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二年宿舎の大騒動
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ディングレーとオーガスタスが、二年宿舎の扉を開けた時。
食堂では群れて対抗する二年らと。
群れを掻き分けようとする四・三年グーデン配下のデカい男らが、邪魔者を殴りつけては多数の二年に押し戻され、もがいてはまた殴りつけての、大騒動だった。
二年大貴族宿舎に続く階段では、登って来ようとする二年グーデン配下らを、階段上のローランデとシュルツが蹴り落とそうと、足を振りまくっている。
オーガスタスは群れに押し出され、どっっ!と腹に倒れかかる三年グーデン配下の一人の襟首掴み、後ろに放り投げ、また群れる二年の一人に拳振り上げるダランドステの拳を、背後から握り止める。
髪を振って振り向くダランドステは、振り向いてもそこに胸が。
顔を上げて初めて、オーガスタスの整った小顔が見え、一瞬で背筋を冷やす。
が、がっっっ!
と間髪入れず顎に思いっきりオーガスタスの拳喰らい、顔がぶれたように振られ
どっすん!!!
と、足を一瞬浮かしてその場に落下するように、腰落とす。
皆がボス格ダランドステが倒されるのを見、そして立ちはだかるオーガスタスに気づき、その場は一瞬で静まり返った。
ディングレーはとっくに群れを掻き分け、階段下に詰め寄る四年グーデン配下の大貴族、コルスティンを行かせまいと、掴み合いを始めてた。
が、静まり返る周囲に、二人共が気づく。
オーガスタスがまだ小柄な二年らに
「お前ら、端に引いてろ」
と笑顔を向ける。
皆は頷き、少しずつ、取り囲んでたグーデン配下らより離れ始める。
二年らが端に引いた時。
一塊に群れる、三・四年のデカいグーデン配下らが、まるで床に腰下ろしてるみたいなボス格のダランドステに、視線向ける。
ダランドステはだらん…と両腕下に下げ、顔も下げ、意識があるかどうかも怪しい。
四年大貴族のコルスティンだけは、ディングレーの肩の衣服を掴み退け、叫ぶ。
「セシャル!!!
セシャル戻れ!!!
戻って来い!!!」
ディングレーは直ぐコルスティンの腕を掴み、力尽くで引き戻す。
階段上の大貴族宿舎では、フィンスがラナーンを私室の寝室へと運び込み、レナルアンが後に続いて、フィンスの居間へと入るなり椅子に腰掛け。
フィンスの部屋の前を通り過ぎたヤッケルは、セシャルとミーシャをローランデに部屋へ導こうと、二人を必死で促す。
が、コルスティンの叫びを聞き、セシャルが後ろの階段方向へ振り向くのを、目を見開いて見た。
「セシャル!!!
戻って来い!!!」
ヤッケルはローランデの部屋の扉を開け、急いでミーシャを中に入れ、セシャルに振り向く。
が、セシャルは躊躇うように立ちすくみ…ヤッケルに振り向く。
ヤッケルは言葉が出ず、手を振って
“入って!!!”
と慌てて示す。
が、セシャルはもう一度振り向き…。
見守るヤッケルから顔を背け、階段の方をじっ…と見つめた後。
まるで決別するように顔を戻し、開いた扉に駆け込んだ。
バタン!!!
扉を閉めたヤッケルは、ほっと胸をなで下ろし、閉めた扉にもたれかかって、大きな吐息を吐き出した。
階下ではオーガスタスが、グーデン一味にズイ!!!と詰め寄ると、固まってた全員が蜘蛛の子を散らすようにバラバラの方向へと、一斉に逃げ出す。
が、周囲に陣取った二年らに立ち塞がれ
「オーガスタスは後ろだ!!!」
「出口は遠いぞ!!!」
と叫ばれ、睨み付けられて唇を噛んだ。
立ち止まるグーデン配下の背後からオーガスタスの腕は伸び、襟首掴み一瞬で持ち上げ、ブン!!!と音を唸らせ投げ飛ばす。
ダダンッ!!!
グーデン配下の一人はテーブルの上に吹っ飛ばされ、背を打って痛みに呻いた。
オーガスタスが寄ろうとすると、追いかけられたグーデン配下の三年は、決死で足を使って逃げ出す。
一人が駆け出すと他も一斉に駆け始め、オーガスタスを避けて回り込み、出口へと決死で駆ける。
ギュンターが、二年宿舎の玄関階段を駆け上がろうとした時。
階段上には一年グーデン配下のドラーケンらが、開いた扉から中の様子を伺い、加勢しようかどうしようか、迷いまくってた。
「おい…!!!
