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真実は一つとは限らない
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「メロディアス侯爵の繋がりではなくて?」
静かに話を聞いていたイニフィリノリス王女が口を開いた。
イニフィリノリス王女は本の虫ではあるが、人の話を聞くのも嫌いではない。比重としては本が7で人の話が3といったところだろうか。
人が多い所はまだ苦手だが、本から得られない知識も大切だから頑張りたいと語ってくれたとアスベル君から聞いている。
「王国の中枢を担う者は自身の知らぬ間に羨望や妬みを受けることもあります。メロディアス侯爵はラキアラス国王の信も厚いと聞きましたので、そちらの線もあるのではないでしょうか」
「さすかわ…」
アスベル君、それは「さすがフィーちゃん!素晴らしい推理で可愛いが過ぎるよ大好き!」の略かな?
瞬間で崩れすぎなアスベル君は置いといて、確かにそちらも一考の余地がある。
イニフィリノリス王女はメロメ国の王族なので、その辺(ドロドロな人間関係)も引きこもりながら見ていたに違いない。
親への恨みが子に行くという発想は今の俺にはなかったので、新視点ありがとうございます。
ただ、聞くにしても相手は俺の父上。聞いたところで「覚えてないなぁー」とガチ忘却で返される結末しか見えない。
「父上は…うん。そうですね。今日も聖協会にいるでしょうから、出向中のレドラムさんに聞いてみることにします」
本人に記憶がないなら、周囲から情報を得る。集めた情報を突きつけたら思い出すかもしれないし、レドラムさんなら父上が認識している以上の情報を持っている…かも?
「ああ、外交部のお喋りが止まらない方ですね?確かにあの方なら色々ご存知かもしれません」
なんという覚え方をされているんだレドラムさん。紛れもない事実だからフォローもできないじゃないか。
「そうか。外交部は同行しているんだったな…」
アスベル君は過ぎたことに嫉妬しないで。
そもそもイニフィリノリス王女が船に乗ってるって判明したのはメロメ国を出た後だったんだから不可抗力。
むしろ「え?誰?」から「誰が乗せ…あっ、レニフェル王女(察し)…」の後に「どうするの許可取ってんのコレ…」のコンボが発生して現場が軽く混乱したんだからね?
しかもその後にメロメ国の王子達が追撃してきて「早くお帰りいただけ!」状態になったのは言うまでもない。
俺も「イニフィリノリス王女はいいけど、王子達は速やかにお帰り下さい。どうぞ」状態だったからね?昼間の接待をほぼ丸投げされた身にもなって欲しい。
「………話を戻すと、光より解明が遅れている闇属性の調査にはファルム君の協力が必要不可欠であり、その妨げになるものは速やかに排除すべきであると学園長に申し立てを行いたい」
ん?まだルキスラ教授の話が続いていたのか?聞いてなかったな。
「話が大きくなりすぎるのは如何なものかと思いますが、早く終わるなら考えてもいいかもしれませんね」
「なぜ闇属性が忌避されるのか。暗闇が死を連想させるという事もひとつの注目すべき点だろう。文明を持つ多くの種族は視界を重要な情報源としている。それを奪われるという事は外敵を察知する、つまり自らの身を守る状況において非常に不利な状態であり…」
あ、これは終わるまで止まらないやつだ。
「とりあえず、片付けようか」
あれこれやっているうちに、ルキスラ教授も正気に戻るでしょう。
「メロディアス侯爵様の素晴らしさは筆舌に尽くし難く、数々の偉業は正に神と讃えるに相応しいものであり、神殿を建造してより多くの民草に知らしめるべきでしょう」
聖協会にある俺の執務室。御子宛の手紙の減らない山に囲まれながら、レドラムさんの父上賛歌を聞く気もないのに聞かされる俺。
ノッスは何かを察したのか、気づいたら姿が見えなくなっていた。気配はするので多分室内のどこかにいる。
「いや…父上の業績ではなくて、対人トラブル歴をだな…」
とりあえず、神殿の建造は全力で阻止したい所存。
レドラムさんもスイッチ入ったら止まらないんだよなぁ…人選間違ったかなぁ…
「「力こそパワー」な案件は大体やっかみの撃退ですが?」
「は?何だその案件」
「主に学生時代の噂ではありますが、侯爵様を舐めてかかった連中が見事に返り討ちにされたという話が多々ありまして…」
郊外の野原の事かと思ったら、「それは奥方争奪戦ですね」と返された。母上のモテ話は今は聞いてない。
それにしても、初耳が多すぎる。何やらかしまくってるんだ父上ェ…
「…で?なんで親御様の武勇伝聞きたがったの?」
積まれた木箱の隙間から、ノッスがひょっこり顔を出してきた。おう。結構近いところにいて軽くビビった。
「武勇伝じゃなくて妬み嫉みの心当たりだよ。父上に聞いても「そんなの知らない」って言われるに決まってるんだから、レドラムさんに聞くのが早いでしょ?」
まあ、目の前で伝言ゲーム大失敗してる訳なんだが。
どうして「対人トラブルの可能性」が「メロディアス侯爵の武勇伝」に変わったのかは判らないまま現在に至る。
「俺、ここでまで長話聞きたくないんだけど」
「わかるー」
ノッス、多分思ってる事違うよね?
