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ダークエルフ
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「僕は……ダークエルフのやっていた事が許せない」
ラセルは副将軍の話しを思いだして憤る。
「そうだろうな、ならば皇国の前にそいつを俺と殴りに行くか?」
徒歩でミレーネのところに戻りながらダリウス王子と話しをする。
……そもそも、ダークエルフは帝国と癒着してなにを始めていたのか?
ラセルにはそれが判らなかったがどうしてもケリをつけたいと感じていた。
「それは良いな、けれども奴らの居場所が僕にはわから無いのだ……」
「ダークエルフの拠点なら大体の目星は付いているぞ」
「本当か!?」
「ああ、帝国の南東にある死湖に浮かぶ骸島が奴らの住処だ……もっとも、住んでいるのは島の地下深いところらしいがな」
「そんな場所があったのか」
そう云うことに関しては流石に帝国の王子である。
……他にも色々と知っているのだろう……とラセルは感じた。
そのような話をしながらミレーネの所まで戻る頃にはすっかり意気投合して、さらにラセルの鬱々とした気分晴れている。
ラセルは本来楽天的で、自由に旅人をしているだけで楽しさを感じられる性分なのだ。
これからダークエルフをとっちめに行くというのに、すでに楽しい旅を始めようとしているかのような気楽さに舞い戻っている。
テントの前まで戻ると焚き火の火勢が弱まり、熾火となって仄明るく結界の方向を照らしていた。
ダリウスが不思議そうな顔でそれを見る中、ラセルが結界を解除するとテントが現れた。
シュン……
「ほう……」
テントの中を見ると彼女は既に起き上がり座って待っていた。
「やあミレーネ起きていたんだね」
「ラセルさま!一体どちらへ行かれ……あ」
ラセルが悪びれもせず言うと、彼女はやや怒りながら返答するが直に隣のダリウスに気がつく。
「おう、また会ったな」
「はい……」
彼女はダリウスが少し苦手なのだ。
「昼の件は悪かったな」
「はい、もう大丈夫です」
今はまだそう言うのが精一杯のようである。
「ミレーネに報告があるのだけど、落ち着いて聞いてほしい」
ラセルがやや真剣な面持ちでいうと、彼女は頷いた。
「実は、さっきこのダリウスと一緒に帝宮を破壊してきた」
「……え!」
「僕なりに考えた結果、……行方不明になった冒険者の事も含めて彼等を放置しているわけには行かなくて……ね」
ダリウスは腕組みしながらウンウンと頷いていた。
「ラセル様がお決めになった事であるなら、私も賛成ですわ」
「そうか、有難う」
「でも、ダリウス様はそれで宜しかったのですか?」
ミレーネは不思議そうにダリウスをチラッとみて訊ねる。
「それが……」
「それはな、つまり……俺の親離れだ!あははは」
ダリウスは豪快に笑ってラセルの代わりに答えた。
恐ろしい親離れもあったものだ、とミレーネは感じたかもしれない。
だが、どこか腑に落ちたという顔になっていた。
「それで、これからなのだけど……」
ラセルは本題であるダークエルフの討伐について話し始めた。
「……とまぁ、帝国を南東に横断するから少し遠い旅になりそうなんだ」
「私はラセル様の行くところならば何処までもご一緒致します」
ミレーネはいつもの固い決意を見せていった。
「無理させてわるいね」
「そんなことは有りません、ラセル様との旅は楽しいですから」
「ふっふっ、俺にもそんな事を言ってくれる友がいたら良かったのだがな」
二人のやり取りを聞いてダリウスは笑っていう。
「あれ、二人も護衛がいたじゃ無いか?」
「護衛か……あれは監視係だよ、俺が逃げ出さないか見張り役だ」
……考えてみたら、稀代の剣豪に護衛なんて不要なのだ気がついてラセルは笑った。
「あはは、なるほど」
「わはは」
すっかり打ち解けている二人をミレーネはジッとみてクスリと笑った。
ラセルは副将軍の話しを思いだして憤る。
「そうだろうな、ならば皇国の前にそいつを俺と殴りに行くか?」
徒歩でミレーネのところに戻りながらダリウス王子と話しをする。
……そもそも、ダークエルフは帝国と癒着してなにを始めていたのか?
