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第5話 喪のざわめき
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《エルミア王国》
国葬から3ヶ月間が過ぎた。
王宮は息を吹き返したように活気を取り戻しつつあった。調度品に掛けられていた黒い厚布は取り払われ、窓からは初夏の陽射しが差し込み、元の荘厳な宮殿が姿を現す。
陛下は未だ深い喪に服しているが、政務は国葬後も慎ましく進み、この時期になるとマリエル妃によほど深い縁がなければ完全に喪服を脱ぎ、常の状態に戻る。
しかし、後宮である花の宮殿では、廊下を行き交う人々の動きには微妙な差があった。
未だ哀しみに沈むマリエル妃のお子、ルディカ王女は、陛下同様に衣装も部屋も黒く染めたまま。縁の深いR王子やその母Z妃は慎みを残しひっそりと過ごしていると聞く。
逆に全く関係のないS妃やM妃などは、早々に華やいでいる。
久方ぶりに花の宮殿へと足を踏み入れた私、フレート・ヴィーザーは、政の宮殿である仕事場との空気の違いに大きく戸惑った。
花の宮殿は迎賓や外交の場でもある。優美かつ壮麗な面持ちは入った途端に唖然とするものだ。貴婦人達の品の良い笑い声、香水の香り、衣擦れの音。まるで違う世界に迷い込んでしまったような、華やかさを感じる。常ならば。
しかし、今はその華やかさの裏に何か混沌とした影が潜んでいるようで、正直なところ不気味だった。
早く用事を済ませて出よう。
喪が開けたことで開催されるS妃主催の舞踏会について、こちらの儀礼局と打ち合わせを始めた。宮殿内の雰囲気がどうであれ、招待客や料理人の手配などの目録を受け取り、確認作業をしていると、普段の生活に戻ってきたのだと言う実感が湧き、頭が冴える。
「それで一旦持ち帰りまして、報告してまいります」
上手く連携する為に予め儀礼局総括の方に話を通しておいて良かった。仕事の手応えに充実感を覚え、外へ出る。色とりどりの花が咲き誇る広く美しい中央庭園を眺めながら戻る途中……。
黒衣の王女の姿があった。
木陰で黒く深いヴェールを背まで流し、慎ましいドレスに身を包んだその方は、私の部屋を訪れた様子とは全く違い、清楚で気品溢れる王族そのものだった。
国葬では歌声は聴けても姿までは見ることが出来なかった。あまりに掛け離れた存在。失礼ながら陛下には感じないその感覚を王女には感じてしまった。
私などが長く見ていては失礼に当たる。すぐに立ち去ろうとした時、やや離れた位置にいるS妃達から華やかな笑い声が上がった。
「あーーーーー!」
奇声で気付いたが、王女の傍には兄に当たるM王子が耳を塞いでうずくまっている。それを母のM妃が必死に宥めている。
M王子は幼い頃に大病を患って以来、心が幼子のままだ。笑い声に驚いたのかもしれない。
「殿下!」
M妃が王子を抱き抱える姿は痛々しく、私は眉をひそめそうになった。なぜなら、その母子の姿を見たS妃達はさらに嘲笑するような笑い声を上げたからだ。
「きゃーーー!」
そんなS妃のすぐ隣の女官が突然倒れた。妃の周囲から悲鳴が上がる。
そして、私は見てしまった。女官が倒れる時、首に細い何かが閃き、すぐに落ちたのを。
鼓動が逸り、王女を見る。M王子が落としたと思われる私物を両手で持って渡している。笑い声が収まり楽になったのか、王子は穏やかになり、王女は何かをM妃に話すと、そっとその場から離れた。
王女がS妃の女官に何かをしたのか?いや、いくらなんでも考えすぎだ。細い針状の物も見間違いで、あの女官は周囲が騒いでいるように日に当てられたと考える方がよほど現実的だ。
王女はこちらに向かっている。私は目を伏せ腰を曲げた。
カツン
私の前で微かな衣擦れと靴の音が止まる。顔を上げそうになったが、それはほんの僅かな時で、王女は優しい香りを残して通り過ぎた。
ドッと気疲れした私は、職場に戻ると机の山に手をつける前にコーヒーを淹れた。
カサリ
胸の飾りハンカチの間にごわつきがある。探ると小さく畳まれたメモが出てきた。こんなものを入れた覚えがない。
開いてみて吹き出す。
『ジロジロ見んな。バーカバーカ』
「失礼致しました。でも、見ない方が難しいですよ」
遠いと感じたあの方は、異質な場所で人間味をも保っている。私はそれが無性に嬉しかった。