ルキスラ教授のソロ講義が終わったのは帰宅時間ギリギリだったんだぞ?しかもまだ話し足りなそうにしてたから、明日も語られるはず。そして「ファルム君はどう思う?」という無茶振り。
「…正直しんどい」
思い出すだけで疲れが増した…
「メロディアス侯爵様は偉業も多いですが、対人で無用な遺恨を残すお方ではありませんが、根に持ちやすい者はどこにでもいますからね」
そうですね。会ったことないやつから突然攻撃されるネット社会怖いよね。
あと、父上の事件簿を偉業って言うのはやめようか。
「内務であちこち喧嘩ふっかけてるのは…」
待って、さらさらと暴露しまくるのやめて!
「こっわ。頭の中、貴族名鑑入ってんの?こっわ」
二回言った。いやそれは俺も思ったけど。
「水面下でジェラシー爆発させてるのは…」
「わー待って待ってそれ俺らが聞いていいやつなの?」
一項目に20以上の家名が出ましたが?どんな情報網をお持ちなんですか恐ろしい。
「メロディアス侯爵様を否定する輩は成敗リストに加えております」
ヤバい。レドラムさんは敵に回したらいけないやつだ(確信)
静かに話を聞いていたイニフィリノリス王女が口を開いた。
イニフィリノリス王女は本の虫ではあるが、人の話を聞くのも嫌いではない。比重としては本が7で人の話が3といったところだろうか。
人が多い所はまだ苦手だが、本から得られない知識も大切だから頑張りたいと語ってくれたとアスベル君から聞いている。
「王国の中枢を担う者は自身の知らぬ間に羨望や妬みを受けることもあります。メロディアス侯爵はラキアラス国王の信も厚いと聞きましたので、そちらの線もあるのではないでしょうか」
「さすかわ…」
アスベル君、それは「さすがフィーちゃん!素晴らしい推理で可愛いが過ぎるよ大好き!」の略かな?
瞬間で崩れすぎなアスベル君は置いといて、確かにそちらも一考の余地がある。
イニフィリノリス王女はメロメ国の王族なので、その辺(ドロドロな人間関係)も引きこもりながら見ていたに違いない。
親への恨みが子に行くという発想は今の俺にはなかったので、新視点ありがとうございます。
ただ、聞くにしても相手は俺の父上。聞いたところで「覚えてないなぁー」とガチ忘却で返される結末しか見えない。
「父上は…うん。そうですね。今日も聖協会にいるでしょうから、出向中のレドラムさんに聞いてみることにします」
本人に記憶がないなら、周囲から情報を得る。集めた情報を突きつけたら思い出すかもしれないし、レドラムさんなら父上が認識している以上の情報を持っている…かも?
「ああ、外交部のお喋りが止まらない方ですね?確かにあの方なら色々ご存知かもしれません」
なんという覚え方をされているんだレドラムさん。紛れもない事実だからフォローもできないじゃないか。
「そうか。外交部は同行しているんだったな…」
アスベル君は過ぎたことに嫉妬しないで。
そもそもイニフィリノリス王女が船に乗ってるって判明したのはメロメ国を出た後だったんだから不可抗力。
むしろ「え?誰?」から「誰が乗せ…あっ、レニフェル王女(察し)…」の後に「どうするの許可取ってんのコレ…」のコンボが発生して現場が軽く混乱したんだからね?
