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第三章
過去を超えた先
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「はあぁぁぁぁぁぁ! 」
ライルは剣を振るう。
それをバルフリートは剣で受け更に追撃する。
「ふん! 」
ライルはその剣を躱してみせる。
その時に頬を少し斬られるが気にせずに甲板を蹴って距離を取る。
「どうしたライル、威勢が良いのは最初だけか? 」
「はッ、言ってろ。その老いた腰へし折ってやる! 」
そう言ってライルはまた距離を詰める。
そして交錯する。その二人の剣速は速すぎて甲板に居るほとんどの人間が目で追えていない。
ソフィアはかろうじて追えている程度。
「これがライルの実力……頑張って下さいライル、貴方なら自身の過去を超えれる筈です 」
ソフィアはライルの戦いを見ながら呟いた。
過去を超えろ。
ライルは剣を振る。
自分の憎んだ父親に対し、ライルは剣を振るう。
だが、本当に父を憎んでいるのだろうか?
正解はYESだ。確かに自分は父を憎んでいる。
だが何に対してだろうか?
母を殺された事に対してだろうか。
ライルは自分に問う。
(ふざけるな、そんな事を問うんじゃない!俺は父親に復讐するために強くなった。だから自分の過去を超える為にこの戦いを望んだ! )
ライルは自分自身を奮い立たせる。だがそれは果たして本当に正しい答えだろうか……
「戦闘中に考え事とはなぁ! 」
バルフリートは剣を振るう。
「ちっ! 」
ライルはそれを剣で受ける。その時に剣が飛ばされる。
「クソが! 」
ライルは再び剣を鞘から抜く。
だが、バルフリートの追撃が来る。
それを避けれず左肩を深く斬りつけられ膝をつく。
鮮血が宙を舞う。
「ぐっ! 」
肩から下の力が抜ける。恐らくは腱を斬られた。これでライルは利き手で剣を振るえなくなった。
それを見たバルフリートは剣を突きつけ言う。
「もう、やめとけ。利き手の腱を斬られれば剣士は終わりだ。諦めて俺達の所に来い、お前は俺達と同類だ。光なんぞ、求めるな。あの娘が掲げる理想は正義だ。だがその正義じゃお前の罪は洗い流せない。その理想を叶える為にお前は全身を血で染めることになる。剣を握る手も、顔も、心もだ 」
その通りだろう。
そして今は自身のこの復讐心すら分からなくなってしまった。
自分は何故戦っているのか。何故剣を振るっているのだろうか。
母を殺せれたからか?
答えはNOだ。
父親を殺すと言うが違った。
本当に殺したいのは自分だ。
弱い過去の自分だ。十一年前の弱かったライル・シュビレブラウを本当は殺したくて殺したくて堪らなかった。
あの日母を殺した事はしょうがないで片付けられる。誰にもどうすることも出来なかったのだと。
だからあの日何もできなかった自分が憎くて憎くて堪らなかったのだ。
だから自分は今度こそ、弱かった自分を殺す。
「俺は、自分を超える!そしてあんたに勝つ! 」
ライルは右手で剣を持ち直す。
「ほう、まだやるのか? 」
「言ったろ!俺は、腕が千切れようがあんたを倒す、そしてソフィアの願いを叶える。例えその罪で俺の全てが血で汚れようと、この願いだけは罪の中でも輝き続ける! 」
ライルは立ち上がる。
利き手は使えない。それがどうした。
そんな修羅場、魔王を倒した時に乗り越えている。
だからライルは一歩踏み込む。
「せいッ! 」
ライルは突きを放つ。
バルフリートはそれを弾く。
「そんな甘い攻撃で俺を倒すだと、ふざけるなよ!お前の願いは叶わない、お前の十一年間は無駄に終わる! 」
「構わない、俺の十一年間は無駄でもこの先俺がする事は無駄じゃない!だから俺は過去の俺を超える、英雄だった俺を超える。そしてあんたを倒す! 」
「やれるもんならやってみろよ! 」
バルフリートは肩に剣を担ぐ様に構える。そして剣を振るう。その剣は今までのどんな一撃よりも強力だ。
おそらく今までの復讐鬼だった自分では受けきることができないだろう。
だが今は違った。もう弱かった自分は死んだのだから。
「うおぉぉぉぉぉぉ! 」
ライルはバルフリートと同じ様に剣を振るう。
まるで過去の自分を殺す様に、そしてこれから自分の歩む道を斬り開く為に剣を振るう。
その剣がバルフリートの豪剣と打つかる。
その瞬間バルフリートの剣が甲高い音を上げ折れる。
そのまま、ライルの剣はバルフリートの肩に当たる寸前で止まる。
その衝撃は甲板を伝わり船の帆に描かれた海蛇に縛られる女神をも揺らした—————。
ライルは剣を振るう。
それをバルフリートは剣で受け更に追撃する。
「ふん! 」
ライルはその剣を躱してみせる。
その時に頬を少し斬られるが気にせずに甲板を蹴って距離を取る。
「どうしたライル、威勢が良いのは最初だけか? 」
「はッ、言ってろ。その老いた腰へし折ってやる! 」
そう言ってライルはまた距離を詰める。
そして交錯する。その二人の剣速は速すぎて甲板に居るほとんどの人間が目で追えていない。
ソフィアはかろうじて追えている程度。
「これがライルの実力……頑張って下さいライル、貴方なら自身の過去を超えれる筈です 」
ソフィアはライルの戦いを見ながら呟いた。
過去を超えろ。
ライルは剣を振る。
自分の憎んだ父親に対し、ライルは剣を振るう。
だが、本当に父を憎んでいるのだろうか?