メモを見てしばらく笑うと、蝋燭の火で静かに燃やした。
焼けてゆく様子に、私は王女の屈託のない笑顔を映した。哀しみが癒えることを祈り、大地の精霊印を刻んだ。
しかし、その頃から徐々に王女について良くない噂が流れるようになった。喪中では当然の事ながらひっそり暮らし、公の場に現れない。存在感は自ずと消えてゆく。
持て囃されていたのは束の間、あの姫の栄華は母の葬儀が頂点だった、などと囁かれ、いずれは幼い頃のように郊外の離宮送りになるだろう、とまで言われ始めていた。この噂が誰のせいかは言わずと知れてる。
「あのお方は咎人ではないのに…」
「しっ、滅多なことを言ってはいけない」
気心が知れたティルさんに、つい愚痴をこぼすと、慌てて口を塞がれる。
「私ちは宰相派だから、どこかに肩入れするような発言は控えなければならない。それに、S妃が権勢を誇るのは法服貴族や官僚にとって悪い事ばかりではないさ。あの姫には気の毒だが…」
そう、S妃は法服貴族の筆頭の家柄。私達の上にいる高官は繋がりが濃く、宰相派とS派によって現在の行政、司法、政治の均衡が保たれていると言っても過言では無い。通りにくい案件もS派を通すとすんなり通ることがあり、また、逆もある。他にも派閥はあるが、王家にも強い影響力をもつのはS派になる。一方の宰相派は陛下の元に国家運営を円滑にする実務役。S派は言わば様々な派閥と宰相派の調整役を担っている重要な立ち位置だ。
ただし、S妃本人は後暗い話が後を絶たない。
こういった事情から、我々官僚はあの妃を良くも悪くも「官僚の母」と呼んでいる。王家の事情がどうであれ、仕事には必要な派閥だ。
『知っておくといい。この世界は優しくない。綺麗なだけじゃ…死ぬ』
綺麗なままで生きていける人、王女は私にそう言ったが、本当にそうなのだろうか。知らぬ存ぜぬを重ねてゆく内に、それが綺麗なのか汚れているのかも、分からなくなっていく気がした。
夏が過ぎ、秋が訪れ朝晩の気温がグッと下がり始めた頃、おかしな出来事が起き始めた。
ある朝、いつものカフェに立ち寄り色付く庭園の木々を眺めながら職場に着いた私の机に、「確認中」とメモの添えられ、花の宮殿への文書が差し戻されていた。こういうことはよくあることなので、さして気にも留めなかったが、その後も出入りの許可証が何度も書き換えられることが続いた。
あちらの儀礼はこちらとは違うことが多い。統一して欲しいものだ、と増える業務に内心溜息を吐く。
秋の行事と収穫期が重なり、官庁はどこも慌ただしい。そんなわけで、誰もが理由を問わず、ただ静かに従った。
「ヴィーザーくん、音楽会が中止になったそうだね」
書簡を抱え次の庁へ向かう途中、書記官仲間に声を掛けられた。
「あれですか。まだ招待状を出す前で良かったです。何かあったんですか?」
「いや、特には。こっちは飾り花の発注が止められずにね。両宮殿といくつかの家に回す予定だよ」
「そうですか。お疲れ様です」
上の気まぐれはいつものことだが、公の行事が特別な理由もなく中止になるのは珍しい、と少し思った。が、その後にヴァルン王国からの使者が来たことで、歓迎の催しで慌ただしくなり、そんな話はすっかり忘れる。
会場は花の宮殿外の温室庭園であり、音楽会に使う予定だった花の担当庁もそちらに回すことができ安堵していた。
そしてヴァルン王国使節の謁見当日。
贈呈品を改めた私はやや不思議に思った。陛下に友好の証としてヴァルンでのみ取れる貴重な羽毛で作られた品々が贈られ、嫁ぎ元のE妃とその子であるU王子には個別の贈呈品があった。が、全く関係のないルディカ王女にも個別の品が贈呈されていた。
間違うわけはないし、品物を見ると喪の慰めにも見える。だが、葬儀から半年以上経っており、異様な気遣いにも感じた。
そういえば、マリエル妃の国葬でヴァルンは王太子を派遣してきた。きっと私が知らないだけで格別の関係なのだろう。考え過ぎだ、と謁見の時刻を気にしながら目録に印を付ける。
使節が携えたヴァルン国王の挨拶は、非常に心のこもったものであった。曰く、
『ヴァルンより嫁いだE妃と、その子であるU殿下が健やかに過ごしていることへの感謝。並びに親しくして下さるルディカ王女殿下のお心が1日も早く安らぎますように』
と。私は悪い噂が流れていた王女が王宮で孤独ではなく、他国にまで愛されていることを密かに喜んだ。
