゼイブンを見つめる。
ゼイブンはため息吐くと
「ラフィーレ始め、ル・シャレファ達が気に入ったみたいだな?
大した順応性だ」
とバルバロッサに告げた。
バルバロッサ王は頷くと、脳裏に見えてる映像に、注意を払い呻く。
「…なるほど…。
オーガスタスは強肩だな…。
二刀流か」
ゼイブンは見つめてるエディエルゼに、肩すくめて説く。
「さっきの戦闘時の映像、シュアンに見せて貰ってる」
エディエルゼは目を見開くと、呟く。
「私には、見えてないが?」
直ぐ、ラフィーレが脳裏で説明し出した。
“過去の映像だから。
シュアン、みんなの意識から引き出して、つなぎ合わせてて…。
それって、難しいの。
だからバルバロッサ王ぐらいにしか、送る余裕無いの”
ゼイブンが、訳知り顔で頷く。
「簡単なら、余裕が出来るから。
みんなにも、見せられるんだな?」
ラフィーレが、脳裏に囁く。
“うん。
けど一度過去の映像が出来上がったら。
エドウィンならシュアンの意識から引き出して、みんなに見せられる。
けどエドウィン、今偵察隊の帰還してるとこ、ずっと意識集中してて。
オーレが偵察隊の意識読んで、周囲の状況を把握してる最中だから。
二人とも、手が離せないの。
オーレはデルデの為の光の結界、張りながらしてるし”
ゼイブンは頷いて問うた。
「デルデは良くなったのか?」
途端、バルバロッサ王がエルデリオンの腿を持ち上げ、激しく斜め横から腰を突き刺してる映像が脳裏に浮かび、突然のエロ映像にエディエルゼは思いっきり咽せたけど、ゼイブンは眉間を寄せた。
“…ラフィーレ…。
どうせ見せるなら女の裸にしてくれ”
“ごめん…。
ミラーレスがこの映像、デルデに流してて…。
デルデ、早く傷治して動きたい。
って猛烈に思うから、傷が凄い速さで癒えてるの”
エルデリオンの顔の方では、ギュンターがエルデリオンの口に挿入していて。
エディエルゼは思いっきり、狼狽えた。
“仮にもオーデ・フォールの王子だろう?
それをまるで…快楽の道具みたいに…”
その異論を聞き、ゼイブンはエディエルゼに視線を向ける。
とても綺麗な顔を俯ける、真っ直ぐの銀のさらりとした髪を胸に滑らせ、困惑しきった表情のエディエルゼは、やはり美麗。
“…これで胸があって、女だったらな…”
ふいにゼイブンの囁きが脳裏に響き、エディエルゼは一気に顔上げて、ゼイブンを睨み付けた。
王は丁度、ゼイブンが短剣投げまくり、ローフィスへ手持ちの短剣を分ける映像を見ていたので、つい横の実物を見る。
「…戦ってる時はちゃんと気概あり、輝き放つ美形に見えるのにな」
ゼイブンは眉間寄せ、横のバルバロッサに振り向いた。
「その後、何て続くんだ?」
王は肩を竦めた。
「普段は表情が緩みまくってるスケベ面」
「悪かったな!」
王は頷くと言い捨てた。
「部下の前では、女を思い浮かべスケベ面で居ろ。
だらしない顔してれば、襲われない」
ゼイブンは目を見開いて、横のバルバロッサ王を見つめた。
「…それ…その辺ウロついたらあんたの部下に、襲われてホられるって事か?」
王は頷く。
「しかも、集団で。
お前みたいに美々しい男は数が少ないし、女は一人も居ない」
ゼイブンは一瞬で、全身鳥肌立てた。
エディエルゼが、バルバロッサ王を見て尋ねる。
「では、ギュンターなら?」
「あいつぐらい身長があれば、皆も簡単に組み敷けないし…。
ル・シャレファやレジィリアンス、ミラーシェンの、うんと小柄なら逆に安心だ。
俺の部隊は、子供は襲わないからな」
エディエルゼが、ぎんぎんと睨む。
バルバロッサ王はまるで怯まず、食事を摘まみながらも言って退ける。
「あんたとエリューン…?
