神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

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運命

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 不動産屋の親父の馬車で王宮近辺に到着すると、こじんまりとした屋敷の敷地に入っていく。

「こちらですとほぼご要望通りです」

 馬車の扉を開けて僕らを下ろすと親父が案内を始めた。

「鑑定」

 庭に設置された犬の石像に手を置いて鑑定を行う。

 親父の営業説明を聞くまでもなく精密に鑑定をしてみると、その屋敷には地下に隠し通路が設置されているのが視える。

 それはそのまま王宮の地下に繋がっていた。

「これは、もしかして元々は王族のものでは?」
「よくご存じですね、その通りで先代の王家の方の所有でした」

 おそらくその秘密の隠し通路は有事の際に王宮と行き来できるように設置されたものだ。
 レアもの好きの僕の目にはそれがたまらない魅力として映る。

 更に色々な発見があった。

 建物の外見は屋敷然としていたが、実質的に要塞のような設備を持っていて外敵の侵入を阻止するのにもうってつけである。

 あらゆる観点からして僕の希望を満たしていたのでそれで即決する。

「うん、ではこれを買います」
「へ!?中を見なくてもよろしいので?」

 親父はキョトンとして僕を見て訊く。

「ええ、大丈夫です」

 親父の説明を聞くまでもなく建物の長所や欠点、修繕が必要な個所や、警備を強化すべき場所などが手に取るように視えていた。

「はいでは……」

 親父は折角きたのに中を見せられないのが残念そうに言い、直ぐに馬車に乗り込みUターンさせて不動産屋に引き返した。


 不動産屋に戻ると、親父はその建物の売買契約書を取り出してきてサインを求めた。

「では、こちらへサインをお願いします」
「うん」

 そこには物件価格5000金と書かれていて、売り主は見知らぬ人物だ。

「この方は今の所有者ですね、スタンリー・フォードJr……さん?」
「ええ、今は地方の領主をされています」

 スタンリーの名前を鑑定すると、王族の遠縁で今は地方の豪族の1人であるようだ。元王族なら信頼も出来るので僕も安心だった。

「では、後程審査がございますので少々お待ちください」
「はい、よろしく」

 一通り契約書へのサインが終わり親父と握手して不動産屋を出た。

 ついでにミニーと商業ギルドに顔をだす。特に用事は無かったが、外出時にはギルドに顔をだしてそこに偶然居る組合員と挨拶するのを習慣にしていたである。



「こんにちわ」
「あら!ニース様いらっしゃい!丁度鉱山技師会の方が会合を開いてますよ」
「それは良い、どうも」

 僕は受付のアリアが教えてくれた小部屋に向かう。そこには5人があつまり議論をしていた。

「やあ、お久しぶりです」
「は!」
「これはどうも、会長様」
「は、始めまして!」

 僕がにこにこして挨拶をして入ると、中で会合を開いていた技師会の面々が立ち上がって言う。

 いままでも何度か顔出しだけしていたのだけど、大勢と顔を合わせるのはこれが初めてだった。

「私は王宮から参上したジェフリーと申します」

 その中には以前王宮で鉱山開発を指示した会議に出席していた王宮専属の技師のジェフリーがいた。

「あ、先日はどうも」

 既に王宮で何度か同席して打ち合わせをしているので、ジェフリーとは顔なじみではあったが名前を知ったのはこの時が初めてだ。

 ジェフリーは年季の入った鉱山技師で今までも20年以上現場で開発をしてきた実績の持ち主だ。
 僕のアパートに運び込まれる魔石や宝石類の半分近くは彼の担当エリアで開発したものである。

「いま丁度、ギルドのメンバーの方に依頼をしているところでした」 

 商業ギルドの技師に協力を仰ぎ、王宮の手配だけでは間に合わない鉱山の開発をしようと話し合っているのだった。

「ニース様が組合会長さんとは驚きました」

 ジェフリーが嬉しそうにいう。
 彼にとっても僕が会長の方が都合が良いのだろう。

 そこで、顔出しついでに今後の計画について詳細に僕の所感を述べて、具体的な行動内容はジェフリーに任せギルドを出てアパートに帰った。


「ニース様って色々な顔をお持ちなのね」

 ミニーが面白そうに言う。
 ミニーの言葉でこれまでの事を振り返ると不思議な事に気が付いた。

 これまで僕が一人で画策してきた事の点と点が徐々に結びついて線になり、未来を見通せる青写真に変わっていくのを見る気分がして不思議に思う。

「不思議なものだな」
「え?どうしてなの?」
「うん、思い付きで行動しているだけなのに不思議と後でうまく繋がっていくのだよね」
「へぇ~~そうね」

 ミニーは僕を見て何かを感じて納得したという顔になった。

「きっとそう、これは運命よ」

 ミニーは嬉しそうに言った。
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