森と花の国の王子

あーす。

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アールドット国王の別邸

シャーレと出会うミラーシェン

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 けど横の映像は流れ続け、エディエルゼは視線が吸い寄せられた。

それからミラーシェンは、大抵二人から三人の男に、寝台の上で縛り付けられ、毎日体を嬲られ続ける…。

湯に浸かってる間も。
食事中も見張りが居て、香油を塗られ飾り立てられ…優美だがミラーシェンにとっては苦痛の、寝台のある部屋に連れて来られ、寝台に上がるなり手足を鎖で繋がれ…。
仮面の男達が入って来て…。
また体を好きなだけ嬲られる。

ある日とうとう、ミラーシェンは湯に浸かっていた時。
こっそり盗んだ食事用のナイフを取り出す。

“ごめん兄様…。
私はもう疲れた…。
毎日…毎日が男達にさけずまれる日々…。
もう…これ以上…耐え…られない…”

エディエルゼはそんなミラーシェンの映像を見るなり、ぎゅっ!ときつく、腕の中のミラーシェンを抱きしめた。

けどその時。
金の光の中に、少年の姿…。

“君…も?
逝ってしまうの…?
そしたら僕…ひとりぼっち…”

ミラーシェンは顔を上げる。
金の光に包まれ、金髪で青い瞳の、天使のような美少年は、とても悲しげで…。

ミラーシェンは彼に言った。
“天使…?”
シャーレは首を横に振る。
“ここに…居る。
君と同じ…。
気持ち悪いおじさんに、いつもいやらしい事される…。
お尻に、挿入れられるの…。
僕、あれ凄く嫌い…”

“逃げられないの?”
ミラーシェンが聞くと、シャーレは悲しげに首を横に振った。

“何とかいっぱい頑張ったんだけど…。
僕…が出来たのは…精神こころを飛ばすことだけ…”

ミラーシェンは自分と同い年らしいその美少年に、囁いた。
“でも、私と話せる…”

そう言った時。
シャーレは凄く嬉しそうに、微笑んだ…。

悲しげな天使のような美少年の…その笑顔を見たら。
ミラーシェンはもう、自分の命を絶てなかった。

シャーレは囁く。
“僕…少しずつ出来ること、増えてる…。
君にも、してあげる…。
嫌な事、されてる時。
精神を飛ばすの。
そうすると、吐き気がしないの…”

その後。
また、ミラーシェンは寝台に鎖で繋がれ、また仮面の男に体を嬲られたけど。
金の光が体を包み始め…感覚が、ぼうっ…と白んでくる。

触れられてる手の感触も、挿入されてる肉棒の感覚も、おぼろ…。

側に、幻のシャーレが笑っていた。

“ね?
これだと、辛くない…”

ミラーシェンも頷く。
“凄く、いい…”

けれどシャーレは俯く。
“…でも…僕寂しい…。
側に居る者はみんな、僕の事…人間って思ってないの。
綺麗な…大金を稼げるお人形…”

それを聞いて、ミラーシェンも頷いた。
“…うん…。
忘れそうになる…。
自分が、生きて意思のある人間だって事…”

“好きな事…何も出来ない…”

項垂れたシャーレにそう言われ、ミラーシェンは尋ねた。
“何がしたい?”
シャーレは微笑む。
“森の中で…木イチゴを摘むの!
とっても甘くって、美味しいんだよ…”

途端、周囲が森になって…ミラーシェンは体を嬲られてる感覚が遠くなり、森の中でシャーレと手を繋ぎ、駆けて木イチゴを探してた。

“凄い、シャーレ!
こんな事、出来るんだ!”

シャーレは駆けながら笑った。
“僕も出来るって、知らなかった!”

二人は楽しそうに…幻の森で木イチゴを摘んで…笑いながら食べた。

“甘い…”
ミラーシェンが言うと、シャーレも笑顔で頷いた。

そしてシャーレは…次第にいつも姿を見せるようになり…。
ミラーシェンと二人、精神を飛ばして崖の中を、宙に浮かんで彷徨う。

“どこにも…見張りが居る…”
ミラーシェンが言うと、シャーレは泣いた。
“君に実際に会うことすら、出来ない…”

ミラーシェンは泣いているシャーレを、抱きしめた。
精神でだったけど…。
シャーレはそれでいつも、落ち着いた。

けれどミラーシェンの心に、シャーレの声が響く。
“いつまで…?
いつまでこんな毎日…?”

ミラーシェンも、シャーレが離れ体に戻ると…そこら中、男の体液で汚され、後腔に挿入後の生々しい感覚と、手足がだるく、くたびれきっただるい…最早自分の物ですら無い体に、落胆していた…。

この体は、嬲る男達の為にだけ、存在してるよう。

けどまた湯殿に連れて行かれ、体を清められ…。
そしてまた体を飾り立てられ、後腔に薬を塗り込まれ…。
また、シーツが取り替えられ、整えられた寝台の上へ。
鎖で手足を縛られ…また…別の仮面の男達が、入って来る…。

事が始まると、いつの間にかシャーレの光で包み込まれ、意識は半分眠ったよう…。
“全部…消えてしまえばいいのに…。
こんな男達全部…。
兄様が斬り殺してくれたらいいのに…”

シャーレは尋ねる。
“…どこ…?”

ミラーシェンの意識を辿り、シャーレはエディエルゼの姿を探す。
エディエルゼは布で顔を隠し、たった一騎。
故郷を出て、南西にひた走る。
馬はエディエルゼを乗せて駆け続けるけど…。

“とても…遠い…”

シャーレが囁き、ミラーシェンはがっかりした。
“でもここに兄様が来たら…いくらお強くても、敵の数が多すぎて、命を落とされる…。
来なくって…いい…”

ミラーシェンはシャーレと共に、宙に浮く。
高い上空から、自分達の閉じ込められてる城を見る。

“近くに…助けてくれそうな人…居る?”

シャーレは探し、ラステル配下の小グループを見つける。
“こっち…あっちにも…。
でも、見張ってるだけみたい…”

ミラーシェンは尋ねた。
“誰の…配下?”

シャーレは彼らの意識から、遙か東のオーデ・フォール中央王国の王城を見る。

“遠いね…”

ミラーシェンが言うと、シャーレは頷く。

“王様か…王子様なら…助けてくれるかも…”
“探せる?”

シャーレはラステル配下から、ラステルを探し出し…城の廊下を歩くラステルの姿を見つけ…けれど突然、頭を振る。

“ダメ…。
もう無理。
頭痛が…”
“じゃ、止めて。
無理しないで。
オーデ・フォール中央王国の王子様…兄様を助けてくれるかな?
たった一人で…兄様、ここに来ちゃダメ…”

シャーレは頭を押さえ、囁いた。
“分からない…けど、見張りしてる配下の人達が…もしかして………”

ミラーシェンはその時、涙を浮かべて微笑んだ。

“また、兄様に会える?!
会える?!!!!”

シャーレは囁く。
“分からない…。
そんなに好きな人?”
“大好き!
とっても綺麗で…でも凄く強くて…そしてとても…お優しいんだ!”

エディエルゼはそれを聞いた途端、涙が溢れて止まらなくなって、ぎゅっ!とミラーシェンを抱きしめた。

けれどその時、映像は止まり、抱きしめられたミラーシェンは、暗い声で囁いた。

“…けど私…の体…。
散々汚され…もう…元に戻らない…”

エディエルゼは顔を上げ、落胆しきった声で囁く、ミラーシェンを見た。

とても大人びて…けれど希望の無い表情で。
エディエルゼはまた、涙が込み上げ、頬に涙を伝わせた。
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