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おっさんは帰国するが、エルフ国へ旅立つ
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その晩、俺たちはマークを追跡して難なく捕縛。建物に入ろうとするマークの肩を後ろからポンポンとすると、振り向いた彼は酷く怯えていた。
「な、何者だ!」
「大丈夫ですよ、少し楽になってもらうだけです」
後ろに居たサリナが安眠魔法を唱えるとあっけなく彼は立ったまま寝入った。器用にバランスを保ち、倒れる事もなく眠っている。
「面白いな、回復魔法の睡眠というのはこんな事が出来るのか」
「うん、凄いでしょ~」
凄い凄いと言いサリナの頭を撫でてやると目をキラキラ輝かせている。こういうところはミューによく似ていた。
俺はマークの顔をタッチして覚え、彼の上着と帽子、IDタグを頂く。
「スキンシール」
それでマークに化ける。マークに「お疲れさん」と肩ポンをしてその建物に入る。内部は直ぐに警備システムがあり厳重な本人確認が行われたが、マークそっくりの顔とIDタグだけであっさりと突破出来た。
「後ろのお連れの方は?」
「急遽連れて行く事になった」
それだけでノーチェックで入れてしまった、流石諜報部員という事だろうか。そこでもし止められたらサリナが安眠魔法を使う段取りではあったのだが、それすら無用であった。そのまま進み途中で全地調査をミューと行う。
簡単に全ての情報が手に入り、頭に入っているマップを頼りに迷いなく進み転移装置の研究室に到着した。
「本日はよろしく、これから直ぐに発つが準備は出来ているか?」
「あ、はい、マーク様……それとお連れのかたは?」
「ああ、問題ない。全員F1世界の同一タイムラインで頼む」
事前に調査した結果、俺達の居た元の世界はF世界と呼ばれ1とは出現ポイントの固定座標の事だった、タイムラインは個人別で固定値が決まっているので1人1人全て違うのだ。
「承知しました、セット完了です」
俺達は研究所の職員に導かれて、目の前に現れた渦に3人で手を繋いで入った。
・
・
・
一瞬の眩暈のあとに、出たのは見知らぬ土地であった。そして右手を繋いでいたはずのサリナの姿がない。
「やはり……ダメだったか」
「行ってしまったのね……」
サリナは俺達とは別の時間軸の存在だったのだ。それが未来なのか過去なのかは分からないが。サリナが元の本来の世界に戻ったのは間違いないハズなので、後は戦士としてのサリナに任せるほかはない。
改めて周囲を全土感知で調査を行うと、現在地点は王宮の裏山と言う事が判った。そして、不思議な事に土の精霊気ががあまり感じられず、ノイズまみれの精霊気ばかりだった。これではさっきまで居たガリアントと大して変わらないではないか……。
そこからミューと2人乗りで箒で飛ぶと町の様子がおかしい事にきがついた。やはり、時間が20年経ってたのだ。2人が飛び立ったのは20年後のガリアントで、戻って来たのも又20年後のマルター国だったのだ。それにしても様子がおかしい、王都を押し包んでいた黒鉄の船が全て撤去されて綺麗に方付いているのはまだ判るのだが、昼間なのに動物や人がやけに少ない。そのまま孤児院に立ち寄ってみると、孤児院は廃墟になっていた。
「いくらなんでも変わり過ぎている」
「ホント……ね」
俺の驚く声にミューも同意してくれた。何が有ったのか、調べる為に仕方なしに以前追放された王宮に舞い戻った。
そこで見た物は黒い防護服を着た兵士の姿だった、あの黒鉄の一味に見えた。もしかして20年前の攻防で敗北してしまったのだろうか?
「スキンシール」
再度、マークの顔に化けてから王宮の中を調査する事にした。すると、色々な事が判った。まず地下の精霊殿に行くとそこには土の大精霊が居なく、そこの警備兵に訊くと既に”ボックス”で回収されている事。そして、王は居らずアルダイルが代わりに帝王を名乗っていた事、この時代ではほぼ全ての国々がアルダイルの支配する世界になって居たのだ。
俺は眩暈がしてミューの城に一旦戻る事にしたのだが、その城も地上に落とされており城を守っていた風の大精霊は何処かへ去っていた後だった。当然俺の作った楽園の島も今は原生林の島に戻っていた。
「おかえり……友よ」
島に立ち寄ると微かに声がするので全土感知をすると、半分眠っている島の土の精霊が居た。
「ただいま……俺が居ない間に色々と大変な事があったみたいだね」
「うむ、私はこれから暫く眠るので君にお守りを上げよう、友よ」
そういうと、土の精霊はヌッと地面から手をだして俺の左手の中指に触れてそこに魂を込めた。
「ありがとう、土さん……そしてお休み」
「元気でいてくれ、友よ」
・
・
・
「ねーねー、どうなっちゃったの?」
「さーねー」
と風たちが話している。
「これから調べようと思う……手伝ってくれるかい?」
「それはもう、だけどここは風の精霊気も淀んでるね……」
「そうなんだよね、まるでガリアントと一緒だ」
「私達のお城も落ちちゃったの、もう戻るところもないの」
「ごめんな、ミューと風の子よ」
「ううん、アキが悪いんじゃないもの」
「また一緒に作ろうか?」
「うん」
俺たちは遥か東の孤島を目指した。帝都で兵隊に訊いた話ではそこはまだ帝国の魔の手が及んでいないという。エルフ国があると言われている島だ。エルフたちが俺達を受け入れてくれるかどうかは判らなかったが、俺たちには助けが必要だったのだ。
