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呪いのアイテム
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普通、呪いのアイテムを冒険者は欲しがらない。
高レベルなダンジョンなどで時々ドロップするのだがショップで売れるわけではない。
素材屋に持ち込んでもゴミ認定される。
教会での解呪破壊も高額で有るためほしがる人はいない。
犯罪者を除いては。
そんなわけで街で見かけることは極稀なアイテムである。
今回はこのアイテムをスキルの力で逆利用して勝利することが出来たのだが、ラセルは呪いの指輪の処分に悩んでいた。
王都の酒場のカウンターに座り、外した指輪を指先でつつきながら考えに耽っていた。
スキルを使用している間は呪いの指輪も有効なアイテムになるけれど、睡眠や休憩時などでスキルを使わない時には危険な指輪である。
いちいちつけ外しするのも億劫なので通常は外して置くことにしようか……などと思案していると後ろから声が掛かった。
「よっ!有名人!」
振り向くと幼なじみのリーナが笑顔で立っていた。
彼女もラセルと同年齢の冒険者である。
赤髪のポニーテールと白基調の装備が特徴的な美少女だ。
彼女はその明るいキャラと美貌で周囲からモテモテのアイドル系白魔道士である。
ただ、子供の頃から見慣れているラセルには彼女が美人かどうかは判然としない。
慣れというのはそういうものだ……と、ラセルは頭では理解していた。
「座りなよ」
「へへ」
ラセルが隣へ座るように促すとリーナは少し嬉しそうに笑いストールに腰を落とす。
「白の牙を抜けたって聞いてどうしたのかと思ったよ」
「抜けたというか……」
ラセルが口籠るとリーナは話題を変えた。
「今回はお手柄だったみたいね」
「そう……だな」
その日の深夜、各国から攫われた冒険者を満載した馬車でラセルが帰国すると一騒動であった。
「結局、朝まで取り調べさ」
大事件であったこともあり、ラセル自身も朝まで取り調べを受ける羽目になったのだ。
「でも、報奨金は出たんでしょう?」
「まぁね」
それで極貧から開放されて酒場で酒を呑んで居られるのだ。
100金を手渡されてにわかに小金持ちになった。
「それって例の呪いの指輪?」
「そうだよ?ほしいか?」
「ええ~!要らないよぉ!」
ふざけて訊くとリーナは両手をヒラヒラさせていた。
「はは、そうだよな」
「でもなんでこんなものを持ってるの?」
「あれだよ、僕のスキルのアイテム……」
「アイテムマスターだっけ?」
「うん……いまはアイテムマイスターに進化したみたい」
「ふぅ~~ん……マイスターね……相変わらずおかしなラセルね」
「だけどこのスキルのおかげてこの呪いの指輪が役に立ったからねぇ」
「へぇ!それは凄い興味ある!教えて」
「いいよ」
それからラセルは要点を掻い摘んで話した。
「ふ~ん……それって凄いスキルだと思うの」
「そうかもな……これで白の牙時代も何度か窮地を潜り抜けたし……」
「あ!そうそう、白の牙って言えばね……」
「……なに?」
リーナの言葉にドキドキしながらラセルは続きを待った。
「今日、酷い姿で帰還してたのよ」
「……なぜ?」
「しーらない……」
そう言いながらリーナは胸ポケットから折りたたんだ紙をだしてテーブルの上に置いた。
「あけてどうぞ」
「……」
折りたたまれた紙を広げるとギルドのクエスト結果一覧が書かれているものだった。
リーナが白魔法を使って内部資料をコピーしてきたのだという。
リーナは見た目通りの単なるアイドル系ではないのだ。
その気になれば諜報もこなす天才肌である。
「ほほぉ……」
そこには白の牙が新しいメンバーをいれて早速力試しで通いなれたダンジョンにクエストを取りに行き失敗したことが書かれていた。
「50階層のボスはいつも楽勝だったハズだけどな」
「なんで失敗したとおもう?」
「1箇所低難度の火炎トラップがあるから引っかかったとか?……まさかな」
ボスのポイズンリザード戦で問題があるとはとても思えなかったので適当に予想してみた。
「あー多分それね、だって皆焦げてたもの」
「ええ?」
そんな馬鹿なと言いかけて黙った。
「いつも僕があれを解除していたことに誰も気がつかなかったとか?そんな事あり得るかな……」
「あり得るんじゃないかなぁ」
イケメンがトラップに嵌ってる間抜けな姿を想像したら笑いの衝動に駆られてしまう。
「あはは、あいつ偉そうな割にそんなもんか」
「あら、笑っちゃ悪いわ、クスクス」
笑いながら紙を眺めるとラセルのクエスト欄はキャンセルと書かれていて、下の空欄に特別クエスト達成と追記されていた。
それがラセルをさらにいい気分にさせて酒が旨かった。
「リーナはほんといつも気が利くよね」
「へへ、これで少しはあたしのこと……」
「オイコラぁ!!」
リーナが何か言いかけたら後ろから邪魔が入った。
