【不定期更新】ラッキースケベに憧れて 〜明るく楽しい異世界生活〜

香月ミツほ

文字の大きさ
51 / 66
記憶喪失……?

2-14 宝探し、のち宴会芸

しおりを挟む
『次はどこ行きたい?』

海に潜り、みんなはたくさんの魚や貝、オレはタコ1匹だけをとった後に、次にどこへ行きたいかガンが聞いてきた。

『おもしろいところとか?』
『ん~、なら舟だね~』
宝浜たからはま

海からしか入れない宝浜という浜があるらしい。ガンがダッシュで入江の内側にある舟着き場に行き、舟を借りてくれたようだ。舟は島の共有財産なんだって。今獲ったものもまとめ役に渡すとみんなで料理してくれるというので喜んで渡した。

カヌー? カヤック?
よく知らないけどそんな感じの細長い舟に横に伸ばした2本の棒が細長いなにかをつけている。

『これ、なに?』
『それは浮きだ。船が安定するんだ』

へー! 海面に杖をついてるような感じかな?

そして4人で小舟に乗り込み、入江を出る。
うちの船は大きいから入江に入れないけど、小舟なら入れるようだ。

『見えてきたよ~』
『……洞窟?』
『ふふふ……』

海に向かって口を開けたような大きな洞窟があり、そこを目指しているようだ。あれ? 洞窟にしては奥が明るい?

岩にぶつからないようゆっくりと進む舟。
洞窟の正面に来たらびっくり!
洞窟じゃなくて岩の門みたいな感じだった。これなら明るいはずだよね。

そしてその奥は体育館くらいの広さの、崖に囲まれた砂浜。そこになんかこう、ガラクタが打ち上げられている……?

『お! 夜光貝だ!!』
『ゴシキダイの鱗……』
『珊瑚もあるよ~』

え!?
ただの漂着物かと思ったけど高価な素材なのかな? 小舟から飛び降りて海の中からガンが拾った夜光貝はボーリングの球くらいあって、潮流に磨かれて真珠色に輝いている。

ダーが見せてくれたのは色とりどりのクリアカラーな鱗。それが岩の窪みに打ち寄せられていて、ひと掴みで10枚以上とれる。

ルバが指差したのは白い砂浜の波打ち際で、白砂に半分埋もれたピンク色の珊瑚。桃色珊瑚ってやつだな。

『ここは海のお宝が流れ着く場所なんだ』

もちろんただの骨や流木もあるけど、その中から宝探しができるらしい。

これはおもしろい!!

オレも早速宝探しだ。
流木に隠れた夜光貝のカケラに桃色珊瑚と見紛うピンク色の貝殻だったり、透き通った何かの骨、長くて真っ直ぐなツノ。

『うぉ! 一角獣のツノじゃん』
『一角獣?』
『人間より大きな海獣のツノらしいよ~』

地球にいたイッカクみたいな感じかな?

『あれ……?』

白い砂に埋もれてほんの少しだけ見えている紅の何か。周りの砂を退けてみると手のひらくらいの真っ赤な枝だった。紅珊瑚だ!

『すごい! 真っ赤できれい!!』
『やったな! それは海の深いところで育つから希少なんだぞ』
『あれ~? その下にも何かない~?』

ルバに言われて紅珊瑚を取り出した場所を見れば黒光りする何かがあった。もちろん掘り出す。

『黒い枝……?』
『黒珊瑚だ!!』
『めったにない』

黒珊瑚は赤珊瑚より希少らしい。
浅瀬に育つものの、オニヒトデが好んで食い荒らすので大きくなりにくいという。

それにしても……。

赤と黒の組み合わせってカッコいいよね。
赤と黒……。
オレとウィシェールさんの髪がちょうどそんなだな。もしかしてお似合い? いやいやいや。奥さんいたじゃん。オレはノンケに恋はしない主義だ。そのはずだ。

……ちゃんと諦めるからさ。

船長もいい男だし!
って船長もノンケだったわ。
ここに来る前に会ったこの島の船長はどうなんだろう?

『ねぇ、この島の大きい船の船長さんて奥さんいる?』
『いるよ~』
『あの人はモテるから妻なら4、5人いるぜ!』

一夫多妻でしたか!!

