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おお!っと王都で驚いた
ケンカ別れ
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朝、コリンさんも歩けなくて朝ごはんは部屋で食べたと聞いた。コリンさんが恐縮しまくってたけど、おれはしょっちゅうやらかしてます……。
「まぁま、こりしゃ いこいこ しゅる!」
いつもならイチャイチャのダメージは自力治癒なんだけど、今日はオスカーたちが帰る事を理解しているようで、ハルトが朝食に起きてこなかったコリンさんの治癒をすると言った。
「ママのいい子いい子で治ると思うよ」
「はーと いこいこ しゅる」
「いい子いい子したいの?」
「あい!」
ハルトを連れてお客さん用の寝室をノックした。
「コリンさん? チサトとハルトです。具合はどうですか?」
「……チサト」
「入ってくれ」
オスカーを抱いたオルトさんが扉を開けて入れてくれた。
コリンさんは起き上がるのも辛そうだ。
「今日帰るのにそれじゃぁ辛いでしょう? ハルトがコリンさんをいい子いい子したいって言うんです。良いですか?」
「ハルトやさしいね。オスカーも心配して泣いちゃってね。まったくオルトってば」
「面目無い」
薬のせいだから仕方ないけど結果として謝るしかないよね。
「こりしゃ、いこいこよー」
ベッドによじ登り、横向きで軽く体を丸めたコリンさんの腰から足にかけてなでなでする。ぷにぷにしたちっちゃな手の感触は治癒がなくても癒されるよね。
ハルトが撫でた所がほわっと光り、ゆっくりと消えていった。
「……痛くない。全然痛くないし怠さもなくなった!!」
「ハルトはすごいな」
「はーと、えらい? おっぱ、なでなでー!」
「おお、偉いぞ! なでなでが好きか?」
「しゅき!」
撫でて欲しいのかと思ったら抱き上げてくれたオルトさんの胸を揉んだ。そっちか!!
「ハルト、それは撫で撫でじゃなくて揉み揉みだな」
「もみもみ!」
「まぁ、どっちでも良いか」
両手で持ち上げたりパン生地を捏ねるように押したりしてるけど、何がしたいんだろう? 起き上がる事ができたコリンさんにオスカーが飛びつき、押し倒してキスの嵐。心配だったもんね。
そこへ仕事へ行く準備ができたフィールが顔を出した。
「オルト、コリン、私は仕事で見送れないが道中気を付けてくれ」
「いくらここで弱くても他では引けを取らん」
「ただの決まり文句だ。心配はしていない」
「そりゃ光栄だ。またな」
「あぁ、また。……ハルトは何をしているんだ?」
力一杯雄っぱいを弄ってる……?
「なにはいってる?」
「筋肉だ。それが気になって引っ張ってたのか」
「ちんにく」
「き、ん、に、く」
「き、ん、に、く?」
「そう、筋肉だ」
「ちんにく!」
どうしてそうなるのか?
「まぁまも、ちんにくいれてー」
フィールよりも大きいオルトさんを目指せと……?
でもやらずに諦めるのは良くないから少しくらい鍛えてみようかな?
「チサトはそのままで良い! 私が何とかするから!」
フィールが慌ててるけど、おれは多分、ほとんど変わらないと思います。何とかするって言ってもフィールもあそこまで大きくならないんじゃないかなぁ、遺伝的に。
「みんなで頑張ろうか?」
「みんな! ばんがる!」
フィール、大丈夫だから!
そんなやりとりを笑い転げながら見ていたコリンさんが、オスカーにかーしゃと一緒にとーしゃみたいになろうね、と言ってオルトさんを苦笑いさせていた。
フィールを見送った後、仕入れた雑貨はコリンさんの実家のキャンピングカーみたいな馬車に積み込む。学校があるアレクは見送りができない事を残念がってたけど、ヨハンとマインラートくんは見送りに間に合った。
「おしゅか、ばいばいね」
「はと、ばいばい……、ば……、ふぇぇ……、んちゅー!!」
泣くのかと思ったらキスをした。驚いて固まったハルトが我に返り、オスカーを突き飛ばした。
「おしゅか、やーーーー!」
「はと……」
「ちゅー、や!!」
プンプン怒るハルトにオロオロするオスカー。ちゅー、そんなに嫌だった? 出発すると言うのに、ハルトの機嫌は全く治らない。
「ハルト、オスカー帰っちゃうよ?」
「ばいばい!!」
早く帰れと言わんばかりに手を振るハルトにオスカーはハラハラと涙を流す。傷ついた泣き方だ……。
ハルトがこんなに怒るのは初めてで、おれもオロオロするばかり。
「ん? ハルト、痛かったのか?」
「おしゅか、いたいしゅる! ちらい!」
「え? 痛かった?」
オルトさんに言われて良く見ればハルトの唇の内側が切れて血が滲んでいた。キスした時に歯がぶつかったのか。自分の怪我は治せないのか怒りで治癒能力を忘れているのか。
「痛くて怒ってたのか。ハルト、オスカーはわざとじゃないよ?」
「おしゅか、ちらい!」
「オスカー、ハルトにごめんなさいしなさい。ハルト痛かったんだって」
大人が間を取り持とうとしても子供達は譲らず、喧嘩別れのようになってしまった。
……まぁ、後で笑い話になるかな?