参加しないんなら、そこを退け!!!」
怒鳴られて振り向くドラーケンは、暗がりに獣のように光る、ギュンターの紫の瞳に、ぞっ…とする。
まるで今にも喰い付きそうな、猛獣そのもの。
ドラーケンは階段上から、横へと飛んで茂みの中に飛び降り、一年宿舎へ逃げ戻り始め、取り残された他の一年グーデン配下は、光る紫の瞳に怯えながら固まり、ギュンターが階段を駆け上がり始めると、慌ててドラーケンに続き、階段横を続々と飛び降り、逃げ始めた。
ギュンターは開いた扉に飛び込もうと進み始めた途端、突進して来る四年グーデン配下の男とはち合わせ、顔をぶつけそうになって一瞬で顔を後ろに引き、体を横に避けると、さっ!と足を差し出す。
そのまま宿舎を駆け出ようとした四年グーデン配下は、ギュンターの足に引っかかって、つんのめり。
そのまま階段上から一番下へと、飛んで転げ落ちた。
ダダダンッ!!!
着地できず肩から転がり、肩を掴んで痛がり俯せに倒れる。
ギュンターが横向けた体を戻し、宿舎に入ろうとすると、また直ぐ飛び出して来るグーデン配下に阻まれ、今度は歩を止めず体を捻って向かって来る体に肘を突き入れて吹っ飛ばし、遮二無二進もうとするが、直ぐ出口に突進して来るグーデン配下と、またもはち合わせる。
その時、ようやくグーデン配下らは逃げ出してるのだとギュンターは気づき、横に避けると、突進してきた配下の男はギュンターに構わず、宿舎を一目散に逃げ出して行った。
ようやく宿舎内に入ったギュンターが、目にしたのは。
オーガスタスが、また一人のグーデン配下の男の襟首掴んで振り回し、そのまま投げ飛ばし。
投げられた男は宙を飛んで、背からテーブルの上に、音立てて落ちた。
どどんっっっ!!!
他の数名は、戸口に走ろうにも間をオーガスタスに阻まれ、必死に隙を狙って扉へ駆けようと、幾度も足を踏み出そうとしては、止めていた。
階段上では、ローランデとシュルツが。
コルスティンが上がって来るかも。
と待ち構えてた。
ディングレーと掴み合いの末、腕の布掴まれたまま駆け上がってこようとするコルスティンが、阻むローランデを激しく睨み付け、ディングレーが歯を食い縛って上がろうとするコルスティンを睨み付け、腕と肩の衣服の布掴んで力尽くで引きずり下ろそうと、力を込める。
が、ローランデとシュルツの間から、姿を見せるローフィスに気づく。
蹴る体勢なのに目を見開き、一瞬でディングレーはコルスティンを手放し、手すりに身を寄せた。
コルスティンは突然離され、一瞬ディングレーに振り向く。
が、その隙に階段上のローフィスに、思いっきり胸を蹴りつけられ、後ろに吹っ飛んで階段を転げ落ちた。
ズダダダダンッ!!!
階下では、また一人。
オーガスタスの隙を狙って駆け出す。
が、振り向くオーガスタスのリーチの長い腕に喉元を掬われ、腕に首が引っかかったまま、振られるオーガスタスの腕に振り回され、来た方向に押し戻され、吹っ飛んで行った。
オーガスタスが、腕にグーデン配下の首を挟んで振り回してる、真っ最中。
反対側の一人が、その隙に出口に向かい、一気に駆け出す。
横に避けてたギュンターは、足をひっかけてやろうと待ち構えてた。
がそれより先に、足も長いオーガスタスが、さっ!!!と進路に足を差し出し、出口を見つめ決死で駆けてた配下は、ギュンターの目の前で
どたっ!!!
と音立てて顔から床に、突っ込んで倒れた。
最後の一人が駆け出す機会を無くし、背後を二年らに阻まれ、オタついてると。
オーガスタスが、ズカズカ進んで来る。
一歩。
また一歩と後ろに下がるが、二年らにつっかえ、背を、どんっ!!!とオーガスタスの方へと押し出され、オーガスタスに抱きつきそうになって、必死に踏みとどまる。
が、横からオーガスタスの拳が降って来て、横に一瞬で、吹っ飛んだ。
ダダンッ!!!
