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制裁
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僕の名前はチャールズ・オースティン、今年で9歳だ。
純真無垢な瞳に、愛らしい容姿、そして秘めたる助平心を持っている貴族出身の普通の子供。だが、こう見えて実年齢で数えると37歳になる。
なぜかというと僕が転生者だからだ。
元の世界の僕は、特になんの特徴もないしがない28歳のサラリーマンだった。良くも悪くもない大学を出て、さらっと入社した会社は運が悪くブラックで、毎日社畜のごとく働いていた。
馬車馬のようにこき使われる毎日に嫌気がさし、絶望した僕は、
自殺した。
なんの後悔もない。現世に悔いなどない、むしろ清々しいくらいだ。
だから、考えてもいなかった、僕に異世界転生のチャンスが訪れるなんて。
僕にそのチャンスをくれたのは神と名乗る印象の軽い男だった。幸いにも僕は異世界転生もののライトノベルが大好きだった。だから、説明する内容を理解するのに時間はかからなかった。
話を聞けば聞くほど、僕の彼に対する感謝の念は深まっていく一方だった。
彼は僕にチートを与えるのみならず、異世界での地位まで確立してくれた。
僕が希望したのは貴族の三男坊だ。なぜかというと、異世界を自由に満喫するにはそれくらいの方がいいからだ。長男だと家を継がなきゃならないし、次男はもし長男に何かあった場合の予備になってしまう、だから三男くらいがちょうどいいと判断したからだ。
そして、粗方の設定が終わると、僕の体が光に包まれ始めた。
そして、もうすぐ転生するであろう僕に向かって神様が言った。
楽しんでこい、と。
ならば楽しんでやろう、今までの平々凡々な人生を補って余りあるほどに。
決意を胸に僕は、光に身を任せた。
--------------------------------------
「それが今までの僕の顛末だよ」
「何がですか?」
「いや、こっちの話だよ」
僕の返事を聞いて、キョトンとした顔をしている最愛の人の顔がこんなにも愛おしい、元の世界ではとても考えられなかったことだ。
ミラノ・ステファノ。
僕の最愛の人にして、現在3人いるハーレムの一員。
ショートボブの琥珀色の髪にすらりとした体型(他は多くは語らん)、そして、僕のストライクゾーンど真ん中の知的そうな見た目。
この全てにおいて完璧な僕のお嫁さん。絶対に手放したりしないし、手放したくない、何より他の二人と違って、彼女は邪眼の催眠でついて来ているわけではない、純粋な好意で僕について来てくれているのだ。
他の二人は言うなればただの使い捨てだ。いくらでも補充は効くし、壊れればまた新しいものを連れてくればいい。
その点において、ミラノだけは変えが効かない、だから僕は彼女をとんでもなく、おそらく病的なほどに愛してしまっている。そんな僕でも、彼女は決してひいたりはせず、むしろそれ以上の愛情を返してくれている。
本当に異世界は最高だ!
「ところでチャールズ様、その女はどうしますか?」
彼女が指を刺したのは、僕たちがいる教会の祭壇の横たわっている女性だった。
「もちろん、この人にも僕のハーレムに入ってもらうよ」
僕は祭壇に近づいて、横たわっている女性の頬を撫でた。
本当にびっくりするほどの美貌だ。美しいという意味ではこの国の女王(そのうち僕のものにする)には劣るが、それでも十分美しい。
この燃え上がっているような美しい光沢を持つ赤髪、一片の曇りもない雪のような肌、大きすぎずも小さすぎずもない絶妙な乳房、これら全てが彼女の美しさにより磨きをかけていた。
「本当に美しい方ですよね、女の私でも見とれてしまいます。彼女なら愛人にしても許せます」
「もちろんするさ。彼女が完璧に堕ちる日が待ち遠しいよ…」
僕の邪眼によって彼女の精神を徐々に蝕んでいっている。あと少しで、心の大部分に入り込むことができる。
こんなに手こずるのは初めてだが、原因はこの左手の薬指にはまっているこの指輪のせいだろう。指輪自体の効果ではなく、この指に指輪がはまっているということは、誰か特定の伴侶がいるということだ。その相手への思いが僕の邪眼を凌駕している、それだけの話。
だが、そんな淡い抵抗も時間の問題だ。