ラセルにはそれが判らなかったがどうしてもケリをつけたいと感じていた。
「それは良いな、けれども奴らの居場所が僕にはわから無いのだ……」
「ダークエルフの拠点なら大体の目星は付いているぞ」
「本当か!?」
「ああ、帝国の南東にある死湖に浮かぶ骸島が奴らの住処だ……もっとも、住んでいるのは島の地下深いところらしいがな」
「そんな場所があったのか」
そう云うことに関しては流石に帝国の王子である。
……他にも色々と知っているのだろう……とラセルは感じた。
そのような話をしながらミレーネの所まで戻る頃にはすっかり意気投合して、さらにラセルの鬱々とした気分晴れている。
ラセルは本来楽天的で、自由に旅人をしているだけで楽しさを感じられる性分なのだ。
これからダークエルフをとっちめに行くというのに、すでに楽しい旅を始めようとしているかのような気楽さに舞い戻っている。
テントの前まで戻ると焚き火の火勢が弱まり、熾火となって仄明るく結界の方向を照らしていた。
ダリウスが不思議そうな顔でそれを見る中、ラセルが結界を解除するとテントが現れた。
シュン……
「ほう……」
テントの中を見ると彼女は既に起き上がり座って待っていた。
「やあミレーネ起きていたんだね」
「ラセルさま!一体どちらへ行かれ……あ」
ラセルが悪びれもせず言うと、彼女はやや怒りながら返答するが直に隣のダリウスに気がつく。
「おう、また会ったな」
「はい……」
彼女はダリウスが少し苦手なのだ。
「昼の件は悪かったな」
「はい、もう大丈夫です」
今はまだそう言うのが精一杯のようである。
「ミレーネに報告があるのだけど、落ち着いて聞いてほしい」
ラセルがやや真剣な面持ちでいうと、彼女は頷いた。
「実は、さっきこのダリウスと一緒に帝宮を破壊してきた」
「……え!」
「僕なりに考えた結果、……行方不明になった冒険者の事も含めて彼等を放置しているわけには行かなくて……ね」
ダリウスは腕組みしながらウンウンと頷いていた。
「ラセル様がお決めになった事であるなら、私も賛成ですわ」
「そうか、有難う」
「でも、ダリウス様はそれで宜しかったのですか?」
ミレーネは不思議そうにダリウスをチラッとみて訊ねる。
「それが……」
「それはな、つまり……俺の親離れだ!あははは」
ダリウスは豪快に笑ってラセルの代わりに答えた。
恐ろしい親離れもあったものだ、とミレーネは感じたかもしれない。
だが、どこか腑に落ちたという顔になっていた。
「それで、これからなのだけど……」
ラセルは本題であるダークエルフの討伐について話し始めた。
「……とまぁ、帝国を南東に横断するから少し遠い旅になりそうなんだ」
「私はラセル様の行くところならば何処までもご一緒致します」
ミレーネはいつもの固い決意を見せていった。
「無理させてわるいね」
「そんなことは有りません、ラセル様との旅は楽しいですから」
「ふっふっ、俺にもそんな事を言ってくれる友がいたら良かったのだがな」
二人のやり取りを聞いてダリウスは笑っていう。
「あれ、二人も護衛がいたじゃ無いか?」
「護衛か……あれは監視係だよ、俺が逃げ出さないか見張り役だ」
……考えてみたら、稀代の剣豪に護衛なんて不要なのだ気がついてラセルは笑った。
「あはは、なるほど」
「わはは」
すっかり打ち解けている二人をミレーネはジッとみてクスリと笑った。
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