宿舎内に残ったグーデン配下が一人残らず床に突っ伏し、沈められた時。
二年らは一斉に、オーガスタスに声援と拍手を送る。
オオーーーーーーーーーッ!!!
ヒューーーーーーーーー!!!
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちっ!!!
ギュンターは端に避けた二年らが、一斉に笑顔でオーガスタスに拍手送る様子を見、だだっ広い食堂中央に、堂とした体格のオーガスタスの、勇姿を見た。
オーガスタスは軽く腕を振り上げ、声援と拍手に応えた。
が、直ぐ転がって呻いてるグーデン配下に、屈み掴むと、宿舎の出口へと、床を引きずって運び始めた。
仕方無くギュンターも、転がり気絶してる四年の襟ぐり掴み、持ち上げようとした。
が、重すぎて無理。
ディングレーが横に来ると
「そっちの腕、持て」
と言い、ディングレーと片腕ずつ持ち、二人で引きずって、出口から階段へと、二人同時に放り投げた。
階段上でその様を見ていたシュルツとローランデは、手伝ったものかどうか。
互いを見つめ合って躊躇ってると、前に立つローフィスに振り向かれ
「ラナーンやその他の愛玩らの様子、看なくていいのか?」
と聞かれ、ほっとして宿舎の方へと、二人揃って歩き出した。
ローフィスは、階段下を見た。
二年らも手伝い、大勢で一人のデカいグーデン配下の男を、戸口へと引きずって行き、途中オーガスタスに引き継がれ、たった一人で簡単に出口から放り出す、オーガスタスの力技に、二年らはしきりに感心しきってた。
ディングレーとギュンターは二人して、また一人。
片腕ずつ引っ張り、戸口へ運んでいた。
「後は力自慢に、任せればいいか…」
そうローフィスが呟くと。
オーガスタスには、まるでそれが聞こえてるかのように顔を上げ、階段上のローフィスを見上げ
「上を頼む!!!」
と叫ぶ。
ローフィスは
「任せろ!」
と声を張り上げ、頷いた。
食堂では群れて対抗する二年らと。
群れを掻き分けようとする四・三年グーデン配下のデカい男らが、邪魔者を殴りつけては多数の二年に押し戻され、もがいてはまた殴りつけての、大騒動だった。
二年大貴族宿舎に続く階段では、登って来ようとする二年グーデン配下らを、階段上のローランデとシュルツが蹴り落とそうと、足を振りまくっている。
オーガスタスは群れに押し出され、どっっ!と腹に倒れかかる三年グーデン配下の一人の襟首掴み、後ろに放り投げ、また群れる二年の一人に拳振り上げるダランドステの拳を、背後から握り止める。
髪を振って振り向くダランドステは、振り向いてもそこに胸が。
顔を上げて初めて、オーガスタスの整った小顔が見え、一瞬で背筋を冷やす。
が、がっっっ!
と間髪入れず顎に思いっきりオーガスタスの拳喰らい、顔がぶれたように振られ
どっすん!!!
と、足を一瞬浮かしてその場に落下するように、腰落とす。
皆がボス格ダランドステが倒されるのを見、そして立ちはだかるオーガスタスに気づき、その場は一瞬で静まり返った。
ディングレーはとっくに群れを掻き分け、階段下に詰め寄る四年グーデン配下の大貴族、コルスティンを行かせまいと、掴み合いを始めてた。
が、静まり返る周囲に、二人共が気づく。
オーガスタスがまだ小柄な二年らに
「お前ら、端に引いてろ」
と笑顔を向ける。
皆は頷き、少しずつ、取り囲んでたグーデン配下らより離れ始める。
二年らが端に引いた時。
一塊に群れる、三・四年のデカいグーデン配下らが、まるで床に腰下ろしてるみたいなボス格のダランドステに、視線向ける。
ダランドステはだらん…と両腕下に下げ、顔も下げ、意識があるかどうかも怪しい。
四年大貴族のコルスティンだけは、ディングレーの肩の衣服を掴み退け、叫ぶ。
「セシャル!!!
セシャル戻れ!!!