もうすぐこの極上の体が手に入る、そう考えただけで、体の獣欲が今にも襲いかかりたいと暴れそうになってしまう。
しかし、まだだ。彼女が目を覚まし、身も心も屈服した状態で僕に蹂躙される瞬間のため取っておくとしよう。
「さて、じゃあ外を見張っているセレスたちに連絡でもしようかな」
僕はそう言って、魔術的なスクロールを展開し、魔力を送り込む。
魔力を送り込んで外の様子が映し出されるのを待っていると、古びた教会の扉が開いた音がした。
「セレスですか?」
ミラノが尋ねるが、返事がない。だが、扉はゆっくりと開かれていき、開いている者の姿が見え始める。
そいつは、セレスではなかった。
「誰ですか、あなたは?」
ミラノが侵入者に問いかける。
「誰でもない。そこにいる小僧に用がある」
そいつが口を開いた途端、身震いしてしまうほどの殺気が辺り一面を覆う。
その殺気の濃密さに愕然としているうちに、影に隠れて見えなかったそいつの姿が露わになる。
ミラノの少し下くらいだから、身長160cmくらいだろうか、お世辞にも喧嘩を売ってくるには大きいとは言えない。
目元が少し隠れる程度に伸ばされた黒髪に、覗いていると吸い込まれそうになるほどの黒目、おそらく同年代からすれば少しだけ華奢であろう体で、一本の剣を持っていた。
その剣は、この世界にある一般的な長剣より少し短く、細身だ。だが、日本刀のような細さではなく、しっかりとした力強さを感じる。一目で業物だとわかる剣だった。
そしてその持ち主たる、見ようによっては少女のように見える少年は突然喋り始める。
「俺が誰かはどうでもいい、その後ろの女を返してもらおう…」
低く呟いたその言葉に、ミラノが反発する。
「返すわけにはいきません!、この女はすでにチャールズ様の所有物です!」
その瞬間、ミラノが手をかざすと、少年に向けて数十本の槍が飛んでいった。
魔槍 インフィニティ、僕がこの世界に来る際に初期装備されていた物のうちの一つだ。
この槍は大した特殊効果もない槍だが、最大の特徴は装備者が自由に所持数を変えられ、それを自由自在に扱えるという点だ。
これを使えば、今のように何もない空間から出現させダーツのように飛ばすことも、素人でも熟練の槍使いのように扱うことができる。
そして、少年を取り囲むように至近距離から放たれた槍たちは抵抗する暇なく串刺しにするはずだった。
そう、はずだった。
少年の体へ残り10cmというところで、槍が停止してしまったのである。槍が装備者に対して反発したのであるならまだ分かる。だが、槍はなおも少年を突き刺そう見えない何かに阻まれるようにその体を震わせている。
ならば、なぜ槍が少年に刺さらないのか、それが疑問だ。
「はぁ……時間の無駄だ」
少年がため息をつくと、槍がどこかに消失してしまう。
「なっ!」
ミラノがそう叫ぶ頃には、少年がもうミラノの目の前に移動していた。
少年は剣を上に掲げ斬りおろした。明らかに必殺の間合い、だが、ミラノはそれを空間魔術の転移でなんとか凌ぐ。
「はぁ……はぁ……… はぁ」
転移は相当の魔力を消費するため、魔力保有量の少ないミラノにはこれだけでこたえたようで、顔が蒼白になり、肩が上がってしまっている。
「すみません……今度こそ仕留めます……」
「いいよいいよ、君じゃ手に余るみたいだし、僕がやった方が早いしね」
僕は早々に済ませようと思って、彼の目の前に躍り出た。
コツコツと歩を進める音が辺りに響き、少年との距離が少しづつ詰まっていく。
そして、それぞれが必殺の間合いに入った瞬間、僕は魔術を彼は剣を、互いにはなった。
「もらったぁぁぁ!!」
僕は勝利を確信した。僕は両手にそれぞれ違う致死性の魔法を用意して、右手の魔術がないだけを放っている。
先ほどのミラノの攻撃を止めたのはなんらかの魔術と仮定して、あえて放った方は物理属性を入れておいた。
どんなに高性能な防御魔術だとしても、魔力消費からある程度の間をおかなければならないはず。だから、あえて一撃目は防がせ無防備になっている状態に念を押して無属性の技を放った。
狙い違わず、僕の2撃めの魔術は阻まれることなく、少年に向かって飛んでいった。
だが、次の瞬間、僕は逆に驚愕させられることとなった。
「ごふぉ……何…が………起こっ…た」
僕は壁に叩きつけられ、吐血した。
