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シェイルの幸福な夢
しおりを挟むローフィスはシェイルの、寝台からはみ出した足を持ち上げ…抱き上げて寝台に仰向かせ、枕に頭を乗せて横たえ、布団をかける。
けれど自分も…眠気に襲われ、シェイルの横に仰向けて横たわる。
気づいて…横のシェイルの、手を握ってみる…。
シェイルは眠っているのに、微笑んで…無意識にローフィスの手を、握り返す。
ローフィスはシェイルと手を繋いだまま…いつの間にか、眠りに落ちた。
晴れ渡る青空。
輝く緑の草原…。
風で一斉に草がなびく。
シェイルは笑顔で、ローフィスを迎える。
微笑んで。
そして、駆け寄るローフィスを見つけると、背を向けて駆け出す。
振り向いて微笑み
『追いついて!』
…そんな笑顔に、ローフィスは微笑み返し、速度を速める。
シェイルは駆け出すとカモシカのように軽やかな、独特なローフィスの、凄く素敵な走る姿を見つめ、また、嬉しそうに笑う。
捕まえようとすると、シェイルはひらり…ひらりと、蝶のように身を翻す。
けれどシェイルの背のシャツを、ローフィスは腕を伸ばして捕まえる。
シェイルは笑って…けれどシャツを引かれ、膝を折って草の上に転がり、仰向くと、ローフィスが上から抱きつくように倒れ込んで来るから…。
一緒に草の上に転がり込み、そして抱き合って笑い合う。
幼い、頃のように。
ローフィスが背を草に付けて仰向き、シェイルは上からローフィスを…見つめる。
青い…空と同じ青い瞳。
シェイルはいつも思う。
どうしてローフィスの瞳って、空のように広くて、そして自由で、明るく輝いてるんだろう…?
いつも…不思議だった。
どうしてそんなに…軽やかにどこまでも飛んでいける瞳をしていて、自分の横に居続けてくれるのか。
そう、どこまでも…。
ローフィスは、どこまでも行けるのに。
ローフィスが笑って身を起こし、ひっくり返されて…今度はシェイルが下敷きになる。
ローフィスが、上からシェイルを見つめる。
“凄く、好き?”
ローフィスの、問いが響く。
だからシェイルは、笑って頷く。
“凄く、好き!”
ローフィスは笑いを途切れさせ…そして唇を動かす。
シェイルは微笑を浮かべ、首を傾げる。
“分からない…なんて、言ったの?”
ローフィスは笑い…でもまた。
声を出さず、唇だけを。
動かす。
“…あい…?し…て…………”
シェイルはそこまで言って、直ぐ察し、瞳を潤ませた。
ローフィスはシェイルの美しいエメラルドの瞳が濡れて輝くのを見つめ、微笑みを浮かべたまま…。
そっ…とシェイルに上から顔を寄せ、シェイルの赤く小さく、柔らかな唇に、口づけた。
シェイルは無意識に、横で手を繋いで眠ってる、ローフィスに尋ねる。
“今度も、また…夢?”
ローフィスは悪戯っぽく笑い…そして答えた。
“そう。
当然、夢に決まってる”
シェイルは頬を膨らませ、怒った。
“意地悪!”
ローフィスは笑い返し…やっぱり無意識に、横に眠るシェイルの手を、優しく握り返した。
とりあえずend
『若き騎士達の、波乱に満ちた日常』
に続く予定です。
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