ハルトの傷を治して宥めるも、結局馬車が見えなくなるまでおれにしがみ付いて周りを見ようとはしなかった。家に入ってから蚊帳の外になってしまっていたヨハンがハルトを優しくなでなでしてくれてようやく機嫌が直った。
「まぁま、こりしゃ いこいこ しゅる!」
いつもならイチャイチャのダメージは自力治癒なんだけど、今日はオスカーたちが帰る事を理解しているようで、ハルトが朝食に起きてこなかったコリンさんの治癒をすると言った。
「ママのいい子いい子で治ると思うよ」
「はーと いこいこ しゅる」
「いい子いい子したいの?」
「あい!」
ハルトを連れてお客さん用の寝室をノックした。
「コリンさん? チサトとハルトです。具合はどうですか?」
「……チサト」
「入ってくれ」
オスカーを抱いたオルトさんが扉を開けて入れてくれた。
コリンさんは起き上がるのも辛そうだ。
「今日帰るのにそれじゃぁ辛いでしょう? ハルトがコリンさんをいい子いい子したいって言うんです。良いですか?」
「ハルトやさしいね。オスカーも心配して泣いちゃってね。まったくオルトってば」
「面目無い」
薬のせいだから仕方ないけど結果として謝るしかないよね。
「こりしゃ、いこいこよー」
ベッドによじ登り、横向きで軽く体を丸めたコリンさんの腰から足にかけてなでなでする。ぷにぷにしたちっちゃな手の感触は治癒がなくても癒されるよね。
ハルトが撫でた所がほわっと光り、ゆっくりと消えていった。
「……痛くない。全然痛くないし怠さもなくなった!!」
「ハルトはすごいな」
「はーと、えらい? おっぱ、なでなでー!」
「おお、偉いぞ! なでなでが好きか?」
「しゅき!」
撫でて欲しいのかと思ったら抱き上げてくれたオルトさんの胸を揉んだ。そっちか!!
「ハルト、それは撫で撫でじゃなくて揉み揉みだな」
「もみもみ!」
「まぁ、どっちでも良いか」
両手で持ち上げたりパン生地を捏ねるように押したりしてるけど、何がしたいんだろう? 起き上がる事ができたコリンさんにオスカーが飛びつき、押し倒してキスの嵐。心配だったもんね。
そこへ仕事へ行く準備ができたフィールが顔を出した。
「オルト、コリン、私は仕事で見送れないが道中気を付けてくれ」
「いくらここで弱くても他では引けを取らん」
「ただの決まり文句だ。心配はしていない」
「そりゃ光栄だ。またな」
「あぁ、また。……ハルトは何をしているんだ?」
力一杯雄っぱいを弄ってる……?
「なにはいってる?」
「筋肉だ。それが気になって引っ張ってたのか」
「ちんにく」
「き、ん、に、く」
「き、ん、に、く?」
「そう、筋肉だ」
「ちんにく!」
どうしてそうなるのか?
「まぁまも、ちんにくいれてー」
フィールよりも大きいオルトさんを目指せと……?
でもやらずに諦めるのは良くないから少しくらい鍛えてみようかな?
「チサトはそのままで良い! 私が何とかするから!」
フィールが慌ててるけど、おれは多分、ほとんど変わらないと思います。何とかするって言ってもフィールもあそこまで大きくならないんじゃないかなぁ、遺伝的に。
「みんなで頑張ろうか?」
「みんな! ばんがる!」
フィール、大丈夫だから!
そんなやりとりを笑い転げながら見ていたコリンさんが、オスカーにかーしゃと一緒にとーしゃみたいになろうね、と言ってオルトさんを苦笑いさせていた。
フィールを見送った後、仕入れた雑貨はコリンさんの実家のキャンピングカーみたいな馬車に積み込む。学校があるアレクは見送りができない事を残念がってたけど、ヨハンとマインラートくんは見送りに間に合った。
「おしゅか、ばいばいね」
「はと、ばいばい……、ば……、ふぇぇ……、んちゅー!!」
泣くのかと思ったらキスをした。驚いて固まったハルトが我に返り、オスカーを突き飛ばした。
「おしゅか、やーーーー!」
「はと……」
「ちゅー、や!!」
プンプン怒るハルトにオロオロするオスカー。ちゅー、そんなに嫌だった? 出発すると言うのに、ハルトの機嫌は全く治らない。
「ハルト、オスカー帰っちゃうよ?」
「ばいばい!!」
早く帰れと言わんばかりに手を振るハルトにオスカーはハラハラと涙を流す。傷ついた泣き方だ……。
ハルトがこんなに怒るのは初めてで、おれもオロオロするばかり。
「ん? ハルト、痛かったのか?」
「おしゅか、いたいしゅる! ちらい!」
「え? 痛かった?」
オルトさんに言われて良く見ればハルトの唇の内側が切れて血が滲んでいた。キスした時に歯がぶつかったのか。自分の怪我は治せないのか怒りで治癒能力を忘れているのか。
「痛くて怒ってたのか。ハルト、オスカーはわざとじゃないよ?」
「おしゅか、ちらい!」
「オスカー、ハルトにごめんなさいしなさい。ハルト痛かったんだって」
大人が間を取り持とうとしても子供達は譲らず、喧嘩別れのようになってしまった。
……まぁ、後で笑い話になるかな?
ハルトの傷を治して宥めるも、結局馬車が見えなくなるまでおれにしがみ付いて周りを見ようとはしなかった。家に入ってから蚊帳の外になってしまっていたヨハンがハルトを優しくなでなでしてくれてようやく機嫌が直った。
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