はぁ……。
どこかにゲイかバイで独り身なイケオジいないかなぁ。

いないか。

少ししょんぼりしながらも紅珊瑚と黒珊瑚の他に大きな真珠や翡翠、ペリドットやトパーズ、オパールになった貝、かなりまんまるな石を見つけ、舟に乗せて引き上げた。



*******



「よう!」
「あ、ダルマさん」

宝浜から戻るとハリー達と交代したメンバーがいた。ダルマツィーオ副長ともみあげや胸毛、性格が暑苦しいモンス、緑の髪で細マッチョなアダン、中肉中背で影の薄いヤン。船長はおじいちゃん先生が船を降りないから、と今夜も島で過ごすようだ。

「さっき大物を釣って島長に渡したから期待しておけよ?」

ダルマさんはやっぱり船の上で釣りをしていて、当たり前のように大物を釣っている。北海道の水族館で幻の魚を展示しようと地元の釣り名人にお願いしたら5匹くらい釣ってきて

「もっといる?」

って言ったというエピソードを思い出した。
幻の魚のはずなのにひょいひょい釣ってくるなんて、本当に幻の魚だったのかな?

どうでもいい記憶だな。

あ、島の人たちが大きい魚を運んでる。
バショウカジキってやつかな? ツノみたいなのも生えてるけどさっき見つけた一角獣のツノとは違うみたいだ。

3mはある魚を6人がかりで担いでる。

『すげえっ! ツノハタウオだ!!』
『でかい』
『大陸の人もやるね~』

こちらではツノハタウオって言うのか。
うん、大陸の人がやるのかダルマさんがすごいのか分からないけどね。





宝浜で見つけたお宝をみんなに見せたり、装飾品に加工する手順を見せてもらったりして過ごし、海を夕焼けが染める頃、宴会の準備が整った。

昨夜と同じように篝火が焚かれ、ご馳走が並べられ、島で作られたお酒が出される。ココナッツジュースから作ったお酒? え? 昨日も飲んだっけ?

『おっ! タカラ酒飲むのか?』
『少しはね』
『じゃあぼくたちも飲もうかな~』

そう言えば昨夜は誰も飲んでなかったな。

宴会が始まり、船長達に女の人が群がっている。今日は昨日よりさらに積極的だ。慣れたのかな? あ! 中肉中背だと思ってたヤンさんが上半身裸になって細マッチョを披露している。脱いだらすごい人だったのか。

この島の人たちは強い男を欲しがるそうで中肉中背とかヒョロガリとかだとモテないらしい。ハリーは比較的細いけど船で鍛えられているからちゃんと筋肉ついてるもんね。あれ? ヤンと喋ってる子、ハリーと仲良くしてた子だな。細身が好きなのか。

『タカラ、おきがえ どーじょ』

まだ2歳くらいのちびっ子がほかのちびっ子達と共に女装セット(?)を携えてやって来た。今日は女の子もいるようで花冠と首飾りと腰蓑をつけた子がいる。かわいいな。

『今日はお着替えしないよ?』
『なんでー?』
『きれーなのに……』
『なら はだかんぼ?』
『今日はこのまま』
『『『えーっ!!』』』

どうしても布の服に違和感があるらしい。

『今夜も昨日の舞踊を見せてはくれませんか?』
『えぇっ!? いや、あれは……』

ちびっ子達だけじゃなくて長まできちゃったんですけど!?

『あれ、かっこよかったよな!』
『どう動けばああなるの~?』
『頼む』

えええ……。
ガン達まで?

シャッフルダンスは簡単なやつでもインパクトあるもんね。

「どうしたんだ?」
「船長、島の人たちが昨日のダンスが見たいっていうの」
「あぁあれか。あれは俺も初めて見たがグッときたぞ。また見たいな」
「え、ホント?」
「あぁ」

チョロいオレは船長に煽てられ、踊り子の衣装に着替えて舞台に上がった。まぁ、舞台といっても花で囲まれた場所ってだけなんだけど。

今日は女性たちより先に1人で踊ることになった。男の人達が興味津々で舞台を囲み、船長達はその後ろで丸太の椅子に座り、眺めている。

島の音楽に合わせて拍子をとり、ステップを踏む。前へ後ろへ、右に左に。適当でもそれなりに見えるのがすごいよね。

あ、セクシーポーズで終わらせてしまった。

……ちょっと恥ずかしい。

盛り上がってるからまぁいいか。

「やるな!」
「いいぞー!!」
『おれ達にも教えてくれー!』
『私は色っぽいのがいいわ!』

船長もちょいワル笑顔で拍手してくれてるし、船員達も褒めてくれている。そして島の人たちは教えて欲しいらしい。

ガン達に教えればみんなに伝わるかな?








※実際のオニヒトデは成長の早い珊瑚を好んで食べるので特に黒珊瑚を好むわけではありません。どうでもいい情報。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...