それに…ラフォーレン…ローフィス…。
それに…綺麗な上色っぽい、ラウールは特にヤバい。
輪姦されるのが嫌だったら。
この部屋からは出るな」
ゼイブンは暫く沈黙した後、呻く。
「…テリュスとか…ラステルは?」
バルバロッサ王は、前髪掴んで顔下げる。
「…難しいところだな…。
テリュスはレジィらより身長あるが、童顔だ。
ラステルは…多分上手に避けるか、上手く口で言いくるめ、逃げそうだ」
聞こえたラステルは、ロットバルトから視線外して振り向き
「当然、そうします」
と答えた後、またロットバルトに
「…だから…」
と声かける。
エディエルゼはバルバロッサ王を睨み付けると
「私に襲いかかると、血を見るぞ!」
と怒鳴りつけた。
ゼイブンはデザートの菓子を手に、のどかに告げる。
「ここから出なけりゃ安全だって。
今、言ったろ?」
エディエルゼはゼイブンのノン気さ加減に呆れ、ゼイブンをも思い切り睨み付けた。
けれどバルバロッサ王は、エディエルゼを見つめると、艶然と微笑う。
「…たいそうな使い手だな…。
組み敷いたら、楽しめそうだ」
エディエルゼは途端、噛みつく。
「エルデリオンを手込めにして!
まだ足りないのか?!」
バルバロッサ王は肩すくめた。
「エルデリオンには、男の婚約者がいる」
エディエルゼは怒鳴った。
「私にだって!
婚約予定の、姫がいる!!!」
「予定だろ?」
突然口挟むゼイブンを、エディエルゼは再び思いっきり、睨み付けた。
その時、寝室の扉が開くと、オーガスタスがふらふらのローフィスを抱えながらやって来る。
そしてソファだらけの部屋のテーブルの上の、皿のどれもが、残ってる料理が少ないのを見る。
別の寝室から、スフォルツァもふらつきながら
「腹減った…」
と出て来た。
ラステルが気づいて
「そっちの書斎には、まだ山盛りの皿が多数ありますから」
と声かけた。
ゼイブンはオーガスタスが、頷きながらローフィスを抱えて書斎にやって来、部屋の隅に寄せてある椅子を掴み、テーブルの前に持って来て、ローフィスを座らせた後。
自分の椅子も持って来て座り
「ギュンターに、かなり盗られた」
と唸って、食べ始めるのを見る。
書斎入り口に辿り着いたスフォルツァは、一瞬オーガスタスが自分の椅子も、持って来てくれるかと待ったけど。
無視され、仕方無く自分の椅子を持って来ると座り、皿の料理に手を伸ばした。
ゼイブンは無言で千手観音のように手を動かし、食べ物を口に詰め込むローフィスを見、呻く。
「ここから出てウロつくと、王の逞しい部下に、輪姦されるってよ」
ローフィスは無言で頷くと
「眠り針、片っ端から飛ばして、眠らせて逃げる」
と呟いた。
エディエルゼはローフィスを見つめ
「針?
そんな特技があるのか?」
と尋ねた。
ローフィスは食べながらも頷き
「とっても便利だ」
と言葉を返す。
スフォルツァは目を見開くと
「…私は…まさかですよね?」
と尋ねるので、バルバロッサ王は問い返した。
「受け身の経験、まるで無いのか?」
スフォルツァは頷く。
王はしれっと言った。
「この機会に、経験したら?」
スフォルツァは青ざめ、食べ物を喉に詰まらせかけた。
「…どーしても男にホられるしか無いと言うのなら…私は相手はアイリスと決めてます」
言って顔を上げ、小声で囁く。
「ここには来ていませんが。
デルデロッテに、それは似ている美男子で…扱いも心配りも、行き届いていますから」
ローフィスが、食べ物を口に入れたまま笑い出す。
オーガスタスも同様。
「お前…そうだったの?」
ローフィスが笑いながら言うと、オーガスタスも頷く。
「…アイリス狙いだったのか…」
スフォルツァは真っ赤に成ると
「だから…どーしてもホられるしかない場合です!