しかし、宰相執務室で見かけた閣下とティルさんの顔は非常に険しいものだった。
国葬から3ヶ月間が過ぎた。
王宮は息を吹き返したように活気を取り戻しつつあった。調度品に掛けられていた黒い厚布は取り払われ、窓からは初夏の陽射しが差し込み、元の荘厳な宮殿が姿を現す。
陛下は未だ深い喪に服しているが、政務は国葬後も慎ましく進み、この時期になるとマリエル妃によほど深い縁がなければ完全に喪服を脱ぎ、常の状態に戻る。
しかし、後宮である花の宮殿では、廊下を行き交う人々の動きには微妙な差があった。
未だ哀しみに沈むマリエル妃のお子、ルディカ王女は、陛下同様に衣装も部屋も黒く染めたまま。縁の深いR王子やその母Z妃は慎みを残しひっそりと過ごしていると聞く。
逆に全く関係のないS妃やM妃などは、早々に華やいでいる。
久方ぶりに花の宮殿へと足を踏み入れた私、フレート・ヴィーザーは、政の宮殿である仕事場との空気の違いに大きく戸惑った。
花の宮殿は迎賓や外交の場でもある。優美かつ壮麗な面持ちは入った途端に唖然とするものだ。貴婦人達の品の良い笑い声、香水の香り、衣擦れの音。まるで違う世界に迷い込んでしまったような、華やかさを感じる。常ならば。
しかし、今はその華やかさの裏に何か混沌とした影が潜んでいるようで、正直なところ不気味だった。
早く用事を済ませて出よう。
喪が開けたことで開催されるS妃主催の舞踏会について、こちらの儀礼局と打ち合わせを始めた。宮殿内の雰囲気がどうであれ、招待客や料理人の手配などの目録を受け取り、確認作業をしていると、普段の生活に戻ってきたのだと言う実感が湧き、頭が冴える。
「それで一旦持ち帰りまして、報告してまいります」
上手く連携する為に予め儀礼局総括の方に話を通しておいて良かった。仕事の手応えに充実感を覚え、外へ出る。色とりどりの花が咲き誇る広く美しい中央庭園を眺めながら戻る途中……。
黒衣の王女の姿があった。
木陰で黒く深いヴェールを背まで流し、慎ましいドレスに身を包んだその方は、私の部屋を訪れた様子とは全く違い、清楚で気品溢れる王族そのものだった。
国葬では歌声は聴けても姿までは見ることが出来なかった。あまりに掛け離れた存在。失礼ながら陛下には感じないその感覚を王女には感じてしまった。
私などが長く見ていては失礼に当たる。すぐに立ち去ろうとした時、やや離れた位置にいるS妃達から華やかな笑い声が上がった。
「あーーーーー!」
奇声で気付いたが、王女の傍には兄に当たるM王子が耳を塞いでうずくまっている。それを母のM妃が必死に宥めている。
M王子は幼い頃に大病を患って以来、心が幼子のままだ。笑い声に驚いたのかもしれない。
「殿下!」
M妃が王子を抱き抱える姿は痛々しく、私は眉をひそめそうになった。なぜなら、その母子の姿を見たS妃達はさらに嘲笑するような笑い声を上げたからだ。
「きゃーーー!」
そんなS妃のすぐ隣の女官が突然倒れた。妃の周囲から悲鳴が上がる。
そして、私は見てしまった。女官が倒れる時、首に細い何かが閃き、すぐに落ちたのを。
鼓動が逸り、王女を見る。M王子が落としたと思われる私物を両手で持って渡している。笑い声が収まり楽になったのか、王子は穏やかになり、王女は何かをM妃に話すと、そっとその場から離れた。
王女がS妃の女官に何かをしたのか?いや、いくらなんでも考えすぎだ。細い針状の物も見間違いで、あの女官は周囲が騒いでいるように日に当てられたと考える方がよほど現実的だ。
王女はこちらに向かっている。私は目を伏せ腰を曲げた。
カツン
私の前で微かな衣擦れと靴の音が止まる。顔を上げそうになったが、それはほんの僅かな時で、王女は優しい香りを残して通り過ぎた。
ドッと気疲れした私は、職場に戻ると机の山に手をつける前にコーヒーを淹れた。
カサリ
胸の飾りハンカチの間にごわつきがある。探ると小さく畳まれたメモが出てきた。こんなものを入れた覚えがない。
開いてみて吹き出す。
『ジロジロ見んな。バーカバーカ』
「失礼致しました。でも、見ない方が難しいですよ」
遠いと感じたあの方は、異質な場所で人間味をも保っている。私はそれが無性に嬉しかった。
メモを見てしばらく笑うと、蝋燭の火で静かに燃やした。
焼けてゆく様子に、私は王女の屈託のない笑顔を映した。哀しみが癒えることを祈り、大地の精霊印を刻んだ。
