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18.町から町へ
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宴会が進み、出席者が交代をする。
でもなんだか、さっき見たような顔がちらほら……? 気のせいかな? それとも民族的な特徴?
「神子様、先日は治療してくださり、本当にありがとうございました。兄は先の宴会に来ていたのですが、神子様の美しい声にうっとりしておりました」
「美しい声!? そ、そんなことはじめて言われました。お兄さんですか? そっか、だから見た顔だったのか。見たことあるのに初めましてって言うから、誰かと間違えちゃったかと思った」
「双子ですが、兄は私と違って狩りが苦手で、渡り鳥狩りには参加していませんでしたので、神子様にお会いするのは今日が初めてです」
そうだ!
この町は双子が多い、って言ってた!
知らない人ばかりだからよく見てなかった。
「神子様の口づけのおかげで皆の調子が上がり、この成果です。心より感謝申し上げます」
「えへへ……、その、お役に立てれば嬉しいです……」
思いつきだったけど、みんなへのキスがちゃんと結果を出したなら嬉しい。神子ってすごい!
「神子様、この度は……、治療と狩りの助力、ありがとうございました。あの状態のままではこんなにたくさんの獲物を狩れず、俺たちは冬の終わりに飢えていたことでしょう」
「私たち3人はこの町で1番の腕なんだ。だからモンテカブラをどうにかしようと出かけて、返り討ちにあってしまって……。情けない」
あぁ、先に退院した3人が被害にあって、魔獣化がはっきりしたから腕自慢の3人が出たのか。なのにやられたから、って……。
「情けなくなんてありません! 町の人達を守るために戦ったのでしょう? おれ達が間に合ったのもあなた方が頑張ってくれたからですよ、きっと」
そもそも戦ったのはサバールさんだよ?
おれは……、馬車の中で……、えっと、ってだけで。
「サバールがモンテカブラを倒したのは神子様を守っただけです。偶然ですよ」
「そうだ。だが、役に立てたならやはり、神子様のおかけだな」
もう少し時間がかかりそうだったのに、あのタイミングでここに着いたのは、万能薬パワーで馬が元気だったから。それにおれが来なければサバールさんは王都で騎士をしていたから、この辺境の町には来なかった、と。
わらしべ長者、じゃないし……、牛に引かれて、ってやつかな? 違う?
「巡り巡って幸せなら、みんなで喜ぶべきですね」
って、笑顔を向けたら何故か口づけを欲しがられた。調子に乗って全員としたよ。前半に来ていたキスをしなかった人達が、翌日来た時はお酒が抜けてたから恥ずかしかった。
*******
翌日の禊は3人だけにしてもらって、頑張った。そして生命樹にしっかりとした実がなったのを見届け、翌朝の出発に備える。
渡り鳥の肉とか山羊のチーズとか、色々お土産もらって荷造りして、先に町のみんなにお別れを告げた。
「慌ただしくてすみません」
「ゆっくりしていただきたいのは山々ですが、そろそろ雪が降ります。山道を下るのに雪は危険ですから、私たちのことはお気になさらず、急ぐべきです」
寒さはそれほど感じない身体だけど、それにしても寒くない。なのに雪が降りそうなの?
「渡り鳥が渡ると、数日後に雪が降り、また少し晴れて雪が溶け、次に本格的な冬がきます。明日の昼過ぎにはぐっと冷えるでしょう」
「夜は凍らないよう、しっかりと火を焚いてこの毛皮に包まって寝てください」
「うわぁ、軽くて温かくて気持ちいい! ありがとうございます」
凍らないために、と貰った毛皮のフード付きマントは楽天鼠の毛皮で、ふわふわすべすべでとても温かい。1匹が小さいから、丁寧に縫って繋ぎ合わせてある。
「これ、作るの大変なんじゃあ……?」
「時間はかかりますが、冬の間の手慰みです。我々をモンテカブラの脅威から守ってくれた神子様方を、このマントが守れたら少しは恩返しができるでしょう」
3人と馬の分までくれるなんてもらいすぎな気もするけど、ここはありがたくいただくべきだと感じた。
出発に向け、夜の交歓は禊の間でして、少しでも神聖水を作る。早起きして朝イチの禊もするけど、さすがに朝は忙しいので。
*******
出発の朝、日の出とともに馬車に乗り込むときには、町の人全員が見送りに来てくれた。
しかも、おれが双子を珍しがっていたからか、同じ顔の人が2人ずつ、たくさん並んでいる。分かりやすいように並んでくれたのかな?
他の町ほど切羽詰まってなかったから、ちょっと観光気分で楽しかった。
「きっとまた来ます!」
「いつまでもお待ちしておりますので、どうぞのんびりと国をお巡りください」
馬車の中は外からは見えないけど、後部の覗き窓からみんなを見続けた。
「名残惜しいですか?」
「そう、だね。ここは平和で、豊かで、楽しかった。でもこれから冬になるなら他の町にも急がなくっちゃでしょ?」
「ここは標高が高いのでもう冬になりますが、次の町では秋に戻ります」
「そのあとは?」
「南に向かうのでしばらく秋ですね」
「秋って短いものでしょ!?」
「春も、夏も、秋も、冬も、平地ではそれほど大きな差はありません」
そうか、差が少ない上におれ達が季節を追いかける感じになってるのか。
ならまだ実りの秋を楽しめるかな?
