神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

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中央ホーリータワー完成

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 翌朝、皆で朝食のテーブルを囲んだ時にカレンは少し不機嫌そうに言った。

「なぜ、なぜ、ニース様は私に教えてくれなかったの?」
「えーと、何の事だっけ」

 カレンの言葉で一瞬皆のおしゃべりが止まる。

「帝国が復興に努めているというお話です、昨日マール王から聞きました」
「それか……それは、カレンちゃんだって皇帝に追われていたろう?」
「そうなの、でももう皇帝は居ないしそれに私たちの産まれ育った街よ?放置できないじゃない」

 カレンが言うのはもっともだった。
 皇帝がいなくなり、体制が変わったという事ならもう帝国に追われる事もないし、愛着のある国を守りたい……。

 人一倍正義感の強いカレンがそう考えるのは当然だった。

「ごめんねカレン……でも、まだ魔使がいる可能性があるし」
「私決めたわ、帝国に帰る!帰って復興に協力するの」

 僕が引き留めようとするが、一度決めるとカレンが自分の考えを撤回しないことを僕は良く知っていた。

「そうか、それなら……カレンがそう言うのなら僕も協力するよ」
「え!?本当?」

 カレンは一転して、嬉しそうに言う。

 この辺りの素直さがカレンの変化した一番の美点だった。とても可愛らしく見える。

「ああ、勿論全力でバックアップする」
「俺も行きます!」

 僕が約束をするとカッツも名乗りを上げる。

「カレンねーちゃんを手伝う」
「あたしも行きます!」
「あたしも」

 カッツが言うとマーシーとミニーも続く。

「皆……ありがとう」

 カレンとカッツ達はいつの間にか強い友情で繋がっていた。



 その後、丁度出来上がっていたアイテムのフル装備を全員に手渡す。

 フル装備になったカレンは恐らく人類最強だろうと思うし、それにカッツ達もついている。
 例え魔使の残党や魔人と勝負になっても負ける事はないだろう……。僕は自分にそう言い聞かせた。

「ありがとうニース、何から何まで」

 旅支度を終えたカレンが僕に抱き着いて礼を言った。

「ニース様、直ぐに戻ってまいります」
「きっと大丈夫よ」

 リーサとミニーが僕を見て言う。

「ああ、怪我をしないように頑張ってきなさい」

 そう言って屋敷を出る皆を見送った。

「行ってしまわれたのですね」

 僕の隣でトーマスが言う。

 僕達をこれまで見送ってきたトーマスの気持ちが少しだけわかる気がした。

「マサ、いるかい?」
「はい、ニース様」

 隠密のマサを呼ぶと直ぐに声がする。

「君にもフル装備を渡すので、彼らを蔭から見守り時々僕に報告をしてくれないか?」
「はい、承知しました」

 僕はマサにもフル装備をやり、ついでに移動用にエアホースも貸してやる。

 カレン達が旅立ってから2日後、マサはエアホースに乗って飛び立った。

「お独りになってしまいましたね」

 トーマスがぽつりと言う。
 屋敷の中に僕一人というのは流石に寂しい。
 トーマスはそれを心配しているようだった。

「君たちがいるじゃないか?」
「はは、微力ながら」

 何事も控えめなトーマスが笑い答えた。

「これからギルドに行って仕事を手伝ってくれる人を呼ぶから、いずれここにも来ると思う」
「承知しました」

 僕にはホーリーシールドを完成させるという仕事が残っているのだ。

 今、石工職人に頼んだ巨大な送信器代わりの、大きな四角錐のオベリスクは完成間近だった。



 商業ギルドに顔をだすとアリアが相変わらずご機嫌で迎えてくれる。

「やあ」
「あ!ニース様!ようこそお越しを!」
「はは、今日、鑑定師組合の人は来ている?」
「はい、そちらに」

 僕は案内されるまでも無く判っていたのだけど、一応はいつものように話をした。

「やぁ、組合長さんこんにちわ」
「これはこれは!軍師様、ようこそお越しくださいました」
「はは、ただのニースでいいよ、それで今日は仕事を手伝って欲しくて来たのだ」
「はい、我々でよければ」

 僕は鑑定師の仲間を5人引き連れて屋敷に戻り、アイテムの製作を急いだ。

 鑑定師は全員信頼のおける人ばかりで、僕が作業の内容を頼むと全員で取り掛かってくれる。

 王宮から定期的に届く膨大な量の魔石と宝石類を鑑定して選り分けて、品質別にクラス別けしたものを箱に詰めて行ってくれた。

 皆でそれをやってくれたお蔭で僕の仕事は捗り、合成と製造の作業が3倍速くらいで進んだ。

 最後に出来上がったホーリーの魔宝玉と伝送線を持って、王都の中心に立っているオベリスクに行く。
 今度は石工職人と協力してそれらをオベリスクに設置して、頂上に伝送玉を取り付け完成した。

 カレン達が旅立ってから、10日が過ぎた頃である。

 それで僕は、予定よりも遥かに早く工事が終った事をマールに報告する。

「とりあえず王都のホーリー塔が完成しました」
「それは素晴らしい!テストはいつするのだ?」

 マールは嬉しくて急いて訊く。

「そうですね、明日にでも出来ますがやりますか?」
「明日だと急すぎるので来週で頼む、それまでに記念式の準備を整えよう!」

 マールはそういうとセスを呼び、急いで手配するように言う。

 これで、ひと段落ついた。
 王都のホーリータワーが作動すれば、少なくとも半径100キロはホーリーシールドで保護される。

 王国全土をカバーするには各地の山々にミニタワーを建てて伝送する必要があるのだが、それも今着々と工事が進んでいる。

 アイテム類はほぼ作り終えたのだ。

 僕は一仕事終えた解放感から久しぶりに酒場に繰り出した。
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