しかし、その頃から徐々に王女について良くない噂が流れるようになった。喪中では当然の事ながらひっそり暮らし、公の場に現れない。存在感は自ずと消えてゆく。
持て囃されていたのは束の間、あの姫の栄華は母の葬儀が頂点だった、などと囁かれ、いずれは幼い頃のように郊外の離宮送りになるだろう、とまで言われ始めていた。この噂が誰のせいかは言わずと知れてる。
「あのお方は咎人ではないのに…」
「しっ、滅多なことを言ってはいけない」
気心が知れたティルさんに、つい愚痴をこぼすと、慌てて口を塞がれる。
「私ちは宰相派だから、どこかに肩入れするような発言は控えなければならない。それに、S妃が権勢を誇るのは法服貴族や官僚にとって悪い事ばかりではないさ。あの姫には気の毒だが…」
そう、S妃は法服貴族の筆頭の家柄。私達の上にいる高官は繋がりが濃く、宰相派とS派によって現在の行政、司法、政治の均衡が保たれていると言っても過言では無い。通りにくい案件もS派を通すとすんなり通ることがあり、また、逆もある。他にも派閥はあるが、王家にも強い影響力をもつのはS派になる。一方の宰相派は陛下の元に国家運営を円滑にする実務役。S派は言わば様々な派閥と宰相派の調整役を担っている重要な立ち位置だ。
ただし、S妃本人は後暗い話が後を絶たない。
こういった事情から、我々官僚はあの妃を良くも悪くも「官僚の母」と呼んでいる。王家の事情がどうであれ、仕事には必要な派閥だ。
『知っておくといい。この世界は優しくない。綺麗なだけじゃ…死ぬ』
綺麗なままで生きていける人、王女は私にそう言ったが、本当にそうなのだろうか。知らぬ存ぜぬを重ねてゆく内に、それが綺麗なのか汚れているのかも、分からなくなっていく気がした。
夏が過ぎ、秋が訪れ朝晩の気温がグッと下がり始めた頃、おかしな出来事が起き始めた。
ある朝、いつものカフェに立ち寄り色付く庭園の木々を眺めながら職場に着いた私の机に、「確認中」とメモの添えられ、花の宮殿への文書が差し戻されていた。こういうことはよくあることなので、さして気にも留めなかったが、その後も出入りの許可証が何度も書き換えられることが続いた。
あちらの儀礼はこちらとは違うことが多い。統一して欲しいものだ、と増える業務に内心溜息を吐く。
秋の行事と収穫期が重なり、官庁はどこも慌ただしい。そんなわけで、誰もが理由を問わず、ただ静かに従った。
「ヴィーザーくん、音楽会が中止になったそうだね」
書簡を抱え次の庁へ向かう途中、書記官仲間に声を掛けられた。
「あれですか。まだ招待状を出す前で良かったです。何かあったんですか?」
「いや、特には。こっちは飾り花の発注が止められずにね。両宮殿といくつかの家に回す予定だよ」
「そうですか。お疲れ様です」
上の気まぐれはいつものことだが、公の行事が特別な理由もなく中止になるのは珍しい、と少し思った。が、その後にヴァルン王国からの使者が来たことで、歓迎の催しで慌ただしくなり、そんな話はすっかり忘れる。
会場は花の宮殿外の温室庭園であり、音楽会に使う予定だった花の担当庁もそちらに回すことができ安堵していた。
そしてヴァルン王国使節の謁見当日。
贈呈品を改めた私はやや不思議に思った。陛下に友好の証としてヴァルンでのみ取れる貴重な羽毛で作られた品々が贈られ、嫁ぎ元のE妃とその子であるU王子には個別の贈呈品があった。が、全く関係のないルディカ王女にも個別の品が贈呈されていた。
間違うわけはないし、品物を見ると喪の慰めにも見える。だが、葬儀から半年以上経っており、異様な気遣いにも感じた。
そういえば、マリエル妃の国葬でヴァルンは王太子を派遣してきた。きっと私が知らないだけで格別の関係なのだろう。考え過ぎだ、と謁見の時刻を気にしながら目録に印を付ける。
使節が携えたヴァルン国王の挨拶は、非常に心のこもったものであった。曰く、
『ヴァルンより嫁いだE妃と、その子であるU殿下が健やかに過ごしていることへの感謝。並びに親しくして下さるルディカ王女殿下のお心が1日も早く安らぎますように』
と。私は悪い噂が流れていた王女が王宮で孤独ではなく、他国にまで愛されていることを密かに喜んだ。
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