出来れば、一生ホられたくないですが!」
と先輩二人を怒鳴りつけた。
“アイリス”を知らない王とエディエルゼの脳裏に、ラフィーレが親切に、映像を送った。
流石にアースルーリンドの者らしく、綺羅綺羅しくって美々しかったけど、確かにデルデロッテに似ていて、髪も目の色も同じ。
ただ、デルデロッテより華美な感じで、デルデの方がきりっとし、男らしかった。
「この容姿で…攻め?」
尋ねるバルバロッサ王に、オーガスタスが笑いながら告げた。
「身長が、ギュンターぐらいあって着痩せし、脱ぐと立派な体をしてる」
王は納得して頷いた。
ゼイブンは扉の無い続き部屋の、豪華で広いソファだらけの部屋にオーガスタスがやって来て、テーブルの上の、まだ手の付けられてない料理が乗った大皿を持ち上げるのを見、声かけようかとも思った。
が、今食べてる料理が美味しすぎて、無理。
間もなくラウールが、階段裏に並ぶ扉の一つを開け、寝室から出て来て階段を降りて行く様子を、食べながら見守る。
「…風呂に浸かりに行くのか…」
ふいの言葉にゼイブンが振り向くと、バルバロッサ王が戸口から入って来ていた。
バルバロッサ王が艶っぽく麗しいラウールを、美味しそうなご馳走のように見つめてるのを見、ゼイブンは内心
「(男女イケるクチだっけ…)」
と、美丈夫のバルバロッサ王を見つめる。
浅黒い肌に珍しい金色の長髪。
更に青い瞳で体格も良く顔も整いきったイイ男。
とくれば…
“相手に困らず、やりたい放題なんだろうな”
と、ゼイブンはため息吐いた。
降りて行くラウールと入れ替わりに、エウロペがレジィを抱き上げ、ガウン姿のテリュスと階段を上がって来る。
エディエルゼが食事の手を止め、チラ…とバルバロッサを見上げる。
バルバロッサはエウロペに
「こっちに食事がまだかなりあるぞ!」
と声かけていた。
が、エウロペは頷くと、ロットバルトと話し込むラステルが、テーブルの皿の残り料理を摘まむのを見て
「こっちにも、かなり残ってるから。
でも、ありがとう」
と感じ良く微笑んだ。
バルバロッサは更に階段を上がり、上の寝室へとテリュスを伴って上がって行くエウロペに怒鳴る。
「ベルを鳴らして、食事を部屋に持って来るよう、召使いに頼め!」
エウロペは足を止めて頷き、また階段を上り、すっかり姿を消した。
バルバロッサ王はそれを見届けた後、ゼイブンの横の椅子にどかっ!と腰掛け、料理を摘まみ始める。
向かいに腰掛けるエディエルゼは、ゼイブン同様手づかみで食べる王を、目を見開いて見る。
ミラーシェンはレジィが運ばれて行くのを見
「僕…レジィの側に居たいんだけど」
と横のエディエルゼに告げた。
エディエルゼはフォークに肉を刺していたので、一瞬手を止め、固まる。
ミラーシェンは微笑むと
「ゆっくり食べてて。
上の寝室に居るから」
そう告げると、駆け出してテリュスが上がって行く階段へと駆けつける。
ミラーシェンも階段を上がって行くのを見、エディエルゼは食事に戻る。
バルバロッサ王は次々、手づかみで料理を掴むと、口に放り込みながらも無言。
ゼイブンが、呆れたように横のバルバロッサ王を見た。
エディエルゼだけが、訳が分からず向かいのゼイブンを見つめる。
ゼイブンはため息吐くと
「ラフィーレ始め、ル・シャレファ達が気に入ったみたいだな?