しかもその後にメロメ国の王子達が追撃してきて「早くお帰りいただけ!」状態になったのは言うまでもない。
俺も「イニフィリノリス王女はいいけど、王子達は速やかにお帰り下さい。どうぞ」状態だったからね?昼間の接待をほぼ丸投げされた身にもなって欲しい。
「………話を戻すと、光より解明が遅れている闇属性の調査にはファルム君の協力が必要不可欠であり、その妨げになるものは速やかに排除すべきであると学園長に申し立てを行いたい」
ん?まだルキスラ教授の話が続いていたのか?聞いてなかったな。
「話が大きくなりすぎるのは如何なものかと思いますが、早く終わるなら考えてもいいかもしれませんね」
「なぜ闇属性が忌避されるのか。暗闇が死を連想させるという事もひとつの注目すべき点だろう。文明を持つ多くの種族は視界を重要な情報源としている。それを奪われるという事は外敵を察知する、つまり自らの身を守る状況において非常に不利な状態であり…」
あ、これは終わるまで止まらないやつだ。
「とりあえず、片付けようか」
あれこれやっているうちに、ルキスラ教授も正気に戻るでしょう。
「メロディアス侯爵様の素晴らしさは筆舌に尽くし難く、数々の偉業は正に神と讃えるに相応しいものであり、神殿を建造してより多くの民草に知らしめるべきでしょう」
聖協会にある俺の執務室。御子宛の手紙の減らない山に囲まれながら、レドラムさんの父上賛歌を聞く気もないのに聞かされる俺。
ノッスは何かを察したのか、気づいたら姿が見えなくなっていた。気配はするので多分室内のどこかにいる。
「いや…父上の業績ではなくて、対人トラブル歴をだな…」
とりあえず、神殿の建造は全力で阻止したい所存。
レドラムさんもスイッチ入ったら止まらないんだよなぁ…人選間違ったかなぁ…
「「力こそパワー」な案件は大体やっかみの撃退ですが?」
「は?何だその案件」
「主に学生時代の噂ではありますが、侯爵様を舐めてかかった連中が見事に返り討ちにされたという話が多々ありまして…」
郊外の野原の事かと思ったら、「それは奥方争奪戦ですね」と返された。母上のモテ話は今は聞いてない。
それにしても、初耳が多すぎる。何やらかしまくってるんだ父上ェ…
「…で?なんで親御様の武勇伝聞きたがったの?」
積まれた木箱の隙間から、ノッスがひょっこり顔を出してきた。おう。結構近いところにいて軽くビビった。
「武勇伝じゃなくて妬み嫉みの心当たりだよ。父上に聞いても「そんなの知らない」って言われるに決まってるんだから、レドラムさんに聞くのが早いでしょ?」
まあ、目の前で伝言ゲーム大失敗してる訳なんだが。
どうして「対人トラブルの可能性」が「メロディアス侯爵の武勇伝」に変わったのかは判らないまま現在に至る。
「俺、ここでまで長話聞きたくないんだけど」
「わかるー」
ノッス、多分思ってる事違うよね?
ルキスラ教授のソロ講義が終わったのは帰宅時間ギリギリだったんだぞ?しかもまだ話し足りなそうにしてたから、明日も語られるはず。そして「ファルム君はどう思う?」という無茶振り。
「…正直しんどい」
思い出すだけで疲れが増した…
「メロディアス侯爵様は偉業も多いですが、対人で無用な遺恨を残すお方ではありませんが、根に持ちやすい者はどこにでもいますからね」
そうですね。会ったことないやつから突然攻撃されるネット社会怖いよね。
あと、父上の事件簿を偉業って言うのはやめようか。
「内務であちこち喧嘩ふっかけてるのは…」
待って、さらさらと暴露しまくるのやめて!
「こっわ。頭の中、貴族名鑑入ってんの?こっわ」
二回言った。いやそれは俺も思ったけど。
「水面下でジェラシー爆発させてるのは…」
「わー待って待ってそれ俺らが聞いていいやつなの?」
一項目に20以上の家名が出ましたが?どんな情報網をお持ちなんですか恐ろしい。
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