追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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救国のおっさん〜そして

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上空から様子を伺っていると直ぐに動きがあり、全軍が撤退をしていくのが確認できた。


 「よし、ここまでは計画通りだ、このまま王宮に乗り込むぞ」

 「はい!」


 俺たちはそのまま飛行し、王宮の来賓用のエアポートに着地した。今回はエスコート役の衛兵が5名やってきて俺を確認すると、大急ぎで王に連絡を取ってくれる。暫くすると王の居室に来いというので衛兵にエスコートされてついて行く。


 

 「おお!ついに戻ってくれたか!!」

 「お久しぶりです王よ、ですが本日はお話があって参上しました」


 「そして、こちらは私をここまで連れてきてくれた隣国の魔法使いのミューです」

 「2人ともよく来てくれた、大歓迎じゃぞ」


 「初めまして、ミューです」

 「いやいや、堅苦しい話はなしじゃ!めでたい!めでたいのぅ!」

 「……そうではないのですよ、王よ」


 王は乾杯用の高級酒を豪華なグラスに注ぐ手を止める。


 「なにか……トラブルでもあるのか?」

 「実はこの国の現状、土の精霊の事なのですが」


 「おお、土の精霊は復活されたのじゃ!めでたいのじゃ」

 「あれは、実は私がやりました」


 「……なんと!水臭いのぅ、そう言ってくれれば良いものを」

 「それは、となりのアガターヌ国王から依頼されてやった事なのです」


 「……なんじゃ……と」


 驚愕し、混乱している王に今回の顛末を説明した。今は南国でスローライフを送って居る事、そこにこの魔女がやってきてアガターヌ国王に紹介された事、王から懇願されてここにやってきて土の大精霊を昏睡から目覚めさせた事。


 「なのに、あなたはまたアガターヌ国を侵略しようとしたのです」

 「……しかし、知らぬ事だったのじゃ」


 「分かっています、ですが土の精霊の力を戦争に利用するのはやめてください」

 「いや、じゃが……」


 「精霊がなぜ心を閉ざしたのか薄々ご存知のはずです、精霊はあなたの道具ではないのですよ。精霊は自らの力が悪に利用されていること位知っています、だから怖い顔をして心を閉ざしたのです」


 「……」

 「昔の様に皆で精霊様に祈り感謝を捧げる日々に戻ってください、あなた方が精霊様を愛すれば精霊様もきっとあなた方と心を通わせて、贈り物を受け取ってくれるはずです」


 「……うむ……」

 「これは貴方の王として、統治者としての態度が問われているのですよ」


 王は返答に窮していた。だがやはり王の器は大きいのだ。


 「確かにそなたの言う通りじゃな、ワシが間違っていたのかもしれん」


 良かった……これでこの国も救われる、そして俺は元の楽園に戻れる。


 だが、そこに変な奴がやって来た。


 ドアーをノックすると王の返答も待たずに入って来たのだ。そいつは高身長で金髪を揺らしているイケメンで、とても同じ国の人種とは思えなかった。そして入ってくるなり自分を軍師のアルタイールだと言った。



 「我は軍師アルタイールである、以後お見知りおきを!……王よ、裏切り者の言葉なぞ聞いてはいけませんぞ!」


 入ってくるなり、いきなり上から偉そうに俺を裏切りもの扱いである。


 「……」


 突然の罵倒に俺が思案していると王が厳しい口調で言い放った。


 「何を言う、ソチの箴言で今回の侵略を計画したのではないか!ワシにとんでもない恥をかかせおって、ソチはもう首じゃ、今すぐここから出ていけ!」 



 そのイケメン軍師は「チッ!」と舌を鳴らし部屋を出ていった。


 俺はこいつは絶対に怪しいと感じていた。この国の者なら全員土の精霊気を纏っているはずだが、こいつからはそれが感じられないのだ。よそ者のくせに軍師などと、どう考えても他国のスパイだとしか思えない。俺はこいつの追跡を行うことに決めた。



 王に「又来ます」、と別れを告げてから直ぐに王宮をでて奴の後を上空から追うと王宮のそばの酒場に入っていく、すぐに追いかけるとトイレに入っていくのが見えた。


 俺はそいつを捕まえて問い詰めようとしたのだが、トイレに入るとそこには誰も居ない。トイレなんて出入口は一つしかないので間違えようがないのだが……。


 閉まっている扉は清掃道具入れの扉だけだ。そこを開けようとすると鍵がしまっている。変だなと思いつつ、精霊魔法で内鍵を開錠して扉を開けるとそこにはぐるぐると渦巻く闇があった。


 「おおお!なんだこれは!」


 見たことのないそのめまいがしそうな暗黒の渦巻に驚き声を上げると外で待っていたミューが慌てて走ってやってきて、入口付近の俺にドンと激突してしまう。


 「キャァ!」


 俺はその衝撃で渦巻く闇に半歩足を踏み入れるとそれは底なしの奈落だった。咄嗟にミューの手を握って引き戻してもらおうとすると非力なミューごとこちらに来てしまいそうになる。


 「ダメだ!来るな!」


 といって、ミューの手を離そうとするが今度はミューの方から力強く握り返してきた。


 そのまま渦巻く暗黒の闇に落下していく2人、俺達はお互いを抱きしめて離れ離れにならないようにしていた……。




・ 



 そして、一瞬の目まいの後に気が付くと二人は見知らぬ街のど真ん中、建物の前で抱き合っていた。


 「ここは?」

 「トイレではないな……」


 当たり前のことを言わないと頭がおかしくなりそうだったのだ。その街は見たことのない派手な衣装を着た人たちが行き交う異国の街だった。皆どぎつい原色系のコーディネートの服を着て、変な乗り物に乗っているものも居る。


 建物はどれも見たこともないような美しい石造りで読めない文字の看板がいたるところに下がっている。そして、その文字がビカビカと光っているのだ。


 街中で抱き合っている俺たちを通り過ぎる町の人たちは気にもしないで行き交っていく。だが、急に恥ずかしくなり体を離した。なんとなくお互い不安だったのだとその時に気が付いた。


 「へぇー、面白い!」

 「なんだなんだ!」


 と2人の風の精霊がカバンと帽子から出てきて騒ぐ。2人にもここがどこなのか分からないという風だ。

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