墜ちた英雄が隠居したが...

キリ

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不安

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 俺は朝起きると、早速街に出て、武器屋に向かった。目的はもちろん、新しい武器を手に入れるためだ。
 これから魔術を使うことを考えると、別の武器が必要になってくる。
 俺は今まで、魔術を使う必要がないと思っていたため、少ない魔力を銃の弾丸(いわゆる魔力弾)として使っていた。それと並行して魔術の行使を考えると、どうしても魔力が底をついてしまう、それを解決するのがカートリッジ式の銃だ。
 概要は買ってから、部屋の中で説明するとしよう。もう、店が見えてきた。
 俺は店の中に入ると、店主に尋ねた。

「すみません、カートリッジ式の銃を探しているんですが、ありますか?」
「ああ、あるぜ。ちょっと待ってろ」

 そう言うと、店主は店の奥に引っ込んで行った。
 手持ち無沙汰になったため、店内の商品を見て回ると、面白いものがあった。それを手に取って見ていると、店主が店の奥から戻ってきた。

「すまねえな、にいちゃん。この二丁しかなかった」
「構いませんよ、両方ともください」
「二つで、26万モニだ」
「どうぞ」
「まいどありー」
「あと、店主。このナイフいくら?」
「それは在庫処分品だ。金はいらねーよ」
「じゃあ、ありがたく」
「また贔屓に、頼むぜ」

 俺は店を後にすると、寮に向かった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 寮に着くと、アレクとカゲミヤがベッドに座りながら話していた。ちなみにカゲミヤとは、ギルドメンバーなので一緒の部屋だ。

「お、フォルン。おかえり。」
「お帰りなさい」
「ただいま」

 挨拶をしてきた二人に対し、俺はいつも通り、素っ気ない返事を返し、椅子に座り込んだ。それと同時に、机の上に買ってきたものを並べ、整備を始めた。
 
 何時間も飽きずに作業を続けたため、二人とも寝てしまっていた。
 銃の整備も終わった、弾丸に魔力を宿らせる作業も完了した、ナイフの研磨も終わらせたため、一息ついた。

「もうこんな時間か…」

 時計を見てみると、針は深夜の1時を指していた。
 手短にシャワーを済ませ、夜食を食べるために、キッチンに向かう。
 食べ物を漁っていると、後ろに人の気配がした。

「眠れないのか?」

 俺がそう問いかけると、カゲミヤが姿を現した。

「少し、話し相手になっていたたげませんか?」

 彼女が唐突にそう切り出してきたので、俺は黙って了承した。
 温めたミルクを彼女の前に置き、俺は手前の席に腰かけた。

「なんだ、話って」

 俺が、話を切り出すと、彼女は口を開いて話し出した。

「明日のことなんですが…その…どうしても……」
「不安か?」
「……はい」
「不安は誰しも抱く、恥じることはない」
「でも、あなたは、感じていないように見えます」
「感じていないわけがないだろう、俺だって人間だ。感情くらいある」

 力がなくなった今、今回の任務は不安要素だらけだ、抱かない方がおかしい。その俺の言葉に、彼女は軽い笑みを見せる。

「そうですか…あなたも、私と同じなんですね」
「みんなそうだ、俺もアレクも。任務をこなすというのに、不安にならない奴はよっぽど肝が座っているか、圧倒的な実力があるやつだけだ」
「それでも、私、怖いんです。もしかしたら、明日死んじゃうんじゃないかって、失敗してあなたも、アレックス君もみんな死んじゃうんじゃないかって、怖くて怖くてたまらないんです」
「それだけ、考えることができるなら、安心だな」
「え?」
「思考を停止することが、一番危ないんだ。そういう奴から、死んでいく。だから、大丈夫だ」
「でも…」
「自分を信じろ、お前には才能がある。俺なんて目じゃないぐらいの一級品のものがな、俺はそれに対してきっかけを与えただけだ。そこから、強くなるのも、弱くなるのも、お前次第だ」

 その一言で、彼女は黙ってしまう。
俺は部屋に戻ることにした。
 彼女には、時間が必要だ。

 俺は部屋に戻ると、ベッドに寝転がった。

「どのツラ下げて、こんな偉そうなこと言ってんだか……」

 俺は自嘲気味に、ポツリと呟くと、深い眠りについた。




 
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