正解はYESだ。確かに自分は父を憎んでいる。
だが何に対してだろうか?
母を殺された事に対してだろうか。
ライルは自分に問う。
(ふざけるな、そんな事を問うんじゃない!俺は父親に復讐するために強くなった。だから自分の過去を超える為にこの戦いを望んだ! )
ライルは自分自身を奮い立たせる。だがそれは果たして本当に正しい答えだろうか……
「戦闘中に考え事とはなぁ! 」
バルフリートは剣を振るう。
「ちっ! 」
ライルはそれを剣で受ける。その時に剣が飛ばされる。
「クソが! 」
ライルは再び剣を鞘から抜く。
だが、バルフリートの追撃が来る。
それを避けれず左肩を深く斬りつけられ膝をつく。
鮮血が宙を舞う。
「ぐっ! 」
肩から下の力が抜ける。恐らくは腱を斬られた。これでライルは利き手で剣を振るえなくなった。
それを見たバルフリートは剣を突きつけ言う。
「もう、やめとけ。利き手の腱を斬られれば剣士は終わりだ。諦めて俺達の所に来い、お前は俺達と同類だ。光なんぞ、求めるな。あの娘が掲げる理想は正義だ。だがその正義じゃお前の罪は洗い流せない。その理想を叶える為にお前は全身を血で染めることになる。剣を握る手も、顔も、心もだ 」
その通りだろう。
そして今は自身のこの復讐心すら分からなくなってしまった。
自分は何故戦っているのか。何故剣を振るっているのだろうか。
母を殺せれたからか?
答えはNOだ。
父親を殺すと言うが違った。
本当に殺したいのは自分だ。
弱い過去の自分だ。十一年前の弱かったライル・シュビレブラウを本当は殺したくて殺したくて堪らなかった。
あの日母を殺した事はしょうがないで片付けられる。誰にもどうすることも出来なかったのだと。
だからあの日何もできなかった自分が憎くて憎くて堪らなかったのだ。
だから自分は今度こそ、弱かった自分を殺す。
「俺は、自分を超える!そしてあんたに勝つ! 」
ライルは右手で剣を持ち直す。
「ほう、まだやるのか? 」
「言ったろ!俺は、腕が千切れようがあんたを倒す、そしてソフィアの願いを叶える。例えその罪で俺の全てが血で汚れようと、この願いだけは罪の中でも輝き続ける! 」
ライルは立ち上がる。
利き手は使えない。それがどうした。
そんな修羅場、魔王を倒した時に乗り越えている。
だからライルは一歩踏み込む。
「せいッ! 」
ライルは突きを放つ。
バルフリートはそれを弾く。
「そんな甘い攻撃で俺を倒すだと、ふざけるなよ!お前の願いは叶わない、お前の十一年間は無駄に終わる! 」
「構わない、俺の十一年間は無駄でもこの先俺がする事は無駄じゃない!だから俺は過去の俺を超える、英雄だった俺を超える。そしてあんたを倒す! 」
「やれるもんならやってみろよ! 」
バルフリートは肩に剣を担ぐ様に構える。そして剣を振るう。その剣は今までのどんな一撃よりも強力だ。
おそらく今までの復讐鬼だった自分では受けきることができないだろう。
だが今は違った。もう弱かった自分は死んだのだから。
「うおぉぉぉぉぉぉ! 」
ライルはバルフリートと同じ様に剣を振るう。
まるで過去の自分を殺す様に、そしてこれから自分の歩む道を斬り開く為に剣を振るう。
その剣がバルフリートの豪剣と打つかる。
その瞬間バルフリートの剣が甲高い音を上げ折れる。
そのまま、ライルの剣はバルフリートの肩に当たる寸前で止まる。
その衝撃は甲板を伝わり船の帆に描かれた海蛇に縛られる女神をも揺らした—————。
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