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魔境
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それから街外れまでは直に到着した。
結局、まる二日以上歩いてやっと街の東端までやってきた事になる。
だが、東の前方にただならぬ暗黒が渦巻いて居るように見え戦慄する。
「なんだろ、あれは……」
ラセルが呟くとミレーネは彼の腕を掴む。
街の簡易なゲートの所には複数の冒険者達が屯していて、後からやってきたラセル達が立ち竦んでいたを見ていた。
「おう、お前らも魔境クエストに来たのか?」
冒険者達の中でもデカくてタフそうな大男の戦士がラセルに声をかけた。
「魔境クエストですか……?」
「なんだその顔は知らなかったようだな、なら説明してやるよ」
大男が言うには、自分達はギルドクエストの「魔境開放」を請けてここまでやってきたのだが魔境の魔法結界が破れずに入れもしないのだという。
「いつから魔境なんてものが有るのですか?」
「うん?それも知らねえのか、あんちゃんたちは外国人なのか?」
「ええ、実はそうです」
「そうか……通称魔境ってのは、ハーフエルフの森に突然現れた暗黒の結界のことよ」
「ハーフ……てことは、もしかしてあれは……」
「そうだ、元々ハーフエルフの森だったものだ」
「ええ……」
その言葉を聞いて二人でため息をついた。
知らぬ間になにか途轍もない事態が発生しているらしい。
「どうする?行ってみるか?」
「……そう、出来たら……行けるかしら?」
ラセルが問うとミレーネは恐れながらも行ってみたいような口ぶりだった。
「行くだけ行ってみるか」
「はい」
二人が魔境の方向に歩き出すと屯していた冒険者達は唖然として口々に呟いた。
「おいおい、人の話を聞いてなかったのか……」
「だから、無理なんだって言ってんのに」
「ま、行きゃわかるさ……」
「やれやれ……」
彼らの呟きを無視して進み、森全体を包み込む魔境結界の目前まできて、その渦巻くような暗黒の魔法の壁に振れる。
ピリピリ……
「スキャンアイテム」
ラセルの手に無属性魔法のダメージが入り軽く痛む。
それでラセルのアイテムマイスターのスキルが発動してそのトラップの解析が終わった。
「なるほど……この規模の破壊は直ぐには無理だけど通れそうだ」
ラセルはミレーネに説明してリフレクトマントを頭から被って通るように指示する。
「いくよ」
パリパリ……
ラセルの掛け声で二人同時にマントを盾にして魔法の薄い壁を通り抜けた。
スル……
壁の内側は、外から見るよりも酷いことになっていた。
以前魔人城の下層で体験したような濃厚な暗黒の瘴気が漂っていて、無防備であれば直ぐに皮膚や肺が爛れそうな程である。
それと、内部には大型のデーモンが何体も彷徨いているのが木々の間から見えていた。
「これは……ミレーネ、大丈夫かい?」
ラセルが絶句して訊くとミレーネはこわばった顔で頷く。
女神の指輪の加護が彼女を護っているようだ。
「けど、これでは……ハーフエルフ族は大丈夫なのか」
無事であるとは到底考えられなかった。
「行ってみるか?」
「……はい」
ラセル達が木々の間から抜けると直ぐにデーモンの数体が振り向いて飛んできた。
バサッバササッ!
ドズーン!
「キャア」
パパーーン!
デーモン二体が着地するのとほぼ同時に、ラセルの背中でミレーネが悲鳴をあげ、ラセルは風の剣を振るう。
ドターン……バラバラ……
ミレーネの目にはデーモンが着地した瞬間にバラバラになって砕けたように見えていた。
ドズーン!ドズーン!……
パパーーン!パーーン!……
バラバラ……バラバラ……バラバラ……
その不思議な光景が何十秒か繰り返し続き……収まると目の前には黒い煙となって消えていくデーモンの残骸が積み上がっていた。
「いま何が起きたのですか!?」
「……僕の剣で斬ったんだ」
ラセルは事も無げに言いながらマントを少し避けて腰の風の剣を見せた。
「え……でも……」
ミレーネは奇術でも見せられたかのように呆然としていた。
「行くよ」
ラセルはそっといい歩きだす。
その後も一帯からデーモンの亜種が沢山襲いかかって来たが、全部一撃で粉微塵にして進む。
ミレーネにはラセルが気楽に散歩でもしているかのように見えていた。
暫く進むとハーフエルフの集落が見えてくる。
その集落の真ん中にある広場には一際巨大なデーモンが鎮座していた。
「ヘルデーモン!」
ラセルの言葉に反応して、そのデーモンは口から暗黒の無属性魔法を吐いて来た。
だが、二人のリフレクトマントがそれを反射して素通りする。
不思議なものを見た顔でデーモンが唖然として居るとラセルがいつの間にか距離を詰めて剣を閃く。
パパーーン!
ズズズ……ドドーン
細切れになったヘルデーモンは残骸になり崩れた。
崩れた巨体の背後に建っていた禍々しい黒い光りを発する塔が見えた。
「あれだ!」
ラセルにはそれがこの魔境結界の根源であることが判った。
「ガントレットハンド」
ドドドドゴーン!!
鋼鉄のパンチの連打でその石の塔を破壊して、頂点にある黒い宝石を殴り壊した。
「少し勿体ないけど……」
バチーン!!