キノコってこっちに来て食べたっけ?
「ねぇ、キノコって食べる?」
「キノコを召し上がるのですか!?」
「え、うん。毒がなければだけど……」
「アレは存在そのものが毒です! 気付くのが遅れると身体を菌糸に蝕まれ、動けなくなり、生きたまま貪られるのです!!」
「そ、そうだったのか」
異世界のキノコ怖い!
あ、植物だからか。
植物の天敵は草食動物か虫だと予想してたけど、菌類だったのか。ふむふむ。
「次の町はどんな所?」
「大きな川の中洲にあります。大きな魚が漁れますね」
「秋の魚も美味しそうだね」
「はい。名物ですのでぜひ、お召し上がりください」
「くだも……、くちっ!」
なんだか冷えてきたかな?
「冷えてきましたね。マントを着ましょう」
「ありがとう! サバールさん大丈夫かなぁ?」
「すぐ着られるよう脇に掛けてありましたから、大丈夫ですよ」
馭者台の脇には上着を掛けるフックがあったの? 気づかなかったなぁ。
今日は先を急ぐので、馬車の中ではイチャイチャしていない。
「休憩だ」
馬車が止まり、扉が開けられる。
トイレのために馬車を降りると冷たい空気が頬を撫でた。
「うわぁ、確かに寒くなってきたね」
「あぁ。だがもっと降りればまた暖かくなるだろう」
自然て不思議。
先を急ぐからトイレ休憩だけにして、馬車の中で携帯食を食べる。次の休憩で馭者を交代するらしく、膝抱っこになった。少しムラムラする。
「アルシャーブさん、キス……、口づけして、いい?」
「もっ、もちろんです! とても嬉しいです」
もう、くっついてるのに何もしないでいるとそれだけで焦らされたみたいになっちゃう。その上、こんな官能的なキスをしたら……。
「口づけでこんなになってしまうのですか?」
「そっ、それだけじゃないけど! それだけじゃなくて、抱っこされてると体温とか? 匂いとか? そういうのを近くに感じてると、こう……、服越しじゃない肌の触れ合いが恋しくなるっていうか……」
「なんて幸せなのでしょう! ですが冷えてきていますから、肌の触れ合いはお預けですね」
と言って、優しいキスと服の中に手を入れての愛撫で気持ちよくしてくれた。
ノーパン便利だな!!
でもなんだか、さっき見たような顔がちらほら……? 気のせいかな? それとも民族的な特徴?
「神子様、先日は治療してくださり、本当にありがとうございました。兄は先の宴会に来ていたのですが、神子様の美しい声にうっとりしておりました」
「美しい声!? そ、そんなことはじめて言われました。お兄さんですか? そっか、だから見た顔だったのか。見たことあるのに初めましてって言うから、誰かと間違えちゃったかと思った」
「双子ですが、兄は私と違って狩りが苦手で、渡り鳥狩りには参加していませんでしたので、神子様にお会いするのは今日が初めてです」
そうだ!
この町は双子が多い、って言ってた!
知らない人ばかりだからよく見てなかった。
「神子様の口づけのおかげで皆の調子が上がり、この成果です。心より感謝申し上げます」
「えへへ……、その、お役に立てれば嬉しいです……」
思いつきだったけど、みんなへのキスがちゃんと結果を出したなら嬉しい。神子ってすごい!
「神子様、この度は……、治療と狩りの助力、ありがとうございました。あの状態のままではこんなにたくさんの獲物を狩れず、俺たちは冬の終わりに飢えていたことでしょう」
「私たち3人はこの町で1番の腕なんだ。だからモンテカブラをどうにかしようと出かけて、返り討ちにあってしまって……。情けない」
あぁ、先に退院した3人が被害にあって、魔獣化がはっきりしたから腕自慢の3人が出たのか。なのにやられたから、って……。
「情けなくなんてありません! 町の人達を守るために戦ったのでしょう? おれ達が間に合ったのもあなた方が頑張ってくれたからですよ、きっと」
そもそも戦ったのはサバールさんだよ?
おれは……、馬車の中で……、えっと、ってだけで。
「サバールがモンテカブラを倒したのは神子様を守っただけです。偶然ですよ」
「そうだ。だが、役に立てたならやはり、神子様のおかけだな」
もう少し時間がかかりそうだったのに、あのタイミングでここに着いたのは、万能薬パワーで馬が元気だったから。それにおれが来なければサバールさんは王都で騎士をしていたから、この辺境の町には来なかった、と。
わらしべ長者、じゃないし……、牛に引かれて、ってやつかな? 違う?
