友達アプリ

せいら

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アプリ始動

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一段と賑やかな教室内でさらに亜欄は続ける。


「噂によるとさ、アプリで殺されたらしいよ。」

「はあ?どういうこと?」

「友達アプリだよ。なんかやばいことしたんじゃない?」



と、意味の分からないことを並べている。

アプリで人が殺されるなんてあるわけない。何言ってるんだ、本当に。


「それからさ……」

ガラッ。




「はーい、席につけー。」

担任が入ってきて、亜欄の話は遮られた。


隣の席の男が話しかけてくる。

僕に友達が出来たのがそんなに嫌なのか?



「今日からだよ。悪い?」

「別に。本当に友達なら、な。」


どういう意味だよ。本当の友達って。





ヴーヴーヴー……


あ、友達アプリだ。


【友達アプリ運営です。体験版は終了です。


永年版をダウンロードしますか?】



もちろん、はい、だ。

僕は、久しぶりに“友達”と会話して、完全に舞い上がっていた。



あんな悲惨なことになるとは知らずに、この時の僕はニヤニヤしながらアプリ通知を待っていた。

「みんな、知ってると思うけど。二組の真中まみ子と、一組の道長タカが亡くなった。警察の調べだと通り魔的な犯行らしい。みんな、ショックだと思うけど、気をつけろ。今日は、会議あるからこれで終わりだ。」


ざわざわとし始めた教室内で、また隣の席の男は話しかけてきた。


「通り魔だって。」

「……」


「気を付けろよ、大輔。」

掴めない男だ。




ヴーヴーヴー……

【友達アプリ運営です。あなたにピッタリの友達が見つかりました。

名前は、中園飛美さん。早速友達になりますか?】


中園飛美?誰……

まあ、いいや。はいっと。女の子、だよな。



どんな子なんだろう。


僕は、疑うことなく飛美に期待していた。

このアプリの本当の怖さを知るのは、もう少し先の話だ。


その日は亜欄と帰った。

これが誰かと帰るってことなんだ。
今まで道路ばっかり見て歩いてきたけど、今日は違う。

ほんの少し、青も見れる。



「大輔?聞いてた?俺の話。」

「あ、うん。」



「あ、ゲーセン行こうぜ。」


寄り道もたくさんした。

これが、遊ぶってことか。




ルンルン気分で家に帰ってきた僕は、テレビをつけた。


“ここ数年、被害が続出してますね。昨日も、中高生が殺されるという事件が起きました。犯人については分かっていません。”


そう、最近になって急に増えた。

中高生が殺される事件が……



【友達アプリ運営です。中園飛美さんがメールを希望しています。許可しますか?】

僕とメール?仕方ないな。許可しよう。



内心わくわくしながらメールを待った。


ヴーヴーヴー………

「メールだ、メール。」




友達からのメールがこんなに嬉しいだなんて……


“飛美だよーん。大輔くんが友達アプリやってたなんてビックリ!!仲良くしようね。”



よく考えれば違和感を覚えるこのメールに、この時は全く気づかなかった。


翌日、学校に行った。


「大輔くん、おはよー。」

飛美らしき人が僕の教室にきた。わりと可愛い。


ふんわりした雰囲気だけど、芯はしっかり持ってそう、なんて分析してみる。


「あ、私が中園飛美。よろしくね。一組だよ。」

「あ、うん。よろしく。」

「大輔くん、メガネ似合ってるね。かっこいい!」



そう言えば、何で飛美は僕のこと知ってるんだろう。

亜欄は同じクラスだし、知っててもおかしくはないけど。



「飛美ちゃん、何で僕のこと知ってんの?」

「……え?友達アプリに紹介文あるじゃん。」



紹介文?何のことだ?



そんなことを思ってると、

「きゃあああああああああああ!」




という悲鳴が窓の外から聞こえた。

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