ある日の出来事(ギュンター、アイリス、ディングレーがメイン)

あーす。

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舞踏会の陰謀

ギュンターの失態につけ込むムストレス派の陰謀

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 がディングレーは、広間の続き部屋でそこらかしこに置かれた椅子に掛けて話し込む客達に混じって、隊の騎士達の今後の扱いについてローフィスと酒を煽りながら話し込み、ギュンターの事もアイリスの事も念頭から消えている事にふと、気づく。

ローフィスが思い出したようにその控えの間の長椅子から身を起こすと、両開きの開いた扉から、そっと広間を覗う。

「…………………」
呆けて固まるローフィスの横顔に、思わずディングレーも立ち上がる。
「どうした?」
「奴の姿が無い」

ディングレーも広間を見ると、まだかなりの数の男女が曲に合わせて踊っていて、その中でも長身で美男のアイリスは一際目立ち、ナーデンタール婦人の手を取りそれは優雅なダンスを披露し、会場中の視線をかっさらってそこら中のご婦人に、ため息をつかせていた。

「ギュンターの事か?
どうせどっかに、しけ込んだんだろう?」

ディングレーの言葉にローフィスは、固まったまま青く成った。
「まさか…最初に踊ったご婦人とじゃないだろうな?」
「なぜいけない?」

ディングレーの問いにローフィスは言葉を詰まらせながら、それでも言った。
「俺の記憶が確かなら………あの栗毛で垂れ目のご婦人はアッサリアス准将婦人だ」

ディングレーは一瞬、言葉を見失った。
「…ムストレス派のか?
その記憶は、本当に確かなのか?」

ローフィスはそう言ったディングレーを見上げ、素早く言った。
「いや。確認を、取って来る」

駆け去るローフィスの背を見送り、ディングレーは広間を見回すとムストレス派の隊長達が集い、ひそひそ話す姿を見つける。
嫌な、予感がした。

が、ローフィスがアイリスの元へと辿り着くその前に、アイリスは婦人の手を取ったまま優雅に踊りの輪を抜け出す。
どっかで休む腹か。

ディングレーはそのまま見ていたが、踊る男女に阻まれ、両開きの扉の向こうに消えたアイリスの背を追い、ローフィスも「失礼」と男の背を掻き分けながらその姿を扉の向こうに、消した。

ディングレーはつい、年長のアルフォロイス派の隊長を見つけ、側に寄ると尋ねる。
「ギュンターが一緒に消えた相手は、アッサリアス准将婦人か?もしかして」

彼は尋ねるディングレーに顔を向け、目を見開いて喉を、詰まらせた。
「消えた時一緒の相手は、見ていない。
踊っていた姿は見たが」

「で………?」
そうだ。と彼は頷いた。
「確かに、准将婦人と踊っていた。
私はローランデが去った今、彼にはもう何も恐れるものは無い。と言う程自暴自棄に、成っているのかと思った」

ディングレーは愕然とした。
「…そうじゃない。失恋のショックで単に、我を忘れてるだけだ」
「どう違う?」

言われて、ディングレーは説明に詰まる。
そして思い切り動揺してつぶやく。
「…つまり踊っただけでも…まさかお咎めか?」
「准将婦人だぞ?
隊長夫人相手でも揉めるのに!」

ディングレーは思い出すとたっぷり、頷いた。
前回ムストレス派隊長夫人とやっぱりギュンターは踊り、夫は妻の手を取り、ギュンターに喧嘩を売っていた。
「………確かに」

「アッサリアス准将がここに居ない事が救いだ。
ご婦人だけの出席なら多分、遊びの邪魔だから一緒に来るな。と婦人に言われてるんだろうから、ダンスくらいなら表だってのお咎めは無い」

ディングレーの、眉間が寄った。
「表だっての?」
明るい栗毛を肩で揺らして隊長はたっぷり頷き、言葉を続ける。
「そりゃ、睨まれるのは確実だ。
婦人の実家の方が家柄が良くて准将は妻に頭が上がらないが、あれで婦人にはベタ惚れなんだ。
それに…知らないのか?
婦人が准将を連れず舞踏会に出てるのはつまり…つまり………」