振り向くまでもなくそれは白の牙のリーダーのニコルだと判った。
かなり酔っているようだ。
高レベルなダンジョンなどで時々ドロップするのだがショップで売れるわけではない。
素材屋に持ち込んでもゴミ認定される。
教会での解呪破壊も高額で有るためほしがる人はいない。
犯罪者を除いては。
そんなわけで街で見かけることは極稀なアイテムである。
今回はこのアイテムをスキルの力で逆利用して勝利することが出来たのだが、ラセルは呪いの指輪の処分に悩んでいた。
王都の酒場のカウンターに座り、外した指輪を指先でつつきながら考えに耽っていた。
スキルを使用している間は呪いの指輪も有効なアイテムになるけれど、睡眠や休憩時などでスキルを使わない時には危険な指輪である。
いちいちつけ外しするのも億劫なので通常は外して置くことにしようか……などと思案していると後ろから声が掛かった。
「よっ!有名人!」
振り向くと幼なじみのリーナが笑顔で立っていた。
彼女もラセルと同年齢の冒険者である。
赤髪のポニーテールと白基調の装備が特徴的な美少女だ。
彼女はその明るいキャラと美貌で周囲からモテモテのアイドル系白魔道士である。
ただ、子供の頃から見慣れているラセルには彼女が美人かどうかは判然としない。
慣れというのはそういうものだ……と、ラセルは頭では理解していた。
「座りなよ」
「へへ」
ラセルが隣へ座るように促すとリーナは少し嬉しそうに笑いストールに腰を落とす。
「白の牙を抜けたって聞いてどうしたのかと思ったよ」
「抜けたというか……」
ラセルが口籠るとリーナは話題を変えた。
「今回はお手柄だったみたいね」
「そう……だな」
その日の深夜、各国から攫われた冒険者を満載した馬車でラセルが帰国すると一騒動であった。
「結局、朝まで取り調べさ」
大事件であったこともあり、ラセル自身も朝まで取り調べを受ける羽目になったのだ。
「でも、報奨金は出たんでしょう?」
「まぁね」
それで極貧から開放されて酒場で酒を呑んで居られるのだ。
100金を手渡されてにわかに小金持ちになった。
「それって例の呪いの指輪?」
「そうだよ?ほしいか?」
「ええ~!要らないよぉ!」
ふざけて訊くとリーナは両手をヒラヒラさせていた。
「はは、そうだよな」
「でもなんでこんなものを持ってるの?」
「あれだよ、僕のスキルのアイテム……」
「アイテムマスターだっけ?」
「うん……いまはアイテムマイスターに進化したみたい」
「ふぅ~~ん……マイスターね……相変わらずおかしなラセルね」
「だけどこのスキルのおかげてこの呪いの指輪が役に立ったからねぇ」
「へぇ!それは凄い興味ある!教えて」
「いいよ」
それからラセルは要点を掻い摘んで話した。
「ふ~ん……それって凄いスキルだと思うの」
「そうかもな……これで白の牙時代も何度か窮地を潜り抜けたし……」
「あ!そうそう、白の牙って言えばね……」
「……なに?」
リーナの言葉にドキドキしながらラセルは続きを待った。
「今日、酷い姿で帰還してたのよ」
「……なぜ?」
「しーらない……」
そう言いながらリーナは胸ポケットから折りたたんだ紙をだしてテーブルの上に置いた。
「あけてどうぞ」
「……」
折りたたまれた紙を広げるとギルドのクエスト結果一覧が書かれているものだった。
リーナが白魔法を使って内部資料をコピーしてきたのだという。
リーナは見た目通りの単なるアイドル系ではないのだ。
その気になれば諜報もこなす天才肌である。
「ほほぉ……」
そこには白の牙が新しいメンバーをいれて早速力試しで通いなれたダンジョンにクエストを取りに行き失敗したことが書かれていた。
「50階層のボスはいつも楽勝だったハズだけどな」
「なんで失敗したとおもう?」
「1箇所低難度の火炎トラップがあるから引っかかったとか?……まさかな」
ボスのポイズンリザード戦で問題があるとはとても思えなかったので適当に予想してみた。
「あー多分それね、だって皆焦げてたもの」
「ええ?」
そんな馬鹿なと言いかけて黙った。
「いつも僕があれを解除していたことに誰も気がつかなかったとか?そんな事あり得るかな……」
「あり得るんじゃないかなぁ」
イケメンがトラップに嵌ってる間抜けな姿を想像したら笑いの衝動に駆られてしまう。
「あはは、あいつ偉そうな割にそんなもんか」
「あら、笑っちゃ悪いわ、クスクス」
笑いながら紙を眺めるとラセルのクエスト欄はキャンセルと書かれていて、下の空欄に特別クエスト達成と追記されていた。
それがラセルをさらにいい気分にさせて酒が旨かった。
「リーナはほんといつも気が利くよね」
「へへ、これで少しはあたしのこと……」
「オイコラぁ!!」
リーナが何か言いかけたら後ろから邪魔が入った。
振り向くまでもなくそれは白の牙のリーダーのニコルだと判った。
かなり酔っているようだ。
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