神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

文字の大きさ
27 / 58

発明品

しおりを挟む

「運命か……」

 そういう事もあるのかもしれないと考えつつも、僕は日課のアイテム製作に取り掛かった。

 先日、王国から大量生産を依頼されたブースト水弓が農業に使われるという事を知り、戦闘とは無関係な用途での便利なアイテムの考案を進めていたのだ。

 バシュン!

「何を創っているのですか?」
「これは魔法の手だよ」

 試作品が一つ出来たので実演してみせる。

 その完成したグラブを自分の右手に装着して魔力を集中した。

「こうやって……」

 ボシュ!

 僕が魔力を使うと前方の空間に巨大な手が現れた。その手のグラブは魔力線でつながっている。

「ええ!なにこれ~」
「で、これをこうやって」

 空間に現れた巨大な右手をグローブで操るとそれで作業部屋の重量のあるテーブルを鷲掴みにして持ち上げる。

「わぁああ、すごぉいい!」

 テーブルは無造作に持ち上がり、自由自在に動かせた。

「成功だな」

 僕の鑑定では一応対モンスター戦用にも使えるはずだけれど、元は土木工事や引っ越し作業など力仕事を想定して創ってみたのだ。

「これはなんて言う名前なのです?」
「そうだな、幻の手だからファントムグラブかな」

 それを何度か出したりひっこめたりを繰り返しているうちに、手の大きさを調節するコツが掴める。

「これは楽しいな、よし、これをいくつか作って自主納品しよう」

 バシュ!バシュ!バシュ!バシュ……

 作り続けているとつい楽しくなってあっという間にグラブの材料を使い果たす。

「ミニー悪いのだけど、雑貨屋に行って園芸用の皮手袋を買ってきてくれないか?」
「はい!いくつ買います?」
「そうだな50程、なければ10でも良いよ」

 少しすると近所の園芸用品店から大袋一杯の皮手袋を持って帰って来た。

「おお、ありがとうミニー」
「へへ~」

 それから午前中は延々とファントムグラブを作り続け、気が付いたら山のように大量に出来上がっていた。

「ふぅ……とりあえずこのくらいあればいいだろう、お昼ご飯を食べに行こうか」
「うん」



 近所の定食屋でお昼を食べて店を出ると、丁度早馬がやってきて駆け抜けて行った。

 ドドドドドドド……

「あぶないなぁ……鑑定」

 馬は王宮への密使の物だった。何かあったのだろうか?あとで納品がてら訊いてみようかと思う。

「ねぇニース様、馬って魔宝玉で創れません?」
「流石に馬は……いや待てよ」

 ミニーの提案を即却下しようとして考え直した。

「魔法で動く馬か……うん、面白いかもしれないな」

 それで午後いっぱいは馬の小型の模型を作りそこに魔重力操作の魔宝玉をバランスをとり設置してみる。

 フワフワ……

「おお!浮かんだ!」
「ええ、飛ぶの!?」

 僕の想定通りそれは魔力で操作できる空飛ぶ馬の模型だった。

 前後左右に着けてある魔宝玉で方向を自由に制御し、その小型の馬の模型はテーブルの上を僕の手の操作に従って動いて居た。

「これなら出来るわ」

 ただ、重量の問題があるので馬の模型から不要なものをどんどんはぎ取って省略していく。

 すると人が2人乗れるサイズの制御棒付きの座面と着地用の足だけが残った。

 次に実物大のそれを、部屋に放置されて使っていない木製のベンチを材料に組み上げる。
 邪魔になる背もたれを取り外し、操作用のハンドルを取り付ける。そして各所に魔宝玉を設置して最後に全体のバランスを見る。

「出来た……」

 それは想定よりは簡単に出来上がった。そもそもベンチが座る用途で造られているものなので流用すれば簡単だった。

「さて」

 それに跨りハンドルに魔力を込めると、ゆっくりと浮かぶ。

 フワッ……

「おお!」
「すごーい」

 部屋の中で操作すると割と直ぐにコツを掴み自由に滑るように低空を飛んだ。
 沢山の魔宝玉を使っても低空しかとべないと言う事がそれで判り、おまけに大量生産には向かない代物である。

 ついで、本体の周囲を高級な布で覆い、飾りをつけるとちょとした贅沢な家具に見える。

「ミニー、僕の後ろに乗ってごらん」
「いいの!」

 彼女がドキドキして跨ると声を掛ける。

「行くぞ」

 フワフワ~~ススー

「わぁ!わぁ!」

 それはゆっくりと浮かび滑るように動いた。

「あははこれは楽しいな、あとでこれで王宮へ納品に行こう」
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...