戻って来い!!!」
ディングレーは直ぐコルスティンの腕を掴み、力尽くで引き戻す。
階段上の大貴族宿舎では、フィンスがラナーンを私室の寝室へと運び込み、レナルアンが後に続いて、フィンスの居間へと入るなり椅子に腰掛け。
フィンスの部屋の前を通り過ぎたヤッケルは、セシャルとミーシャをローランデに部屋へ導こうと、二人を必死で促す。
が、コルスティンの叫びを聞き、セシャルが後ろの階段方向へ振り向くのを、目を見開いて見た。
「セシャル!!!
戻って来い!!!」
ヤッケルはローランデの部屋の扉を開け、急いでミーシャを中に入れ、セシャルに振り向く。
が、セシャルは躊躇うように立ちすくみ…ヤッケルに振り向く。
ヤッケルは言葉が出ず、手を振って
“入って!!!”
と慌てて示す。
が、セシャルはもう一度振り向き…。
見守るヤッケルから顔を背け、階段の方をじっ…と見つめた後。
まるで決別するように顔を戻し、開いた扉に駆け込んだ。
バタン!!!
扉を閉めたヤッケルは、ほっと胸をなで下ろし、閉めた扉にもたれかかって、大きな吐息を吐き出した。
階下ではオーガスタスが、グーデン一味にズイ!!!と詰め寄ると、固まってた全員が蜘蛛の子を散らすようにバラバラの方向へと、一斉に逃げ出す。
が、周囲に陣取った二年らに立ち塞がれ
「オーガスタスは後ろだ!!!」
「出口は遠いぞ!!!」
と叫ばれ、睨み付けられて唇を噛んだ。
立ち止まるグーデン配下の背後からオーガスタスの腕は伸び、襟首掴み一瞬で持ち上げ、ブン!!!と音を唸らせ投げ飛ばす。
ダダンッ!!!
グーデン配下の一人はテーブルの上に吹っ飛ばされ、背を打って痛みに呻いた。
オーガスタスが寄ろうとすると、追いかけられたグーデン配下の三年は、決死で足を使って逃げ出す。
一人が駆け出すと他も一斉に駆け始め、オーガスタスを避けて回り込み、出口へと決死で駆ける。
ギュンターが、二年宿舎の玄関階段を駆け上がろうとした時。
階段上には一年グーデン配下のドラーケンらが、開いた扉から中の様子を伺い、加勢しようかどうしようか、迷いまくってた。
「おい…!!!
参加しないんなら、そこを退け!!!」
怒鳴られて振り向くドラーケンは、暗がりに獣のように光る、ギュンターの紫の瞳に、ぞっ…とする。
まるで今にも喰い付きそうな、猛獣そのもの。
ドラーケンは階段上から、横へと飛んで茂みの中に飛び降り、一年宿舎へ逃げ戻り始め、取り残された他の一年グーデン配下は、光る紫の瞳に怯えながら固まり、ギュンターが階段を駆け上がり始めると、慌ててドラーケンに続き、階段横を続々と飛び降り、逃げ始めた。
ギュンターは開いた扉に飛び込もうと進み始めた途端、突進して来る四年グーデン配下の男とはち合わせ、顔をぶつけそうになって一瞬で顔を後ろに引き、体を横に避けると、さっ!と足を差し出す。
そのまま宿舎を駆け出ようとした四年グーデン配下は、ギュンターの足に引っかかって、つんのめり。
そのまま階段上から一番下へと、飛んで転げ落ちた。
ダダダンッ!!!
着地できず肩から転がり、肩を掴んで痛がり俯せに倒れる。
ギュンターが横向けた体を戻し、宿舎に入ろうとすると、また直ぐ飛び出して来るグーデン配下に阻まれ、今度は歩を止めず体を捻って向かって来る体に肘を突き入れて吹っ飛ばし、遮二無二進もうとするが、直ぐ出口に突進して来るグーデン配下と、またもはち合わせる。
その時、ようやくグーデン配下らは逃げ出してるのだとギュンターは気づき、横に避けると、突進してきた配下の男はギュンターに構わず、宿舎を一目散に逃げ出して行った。
ようやく宿舎内に入ったギュンターが、目にしたのは。
オーガスタスが、また一人のグーデン配下の男の襟首掴んで振り回し、そのまま投げ飛ばし。
投げられた男は宙を飛んで、背からテーブルの上に、音立てて落ちた。
どどんっっっ!!!