一体何が起こったんだ、確かに僕の魔術は奴に直撃したはずだ。なのになぜ奴が立っていて僕が倒れている。
この体に走った衝撃は間違いなく打撃によるものだ。だが、この体に穴が開いているような各所の激痛、一体これはなんだ。
「チャールズ様、避けてください!」
意識を飛ばされていた僕はミラノの言葉で目を覚ます。
すると、鉄の塊が目の前まで迫っていた。邪眼によって即座にそれが銃弾だと判断すると、重たい体を無理やり起こし、転がりながら、回避する。
だが、回避して頭を上げた途端に、額に鉄の棒がある押し付けられる。
「動くな……」
僕は動けなかった。ひとたび額の銃口を払いのけようとすれば即座に弾丸が発射され、僕の命を無慈悲に刈り取るだろう。そんな雰囲気を少年は醸し出していた。
それを察してか、ミラノも動けずにいた。
「わかった。動かないから撃たないで…………一つ質問してもいい?」
「………何だ?」
「表に二人、女の子がいたはずだけど、どうしたの?」
「ああ、あの二人か。あの二人なら今頃、死鳥にでも食われてるはずだ」
「……そうか。それで、僕たちを見逃してくれない?」
「それはできない。…………死ね」
彼は引き金にかかる指に力を入れるが、十分時間は稼げた。
「チャールズ様!」
ミラノがチャールズに飛びつき、空間転移でこの場を去った。
残ったのは少年と祭壇に横たわる少女だけ。
少年は祭壇に向けて歩いていき、彼女のもとにたどり着くと、呟いた。
「………帰ろう、ミラ。お前の家族が待ってる」
少年は彼女をおぶさると、教会から出ていった。
純真無垢な瞳に、愛らしい容姿、そして秘めたる助平心を持っている貴族出身の普通の子供。だが、こう見えて実年齢で数えると37歳になる。
なぜかというと僕が転生者だからだ。
元の世界の僕は、特になんの特徴もないしがない28歳のサラリーマンだった。良くも悪くもない大学を出て、さらっと入社した会社は運が悪くブラックで、毎日社畜のごとく働いていた。
馬車馬のようにこき使われる毎日に嫌気がさし、絶望した僕は、
自殺した。
なんの後悔もない。現世に悔いなどない、むしろ清々しいくらいだ。
だから、考えてもいなかった、僕に異世界転生のチャンスが訪れるなんて。
僕にそのチャンスをくれたのは神と名乗る印象の軽い男だった。幸いにも僕は異世界転生もののライトノベルが大好きだった。だから、説明する内容を理解するのに時間はかからなかった。
話を聞けば聞くほど、僕の彼に対する感謝の念は深まっていく一方だった。
彼は僕にチートを与えるのみならず、異世界での地位まで確立してくれた。
僕が希望したのは貴族の三男坊だ。なぜかというと、異世界を自由に満喫するにはそれくらいの方がいいからだ。長男だと家を継がなきゃならないし、次男はもし長男に何かあった場合の予備になってしまう、だから三男くらいがちょうどいいと判断したからだ。
そして、粗方の設定が終わると、僕の体が光に包まれ始めた。
そして、もうすぐ転生するであろう僕に向かって神様が言った。
楽しんでこい、と。
ならば楽しんでやろう、今までの平々凡々な人生を補って余りあるほどに。
決意を胸に僕は、光に身を任せた。
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「それが今までの僕の顛末だよ」
「何がですか?」
「いや、こっちの話だよ」
僕の返事を聞いて、キョトンとした顔をしている最愛の人の顔がこんなにも愛おしい、元の世界ではとても考えられなかったことだ。
ミラノ・ステファノ。
僕の最愛の人にして、現在3人いるハーレムの一員。
ショートボブの琥珀色の髪にすらりとした体型(他は多くは語らん)、そして、僕のストライクゾーンど真ん中の知的そうな見た目。
この全てにおいて完璧な僕のお嫁さん。絶対に手放したりしないし、手放したくない、何より他の二人と違って、彼女は邪眼の催眠でついて来ているわけではない、純粋な好意で僕について来てくれているのだ。
他の二人は言うなればただの使い捨てだ。いくらでも補充は効くし、壊れればまた新しいものを連れてくればいい。
その点において、ミラノだけは変えが効かない、だから僕は彼女をとんでもなく、おそらく病的なほどに愛してしまっている。そんな僕でも、彼女は決してひいたりはせず、むしろそれ以上の愛情を返してくれている。
本当に異世界は最高だ!