バシューーー……
その瞬間に暗黒の瘴気が薄れ、結界が消滅していくのがハッキリと見えた。
結局、まる二日以上歩いてやっと街の東端までやってきた事になる。
だが、東の前方にただならぬ暗黒が渦巻いて居るように見え戦慄する。
「なんだろ、あれは……」
ラセルが呟くとミレーネは彼の腕を掴む。
街の簡易なゲートの所には複数の冒険者達が屯していて、後からやってきたラセル達が立ち竦んでいたを見ていた。
「おう、お前らも魔境クエストに来たのか?」
冒険者達の中でもデカくてタフそうな大男の戦士がラセルに声をかけた。
「魔境クエストですか……?」
「なんだその顔は知らなかったようだな、なら説明してやるよ」
大男が言うには、自分達はギルドクエストの「魔境開放」を請けてここまでやってきたのだが魔境の魔法結界が破れずに入れもしないのだという。
「いつから魔境なんてものが有るのですか?」
「うん?それも知らねえのか、あんちゃんたちは外国人なのか?」
「ええ、実はそうです」
「そうか……通称魔境ってのは、ハーフエルフの森に突然現れた暗黒の結界のことよ」
「ハーフ……てことは、もしかしてあれは……」
「そうだ、元々ハーフエルフの森だったものだ」
「ええ……」
その言葉を聞いて二人でため息をついた。
知らぬ間になにか途轍もない事態が発生しているらしい。
「どうする?行ってみるか?」
「……そう、出来たら……行けるかしら?」
ラセルが問うとミレーネは恐れながらも行ってみたいような口ぶりだった。
「行くだけ行ってみるか」
「はい」
二人が魔境の方向に歩き出すと屯していた冒険者達は唖然として口々に呟いた。
「おいおい、人の話を聞いてなかったのか……」
「だから、無理なんだって言ってんのに」
「ま、行きゃわかるさ……」
「やれやれ……」
彼らの呟きを無視して進み、森全体を包み込む魔境結界の目前まできて、その渦巻くような暗黒の魔法の壁に振れる。
ピリピリ……
「スキャンアイテム」
ラセルの手に無属性魔法のダメージが入り軽く痛む。
それでラセルのアイテムマイスターのスキルが発動してそのトラップの解析が終わった。
「なるほど……この規模の破壊は直ぐには無理だけど通れそうだ」
ラセルはミレーネに説明してリフレクトマントを頭から被って通るように指示する。
「いくよ」
パリパリ……
ラセルの掛け声で二人同時にマントを盾にして魔法の薄い壁を通り抜けた。
スル……
壁の内側は、外から見るよりも酷いことになっていた。
以前魔人城の下層で体験したような濃厚な暗黒の瘴気が漂っていて、無防備であれば直ぐに皮膚や肺が爛れそうな程である。
それと、内部には大型のデーモンが何体も彷徨いているのが木々の間から見えていた。
「これは……ミレーネ、大丈夫かい?」
ラセルが絶句して訊くとミレーネはこわばった顔で頷く。
女神の指輪の加護が彼女を護っているようだ。
「けど、これでは……ハーフエルフ族は大丈夫なのか」
無事であるとは到底考えられなかった。
「行ってみるか?」
「……はい」
ラセル達が木々の間から抜けると直ぐにデーモンの数体が振り向いて飛んできた。
バサッバササッ!
ドズーン!
「キャア」
パパーーン!
デーモン二体が着地するのとほぼ同時に、ラセルの背中でミレーネが悲鳴をあげ、ラセルは風の剣を振るう。
ドターン……バラバラ……
ミレーネの目にはデーモンが着地した瞬間にバラバラになって砕けたように見えていた。
ドズーン!ドズーン!……
パパーーン!パーーン!……
バラバラ……バラバラ……バラバラ……
その不思議な光景が何十秒か繰り返し続き……収まると目の前には黒い煙となって消えていくデーモンの残骸が積み上がっていた。
「いま何が起きたのですか!?」
「……僕の剣で斬ったんだ」
ラセルは事も無げに言いながらマントを少し避けて腰の風の剣を見せた。
「え……でも……」
ミレーネは奇術でも見せられたかのように呆然としていた。
「行くよ」
ラセルはそっといい歩きだす。
その後も一帯からデーモンの亜種が沢山襲いかかって来たが、全部一撃で粉微塵にして進む。
ミレーネにはラセルが気楽に散歩でもしているかのように見えていた。
暫く進むとハーフエルフの集落が見えてくる。
その集落の真ん中にある広場には一際巨大なデーモンが鎮座していた。
「ヘルデーモン!」
ラセルの言葉に反応して、そのデーモンは口から暗黒の無属性魔法を吐いて来た。
だが、二人のリフレクトマントがそれを反射して素通りする。
不思議なものを見た顔でデーモンが唖然として居るとラセルがいつの間にか距離を詰めて剣を閃く。
パパーーン!
ズズズ……ドドーン
細切れになったヘルデーモンは残骸になり崩れた。
崩れた巨体の背後に建っていた禍々しい黒い光りを発する塔が見えた。
「あれだ!」
ラセルにはそれがこの魔境結界の根源であることが判った。
「ガントレットハンド」
ドドドドゴーン!!
鋼鉄のパンチの連打でその石の塔を破壊して、頂点にある黒い宝石を殴り壊した。
「少し勿体ないけど……」
バチーン!!
バシューーー……
その瞬間に暗黒の瘴気が薄れ、結界が消滅していくのがハッキリと見えた。
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