神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

文字の大きさ
55 / 58

中央ホーリータワー完成

しおりを挟む

 翌朝、皆で朝食のテーブルを囲んだ時にカレンは少し不機嫌そうに言った。

「なぜ、なぜ、ニース様は私に教えてくれなかったの?」
「えーと、何の事だっけ」

 カレンの言葉で一瞬皆のおしゃべりが止まる。

「帝国が復興に努めているというお話です、昨日マール王から聞きました」
「それか……それは、カレンちゃんだって皇帝に追われていたろう?」
「そうなの、でももう皇帝は居ないしそれに私たちの産まれ育った街よ?放置できないじゃない」

 カレンが言うのはもっともだった。
 皇帝がいなくなり、体制が変わったという事ならもう帝国に追われる事もないし、愛着のある国を守りたい……。

 人一倍正義感の強いカレンがそう考えるのは当然だった。

「ごめんねカレン……でも、まだ魔使がいる可能性があるし」
「私決めたわ、帝国に帰る!帰って復興に協力するの」

 僕が引き留めようとするが、一度決めるとカレンが自分の考えを撤回しないことを僕は良く知っていた。

「そうか、それなら……カレンがそう言うのなら僕も協力するよ」
「え!?本当?」

 カレンは一転して、嬉しそうに言う。

 この辺りの素直さがカレンの変化した一番の美点だった。とても可愛らしく見える。

「ああ、勿論全力でバックアップする」
「俺も行きます!」

 僕が約束をするとカッツも名乗りを上げる。

「カレンねーちゃんを手伝う」
「あたしも行きます!」
「あたしも」

 カッツが言うとマーシーとミニーも続く。

「皆……ありがとう」

 カレンとカッツ達はいつの間にか強い友情で繋がっていた。



 その後、丁度出来上がっていたアイテムのフル装備を全員に手渡す。

 フル装備になったカレンは恐らく人類最強だろうと思うし、それにカッツ達もついている。
 例え魔使の残党や魔人と勝負になっても負ける事はないだろう……。僕は自分にそう言い聞かせた。

「ありがとうニース、何から何まで」

 旅支度を終えたカレンが僕に抱き着いて礼を言った。

「ニース様、直ぐに戻ってまいります」
「きっと大丈夫よ」

 リーサとミニーが僕を見て言う。

「ああ、怪我をしないように頑張ってきなさい」

 そう言って屋敷を出る皆を見送った。

「行ってしまわれたのですね」

 僕の隣でトーマスが言う。

 僕達をこれまで見送ってきたトーマスの気持ちが少しだけわかる気がした。

「マサ、いるかい?」
「はい、ニース様」

 隠密のマサを呼ぶと直ぐに声がする。

「君にもフル装備を渡すので、彼らを蔭から見守り時々僕に報告をしてくれないか?」
「はい、承知しました」

 僕はマサにもフル装備をやり、ついでに移動用にエアホースも貸してやる。

 カレン達が旅立ってから2日後、マサはエアホースに乗って飛び立った。

「お独りになってしまいましたね」

 トーマスがぽつりと言う。
 屋敷の中に僕一人というのは流石に寂しい。
 トーマスはそれを心配しているようだった。

「君たちがいるじゃないか?」
「はは、微力ながら」

 何事も控えめなトーマスが笑い答えた。

「これからギルドに行って仕事を手伝ってくれる人を呼ぶから、いずれここにも来ると思う」
「承知しました」

 僕にはホーリーシールドを完成させるという仕事が残っているのだ。

 今、石工職人に頼んだ巨大な送信器代わりの、大きな四角錐のオベリスクは完成間近だった。



 商業ギルドに顔をだすとアリアが相変わらずご機嫌で迎えてくれる。

「やあ」
「あ!ニース様!ようこそお越しを!」
「はは、今日、鑑定師組合の人は来ている?」
「はい、そちらに」

 僕は案内されるまでも無く判っていたのだけど、一応はいつものように話をした。

「やぁ、組合長さんこんにちわ」
「これはこれは!軍師様、ようこそお越しくださいました」
「はは、ただのニースでいいよ、それで今日は仕事を手伝って欲しくて来たのだ」
「はい、我々でよければ」

