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第3話
しおりを挟む急いで調理場へ行くと遅いと怒られた。
「すみません!」
とだけ言ってスープの具材の皮むきをする。バナナのように皮が剥ける芋、大根のようなニンジンのような根菜、ネギっぽい野菜、鳥肉(たぶん)。
パンはもう成形して焼くだけになっていた。だいぶ遅れてしまったのだと反省する。
1つ分に切り分けてもらったパン生地を伸ばして捻る。これが2個で1人分。
後は焼いた1cm厚のハム2枚。
パンを焼いている間にテーブルを拭いて決められた場所に食器を置く。セルフだから後は兵士の人達がトレイにお皿を乗せて並んだらハムをのせるだけ。スープはそれぞれがよそるので早く来ないと肉が無くなるようだ。パンは各自で取る。
セサルさんは持ち場に行くので、僕はこのまま料理長預かりになった。
みんなが盛りつけ終わったところでスープを取りに行くと、見事に具がなかった。残念だけど仕方がないな、と僕と料理長の分を汁だけよそったら無言で肉を入れてくれた。しかもゆで卵付きのサラダまで!
「ありがとうございます!!」
「初めてにしちゃあ頑張ったからな。」
やっぱり料理長は良い人だ。
食べ終わったら洗い物をしてすぐにお昼のパンの仕込み。この砦には30人ほどいるので毎食パン生地を捏ねるのは重労働だ。だから非番の兵士が交代でやる。
190cmくらいのチャラい感じの人が料理長から粉や水や大きなボウルを受け取っているので、この人が今日のパン生地担当だろう。
目が合ったので挨拶をする。
「ヨシキです。よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げるとニヤリと笑って頭を撫でる。
「俺はイラリオ。敬語なんて使わなくて良いって!仲良くしよう、な?」
「ありがとう。でもちょっと…」
「ちょっと?」
「…えっと、こんな歳で自分の事「僕」って言っちゃう事がある…から…」
頑張って1人称を「おれ」にしたけど、未だに時々「僕」って言っちゃう。みっともないよね。
「成人したからって無理しなくていいんだぞ?」
「おれ、28歳ですよ。」
「「はぁっ!?」」
料理長も驚いたようだ。
「こちらでは何歳で成人ですか?」
「16だ。」
「うそぉっ!?」
成人したからって、と言われたって事は16歳に見えるって事?セサルさんは何歳だと思ってあんな事したんだろう?
それから色々な世間話と言うか異世界講義を受けて昼食が出来上がった。
昼を知らせる鐘が鳴り、バラバラと兵士たちが集まってくる。ラフな格好の人はオフなんだろうな。
「料理長、ヨシキの仕事振りはどうだ?」
隊長さんが声をかけてくれる。
料理長が厳しい顔なのでドキドキしたけど、真面目でやる気があるようだと言ってくれて嬉しい。昨夜は良く眠れたかと聞かれたのでセサルさんが良くしてくれるのでぐっすり眠れたと感謝を伝えた。
「使っていない部屋だから埃っぽいかも知れないが、掃除は自分でしろよ。」
え?
「セサルさんの部屋は綺麗でした。」
「セサルはいるかーーーーっ!!」
突然の大きな声に驚いたけど、セサルさんはまだ来ていなかった。どうも空き部屋を与えられるはずだったらしい。
隊長さんのピリピリした空気に誰も昼食が始められない。かなり長く感じたけど多分5分くらいだ。
引きつった顔の同僚らしき人に引き摺られてセサルさんがやって来た…
「セサル、ヨシキは保護対象だからきちんと部屋をあてがうように言ったはずだが?」
「はっ!部屋の掃除ができておらず、また監視も必要である事から自分の部屋に連れて行く事が最善であると判断致しました!」
「突然異世界へ来てしまって、ゆっくりと考える時間が必要ではないのか?」
「未成年には相談相手がいるべきだと考えます!」
「…手は出してないだろうな?」
「出しておりません!!」
朝のアレは手を出したうちに入らないのか。スキンシップかな?
今告げなければならない気がして、2人のやり取りに口を挟んだ。
「あのぅ…私は28歳なのですが。」
「「「「何っ!?」」」」
周りで成り行きを見守っていた人達も一緒になって驚いた。16歳にすら見えないと?
「私と同じ歳だと?」
隊長さんと同い年だったようだ。
そうだよなー、こんな歳なら誰かに甘えたいとか言ってないで誰かを甘えさせなくちゃいけない立場だよなー。(遠い目)
「なら手を出しても良かったのか!」
セサルさん、声が大きくなってますよ。
初対面でその日のうちに手を出すとか、お盛んですね。
「セサル、ヨシキ、昼食が終わったら隊長室へ来るように。」
凍えるような視線で命令され、更に隊長の向かいで食事をさせられるセサルさん。視線でスープが冷めそうです。
おれは配膳の手伝いのために調理場へ戻った。
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