凄く言いにくそうなその年上の男に、ディングレーは促すように顔を寄せ、頷く。
「つまり………?」
その言葉にとうとう隊長は顔をさっとディングレーの耳に思い切り寄せ、うんと潜めた小声でささやく。
「あっち(えっち)が下手で楽しめないと、ご婦人に足蹴にされてるからだ」

ディングレーは顔を上げると、隊長は目を合わせ、頷く。
ディングレーは呆けて言った。
「……つまりそれって…婦人はここで楽しめる男を見つけ、浮気しようって腹で?」

隊長は気品の塊の黒髪の王族の男が、実はかなり言葉使いが下品なのを知っていたが、それでもやっぱりつぶやいた。
「言い回しは最悪だが、その通りだ」

ディングレーは言い回しにこだわってる場合が。と思ったが言った。
「それじゃ……その…もしギュンターとしけ込んでたら………」

隊長はまた、ディングレーの耳に思い切り顔を寄せた。
「私の姪も彼に入れ込んでいたが、ギュンターはその…床上手だろう?
一晩過ごすだけでも最悪なのに、更に彼がご婦人を…その、思い切り満足させたりしたら…………」
今度はディングレーも、たっぷり頷いた。
「最悪に恨みを買うな。准将の」
隊長も同様、頷く。

そして彼はもう一度、ディングレーの耳に顔を寄せてささやく。
「なあ…。ギュンターはもしかして今度は、自殺志願でその………」

ディングレーは一瞬青冷めた。
確かに、思い詰めていたが………。
去られて自殺を考えるような柔な男じゃない。
離れていたならどうして距離を詰めるかを、現実的に考え続ける男だ。
「そんな心配はいらない」

隊長はほっ。と胸を撫で下ろした。
「姪から妹からいとこから…彼のファンが多くてね。私の血族には。
彼がローランデを庇ってムストレス派の男を殴り、最前線に送られる度、私がせっつかれる。
『彼を、死なせるな』と。
だが…………」

ディングレーも確かに、と頷いた。
「自ら好んで相手と喧嘩してる奴に、大人しくしろと言っても無理だな」
隊長は頷くと、ディングレーの肩をぽん。と叩く。
「君達は本当に、彼の為に苦労のし通しだ!」

ディングレーは叩かれた肩を見、隊長はついその年下の男が王族だと思い出し、手を慌てて引っ込めた。
「俺に気兼ねはいらない。
でもつまり、あんたの見解だと今度もまた………」

隊長は一瞬で顔を引き締めると、言った。
「今は戦闘が無いからな。
今度はどんな処罰を、奴らは考えるやら…………」

ディングレーは思い切り俯くと、ため息を吐いた。
隊長は心配そうに、ディングレーを覗き込む。

「また…助けてやるんだろう?彼の命を?」
ディングレーは顔を上げると言った。
「左将軍は彼を見捨てない。あんたの血族の女性達に、本人は死ぬ気が無いから左将軍はきっと助ける。と言っといてやってくれ」

彼はやっと笑うと、またぽん。と、ディングレーの肩を叩いた。



 ディングレーは集まったムストレス派隊長らの一人が、こっそりその場を抜け出すのを見て、そっと後を付ける。

そしてその男が下僕に使いの男を寄越してくれ。と廊下で告げるのを聞き、扉の影で使いの男が来るのを、その男と一緒に待った。

間もなく使いの男がやって来て、頭を下げる。
ムストレス派の隊長は彼に顔を寄せるとささやく。
「アッサリアス准将に。
ご婦人と不届きな時間を過ごすディアヴォロス派の命知らずが居る。と、大至急」

ディングレーは顔を上げた。
そして隊長が広間に戻り来るのを、扉の影で背を向けてやり過ごし、直ぐ使いの男の後を、追った。

長い廊下を抜け、扉を開け裏口へと回るらしく、その暗い廊下でディングレーは扉の向こうに消えようとする男の背に、素早く迫った。

「ディングレー殿」
ふいに背後から声を掛けられ、その使者の肩を掴もうとした手を慌てて引っ込める。

振り向くと暗い廊下だったがその男が、ムストレス派銀髪のララッツだと解った。
ムストレス派でも立ち回りの上手い男で、ディングレーはちっ。と舌打つ。
直情型で無く、奴と渡り合えるのはアイリスみたいな海千の男だ。