「巡り巡って幸せなら、みんなで喜ぶべきですね」
って、笑顔を向けたら何故か口づけを欲しがられた。調子に乗って全員としたよ。前半に来ていたキスをしなかった人達が、翌日来た時はお酒が抜けてたから恥ずかしかった。
*******
翌日の禊は3人だけにしてもらって、頑張った。そして生命樹にしっかりとした実がなったのを見届け、翌朝の出発に備える。
渡り鳥の肉とか山羊のチーズとか、色々お土産もらって荷造りして、先に町のみんなにお別れを告げた。
「慌ただしくてすみません」
「ゆっくりしていただきたいのは山々ですが、そろそろ雪が降ります。山道を下るのに雪は危険ですから、私たちのことはお気になさらず、急ぐべきです」
寒さはそれほど感じない身体だけど、それにしても寒くない。なのに雪が降りそうなの?
「渡り鳥が渡ると、数日後に雪が降り、また少し晴れて雪が溶け、次に本格的な冬がきます。明日の昼過ぎにはぐっと冷えるでしょう」
「夜は凍らないよう、しっかりと火を焚いてこの毛皮に包まって寝てください」
「うわぁ、軽くて温かくて気持ちいい! ありがとうございます」
凍らないために、と貰った毛皮のフード付きマントは楽天鼠の毛皮で、ふわふわすべすべでとても温かい。1匹が小さいから、丁寧に縫って繋ぎ合わせてある。
「これ、作るの大変なんじゃあ……?」
「時間はかかりますが、冬の間の手慰みです。我々をモンテカブラの脅威から守ってくれた神子様方を、このマントが守れたら少しは恩返しができるでしょう」
3人と馬の分までくれるなんてもらいすぎな気もするけど、ここはありがたくいただくべきだと感じた。
出発に向け、夜の交歓は禊の間でして、少しでも神聖水を作る。早起きして朝イチの禊もするけど、さすがに朝は忙しいので。
*******
出発の朝、日の出とともに馬車に乗り込むときには、町の人全員が見送りに来てくれた。
しかも、おれが双子を珍しがっていたからか、同じ顔の人が2人ずつ、たくさん並んでいる。分かりやすいように並んでくれたのかな?
他の町ほど切羽詰まってなかったから、ちょっと観光気分で楽しかった。
「きっとまた来ます!」
「いつまでもお待ちしておりますので、どうぞのんびりと国をお巡りください」
馬車の中は外からは見えないけど、後部の覗き窓からみんなを見続けた。
「名残惜しいですか?」
「そう、だね。ここは平和で、豊かで、楽しかった。でもこれから冬になるなら他の町にも急がなくっちゃでしょ?」
「ここは標高が高いのでもう冬になりますが、次の町では秋に戻ります」
「そのあとは?」
「南に向かうのでしばらく秋ですね」
「秋って短いものでしょ!?」
「春も、夏も、秋も、冬も、平地ではそれほど大きな差はありません」
そうか、差が少ない上におれ達が季節を追いかける感じになってるのか。
ならまだ実りの秋を楽しめるかな?
キノコってこっちに来て食べたっけ?
「ねぇ、キノコって食べる?」
「キノコを召し上がるのですか!?」
「え、うん。毒がなければだけど……」
「アレは存在そのものが毒です! 気付くのが遅れると身体を菌糸に蝕まれ、動けなくなり、生きたまま貪られるのです!!」
「そ、そうだったのか」
異世界のキノコ怖い!
あ、植物だからか。
植物の天敵は草食動物か虫だと予想してたけど、菌類だったのか。ふむふむ。
「次の町はどんな所?」
「大きな川の中洲にあります。大きな魚が漁れますね」
「秋の魚も美味しそうだね」
「はい。名物ですのでぜひ、お召し上がりください」
「くだも……、くちっ!」
なんだか冷えてきたかな?
「冷えてきましたね。マントを着ましょう」
「ありがとう! サバールさん大丈夫かなぁ?」
「すぐ着られるよう脇に掛けてありましたから、大丈夫ですよ」
馭者台の脇には上着を掛けるフックがあったの? 気づかなかったなぁ。
今日は先を急ぐので、馬車の中ではイチャイチャしていない。
「休憩だ」
馬車が止まり、扉が開けられる。
トイレのために馬車を降りると冷たい空気が頬を撫でた。
「うわぁ、確かに寒くなってきたね」
「あぁ。だがもっと降りればまた暖かくなるだろう」
自然て不思議。
先を急ぐからトイレ休憩だけにして、馬車の中で携帯食を食べる。次の休憩で馭者を交代するらしく、膝抱っこになった。少しムラムラする。
「アルシャーブさん、キス……、口づけして、いい?」
「もっ、もちろんです! とても嬉しいです」
もう、くっついてるのに何もしないでいるとそれだけで焦らされたみたいになっちゃう。その上、こんな官能的なキスをしたら……。
「口づけでこんなになってしまうのですか?」
「そっ、それだけじゃないけど! それだけじゃなくて、抱っこされてると体温とか? 匂いとか? そういうのを近くに感じてると、こう……、服越しじゃない肌の触れ合いが恋しくなるっていうか……」
「なんて幸せなのでしょう! ですが冷えてきていますから、肌の触れ合いはお預けですね」
と言って、優しいキスと服の中に手を入れての愛撫で気持ちよくしてくれた。
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