「ところでチャールズ様、その女はどうしますか?」
彼女が指を刺したのは、僕たちがいる教会の祭壇の横たわっている女性だった。
「もちろん、この人にも僕のハーレムに入ってもらうよ」
僕は祭壇に近づいて、横たわっている女性の頬を撫でた。
本当にびっくりするほどの美貌だ。美しいという意味ではこの国の女王(そのうち僕のものにする)には劣るが、それでも十分美しい。
この燃え上がっているような美しい光沢を持つ赤髪、一片の曇りもない雪のような肌、大きすぎずも小さすぎずもない絶妙な乳房、これら全てが彼女の美しさにより磨きをかけていた。
「本当に美しい方ですよね、女の私でも見とれてしまいます。彼女なら愛人にしても許せます」
「もちろんするさ。彼女が完璧に堕ちる日が待ち遠しいよ…」
僕の邪眼によって彼女の精神を徐々に蝕んでいっている。あと少しで、心の大部分に入り込むことができる。
こんなに手こずるのは初めてだが、原因はこの左手の薬指にはまっているこの指輪のせいだろう。指輪自体の効果ではなく、この指に指輪がはまっているということは、誰か特定の伴侶がいるということだ。その相手への思いが僕の邪眼を凌駕している、それだけの話。
だが、そんな淡い抵抗も時間の問題だ。
もうすぐこの極上の体が手に入る、そう考えただけで、体の獣欲が今にも襲いかかりたいと暴れそうになってしまう。
しかし、まだだ。彼女が目を覚まし、身も心も屈服した状態で僕に蹂躙される瞬間のため取っておくとしよう。
「さて、じゃあ外を見張っているセレスたちに連絡でもしようかな」
僕はそう言って、魔術的なスクロールを展開し、魔力を送り込む。
魔力を送り込んで外の様子が映し出されるのを待っていると、古びた教会の扉が開いた音がした。
「セレスですか?」
ミラノが尋ねるが、返事がない。だが、扉はゆっくりと開かれていき、開いている者の姿が見え始める。
そいつは、セレスではなかった。
「誰ですか、あなたは?」
ミラノが侵入者に問いかける。
「誰でもない。そこにいる小僧に用がある」
そいつが口を開いた途端、身震いしてしまうほどの殺気が辺り一面を覆う。
その殺気の濃密さに愕然としているうちに、影に隠れて見えなかったそいつの姿が露わになる。
ミラノの少し下くらいだから、身長160cmくらいだろうか、お世辞にも喧嘩を売ってくるには大きいとは言えない。
目元が少し隠れる程度に伸ばされた黒髪に、覗いていると吸い込まれそうになるほどの黒目、おそらく同年代からすれば少しだけ華奢であろう体で、一本の剣を持っていた。
その剣は、この世界にある一般的な長剣より少し短く、細身だ。だが、日本刀のような細さではなく、しっかりとした力強さを感じる。一目で業物だとわかる剣だった。
そしてその持ち主たる、見ようによっては少女のように見える少年は突然喋り始める。
「俺が誰かはどうでもいい、その後ろの女を返してもらおう…」
低く呟いたその言葉に、ミラノが反発する。
「返すわけにはいきません!、この女はすでにチャールズ様の所有物です!」
その瞬間、ミラノが手をかざすと、少年に向けて数十本の槍が飛んでいった。
魔槍 インフィニティ、僕がこの世界に来る際に初期装備されていた物のうちの一つだ。
この槍は大した特殊効果もない槍だが、最大の特徴は装備者が自由に所持数を変えられ、それを自由自在に扱えるという点だ。
これを使えば、今のように何もない空間から出現させダーツのように飛ばすことも、素人でも熟練の槍使いのように扱うことができる。
そして、少年を取り囲むように至近距離から放たれた槍たちは抵抗する暇なく串刺しにするはずだった。