「…こんな所で、ご婦人と待ち合わせですか?」

ほら。敵対勢力の俺にすら、つっかからず言葉使いも丁寧だ。

ディングレーはチラ…!と扉の向こうに消えて行く使者の背を見、舌打ちしながらつぶやき返す。
「いや。酒が切れたので、探していた所だ」
「召使いに届けさせましょう。貴方のお席に」
「俺がどこに陣取ってるか、知らないだろう?」

だがララッツは銀のさらりとした真っ直ぐな髪を揺らし、理知的で腹を隠した喰えないすまし顔で言った。
「先程迄ローフィス殿とお話していた、あのお席ではどうです?」

ディングレーは唸り出しそうだった。
「…銘柄はローレンタールだ。あるのか?」
「私はさっき迄、それを飲んでましたよ。
切れて無い筈だ。直ぐに。お席に」

だからお戻りを。とじっくり見つめて来る薄茶の瞳に、ディングレーはつい、睨み付けたいのを我慢し、頷くと歩を踏み出し、その背にララッツは付き、何としても使者の後を追わせないやり用は敵ながら念がいっていて、ディングレーはとうとう使者の足を止めるのを、諦めた。



「どこに行ってた!」
席に戻り様振り向き怒鳴るローフィスに、ディングレーはそっとささやく。
「やっぱり、アッサリアス婦人だったか?」
「ギュンターと踊ってた女は、そうだ。
だがしけ込んだ女が彼女だと、確認が取れなかった。
目端の利くアイリスなら見てる筈なんだが」
「で、アイリスは?」

ローフィスは肩をすくめた。
「ナーデンタール婦人とどっかに消えた」
ディングレーは吐息と共にため息を吐き出した。

「ムストレス派の奴らが准将に使者を送ってた。
ディアヴォロス派の男と婦人がしけ込んでると」

ローフィスは慎重に尋ねる。
「ギュンターの名は出てないのか?」
ディングレーが頷く。

「どうする?
ディアヴォロス派の男の点呼を取るか?」
ローフィスが思い切り顔を下げた。
「誰が来てるか、全部把握してないのに意味無いだろう?」

ディングレーも思い切り、吐息を吐き出した。
ローフィスは顔を上げると語気を強める。
「ともかくアイリスを、あぶり出そう」
「しけ込んでる場に、乗り込むのか?」
「召使いに伝言を頼む。
婦人連れの寝室に俺達が入れるか?」

ディングレーも、そうだな。と頷いた。


 間もなく、アイリスが何事も無かったかのように衣服が乱れる様子すら見せず、微笑を、挨拶する人々に向けながら優雅な長身を現し、迎えるようにディングレーもローフィスも、椅子から同時に立ち上がった。

がアイリスは二人の姿を見つけると途端、さっとローフィスに寄る。
「非常事態か?」

ディングレーはつい、そのアイリスの素早い対応につぶやく。
「邪魔したと、文句も出ないな…」

アイリスはさっ。とディングレーに振り向き、言った。
「ローフィスは野暮な男じゃない。
邪魔するのは相当ヤバい事態なんだろう?」

ローフィスはそう言うアイリスの手を引き、椅子に掛けさせ自分も座る。
ディングレーも思わず掛ける。

そしてローフィスはアイリスにそっと尋ねる。
「ギュンターの最初踊っていた婦人がアッサリアス准将婦人だと、知っていたか?」
アイリスは一辺に青冷めた。
「…准将婦人なのか?彼女が?」

ローフィスは慎重に言葉を足す。
「栗毛の…」
「ピンクのドレスの、青い瞳のたれ目の美人だろう?」

ディングレーはさすが垂らし。とアイリスの観察眼に感心した。
がアイリスは顔を横に振って呻く。
「聞いた噂が本当なら、最悪にマズイじゃないか!」

ディングレーが咄嗟に尋ねる。
「聞いた噂?」
ローフィスが、口を挟む。
「准将が、(えっちが)下手だから寝室から閉め出されてる。って噂だろう?」
アイリスが続ける。
「練習の為に五人も愛人を抱えてるそうだ」

