27 / 44
花祭り
花祭り 4
しおりを挟む
マディアンは、とても素直に自分の感情を見せるオーガスタスを見つめ、そっ…とつぶやいた。
「…きっと…ご両親にとても、愛されていらっしゃったのね。
二人は貴方が、可愛くて仕方なかったんだわ」
言って、オーガスタスが振り向き、その瞼(まぶた)の奥に深い悲しみが浮かび、マディアンははっ…として…。
慌てて口に、手を当てる。
けれどオーガスタスは顔を背け、微笑み、笑顔をマディアンに向けて囁(ささや)く。
「ええ。一人っ子だったし駆け落ちだったので、余計でしょう」
「…駆け落ち…されたの?」
オーガスタスは俯く。
「…父は私同様の近衛の騎士で、准将(じゅんしょう)の地位を捨て…。
母は大公に見初(みそ)められ、大公夫人の座を捨てて…逃げたそうです」
マディアンが、それを聞いて言葉も無く俯く。
オーガスタスはそんなマディアンを気遣うように、優しく囁く。
「貴方は?
私がお会いしたご両親に、そんなドラマは何も無いのですか?」
マディアンは、オーガスタスの言葉に振り向く。
「ご覧の通り…母はいつも娘達の相手で忙しく…父は出荷の役人で…。
いつもくたびれきって、帰って来ますわ。
平凡な、両親です」
オーガスタスは帰り際、挨拶をかわしただけの、彼女の父親を思い出す。
顔立ちは良く感じも良かったが、言われた通り、くたびれきっている様子で
「お嬢さんの怪我は私の不手際のせいで…」
と詫(わ)びを言ったが、彼はびっくりして
「妻から聞いているが、左将軍様にこんな配慮をして頂き、大事な片腕を娘の世話係にして頂くなんて、恐縮(きょうしゅく)なのはこちらだ。
謝罪は必要ありません!」
そう、言われた。
けれど大変疲れているので。
と言われ、頷いて背を向けた。
二人の背後にいた四女アンローラが、会話を聞いていたのか、突然叫ぶ。
「お父様は、手抜きが出来ないのよ!」
次女エレイスも、口を揃えて叫んだ。
「出荷に来た農民達に、不都合があると直ぐ、駆けつけられて…。
母様も、お給料以上に働いてるって!」
「…だが、良い事だ」
オーガスタスのその言葉に、ローフィスも頷く。
「財産では計(はか)れない。
彼は親身になったたくさんの人々に、いつも感謝を受けているんでしょう?
偉大な方ですよ」
ローフィスの言葉に、かしましかった姉妹らは、しん…となる。
次女、エレイスが顔を上げて囁く。
「マディアンお姉様はよく、奥さんが病気になった…。
お父様がいつも出荷を請(う)け負(お)っている農民の、子供の世話に出向かれたりするの」
四女アンローラも、小声でつぶやいた。
「旦那さんが出荷の準備で忙しくて、奥さんの看病も、子供の世話も出来ないから」
オーガスタスが、マディアンを見つめる。
マディアンはオーガスタスを見上げ、言った。
「…ですから、薬草にも詳(くわ)しいわ。
貴方がどれだけお怪我をしても、私看病できます」
オーガスタスは目を見開き、妹達はそんな彼を見て、くすくすと笑った。
次女、エレイスが囁く。
「マディアンお姉様、ご自分をオーガスタス様に、売り込んでいらっしゃるの?」
アンローラが、少しむくれたように言う。
「あら。
シェダーズ様は?
私お姉様と凄く、お似合いだと思ったのだけど」
けれど後ろにいたラロッタは、反論する。
「私、シェダーズ様とオーガスタス様なら、絶対オーガスタス様を選ぶわ!」
アンローラが、背後に振り向き、尋ねる。
「左将軍補佐で、ご身分が高いから?」
ラロッタは、解ってないわね!と妹を睨み
「うんと男らしくて、逞しいからよ!