そう、はずだった。
少年の体へ残り10cmというところで、槍が停止してしまったのである。槍が装備者に対して反発したのであるならまだ分かる。だが、槍はなおも少年を突き刺そう見えない何かに阻まれるようにその体を震わせている。
ならば、なぜ槍が少年に刺さらないのか、それが疑問だ。
「はぁ……時間の無駄だ」
少年がため息をつくと、槍がどこかに消失してしまう。
「なっ!」
ミラノがそう叫ぶ頃には、少年がもうミラノの目の前に移動していた。
少年は剣を上に掲げ斬りおろした。明らかに必殺の間合い、だが、ミラノはそれを空間魔術の転移でなんとか凌ぐ。
「はぁ……はぁ……… はぁ」
転移は相当の魔力を消費するため、魔力保有量の少ないミラノにはこれだけでこたえたようで、顔が蒼白になり、肩が上がってしまっている。
「すみません……今度こそ仕留めます……」
「いいよいいよ、君じゃ手に余るみたいだし、僕がやった方が早いしね」
僕は早々に済ませようと思って、彼の目の前に躍り出た。
コツコツと歩を進める音が辺りに響き、少年との距離が少しづつ詰まっていく。
そして、それぞれが必殺の間合いに入った瞬間、僕は魔術を彼は剣を、互いにはなった。
「もらったぁぁぁ!!」
僕は勝利を確信した。僕は両手にそれぞれ違う致死性の魔法を用意して、右手の魔術がないだけを放っている。
先ほどのミラノの攻撃を止めたのはなんらかの魔術と仮定して、あえて放った方は物理属性を入れておいた。
どんなに高性能な防御魔術だとしても、魔力消費からある程度の間をおかなければならないはず。だから、あえて一撃目は防がせ無防備になっている状態に念を押して無属性の技を放った。
狙い違わず、僕の2撃めの魔術は阻まれることなく、少年に向かって飛んでいった。
だが、次の瞬間、僕は逆に驚愕させられることとなった。
「ごふぉ……何…が………起こっ…た」
僕は壁に叩きつけられ、吐血した。
一体何が起こったんだ、確かに僕の魔術は奴に直撃したはずだ。なのになぜ奴が立っていて僕が倒れている。
この体に走った衝撃は間違いなく打撃によるものだ。だが、この体に穴が開いているような各所の激痛、一体これはなんだ。
「チャールズ様、避けてください!」
意識を飛ばされていた僕はミラノの言葉で目を覚ます。
すると、鉄の塊が目の前まで迫っていた。邪眼によって即座にそれが銃弾だと判断すると、重たい体を無理やり起こし、転がりながら、回避する。
だが、回避して頭を上げた途端に、額に鉄の棒がある押し付けられる。
「動くな……」
僕は動けなかった。ひとたび額の銃口を払いのけようとすれば即座に弾丸が発射され、僕の命を無慈悲に刈り取るだろう。そんな雰囲気を少年は醸し出していた。
それを察してか、ミラノも動けずにいた。
「わかった。動かないから撃たないで…………一つ質問してもいい?」
「………何だ?」
「表に二人、女の子がいたはずだけど、どうしたの?」
「ああ、あの二人か。あの二人なら今頃、死鳥にでも食われてるはずだ」
「……そうか。それで、僕たちを見逃してくれない?」
「それはできない。…………死ね」
彼は引き金にかかる指に力を入れるが、十分時間は稼げた。
「チャールズ様!」
ミラノがチャールズに飛びつき、空間転移でこの場を去った。
残ったのは少年と祭壇に横たわる少女だけ。
少年は祭壇に向けて歩いていき、彼女のもとにたどり着くと、呟いた。
「………帰ろう、ミラ。お前の家族が待ってる」
少年は彼女をおぶさると、教会から出ていった。
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