ディングレーは一瞬、呆けた。
「…五人?」
ローフィスは額に手をやると、俯いた。
「それだけ必死なんだな?」
アイリスは、思い切り頷く。

ローフィスは顔を傾け尋ねる。
「で、ギュンターはその婦人と…」
「早々に、消えた」

アイリスの即答に、三人は顔を上げるとお互いの目を見た。
誰も、暫く口を開かなかった。

ディングレーがようやく、ぼそりと言った。
「ムストレス派は准将に使者を送ったぞ」

アイリスがディングレーにさっと振り向くと尋ねる。
「婦人がギュンターと過ごしてると?」
ローフィスが後を継ぐ。
「いや。ディアヴォロス派の男とだけ。
ギュンターとはっきり言わないのは現場を押さえない限り、今の所疑惑だけだからだ」

ディングレーがほっとして、つぶやく。
「じゃ一緒に居るだけで、寝て無い可能性も有る訳なんだな?」

アイリスがディングレーをじっ。と見つめる。
その濃紺の瞳が真剣そのもので、ついディングレーの喉がごくり。と鳴った。
「…無いのか?」
「当たり前だ!
ギュンターがしてない筈無いだろう?!
消えた、って事はまるっとその気に決まってる!」

ディングレーは頭を抱えた。
ローフィスも俯き切ってつぶやく。
「使者が着いて准将がここに駆け付けて来る迄、まだある」
ディングレーがそっ。と窓の外を見た。
薄く空が、明けて来ていた。
「夜明けには、着くな」
アイリスが早口でつぶやく。
「いや。彼の屋敷は離れてる。
もう少し時間がある筈だ」
ローフィスが額に手を当てたままつぶやく。

「ともかくギュンターを、探そう」
アイリスは顔を上げると、そっとローフィスにささやく。
「私と違ってギュンターは居場所を知るのが難しいぞ?多分」
ローフィスは呆けて顔を上げると、そう言ったアイリスを凝視する。
「どうして?」

アイリスは労るように説明する。
「ローランデの時の習性で………。
ほら。ローランデとの仲を私達下級生(教練時代の)は、監視しまくり、邪魔しようと隙を伺っていたから。
それにこういう場ではローランデも、大公子息の立場がある。
だからギュンターはしけ込む時、本能的に見つかりにくい場所を選ぶ。毎度」

ディングレーが呆れたように言った。
「ローランデ以外の相手の時でも?」
アイリスは肩をすくめる。
「習性だろう?
彼のところの副隊長でギュンター同様色男のディンダーデンが、毎度舞踏会でははぐれたギュンターを探すのに苦労していた。
酒場では直ぐ見つかるらしいが」

ローフィスはため息混じりに行った。
「酒場は狭いし、場所もあまりないからな」

ディングレーはこの屋敷の広さを考え、思い切り吐息を吐き出し、ぼそり。と告げる。
「だがそれなら駆け付けた准将も、居場所を探すのに時間がかかるんじゃないのか?」

アイリスとローフィスが顔を見合わせていて、ディングレーはつい、尋ねた。
「…どうした?」
「って事はつまり…」

アイリスが言うとローフィスが立ち上がる。
がたん!
「ムストレス派の連中も、探してるな!」

アイリスも立ち上がる。
がたん!
「奴らより先に、見つけないと!」

ディングレーは座ったまま、背を向け去る二人に視線を送った。

ローフィスが気づいて振り向き
『お前も探せ!』と一睨みする。
ディングレーは『本気かよ』と内心思い切り文句を垂れ、ため息付くと仕方成しに、腰を上げた。




 広間の続き部屋の一室で、ディングレーはギュンターで無く、室内に慌てて駆け込むローフィスと出会った。
「居たか?!」

ディングレーは首を横に振り、肩をすくめる。
「ムストレス派の連中が血眼で探してる姿は、見た」

ローフィスはがっくり。と肩を垂れて俯く。
「それは俺も、見た」

ディングレーはそっとささやく。
「…アイリスは?」
「庭の周囲の、離れを探してる」
ディングレーは頷く。
「俺は右回りで広間の周囲を全部当たった」
ローフィスは項垂れたまま、頷く。
「俺は左回りだ」

ディングレーは顔を下げ、落胆した声でささやく。
「で、どうする?」
「元の場所で酒で喉を潤し、アイリスの首尾を待とう」

ディングレーは顔を上げると、ローフィスのアイディアにたっぷり頷く。
「俺の舞踏会での、唯一の楽しみだ」

ローフィスは疲労しきったように明るい栗毛の髪に顔を埋もれさせていたが、髪を揺すって頷き、つぶやいた。

「好きなだけ、飲め」











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