貴方だって、シェダーズ様といるよりオーガスタス様といる方が、絶対ドキドキすると思うわ!」
と言い切った。
けど、アンローラは異論を唱える。
「私、ギュンター様だと、心臓が跳ね上がるけど」
ローフィスはそれを聞いて
「きっとギュンター以外の男は、視界に入ってないんだな」
と呟く。
が、エレイスとアンローラは両側から、ローフィスの腕を取ると微笑みかけ
「ローフィス様が婚約者を振って、私が好きだ。
と言って下さったら、きっと心がぐらぐら揺れるわ!」
「私も!」
そう言って、ローフィスを困らせていた。
けれどラロッタが、自分の意見を披露する。
「確かにギュンター様って、とってもお綺麗で…。
シェダーズ様もローフィス様も、本当に素敵で、理想の旦那様だとは思うわ。
でも私はやっぱり、オーガスタス様が一番男らしくて騎士って感じで、お姉様とお似合いだと思う」
一番後ろでアンリースと並んで歩いてたラロッタは、そう言いながらローフィスに両側から腕を絡ませてる、アンローラとエレイスの横に進んで来る。
アンリースも、先へと進む、ラロッタの横に並ぼうと早足になって
「私も…お義兄様。
ってお呼びするのは、オーガスタス様だと嬉しいわ」
と小声で囁くものだから、エレイスとアンローラは思わず、真ん中のローフィスを見上げた。
ローフィスは前を歩くオーガスタスに
「家族公認だ。
もらったようなもんだな?!」
とぶっきらぼうに告げ、振り向くオーガスタスに軽く睨まれ、言い諭された。
「野郎同士でその言い草は、容認出来るが」
低い声音でそう釘を刺すオーガスタスを、マディアンも目を見開いて見たし、ラロッタもアンリースも見た。
「…迫力だわ」
ラロッタが囁くと、アンリースも頷いた。
「凄く、男っぽくて素敵」
オーガスタスは気づくと、そう言う二人を思わず見つめ、その後、顔を戻し、腕に抱くマディアンまでもが、目を見開いて自分を見てるのに気づく。
それで、慌てて言った。
「失礼。
女性の前では極力、あまり男臭くならないよう、務めていますが…」
と言い訳し、背後のローフィスを見る。
ローフィスはにこにこしていて
「近衛では、あれよりもっと迫力があって男らしいんですよ。
もう、“可愛い”とは、思われませんね?」
そう、女性達に念押しするものの。
アンローラに
「あら!
いつもとても男らしい方が、困っていらしたら…」
と言いかけ、エレイスも
「やっぱり、“可愛い”と思うわ。
いけないの?」
とローフィスを伺って問い。
ラロッタも
「そういう、“可愛い”部分も、無いと困るわ!」
と叫び、アンリースまでもが頷く。
「…でないと、私達なんて…相手にして下さらないでしょう?」
マディアンも
「ええ。
とてもお優しくて、温かい心根を持っていらっしゃるから。
私達も、いらっしゃるのがとっても楽しみなんですのよ?」
と同意する。
マディアンの賛同に、引っ込み思案の末っ子、アンリースは嬉しそうで。
ラロッタも笑顔になり、アンローラもはしゃいだ声でローフィスに叫ぶ。
「もう、朝からお母様を入れてみんな、いついらっしゃるか、って。
わくわくして、大騒ぎなの!」
エレイスも、ローフィスの腕を引くと
「もちろん、ローフィス様もご一緒頂けないと、私達、すごーーーく、がっかりするから!」
と告げるので、ローフィスはぼやいた。
「本当に?
俺はおマケ、とか、思ってませんか?」
その言葉に、みんな一斉に笑い、マディアンまでもがくすくす笑って。
オーガスタスも、全開の笑顔を披露した。
「…きっと…ご両親にとても、愛されていらっしゃったのね。
二人は貴方が、可愛くて仕方なかったんだわ」
言って、オーガスタスが振り向き、その瞼(まぶた)の奥に深い悲しみが浮かび、マディアンははっ…として…。
慌てて口に、手を当てる。
けれどオーガスタスは顔を背け、微笑み、笑顔をマディアンに向けて囁(ささや)く。
「ええ。一人っ子だったし駆け落ちだったので、余計でしょう」
「…駆け落ち…されたの?」
オーガスタスは俯く。
「…父は私同様の近衛の騎士で、准将(じゅんしょう)の地位を捨て…。
母は大公に見初(みそ)められ、大公夫人の座を捨てて…逃げたそうです」
マディアンが、それを聞いて言葉も無く俯く。
オーガスタスはそんなマディアンを気遣うように、優しく囁く。
「貴方は?
私がお会いしたご両親に、そんなドラマは何も無いのですか?」
マディアンは、オーガスタスの言葉に振り向く。
「ご覧の通り…母はいつも娘達の相手で忙しく…父は出荷の役人で…。
いつもくたびれきって、帰って来ますわ。
平凡な、両親です」
オーガスタスは帰り際、挨拶をかわしただけの、彼女の父親を思い出す。
顔立ちは良く感じも良かったが、言われた通り、くたびれきっている様子で
「お嬢さんの怪我は私の不手際のせいで…」
と詫(わ)びを言ったが、彼はびっくりして
「妻から聞いているが、左将軍様にこんな配慮をして頂き、大事な片腕を娘の世話係にして頂くなんて、恐縮(きょうしゅく)なのはこちらだ。
謝罪は必要ありません!」
そう、言われた。
けれど大変疲れているので。
と言われ、頷いて背を向けた。
二人の背後にいた四女アンローラが、会話を聞いていたのか、突然叫ぶ。
「お父様は、手抜きが出来ないのよ!」
次女エレイスも、口を揃えて叫んだ。
「出荷に来た農民達に、不都合があると直ぐ、駆けつけられて…。
母様も、お給料以上に働いてるって!」
「…だが、良い事だ」
オーガスタスのその言葉に、ローフィスも頷く。
「財産では計(はか)れない。
彼は親身になったたくさんの人々に、いつも感謝を受けているんでしょう?