大した順応性だ」
とバルバロッサに告げた。
バルバロッサ王は頷くと、脳裏に見えてる映像に、注意を払い呻く。
「…なるほど…。
オーガスタスは強肩だな…。
二刀流か」
ゼイブンは見つめてるエディエルゼに、肩すくめて説く。
「さっきの戦闘時の映像、シュアンに見せて貰ってる」
エディエルゼは目を見開くと、呟く。
「私には、見えてないが?」
直ぐ、ラフィーレが脳裏で説明し出した。
“過去の映像だから。
シュアン、みんなの意識から引き出して、つなぎ合わせてて…。
それって、難しいの。
だからバルバロッサ王ぐらいにしか、送る余裕無いの”
ゼイブンが、訳知り顔で頷く。
「簡単なら、余裕が出来るから。
みんなにも、見せられるんだな?」
ラフィーレが、脳裏に囁く。
“うん。
けど一度過去の映像が出来上がったら。
エドウィンならシュアンの意識から引き出して、みんなに見せられる。
けどエドウィン、今偵察隊の帰還してるとこ、ずっと意識集中してて。
オーレが偵察隊の意識読んで、周囲の状況を把握してる最中だから。
二人とも、手が離せないの。
オーレはデルデの為の光の結界、張りながらしてるし”
ゼイブンは頷いて問うた。
「デルデは良くなったのか?」
途端、バルバロッサ王がエルデリオンの腿を持ち上げ、激しく斜め横から腰を突き刺してる映像が脳裏に浮かび、突然のエロ映像にエディエルゼは思いっきり咽せたけど、ゼイブンは眉間を寄せた。
“…ラフィーレ…。
どうせ見せるなら女の裸にしてくれ”
“ごめん…。
ミラーレスがこの映像、デルデに流してて…。
デルデ、早く傷治して動きたい。
って猛烈に思うから、傷が凄い速さで癒えてるの”
エルデリオンの顔の方では、ギュンターがエルデリオンの口に挿入していて。
エディエルゼは思いっきり、狼狽えた。
“仮にもオーデ・フォールの王子だろう?
それをまるで…快楽の道具みたいに…”
その異論を聞き、ゼイブンはエディエルゼに視線を向ける。
とても綺麗な顔を俯ける、真っ直ぐの銀のさらりとした髪を胸に滑らせ、困惑しきった表情のエディエルゼは、やはり美麗。
“…これで胸があって、女だったらな…”
ふいにゼイブンの囁きが脳裏に響き、エディエルゼは一気に顔上げて、ゼイブンを睨み付けた。
王は丁度、ゼイブンが短剣投げまくり、ローフィスへ手持ちの短剣を分ける映像を見ていたので、つい横の実物を見る。
「…戦ってる時はちゃんと気概あり、輝き放つ美形に見えるのにな」
ゼイブンは眉間寄せ、横のバルバロッサに振り向いた。
「その後、何て続くんだ?」
王は肩を竦めた。
「普段は表情が緩みまくってるスケベ面」
「悪かったな!」
王は頷くと言い捨てた。
「部下の前では、女を思い浮かべスケベ面で居ろ。
だらしない顔してれば、襲われない」
ゼイブンは目を見開いて、横のバルバロッサ王を見つめた。
「…それ…その辺ウロついたらあんたの部下に、襲われてホられるって事か?」
王は頷く。
「しかも、集団で。
お前みたいに美々しい男は数が少ないし、女は一人も居ない」
ゼイブンは一瞬で、全身鳥肌立てた。
エディエルゼが、バルバロッサ王を見て尋ねる。
「では、ギュンターなら?」
「あいつぐらい身長があれば、皆も簡単に組み敷けないし…。
ル・シャレファやレジィリアンス、ミラーシェンの、うんと小柄なら逆に安心だ。
俺の部隊は、子供は襲わないからな」
エディエルゼが、ぎんぎんと睨む。
バルバロッサ王はまるで怯まず、食事を摘まみながらも言って退ける。
「あんたとエリューン…?
