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ジャンク市
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飯屋を出てから街を歩くと魔法道具屋を見つけたのでそこへ入り、昨夜作った魔法の小道具を買い取って貰った。
ラセルの後ろで店主とのやり取りを見ていたミレーネは店を出た後に訊ねる。
「何をお売りになりましたの?」
「大したものではないよ、水の湧くコップとか火の出る棒とか」
「いつの間にそのような高価な物をお持ちでしたの?」
「持ってたというか、作ったんだけどね」
それでラセルは魔法鍛冶の話をする。
「そんな素晴らしいお力をお持ちだなんて……」
ミレーネは目を輝かせてラセルを見る。
確かに便利な技術であった。
とくに、無限のように魔力が湧いてくるラセルには幾らでも作れるので金に困ることはない。
その後にめずらしい市が開かれているのに出くわす。
ジャンク市である。
掘り出し物があればお買い得……という、アイテムマイスターのラセルにとっては正に
大好物の市場だ。
「これは良いな、ちょっと寄っていこう」
露天が立ち並ぶジャンク市場のなかを、大混雑している客を掻き分けて覗いて回る。
殆どが値段相応のジャンクだったが、その中でラセルのパッシブスキルが反応した。
中古の指輪が沢山並べてある台の上に一つだけ特殊なものがあった。
「こ……これは幾らだい?」
「それなら、金貨五十枚だよ」
「……信じられんが、はいコレ」
「まいどあり」
ラセルの反応に首を傾げながらも、金貨五十枚を受け取った店主は簡単に指輪を拭いて手渡した。
「はは……これは凄いぞ」
「どうか致しましたの?」
ラセルが嬉しそうに手にしてる古びた指輪みてミレーネは怪訝そうに訊く。
「これはね、女神の指輪という超レアアイテムだよ」
「……女神、ですの?」
「そうだよ……フレッシュアイテム!」
シュン!
アイテムマイスターのスキルを使い、魔力で呼びかけて瞬間に指輪を新品のようにリフレッシュさせた。
するとミレーネの目にもその薄ピンクの女神の指輪は急に内部から美しく輝き始めて見えた。
まるで生きているように見える。
新品で正規のアイテムショップで購入したら金貨数十万枚以上の価値はあるお宝だ。
「大分放置されて休眠していたけど、これで目覚めたはず」
「なんてキレイなのかしら……」
それは装備者のHPの減少を防ぎ、時間と共に徐々に回復させる国宝級アイテムである。
「これを君にプレゼントするよ」
冒険者としての装備が貧弱なミレーネに手渡した。
「ええ!良いのですか?」
ミレーネがそっと右手を差し出すとラセルはリングのサイズの合う彼女の薬指を選んで装着させる。
「ラセル様……」
ミレーネはうっとりとしてラセルにもたれ掛かりそうなってしまう。
ラセルはそんなロマンチックな事をした覚えはなく、単に冒険者として貧弱な装備を補おうという目論見だったのだが……。
……薬指はさすがに不味かったのだろうか?
男女の付き合いに疎いラセルは少し早まったような気がして、ミレーネの脇をすり抜けた。
「さ、行くよ」
「え!あれ?ラセル様?」
肩透かしを食らったようになったミレーネは急いでラセルの後を追いかけた。
………………………………………………………………………
その頃、リーナは白魔法を駆使してラセルの痕跡を追っていた。
リーナはラセルが放置していったタワーシールドに追跡魔法を掛けていて、それで以前もオルドの工房まで辿り着いたのだ。
今回は馬で駆けながら砂漠地帯のサンドワームを躱して帝国を目指していた。
「もー!なんでイシュタルを捨てていくのよ!」
リーナはサンドワームの襲撃にウンザリしながら、器用に避けまくって馬で爆走する。
「でも絶対に見つけだすからね!」
何度もサンドワームの襲撃に肝を冷やしながらも叫んでいた。
「見つけたらビンタして上げるんだから!」
強気に怒りながらもその声とは裏腹に涙を流していた。
「ラセルーーーーー!待ちなさいよぉおおお!」
リーナは怒りながら泣くという器用な事をしながら危険地帯を駆け抜けて帝国に入った。
帝国の都市に入ってからも延々と遠くに続く追跡の旅は、リーナを一つの工房に導いた。
「ここは……工房よね、もしかしてここに居るのかしら」
リーナはそれまで怒り気味であったのに急に弱気になってしゅんとする。
ラセルになんて声をかければ良いのか……考えていなかった。
やあ!ラセル!……それは異国にきて言うにはおかしく感じる。
こんにちはラセルさん!……しれっとそれもどうかしてるとしか思えない。
奇遇だね、ラセル!……そんな訳は無いだろう!と自分でツッコミをいれた。
「おい、お前!なにをしている」
工房の前で悩んでウロウロしていたら警備兵が近寄ってきて誰何される。
「この工房に用があるのか?」
二人組の警備兵がリーナを挟み込む形で尋問を始めた。
「え?あたしは別に」
「怪しい奴だ、取り調べをするから大人しくついてこい」
「ブレインバスター!」
リーナが白魔法の「忘却」を使うと警備兵は立ち竦んで呆然となる。
「はいはい、大人しく消えますよ」
そう言うとリーナは警備兵の横を通り工房に入った。
だが、そこは魔法を使ってラセルを探すまでもなく無人であった。
暫くだれも使っていなくて、埃っぽい機材やテーブルが並んでいた。
「ハズレ……か」
