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休戦
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ラセル達がギルドメンバーに勇者として祭り上げられている時、魔界に引き返えしたゾーグは唸っていた。
「あんな化け物がいるとは……」
ゾーグは千年ぶりに復活を遂げた魔王の子孫で、成人した祝いに帝国を乗っ取りに向かったのだが。
ラセル一人にあっさりと返り討ちにあった。
「これがあったから助かったものの」
ゾーグはラセルから奪い取った魔人の剣を手にぼやく。
あの時、ラセルが魔人の剣以外の武器で襲いかかって来たらゾーグは確実に死んでいた。
ゾーグは苦し紛れのハッタリでなんとか引き返してこれた幸運に安堵しつつも、ラセルの驚異的な強さに鳥肌が立っている。
「千年前の勇者パーティよりも強いに違いない」
なにせ、自慢の戦魔軍団がラセル一人に目の前で瞬殺させられたのだ。
「もしここに乗り込まれたら……非常に不味いな」
ゾーグは大至急魔界の防御態勢を整える事に専念することにした。
号令をかけて全世界の魔族を集結させて鉄壁の防御態勢をとり、ラセルの襲撃に耐え無ければならないのだ。
それを期に全世界から魔物が一斉に消滅して冒険者達は暇になってしまうのだった。
自信を喪失しつつも、ダークエルフとの決戦に向かったラセル達であったが、ダークエルフのアジトはもぬけの殻で、拍子抜けして帝都に逆戻りした。
「ギルドも暇になってしまったし、一体なにが起こっているのだ?」
スカスカになったギルドの依頼ボードを眺めてラセルがつぶやく。
全てはラセルのせいだが、本人には自覚が無かった。
帝国国内は王族の緊急会議が開かれ、魔界からの侵略に対応すべく一致団結して武装を整えていた。
そんな中、ラセルは自らの弱点を克服すべく工房に引き篭もりアイテムの制作に没頭していった。
「あ~~、ラセルったらまた今日も朝からなのね」
「そうみたい、何を訊いても「そうだね~」としか返事しないのよ」
「あはは」
リーナとメリーナは呆れ顔でそう言うと笑った。
「暇だし、お買い物行きましょ?」
「良いわね!美味しいと評判のケーキ屋があるの!」
二人は楽しそうに笑って工房を後にした。
一人残されたダリューはラセルの頼みで各種のアイテムの素材を買い出しに行ったりで忙しく過ごしていた。
そして、半年が過ぎた頃。
ダリューはそんな平和な日常に飽きて旅立ってしまった。
「旅に出る」
口数の少ないダリューらしく、置き手紙にはその一言だけが記されていた。
「……なんか、ごめん」
手紙に謝っても仕方無いのに、ラセルは呟いてまた作業に戻った。
「もう少しなんだ、もう少しで最強の装備が完成する……」
そう言い続けてさらに半年が経った。
「これだ、これ」
ラセルは人気のない野原で深夜、完成させた火氷の剣を構えて魔力を送る。
「最大魔力!」
ドォーン!
ラセルの魔力でそれは実剣から遥か遠方まで伸びる破壊的な青白い光を放つ。
パチ……パチ……
枯れ葉が時折飛んできて、その剣にふれると瞬間に蒸発して消える。
「さて……」
ジュワ……
ラセルは試し切りに、近くの岩にそっと触れると岩は簡単に溶けて両断していく。
「出来た……完成した、名付けて天剣」
それに斬れないものは無いと思われる切れ味にラセルは見とれた。
その剣なら誰にも掴まれない自信があった。
「あんな化け物がいるとは……」
ゾーグは千年ぶりに復活を遂げた魔王の子孫で、成人した祝いに帝国を乗っ取りに向かったのだが。
ラセル一人にあっさりと返り討ちにあった。
「これがあったから助かったものの」
ゾーグはラセルから奪い取った魔人の剣を手にぼやく。
あの時、ラセルが魔人の剣以外の武器で襲いかかって来たらゾーグは確実に死んでいた。
ゾーグは苦し紛れのハッタリでなんとか引き返してこれた幸運に安堵しつつも、ラセルの驚異的な強さに鳥肌が立っている。
「千年前の勇者パーティよりも強いに違いない」
なにせ、自慢の戦魔軍団がラセル一人に目の前で瞬殺させられたのだ。
「もしここに乗り込まれたら……非常に不味いな」
ゾーグは大至急魔界の防御態勢を整える事に専念することにした。
号令をかけて全世界の魔族を集結させて鉄壁の防御態勢をとり、ラセルの襲撃に耐え無ければならないのだ。
それを期に全世界から魔物が一斉に消滅して冒険者達は暇になってしまうのだった。
自信を喪失しつつも、ダークエルフとの決戦に向かったラセル達であったが、ダークエルフのアジトはもぬけの殻で、拍子抜けして帝都に逆戻りした。
「ギルドも暇になってしまったし、一体なにが起こっているのだ?」
スカスカになったギルドの依頼ボードを眺めてラセルがつぶやく。
全てはラセルのせいだが、本人には自覚が無かった。
帝国国内は王族の緊急会議が開かれ、魔界からの侵略に対応すべく一致団結して武装を整えていた。
そんな中、ラセルは自らの弱点を克服すべく工房に引き篭もりアイテムの制作に没頭していった。
「あ~~、ラセルったらまた今日も朝からなのね」
「そうみたい、何を訊いても「そうだね~」としか返事しないのよ」
「あはは」
リーナとメリーナは呆れ顔でそう言うと笑った。
「暇だし、お買い物行きましょ?」
「良いわね!美味しいと評判のケーキ屋があるの!」
二人は楽しそうに笑って工房を後にした。
一人残されたダリューはラセルの頼みで各種のアイテムの素材を買い出しに行ったりで忙しく過ごしていた。
そして、半年が過ぎた頃。
ダリューはそんな平和な日常に飽きて旅立ってしまった。
「旅に出る」
口数の少ないダリューらしく、置き手紙にはその一言だけが記されていた。
「……なんか、ごめん」
手紙に謝っても仕方無いのに、ラセルは呟いてまた作業に戻った。
「もう少しなんだ、もう少しで最強の装備が完成する……」
そう言い続けてさらに半年が経った。
「これだ、これ」
ラセルは人気のない野原で深夜、完成させた火氷の剣を構えて魔力を送る。
「最大魔力!」
ドォーン!
ラセルの魔力でそれは実剣から遥か遠方まで伸びる破壊的な青白い光を放つ。
パチ……パチ……
枯れ葉が時折飛んできて、その剣にふれると瞬間に蒸発して消える。
「さて……」
ジュワ……
ラセルは試し切りに、近くの岩にそっと触れると岩は簡単に溶けて両断していく。
「出来た……完成した、名付けて天剣」
それに斬れないものは無いと思われる切れ味にラセルは見とれた。
その剣なら誰にも掴まれない自信があった。
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