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9 復活を果たすエルベス大公家とギュンター
襲われたローランデのその後と、ローランデを抱いた事が夢じゃ無いかと疑うギュンター
しおりを挟むローランデはオーガスタスに
『ギュンターが、少し元気を取り戻したが、暗殺指令を撤回させるために、旅立たないといけない。
がしかし、君を抱きたい一心で、その責務を果たせない可能性が、強い』
と説得されて、訪問したのに…。
会うなり寝室に連れ込まれ、強引に寝台に押し倒され…。
後は押せ押せで煽りまくられ、挿入されて一時、意識が飛んで…。
オーガスタスのマントを羽織り、ディングレーに肩を抱かれて馬車に乗せられ、横のディングレーを見られなくて、俯いていた。
ディングレーは…もの凄く、心配げに覗き込んでは
「オーガスタスはその…。
つまり、どうしてもその…。
暗殺指令を、止めるためには………」
と、しどろもどろ。
ローランデはとうとう、王族の筈のディングレーが、狼狽えきって切れ切れに言葉を途切れさせる様子を見かね、顔を上げる。
「悪いのは、ギュンターですから…!」
ディングレーは困り切った表情で、微かに頷く。
「それは確かにそうだが…」
「だって!
オーガスタスが迎えに来なかったら!
ギュンターが押しかけて来ていたんでしょう?!
しかも…ずっと居座ってた!!!
彼の、気の済むまで!!!」
「た…確かに…そう…なんだ…が…………」
ローランデはまだ…。
強引に抱かれた熱が、体のあちこちに残り…ギュンターの存在を確かに感じて、身を震わせた。
馬車が王立騎士養成学校の、門を潜ろうとした時。
突然、止まる。
横に、オーガスタスの馬が付き、止まる馬車の、窓を覗き込んで、ローランデに謝罪する。
「すまなかった…!
こうなる事を知っていて、君をあそこに連れて行った!」
が、ローランデはオーガスタスに、怒鳴った。
「いいえ!
どうせギュンターは、勝手に来ていた!
たったの一度で途中、助けてくれたから!
朝、宿舎からギュンターが出て行き…。
いえ、居座って出て、行かないかもしれないけど!
私がギュンターと夜を過ごしたと!
教練中の者達に知れ渡り、抱かれた痕跡をジロジロと見られ探られ!
陰口叩かれずに、済んだんです!!!」
オーガスタスは、ローランデのその凄い勢いに、思わず絶句した。
「…………明日、ギュンターを暗殺指令を出した頭領の元へ、送り届けるが…。
伝言はあるか?」
そう聞いた時。
ローランデは呪いの言葉のように、その言葉を吐いた。
「“次に毒を盛られても、今度は絶対、心配しない!!!”
と」
オーガスタスは、無言で頷き…横で付き添う、ディングレーを気の毒そうに見つめ、馬車を行かせた。
馬車は王立騎士養成学校の門を潜り…。
オーガスタスは人を慰める事が苦手な、不器用極まりないディングレーの苦労を思い、心に誓った。
「(戻って来たら、酒と愚痴に、付き合ってやるからな!)」
ディングレーは、ギュンターへの怒りに包まれたローランデの横で…。
どうしていいか、分からないまま。
ローランデの私室まで、何とか送り届けた。
馬車に乗り込み、門を潜ると。
まだ、オーガスタスは馬上でそこにいて。
止まる馬車の窓からディングレーに
「酒に付き合う」
と一声かけ。
ディングレーは、居心地悪さ、極まりない状況から救い出されたように、ほっとして、オーガスタスに笑顔で、頷き返した。
朝。
ギュンターは揺れる馬車の中で、目を覚ます。
馬車内には、大量の食事入り、バスケットが山と積まれてた。
「食っとけ」
横のオーガスタスに言われ、ギュンターはオーガスタスを、睨む。
「…お前!
ちゃんと昨夜、ローランデを俺のとこに、連れて来てたんだな?!!!!」
オーガスタスはギュンターのその言動に、頭抱える。
が、言った。
「…夢じゃない。
その証拠に、昨夜のローランデからの伝言は。
“次に毒を盛られても、今度は絶対、心配しない!!!”
だから」
それを聞いてギュンターは、思い切り項垂れた。
がつがつがつがつ…。
「(腹立ち紛れもあるんだろうが…。
こいつの食欲って、底なし………)」
オーガスタスは、見てると胃腸が丈夫な自分でさえも、気分が悪くなりそうで。
目を背け、外の流れゆく景色を眺めた。
馬車は、崖の上で止まる。
馬車から、ギュンターは放り出され。
目前の、吊り橋をオーガスタスに指さされ。
「決着を、つけて来い!!!」
と怒鳴られ…。
馬車は来た方に向きを変えて、走り去り…。
ひゅぅぅぅぅぅぅぅ!
崖の上に一人、置き去りにされる。
揺れまくる吊り橋を眺め、沈黙して思う。
「(あんな、にやけ笑顔をチャーミングなんて自らほざく、馬鹿(アイリス)に従うのは不本意だが…。
これをしないと、決着はつかないんだな…)」
が、決着付けられれば…。
再びローランデを、腕に抱く幸福も、戻るはず。
ギュンターは気を取り直し、下から風が吹きまくり、激しく上下に波打つ吊り橋を、渡り始めた。
揺れまくる吊り橋を一つ渡り…。
そして先に延々と続く、吊り橋を睨み付け。
ギュンターは食べたばかりの食べ物が、ぐっ…と胃から、上がって来るのを無理矢理押し下げ。
吊り橋を睨み続けた。
途中、風に煽られ、高く上へと放り出されそうになって、横のロープをがっし!!!と掴む。
次の吊り橋では、放り投げられる前に渡りきろうと、一気に駆け込んだ。
が足場が悪く、ヘタすれば間隔の少し広い板の間に、重みで思い切り、足をはめ込みそうで。
速度を緩めた。
養生で暫く眠っていた、ギュンターの闘争本能は研ぎ澄まされ、いつの間にか腹一杯食った胃の、吊り橋で揺れまくる気持ち悪さもすっかり消えて。
何とか渓谷に落ちずに、吊り橋を渡りきるコトに集中し。
やっと王城らしき、石の橋に辿り着き。
平らな石橋の上に、一歩足を踏み出した時。
ギュンターは自分が、正常稼働に戻ったと。
確信した。
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