美醜逆転?おれぶちゃくないけど?

香月ミツほ

文字の大きさ
31 / 32

31 〜サームシップエッ〜

しおりを挟む
野盗はディレクと名乗った。

セルハン様にお願いして手枷を外してもらったけど手が痺れちゃってたから、食事を食べさせてあげた。串焼き1本とご飯とスープだけの質素な食事だけど、ディレクは美味い、って涙を滲ませてた。



セルハン様と一緒にギルドへ戻ると、宴もたけなわだった。

犯罪者の食事なんてあんな物だろうけど、あれで涙を流すほど食い詰めていた事を考えてしまって、このままこの仕事を続ける事はできないと思った。

「セルハン様、カドリ様、後でお話を聞いてもらえますか?」
「ここではダメなのか?」
「おれは構いませんが…野盗の中にディレクの集落の人達が大勢いるようなのですが、その人達をまとめて雇用したいのです。仕事の内容と…その…資金についてはカドリ様に相談したいと思っています。」

酔っぱらっていると思っていた人達まで顔つきが変わり、静かになった。
そこでディレクに聞いた困窮する集落の話をした。

「うちは傭兵団だから本来は野盗を潰したら警備隊に引き渡して終わるんだが、今回はアジトを探すためにあいつを預かっていたんだ。罪の重い者は強制労働、軽い者は罰金または懲役、もしくは労働だ。道を作ったり補修したり井戸を掘ったりが多い。その場合、年寄りは使い辛くて持て余していた所だ。ミチルの言う仕事年寄りでもできるのか?」
「できます!」
「ならば監視付きで作業させる事は可能だろう。こんな田舎町じゃ、そうそう厳しく管理されないからな。」
「じゃぁ、その集落の人達は優先的にこちらへ回してもらえますか?」
「そのように手配しよう。」

「それで、私への話とは?」
「ここを辞めたいんです。」
「「「「「えーーーーーーーーーー!?」」」」」

宝石研磨職人に弟子入りしたい夢と、ディレク達の仕事が軌道に乗るまで一緒に頑張りたい事を話したらヒューリャに止められた。

「ミチル、まだ文字書けないじゃない!その顔で職人になるのも神への冒涜だよ!!書類読めなくて騙されたらどうするの!?採算取れなかったら!?」

途中に変な意見が混じってるけど、言いたい事は分かる。

「経営や文字の読み書きについては私が責任を持ちます。ただ、資金がどれくらい必要なのかが雇用人数に寄っても変わりますからまだ何とも言えません。」

それはそうだろう。
おれだって本当はまずカドリさんに相談してからのつもりだったんだけど、ごちそうを見るだけでも辛くなっちゃって…

「資金については後回しにして、とにかくここを辞めさせて下さい。」

アイラインだけでも商品化すれば資金集めの役に立つと思うんだよね。
カドリさんは独占したいって言ってたけど、作り方は秘密にしてここのメンバーだけで扱うならアリだと思う。そこも話し合いです。

とは言え、野盗を取り押さえない事には始まらないのでしばらく保留になりました。

もう1つカドリさんに相談したかったんだ。

「カドリ様、商品についても少し相談したいんですが。」
「では今夜、我が家へお出でいただけますか?それとも馬車で送る時にご一緒するだけで足りますか?」
「馬車で足ります。回り道させてすみません、ありがとうございます。」

今日の集まりはただの定例会だったので、あまり遅くならずに終わった。馬車の中でカドリさんに仮のアイラインが出来ている事と、野党を捕まえるのに囮に化粧したら良いんじゃないか、と言う提案。

新商品はしばらく門外不出にしたいと言ってたけど、話をした感じだとディレクの仲間は人を言いくるめて売る方向で手柄を立てようとするみたいだから傭兵に化粧をしたら囮になると思うんだよね。

カドリさんはしばらく考えてから許可をくれた。

「ありがとうございます!」
「止めたらミチルが囮を買って出そうですからな。」
「…分かります?」
「それはもう見え見えです。でも元からの野盗の方に捕まったら危険ですから、絶対だめですよ。」
「はい!お休みなさい。」

良い子の返事をして警備隊宿舎で降りた。



「ミチル!この時間だと夕飯もう食べた?」
「食べて来た。」
「じゃあ送って行こうか?」
「俺が行く。」

エニスが送ると言ってくれてたらジェミルが行くと言う。まだ見回り休み?

「お前は怪我が治るまでおとなしくしてろって。」
「いやだ。」

怪我と言ってもそれほどじゃないみたいだから、じっとしていられないのかな?

「お前はミチルにいいとこ見せられたんだから譲れ。」
「あんなの!!全然ダメだ!」
「けど………」
「なっ!?」

『けど』の後に何を言ったか分からないけど、ジェミルが真っ赤になっている。何を言われたんだろう?

「エニス、3人で飲みに行く?タダになるの、2人までだけど。」
「何それ?いいよ、自分の分くらい出すよ!」

と、言う事で3人でハリムの店に行った。行き過ぎかな?

「取り敢えずかんぱーい!」
「ミチルにかんぱーい!」
「……」

「ジェミル、なんか…ごめんね。」
「あっ!…いや、いい言葉が思いつかなかっただけだ。すまん。」

良かった。
それにしてもエニスは話し上手。ジェミルも対抗心が薄れて来たようで寛いでいる。

「…で、ミチル。初めてはどうだった?」

ぎくっ!
そっ、その初めてと言うのは、やっぱり夜の事…でしょうか?

狼狽えて挙動不審になっていると、ジェミルが言った。

「言う必要はない。」
「えー?だって初めてだと、痛いだろ?」
「そんな事は無い。」
「いや、ジェミルじゃなくてミチルに聞いてんだけど?」
「おっ、おれ!?」
「そうだよ。初めてだったんでしょ?馬に乗るの。」

やられた!
めっちゃニヤニヤしてる~~~~!!

「お、お尻がすりむけた…。」
「だよねー。乗り方ちゃんと教えなきゃダメだろ?ジェミル。」
「す…、すまなかった。」
「いや、別に、仕方ないって!」

‥‥‥で。
なぜ家に送って貰ったら尻を出さにゃならんのか。

「だってジェミルは入隊早々手柄立ててミチルとヤる事やって馬で2人乗りして!羨ましすぎ!!」
「それ同列なの!?」
「心配してるんだよ?」
「嘘だ。」
「お尻見たい!触りたい!」
「本音出た!!」
「エニス、警備隊員がそんなのでいいのか!?」
「友達としてお願いしてるの!ミチルがどうしても嫌なら諦めるけど別に良いかと思ってくれるならお願いしたいじゃないか!」
「断ってるだろう!」
「じゃぁせめて傷の具合見せて?」

何がせめてなのか謎です。

「もう!尻ならこの前見たでしょ!?」
「見せたのか!?」
「見てないよ。」

あれ?

「見たのは背中と前だけでお尻は見てない。」
「あぁ、仰向けで咥えられたんだった。‥‥‥って!!もう、良いから帰って!」
「はぁ‥‥‥わかった、諦めるよ。またね、お休み。」

ちゅっておでこにキスされてオタオタしてたらジェミルがキレた。

「エニス先輩、帰りましょう。」

背景にズモモモッて描き文字背負ってエニスの襟首掴んで引っ張って行った。

「あっ!おやすみ、ジェミル!」
「あぁ、お休み、ミチル。」

どす黒いオーラを纏って良い笑顔で返事をするとか、ジェミル器用だな。
独り占めできないって言ってたけどやっぱり嫉妬はするのか。‥‥‥当たり前だろうし、嬉しい。

おれ、性格悪い‥‥‥。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

処理中です...