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第四章
亜人族
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ソフィアとライルが海賊団のアジトを発ってから数日が経過した頃、二人は道に迷っていた。
「……困りましたね 」
「ああ、まさかここまで似たような景色が続くとはな…… 」
ライルとソフィアは互いに背を合わせ座り込んでいた。
「食糧は問題ないが、水が底をついてきた 」
「はい、それにこの暑さともなればこれから先、かなり厳しいですね 」
ソフィアは額から流れる汗を拭う。
しかし次から次へと汗が出てくる。
「どこかに村でもあれば話は早いんだけどな 」
ライルはそう言って地面に視線を移す。
するとライルはあるものに気付く。
「これは……足跡か? 」
ライルは不自然に凹んだ地面を指でなぞる。
「まだ新しい、それに二本足で歩いてるって事は魔獣や他の動物じゃないな、ソフィア、一応周りを警戒してくれ、魔族の可能性がある 」
「わ、分かりました 」
ソフィアは周りを見回す。
ライルは他にも痕跡がないか探してみる。
「ゴブリンかオークか、だがそれでも少し不自然だな、ん?……これは何かを引きずった跡だな 」
ライルはまた痕跡を指でなぞる。
「ソフィア、この足跡を辿ってみよう 」
ソフィアは首肯するとライルの後を追う。
しばらく歩くと先程の様な足跡が複数見つかった。
「ライル、これは…… 」
「これは、集団で歩いた跡だな、古いのから新しいのまであるから、恐らく何度もこいつらはこの辺りを通っている 」
「では、彼らは一体…… 」
その時だ、ライルは僅かな殺気を感じ取りその殺気の方へ一気に引き抜いたサーベルを振るう。
サーベルは突如こちらに向かい放たれた矢を切断する。
「誰だ! 」
ライルは矢が放たれた方へ声を上げる。
すると複数の足音がこちらに近づいてくる。
「それはこちらの台詞だ人間、何故我らが領内に入り込んだ? 」
ライルとソフィアはその声の主を見る。
その姿はあまりに異様だ。二本足で立つ姿は人間の様だが首から上はまるで竜だ、口に鋭く尖った牙がズラリと並び黄色く丸い眼球は真っ直ぐにライルとソフィアを見据えている。
その姿にソフィアは目を見開く。
「ラ、ライル、あの人は…… 」
「ああ、恐らく竜人族だろう。俺も見たのは初めてだが 」
するとその竜人の男の後ろから更に五人の竜人が出て来る。
そしてその五人は皆ライル達に槍を向けている。
そして最初に来た竜人がまた口を開く。
「もう一度言う、お前達は何者だ! 」
「俺達はただ旅人だ。エルザーク帝国に向かう途中でこの森で迷ってしまったんだ。だからあんた達の縄張りに入ってしまったなら謝る、すまない 」
「ほう、悪気は無かったと? 」
ライルとソフィアは頷く。
するとその竜人は何やらブツブツと呟く。
「そうか…エルフ共が人間の間者を送ってくるわけがないか……よかろう君達を我々の村に招待しよう、しかし我々は今、ある種族と少し紛争状態にあってな、皆殺気だっている。了承してくれ 」
「それは有難い、俺はライル・シュビレブラウ、この娘はソフィア・アルグレー、一晩だけだがよろしく頼む 」
ライルとソフィアは頭を下げる。
「私は竜人族の村の族長の息子のドラコと言う。先程は仲間が失礼した。しかしどうやってあの矢を防いだ? 」
「あー、傭兵もやっててな、あの手の殺気はすぐ気づけるんだ 」
「そうか、ならば護衛は要らないな、付いて来い 」
そう言ってドラコは踵を返し二人を案内する。
二人はその背中に着いて行った。
「……困りましたね 」
「ああ、まさかここまで似たような景色が続くとはな…… 」
ライルとソフィアは互いに背を合わせ座り込んでいた。
「食糧は問題ないが、水が底をついてきた 」
「はい、それにこの暑さともなればこれから先、かなり厳しいですね 」
ソフィアは額から流れる汗を拭う。
しかし次から次へと汗が出てくる。
「どこかに村でもあれば話は早いんだけどな 」
ライルはそう言って地面に視線を移す。
するとライルはあるものに気付く。
「これは……足跡か? 」
ライルは不自然に凹んだ地面を指でなぞる。
「まだ新しい、それに二本足で歩いてるって事は魔獣や他の動物じゃないな、ソフィア、一応周りを警戒してくれ、魔族の可能性がある 」
「わ、分かりました 」
ソフィアは周りを見回す。
ライルは他にも痕跡がないか探してみる。
「ゴブリンかオークか、だがそれでも少し不自然だな、ん?……これは何かを引きずった跡だな 」
ライルはまた痕跡を指でなぞる。
「ソフィア、この足跡を辿ってみよう 」
ソフィアは首肯するとライルの後を追う。
しばらく歩くと先程の様な足跡が複数見つかった。
「ライル、これは…… 」
「これは、集団で歩いた跡だな、古いのから新しいのまであるから、恐らく何度もこいつらはこの辺りを通っている 」
「では、彼らは一体…… 」
その時だ、ライルは僅かな殺気を感じ取りその殺気の方へ一気に引き抜いたサーベルを振るう。
サーベルは突如こちらに向かい放たれた矢を切断する。
「誰だ! 」
ライルは矢が放たれた方へ声を上げる。
すると複数の足音がこちらに近づいてくる。
「それはこちらの台詞だ人間、何故我らが領内に入り込んだ? 」
ライルとソフィアはその声の主を見る。
その姿はあまりに異様だ。二本足で立つ姿は人間の様だが首から上はまるで竜だ、口に鋭く尖った牙がズラリと並び黄色く丸い眼球は真っ直ぐにライルとソフィアを見据えている。
その姿にソフィアは目を見開く。
「ラ、ライル、あの人は…… 」
「ああ、恐らく竜人族だろう。俺も見たのは初めてだが 」
するとその竜人の男の後ろから更に五人の竜人が出て来る。
そしてその五人は皆ライル達に槍を向けている。
そして最初に来た竜人がまた口を開く。
「もう一度言う、お前達は何者だ! 」
「俺達はただ旅人だ。エルザーク帝国に向かう途中でこの森で迷ってしまったんだ。だからあんた達の縄張りに入ってしまったなら謝る、すまない 」
「ほう、悪気は無かったと? 」
ライルとソフィアは頷く。
するとその竜人は何やらブツブツと呟く。
「そうか…エルフ共が人間の間者を送ってくるわけがないか……よかろう君達を我々の村に招待しよう、しかし我々は今、ある種族と少し紛争状態にあってな、皆殺気だっている。了承してくれ 」
「それは有難い、俺はライル・シュビレブラウ、この娘はソフィア・アルグレー、一晩だけだがよろしく頼む 」
ライルとソフィアは頭を下げる。
「私は竜人族の村の族長の息子のドラコと言う。先程は仲間が失礼した。しかしどうやってあの矢を防いだ? 」
「あー、傭兵もやっててな、あの手の殺気はすぐ気づけるんだ 」
「そうか、ならば護衛は要らないな、付いて来い 」
そう言ってドラコは踵を返し二人を案内する。
二人はその背中に着いて行った。
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