「な、何者だ!」
「大丈夫ですよ、少し楽になってもらうだけです」
後ろに居たサリナが安眠魔法を唱えるとあっけなく彼は立ったまま寝入った。器用にバランスを保ち、倒れる事もなく眠っている。
「面白いな、回復魔法の睡眠というのはこんな事が出来るのか」
「うん、凄いでしょ~」
凄い凄いと言いサリナの頭を撫でてやると目をキラキラ輝かせている。こういうところはミューによく似ていた。
俺はマークの顔をタッチして覚え、彼の上着と帽子、IDタグを頂く。
「スキンシール」
それでマークに化ける。マークに「お疲れさん」と肩ポンをしてその建物に入る。内部は直ぐに警備システムがあり厳重な本人確認が行われたが、マークそっくりの顔とIDタグだけであっさりと突破出来た。
「後ろのお連れの方は?」
「急遽連れて行く事になった」
それだけでノーチェックで入れてしまった、流石諜報部員という事だろうか。そこでもし止められたらサリナが安眠魔法を使う段取りではあったのだが、それすら無用であった。そのまま進み途中で全地調査をミューと行う。
簡単に全ての情報が手に入り、頭に入っているマップを頼りに迷いなく進み転移装置の研究室に到着した。
「本日はよろしく、これから直ぐに発つが準備は出来ているか?」
「あ、はい、マーク様……それとお連れのかたは?」
「ああ、問題ない。全員F1世界の同一タイムラインで頼む」
事前に調査した結果、俺達の居た元の世界はF世界と呼ばれ1とは出現ポイントの固定座標の事だった、タイムラインは個人別で固定値が決まっているので1人1人全て違うのだ。
「承知しました、セット完了です」
俺達は研究所の職員に導かれて、目の前に現れた渦に3人で手を繋いで入った。
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一瞬の眩暈のあとに、出たのは見知らぬ土地であった。そして右手を繋いでいたはずのサリナの姿がない。
「やはり……ダメだったか」
「行ってしまったのね……」
サリナは俺達とは別の時間軸の存在だったのだ。それが未来なのか過去なのかは分からないが。サリナが元の本来の世界に戻ったのは間違いないハズなので、後は戦士としてのサリナに任せるほかはない。
改めて周囲を全土感知で調査を行うと、現在地点は王宮の裏山と言う事が判った。そして、不思議な事に土の精霊気ががあまり感じられず、ノイズまみれの精霊気ばかりだった。これではさっきまで居たガリアントと大して変わらないではないか……。
そこからミューと2人乗りで箒で飛ぶと町の様子がおかしい事にきがついた。やはり、時間が20年経ってたのだ。2人が飛び立ったのは20年後のガリアントで、戻って来たのも又20年後のマルター国だったのだ。それにしても様子がおかしい、王都を押し包んでいた黒鉄の船が全て撤去されて綺麗に方付いているのはまだ判るのだが、昼間なのに動物や人がやけに少ない。そのまま孤児院に立ち寄ってみると、孤児院は廃墟になっていた。
「いくらなんでも変わり過ぎている」
「ホント……ね」
俺の驚く声にミューも同意してくれた。何が有ったのか、調べる為に仕方なしに以前追放された王宮に舞い戻った。
そこで見た物は黒い防護服を着た兵士の姿だった、あの黒鉄の一味に見えた。もしかして20年前の攻防で敗北してしまったのだろうか?
「スキンシール」
再度、マークの顔に化けてから王宮の中を調査する事にした。すると、色々な事が判った。まず地下の精霊殿に行くとそこには土の大精霊が居なく、そこの警備兵に訊くと既に”ボックス”で回収されている事。そして、王は居らずアルダイルが代わりに帝王を名乗っていた事、この時代ではほぼ全ての国々がアルダイルの支配する世界になって居たのだ。
俺は眩暈がしてミューの城に一旦戻る事にしたのだが、その城も地上に落とされており城を守っていた風の大精霊は何処かへ去っていた後だった。当然俺の作った楽園の島も今は原生林の島に戻っていた。
「おかえり……友よ」
島に立ち寄ると微かに声がするので全土感知をすると、半分眠っている島の土の精霊が居た。
「ただいま……俺が居ない間に色々と大変な事があったみたいだね」
「うむ、私はこれから暫く眠るので君にお守りを上げよう、友よ」
そういうと、土の精霊はヌッと地面から手をだして俺の左手の中指に触れてそこに魂を込めた。
「ありがとう、土さん……そしてお休み」
「元気でいてくれ、友よ」
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「ねーねー、どうなっちゃったの?」
「さーねー」
と風たちが話している。
「これから調べようと思う……手伝ってくれるかい?」
「それはもう、だけどここは風の精霊気も淀んでるね……」
「そうなんだよね、まるでガリアントと一緒だ」
「私達のお城も落ちちゃったの、もう戻るところもないの」
「ごめんな、ミューと風の子よ」
「ううん、アキが悪いんじゃないもの」
「また一緒に作ろうか?」
「うん」
俺たちは遥か東の孤島を目指した。帝都で兵隊に訊いた話ではそこはまだ帝国の魔の手が及んでいないという。エルフ国があると言われている島だ。エルフたちが俺達を受け入れてくれるかどうかは判らなかったが、俺たちには助けが必要だったのだ。
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