そのまま外に出るとすでに警備兵は呆然としながら遠方に歩きさっていた。
「もぅ……どこまでいっちゃったのよ」
リーナは口をすぼめて怒りながら馬にまたがって追跡を再開した。
ラセルの後ろで店主とのやり取りを見ていたミレーネは店を出た後に訊ねる。
「何をお売りになりましたの?」
「大したものではないよ、水の湧くコップとか火の出る棒とか」
「いつの間にそのような高価な物をお持ちでしたの?」
「持ってたというか、作ったんだけどね」
それでラセルは魔法鍛冶の話をする。
「そんな素晴らしいお力をお持ちだなんて……」
ミレーネは目を輝かせてラセルを見る。
確かに便利な技術であった。
とくに、無限のように魔力が湧いてくるラセルには幾らでも作れるので金に困ることはない。
その後にめずらしい市が開かれているのに出くわす。
ジャンク市である。
掘り出し物があればお買い得……という、アイテムマイスターのラセルにとっては正に
大好物の市場だ。
「これは良いな、ちょっと寄っていこう」
露天が立ち並ぶジャンク市場のなかを、大混雑している客を掻き分けて覗いて回る。
殆どが値段相応のジャンクだったが、その中でラセルのパッシブスキルが反応した。
中古の指輪が沢山並べてある台の上に一つだけ特殊なものがあった。
「こ……これは幾らだい?」
「それなら、金貨五十枚だよ」
「……信じられんが、はいコレ」
「まいどあり」
ラセルの反応に首を傾げながらも、金貨五十枚を受け取った店主は簡単に指輪を拭いて手渡した。
「はは……これは凄いぞ」
「どうか致しましたの?」
ラセルが嬉しそうに手にしてる古びた指輪みてミレーネは怪訝そうに訊く。
「これはね、女神の指輪という超レアアイテムだよ」
「……女神、ですの?」
「そうだよ……フレッシュアイテム!」
シュン!
アイテムマイスターのスキルを使い、魔力で呼びかけて瞬間に指輪を新品のようにリフレッシュさせた。
するとミレーネの目にもその薄ピンクの女神の指輪は急に内部から美しく輝き始めて見えた。
まるで生きているように見える。
新品で正規のアイテムショップで購入したら金貨数十万枚以上の価値はあるお宝だ。
「大分放置されて休眠していたけど、これで目覚めたはず」
「なんてキレイなのかしら……」
それは装備者のHPの減少を防ぎ、時間と共に徐々に回復させる国宝級アイテムである。
「これを君にプレゼントするよ」
冒険者としての装備が貧弱なミレーネに手渡した。
「ええ!良いのですか?」
ミレーネがそっと右手を差し出すとラセルはリングのサイズの合う彼女の薬指を選んで装着させる。
「ラセル様……」
ミレーネはうっとりとしてラセルにもたれ掛かりそうなってしまう。
ラセルはそんなロマンチックな事をした覚えはなく、単に冒険者として貧弱な装備を補おうという目論見だったのだが……。
……薬指はさすがに不味かったのだろうか?
男女の付き合いに疎いラセルは少し早まったような気がして、ミレーネの脇をすり抜けた。
「さ、行くよ」
「え!あれ?ラセル様?」
肩透かしを食らったようになったミレーネは急いでラセルの後を追いかけた。
………………………………………………………………………
その頃、リーナは白魔法を駆使してラセルの痕跡を追っていた。
リーナはラセルが放置していったタワーシールドに追跡魔法を掛けていて、それで以前もオルドの工房まで辿り着いたのだ。
今回は馬で駆けながら砂漠地帯のサンドワームを躱して帝国を目指していた。
「もー!なんでイシュタルを捨てていくのよ!」
リーナはサンドワームの襲撃にウンザリしながら、器用に避けまくって馬で爆走する。
「でも絶対に見つけだすからね!」
何度もサンドワームの襲撃に肝を冷やしながらも叫んでいた。
「見つけたらビンタして上げるんだから!」
強気に怒りながらもその声とは裏腹に涙を流していた。
「ラセルーーーーー!待ちなさいよぉおおお!」
リーナは怒りながら泣くという器用な事をしながら危険地帯を駆け抜けて帝国に入った。
帝国の都市に入ってからも延々と遠くに続く追跡の旅は、リーナを一つの工房に導いた。
「ここは……工房よね、もしかしてここに居るのかしら」
リーナはそれまで怒り気味であったのに急に弱気になってしゅんとする。
ラセルになんて声をかければ良いのか……考えていなかった。
やあ!ラセル!……それは異国にきて言うにはおかしく感じる。
こんにちはラセルさん!……しれっとそれもどうかしてるとしか思えない。
奇遇だね、ラセル!……そんな訳は無いだろう!と自分でツッコミをいれた。
「おい、お前!なにをしている」
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「この工房に用があるのか?」
二人組の警備兵がリーナを挟み込む形で尋問を始めた。
「え?あたしは別に」
「怪しい奴だ、取り調べをするから大人しくついてこい」
「ブレインバスター!」
リーナが白魔法の「忘却」を使うと警備兵は立ち竦んで呆然となる。
「はいはい、大人しく消えますよ」
そう言うとリーナは警備兵の横を通り工房に入った。
だが、そこは魔法を使ってラセルを探すまでもなく無人であった。
暫くだれも使っていなくて、埃っぽい機材やテーブルが並んでいた。
「ハズレ……か」
そのまま外に出るとすでに警備兵は呆然としながら遠方に歩きさっていた。
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