 僕は鑑定師の仲間を5人引き連れて屋敷に戻り、アイテムの製作を急いだ。

 鑑定師は全員信頼のおける人ばかりで、僕が作業の内容を頼むと全員で取り掛かってくれる。

 王宮から定期的に届く膨大な量の魔石と宝石類を鑑定して選り分けて、品質別にクラス別けしたものを箱に詰めて行ってくれた。

 皆でそれをやってくれたお蔭で僕の仕事は捗り、合成と製造の作業が3倍速くらいで進んだ。

 最後に出来上がったホーリーの魔宝玉と伝送線を持って、王都の中心に立っているオベリスクに行く。
 今度は石工職人と協力してそれらをオベリスクに設置して、頂上に伝送玉を取り付け完成した。

 カレン達が旅立ってから、10日が過ぎた頃である。

 それで僕は、予定よりも遥かに早く工事が終った事をマールに報告する。

「とりあえず王都のホーリー塔が完成しました」
「それは素晴らしい!テストはいつするのだ?」

 マールは嬉しくて急いて訊く。

「そうですね、明日にでも出来ますがやりますか?」
「明日だと急すぎるので来週で頼む、それまでに記念式の準備を整えよう!」

 マールはそういうとセスを呼び、急いで手配するように言う。

 これで、ひと段落ついた。
 王都のホーリータワーが作動すれば、少なくとも半径100キロはホーリーシールドで保護される。

 王国全土をカバーするには各地の山々にミニタワーを建てて伝送する必要があるのだが、それも今着々と工事が進んでいる。

 アイテム類はほぼ作り終えたのだ。

 僕は一仕事終えた解放感から久しぶりに酒場に繰り出した。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

無限在庫チートで異世界を買い占める〜窓際おじさんが廃棄予定のカップ麺で廃村エルフと腹ペコ魔王を救済したら最強商会ができました〜

黒崎隼人
ファンタジー
物流倉庫で不良在庫の管理に追われるだけの42歳、窓際サラリーマンのタケシ。 ある日突然、彼は見知らぬ森の中へと転移してしまう。 彼に与えられたのは、地球で廃棄される運命にあったあらゆる物資を無尽蔵に引き出せる規格外のスキル「無限在庫処分」だった。 賞味期限間近のカップ麺、パッケージ変更で捨てられるレトルトカレー、そして型落ちの電動工具。 地球ではゴミとされるこれらの品々が、異世界では最強のチートアイテムと化す! 森で倒れていたエルフの少女リリアをカップ麺で救ったタケシは、領主の搾取によって滅亡寸前だった彼女の村を拠点とし、現代の物資と物流ノウハウを駆使して商会を立ち上げる。 美味しいご飯と圧倒的な利便性で異世界の人々の胃袋と生活を掴み、村は急速に発展。 さらには、深刻な食糧難で破綻寸前だった美少女魔王ルビア率いる魔王軍と「業務提携」を結び、最強の武力を物流の護衛として手に入れる! 剣も魔法も使わない。武器は段ボールと現代の知識だけ。 窓際おじさんが圧倒的な物量で悪徳領主の経済基盤をすり潰し、異世界の常識を塗り替えていく、痛快・異世界経営スローライフ、開幕!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

異世界の底辺村で静かに暮らしたいだけなのに、気づけば世界最強の勇者だった件

fuwamofu
ファンタジー
「村の畑を守りたいだけなんだが…?」──勇者召喚に巻き込まれて異世界に来た青年レオン。しかし才能を測る水晶が“無能”を示したため、勇者パーティから追放される。失意のまま辺境の小村でのんびりスローライフを目指すが、土を耕せば豊穣の奇跡、狩りに出れば魔王級を一撃、助けた少女たちは次々と彼に恋をする。 本人はただ平穏に暮らしたいだけなのに、気づけば国を救い、人々に「救世の英雄」と讃えられていた──。 ざまぁ、逆転、ハーレム、爽快、全部乗せ! 無自覚最強スローライフ・ファンタジー開幕!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

処理中です...