十字架のソフィア

カズッキオ

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第二章

新しい仲間と別れ

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 「……ん、ここは…… 」

ライルは見知らぬ天井を見上げる。

ライルは目だけで周りを見回す。
壁はレンガで造られ窓からは日の光が射している。

「……う、よっこら——いてっ!  」

ライルは体を起こそうとするが体で激痛が起こり倒れこむ。

すると部屋の扉が開き、金髪の少女が入ってくる。

「あ、ライル起きたのですね!  」

金髪の少女はソフィアだった。
ソフィアは仰向けのライルの顔を覗き込む。

「ソフィア、ここはどこだ?  」

するとソフィアは微笑み言う。

「ここは闘技場の医務室ですよ。昨日の試合の後倒れたライルとシュウサクさんを係員の方がここまで運んで来てくれたのです  」

ライルはどうやら一晩眠っていたらしい自分に苦笑してから聞く。

「シュウサクはどうした?  」

「シュウサクさんなら先程目覚めてご飯を食べています。今日ここを立ち一度自分の国に帰るそうです  」

ソフィアはライルが寝ているベッドの横にあるもう一つの誰もいないベッドを見て言う。

「そうか…なあソフィア、シュウサクを仲間にしないか?これから先戦力は必要だろ?  」

「はい私もそれを思っていました。しかし本人にその気があるから分かりませんし何より他国での戦争に関わる事など……」

「ま、そこは何とかな… 」

ライルはそう言いながら身体を無理矢理起こそうとする。
ソフィアは起き上がるライルを止めようとするがライルは

「いや大丈夫  」

と言って無理矢理起き上がってしまう。

ライルは大きく伸びをしてから首をぐるりと回す。

それからライルはベッドから立ち上がる。

ソフィアはそんなライルに微笑む。

「ソフィア、食堂はどこだ?  」

「案内します、こっちです  」

ライルはソフィアの後をついて行く。

「ここが食堂ですよ。どうやらこの闘技場専属の剣闘士が出入りしているようです  」

ライルは中に入ると早速長い髪を後ろで纏めた東洋人を見つける。

「よっ、おはよう  」

ライルは周作に挨拶をする。

「おおライル起きたか  」

周作は笑顔で手を振ると隣に座るよう促すのでライルは周作の隣に座る。ソフィアもライルの隣に座った。

「昨日は楽しかったな。久々に心踊ったよ  」

周作は昨日の試合について語り出す。

「ああ俺も楽しかったよ  」

ライルも昨日の試合の熱を思い出す。
すると周作は笑顔でとある提案をしてくる。

「なあライルよ。よかったら我が祖国に来ないか?きっとお前を燃えさせる剣士が沢山いるぞ  」

しかしライルは首を振る。

「悪い、俺は今ソフィアと旅の途中なんだ  」

「……そうか  」

周作は残念そうに言う。
そんな周作にライル聞く。

「なあお前の提案を断ってなんだが俺たちと一緒に来てくれないか?  」

「私からもお願いします。実は…… 」

ソフィアは自分の思いを打ち明ける。
戦争を止めたい事やその為には力がいる事も。

すべてを無言で聞いていた周作はソフィアの話が終わってから口を開く。

「なるほど戦争を…我が剣が力になるならば喜んで力を貸そう……  」

「ほ、本当ですか!  」

「しかし我が剣は昨日の試合で折れてしまっていてな一度国に帰ろうと思っていたところでな… 」

「なら腕の良い鍛冶屋を紹介してやる  」

ライルの言葉にしかし周作は首を振る。

「我が剣は特殊な鋼にて専門の鍛冶屋が打つものだ。それをこの大陸の鍛冶屋では打つ事はできなかろう… 」

「そうか…… 」

ライルとソフィアは俯く。
すると周作は笑顔で言う。

「しかしまたこの場所に帰ってくる故その時までにソフィアが名を挙げていれば見つけて手を貸す事を誓おう  」

「ありがとうございますシュウサクさん!必ず名を挙げてみせます。その時は是非貴方と今度は私も手合わせしたいです  」

ソフィアと周作は互いに約束の握手を交わす。

「では俺はこれで、また会おうライル、ソフィア  」

周作は席を立ち食堂を後にする。

「……私達も行きましょうか  」

「ああ、まあ取り敢えず最初の戦力確保だな  」

「はい、私も頑張らないと  」

ソフィアは首から下げる十字架のペンダントを握り締めそう言った—————。



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