偉大な方ですよ」
ローフィスの言葉に、かしましかった姉妹らは、しん…となる。
次女、エレイスが顔を上げて囁く。
「マディアンお姉様はよく、奥さんが病気になった…。
お父様がいつも出荷を請(う)け負(お)っている農民の、子供の世話に出向かれたりするの」
四女アンローラも、小声でつぶやいた。
「旦那さんが出荷の準備で忙しくて、奥さんの看病も、子供の世話も出来ないから」
オーガスタスが、マディアンを見つめる。
マディアンはオーガスタスを見上げ、言った。
「…ですから、薬草にも詳(くわ)しいわ。
貴方がどれだけお怪我をしても、私看病できます」
オーガスタスは目を見開き、妹達はそんな彼を見て、くすくすと笑った。
次女、エレイスが囁く。
「マディアンお姉様、ご自分をオーガスタス様に、売り込んでいらっしゃるの?」
アンローラが、少しむくれたように言う。
「あら。
シェダーズ様は?
私お姉様と凄く、お似合いだと思ったのだけど」
けれど後ろにいたラロッタは、反論する。
「私、シェダーズ様とオーガスタス様なら、絶対オーガスタス様を選ぶわ!」
アンローラが、背後に振り向き、尋ねる。
「左将軍補佐で、ご身分が高いから?」
ラロッタは、解ってないわね!と妹を睨み
「うんと男らしくて、逞しいからよ!
貴方だって、シェダーズ様といるよりオーガスタス様といる方が、絶対ドキドキすると思うわ!」
と言い切った。
けど、アンローラは異論を唱える。
「私、ギュンター様だと、心臓が跳ね上がるけど」
ローフィスはそれを聞いて
「きっとギュンター以外の男は、視界に入ってないんだな」
と呟く。
が、エレイスとアンローラは両側から、ローフィスの腕を取ると微笑みかけ
「ローフィス様が婚約者を振って、私が好きだ。
と言って下さったら、きっと心がぐらぐら揺れるわ!」
「私も!」
そう言って、ローフィスを困らせていた。
けれどラロッタが、自分の意見を披露する。
「確かにギュンター様って、とってもお綺麗で…。
シェダーズ様もローフィス様も、本当に素敵で、理想の旦那様だとは思うわ。
でも私はやっぱり、オーガスタス様が一番男らしくて騎士って感じで、お姉様とお似合いだと思う」
一番後ろでアンリースと並んで歩いてたラロッタは、そう言いながらローフィスに両側から腕を絡ませてる、アンローラとエレイスの横に進んで来る。
アンリースも、先へと進む、ラロッタの横に並ぼうと早足になって
「私も…お義兄様。
ってお呼びするのは、オーガスタス様だと嬉しいわ」
と小声で囁くものだから、エレイスとアンローラは思わず、真ん中のローフィスを見上げた。
ローフィスは前を歩くオーガスタスに
「家族公認だ。
もらったようなもんだな?!」
とぶっきらぼうに告げ、振り向くオーガスタスに軽く睨まれ、言い諭された。
「野郎同士でその言い草は、容認出来るが」
低い声音でそう釘を刺すオーガスタスを、マディアンも目を見開いて見たし、ラロッタもアンリースも見た。
「…迫力だわ」
ラロッタが囁くと、アンリースも頷いた。
「凄く、男っぽくて素敵」
オーガスタスは気づくと、そう言う二人を思わず見つめ、その後、顔を戻し、腕に抱くマディアンまでもが、目を見開いて自分を見てるのに気づく。
それで、慌てて言った。
「失礼。
女性の前では極力、あまり男臭くならないよう、務めていますが…」
と言い訳し、背後のローフィスを見る。
ローフィスはにこにこしていて
「近衛では、あれよりもっと迫力があって男らしいんですよ。
もう、“可愛い”とは、思われませんね?」
そう、女性達に念押しするものの。
アンローラに
「あら!
いつもとても男らしい方が、困っていらしたら…」
と言いかけ、エレイスも
「やっぱり、“可愛い”と思うわ。
いけないの?」
とローフィスを伺って問い。
ラロッタも
「そういう、“可愛い”部分も、無いと困るわ!」
と叫び、アンリースまでもが頷く。
「…でないと、私達なんて…相手にして下さらないでしょう?」
マディアンも
「ええ。
とてもお優しくて、温かい心根を持っていらっしゃるから。
私達も、いらっしゃるのがとっても楽しみなんですのよ?」
と同意する。
マディアンの賛同に、引っ込み思案の末っ子、アンリースは嬉しそうで。
ラロッタも笑顔になり、アンローラもはしゃいだ声でローフィスに叫ぶ。
「もう、朝からお母様を入れてみんな、いついらっしゃるか、って。
わくわくして、大騒ぎなの!」
エレイスも、ローフィスの腕を引くと
「もちろん、ローフィス様もご一緒頂けないと、私達、すごーーーく、がっかりするから!」
と告げるので、ローフィスはぼやいた。
「本当に?
俺はおマケ、とか、思ってませんか?」
その言葉に、みんな一斉に笑い、マディアンまでもがくすくす笑って。
オーガスタスも、全開の笑顔を披露した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