それに…ラフォーレン…ローフィス…。
それに…綺麗な上色っぽい、ラウールは特にヤバい。
輪姦されるのが嫌だったら。
この部屋からは出るな」
ゼイブンは暫く沈黙した後、呻く。
「…テリュスとか…ラステルは?」
バルバロッサ王は、前髪掴んで顔下げる。
「…難しいところだな…。
テリュスはレジィらより身長あるが、童顔だ。
ラステルは…多分上手に避けるか、上手く口で言いくるめ、逃げそうだ」
聞こえたラステルは、ロットバルトから視線外して振り向き
「当然、そうします」
と答えた後、またロットバルトに
「…だから…」
と声かける。
エディエルゼはバルバロッサ王を睨み付けると
「私に襲いかかると、血を見るぞ!」
と怒鳴りつけた。
ゼイブンはデザートの菓子を手に、のどかに告げる。
「ここから出なけりゃ安全だって。
今、言ったろ?」
エディエルゼはゼイブンのノン気さ加減に呆れ、ゼイブンをも思い切り睨み付けた。
けれどバルバロッサ王は、エディエルゼを見つめると、艶然と微笑う。
「…たいそうな使い手だな…。
組み敷いたら、楽しめそうだ」
エディエルゼは途端、噛みつく。
「エルデリオンを手込めにして!
まだ足りないのか?!」
バルバロッサ王は肩すくめた。
「エルデリオンには、男の婚約者がいる」
エディエルゼは怒鳴った。
「私にだって!
婚約予定の、姫がいる!!!」
「予定だろ?」
突然口挟むゼイブンを、エディエルゼは再び思いっきり、睨み付けた。
その時、寝室の扉が開くと、オーガスタスがふらふらのローフィスを抱えながらやって来る。
そしてソファだらけの部屋のテーブルの上の、皿のどれもが、残ってる料理が少ないのを見る。
別の寝室から、スフォルツァもふらつきながら
「腹減った…」
と出て来た。
ラステルが気づいて
「そっちの書斎には、まだ山盛りの皿が多数ありますから」
と声かけた。
ゼイブンはオーガスタスが、頷きながらローフィスを抱えて書斎にやって来、部屋の隅に寄せてある椅子を掴み、テーブルの前に持って来て、ローフィスを座らせた後。
自分の椅子も持って来て座り
「ギュンターに、かなり盗られた」
と唸って、食べ始めるのを見る。
書斎入り口に辿り着いたスフォルツァは、一瞬オーガスタスが自分の椅子も、持って来てくれるかと待ったけど。
無視され、仕方無く自分の椅子を持って来ると座り、皿の料理に手を伸ばした。
ゼイブンは無言で千手観音のように手を動かし、食べ物を口に詰め込むローフィスを見、呻く。
「ここから出てウロつくと、王の逞しい部下に、輪姦されるってよ」
ローフィスは無言で頷くと
「眠り針、片っ端から飛ばして、眠らせて逃げる」
と呟いた。
エディエルゼはローフィスを見つめ
「針?
そんな特技があるのか?」
と尋ねた。
ローフィスは食べながらも頷き
「とっても便利だ」
と言葉を返す。
スフォルツァは目を見開くと
「…私は…まさかですよね?」
と尋ねるので、バルバロッサ王は問い返した。
「受け身の経験、まるで無いのか?」
スフォルツァは頷く。
王はしれっと言った。
「この機会に、経験したら?」
スフォルツァは青ざめ、食べ物を喉に詰まらせかけた。
「…どーしても男にホられるしか無いと言うのなら…私は相手はアイリスと決めてます」
言って顔を上げ、小声で囁く。
「ここには来ていませんが。
デルデロッテに、それは似ている美男子で…扱いも心配りも、行き届いていますから」
ローフィスが、食べ物を口に入れたまま笑い出す。
オーガスタスも同様。
「お前…そうだったの?」
ローフィスが笑いながら言うと、オーガスタスも頷く。
「…アイリス狙いだったのか…」
スフォルツァは真っ赤に成ると
「だから…どーしてもホられるしかない場合です!
出来れば、一生ホられたくないですが!」
と先輩二人を怒鳴りつけた。
“アイリス”を知らない王とエディエルゼの脳裏に、ラフィーレが親切に、映像を送った。
流石にアースルーリンドの者らしく、綺羅綺羅しくって美々しかったけど、確かにデルデロッテに似ていて、髪も目の色も同じ。
ただ、デルデロッテより華美な感じで、デルデの方がきりっとし、男らしかった。
「この容姿で…攻め?」
尋ねるバルバロッサ王に、オーガスタスが笑いながら告げた。
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