他の数名は、戸口に走ろうにも間をオーガスタスに阻まれ、必死に隙を狙って扉へ駆けようと、幾度も足を踏み出そうとしては、止めていた。
階段上では、ローランデとシュルツが。
コルスティンが上がって来るかも。
と待ち構えてた。
ディングレーと掴み合いの末、腕の布掴まれたまま駆け上がってこようとするコルスティンが、阻むローランデを激しく睨み付け、ディングレーが歯を食い縛って上がろうとするコルスティンを睨み付け、腕と肩の衣服の布掴んで力尽くで引きずり下ろそうと、力を込める。
が、ローランデとシュルツの間から、姿を見せるローフィスに気づく。
蹴る体勢なのに目を見開き、一瞬でディングレーはコルスティンを手放し、手すりに身を寄せた。
コルスティンは突然離され、一瞬ディングレーに振り向く。
が、その隙に階段上のローフィスに、思いっきり胸を蹴りつけられ、後ろに吹っ飛んで階段を転げ落ちた。
ズダダダダンッ!!!
階下では、また一人。
オーガスタスの隙を狙って駆け出す。
が、振り向くオーガスタスのリーチの長い腕に喉元を掬われ、腕に首が引っかかったまま、振られるオーガスタスの腕に振り回され、来た方向に押し戻され、吹っ飛んで行った。
オーガスタスが、腕にグーデン配下の首を挟んで振り回してる、真っ最中。
反対側の一人が、その隙に出口に向かい、一気に駆け出す。
横に避けてたギュンターは、足をひっかけてやろうと待ち構えてた。
がそれより先に、足も長いオーガスタスが、さっ!!!と進路に足を差し出し、出口を見つめ決死で駆けてた配下は、ギュンターの目の前で
どたっ!!!
と音立てて顔から床に、突っ込んで倒れた。
最後の一人が駆け出す機会を無くし、背後を二年らに阻まれ、オタついてると。
オーガスタスが、ズカズカ進んで来る。
一歩。
また一歩と後ろに下がるが、二年らにつっかえ、背を、どんっ!!!とオーガスタスの方へと押し出され、オーガスタスに抱きつきそうになって、必死に踏みとどまる。
が、横からオーガスタスの拳が降って来て、横に一瞬で、吹っ飛んだ。
ダダンッ!!!
宿舎内に残ったグーデン配下が一人残らず床に突っ伏し、沈められた時。
二年らは一斉に、オーガスタスに声援と拍手を送る。
オオーーーーーーーーーッ!!!
ヒューーーーーーーーー!!!
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちっ!!!
ギュンターは端に避けた二年らが、一斉に笑顔でオーガスタスに拍手送る様子を見、だだっ広い食堂中央に、堂とした体格のオーガスタスの、勇姿を見た。
オーガスタスは軽く腕を振り上げ、声援と拍手に応えた。
が、直ぐ転がって呻いてるグーデン配下に、屈み掴むと、宿舎の出口へと、床を引きずって運び始めた。
仕方無くギュンターも、転がり気絶してる四年の襟ぐり掴み、持ち上げようとした。
が、重すぎて無理。
ディングレーが横に来ると
「そっちの腕、持て」
と言い、ディングレーと片腕ずつ持ち、二人で引きずって、出口から階段へと、二人同時に放り投げた。
階段上でその様を見ていたシュルツとローランデは、手伝ったものかどうか。
互いを見つめ合って躊躇ってると、前に立つローフィスに振り向かれ
「ラナーンやその他の愛玩らの様子、看なくていいのか?」
と聞かれ、ほっとして宿舎の方へと、二人揃って歩き出した。
ローフィスは、階段下を見た。
二年らも手伝い、大勢で一人のデカいグーデン配下の男を、戸口へと引きずって行き、途中オーガスタスに引き継がれ、たった一人で簡単に出口から放り出す、オーガスタスの力技に、二年らはしきりに感心しきってた。
ディングレーとギュンターは二人して、また一人。
片腕ずつ引っ張り、戸口へ運んでいた。
「後は力自慢に、任せればいいか…」
そうローフィスが呟くと。
オーガスタスには、まるでそれが聞こえてるかのように顔を上げ、階段上のローフィスを見上げ
「上を頼む!!!」
と叫ぶ。
ローフィスは
「任せろ!」
と声を張り上げ、頷いた。
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