追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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優秀な生徒達

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 ”見せてみよ”


 その晩俺はまどろいの内でエルフの女王の声を聴いた。


 翌日、3人でゲート魔法を使い帝国の本部であるマルター国の王宮を急襲した。それは、前回のように各地の支部を順に撃破している内に相手の手の内で踊らされていたという事を避ける作戦だったのだが、結局はそれが裏目にでた。


 各種の魔法を使い、顔を替え本部に侵入したのだがそれすら初めから想定されていて対策済みだったのだ。それと、強力な武器となったはずの時間停止魔法発動中は他の魔法が扱えないという欠陥の為もあり追い詰められていき捕らわれた。俺たちは魔法の監獄に閉じ込められてそこで苦しみながら死んでいった……。


 ”練り直し”


 その声で俺は翌朝目を覚ました。


 「……夢だったのか」

 「アキ、おはよう」


 とミューが可愛らしい顔をこすりながら俺のベッドにやって来た。俺はミューの安らかな顔をみて心底安堵して思わず抱きしめてしまった。



 「良かった……本当に」

 「アキ、汗びっしょりだよ」

 「え、あ、ごめんな、一泳ぎしてくるかな……」


 俺は悪夢にもがき大量の冷や汗をかいていたのだ。


 「あの夢はなんだったのだろう……」


 海に入りひと汗ながして、ついでに日課の魚とりをして浜にあがる。そして皆で囲炉裏を囲む食事の際に俺は提案した。


 「今日の行動開始日は延期しようと思う」

 「……体調でも悪いのですか?」

 「アキ、どうしたの?」


 案の定、2人から心配されてしまった。だが悪夢を見た等とは言えない。


 「実は、気が変わってもう少し魔法を学んで極めたくなった」

 「それは良い傾向です、私もお教えしましょう」

 「私も!」


 と2人も同意してくれた。2人の申し出は素直に嬉しかった……絶対に悪夢のような事にならないように最善手を打つ……という決意をもって挑むことにした。








 「こういうのは出来ますか?」


 と何時もの魔法の練習場でエフィナは言うと、瞬時に魔法の弓矢を出現させて連射してみせる。


 シュババババ!


 と瞬きの間に4連射して遠くに設置してある板を正確に射る。


 「何もかもが素晴らしいですね……」


 俺はほれぼれとして見入った。彼女の腕前も素晴らしいのだが、その優美さや華麗さは人とは比較にならないものがあった。いくら弓の名人が彼女と同じ事をしようとも、その動作の美しさは人智を超えている。


 「ありがとう、アキもやってみませんか?」


 まず、魔法で弓矢を出現させる事自体の難易度が高い。それでも何度も試行錯誤している内に弓らしいものは手に現れたのだが、それを射るとまともに飛ばない。本物の弓を扱った経験はあるのだが、熟練度がたりなかったのだ。これに関しては同時に練習していたミューの方が上達が早かった。


 必死にそれを繰り返していると同じ様に一応は出来るようになったのだが、やはり正確さ連射速度、優美さに置いては全く相手にならない。


 「アキは優秀な生徒です、私も教え甲斐があるというものです」


 それは控えめなエルフにしては大絶賛というべきものだった。


 「もう一つ、これも教えましょう」


 そして、何かを唱えて矢を射ると板に当たった瞬間に爆発した。


 「これは!?」

 「もう気が付いたかも知れませんが、矢に爆発魔法をしこみました、他にも応用次第では様々に使える合成魔法ですよ」


 「全く素晴らしい……エルフの方は本当に何もかもが素晴らしい……」


 俺がセフィナをべた褒めしたのが気になったのか、今日はやけにミューが頑張っている。


 「風の精霊気よ、我と共に力を解きたまえ!」 


 ミューがそう唱えて矢を放つと、それは自由自在な軌道を描き的にあたり、そして竜巻が起った。俺が茫然とみていえるとエフィナが言った。


 「流石、セフィヌの子です。素晴らしい才能がありますね」


 同じようにしてセフィナも簡略呪文をとなえてからまとめて10本を放つ。それぞれの矢は別々の軌道を描き、的に吸い寄せられるようにしてあたり爆発をしてからそこに木が生えた。


 「!!?」

 「最後に放った矢に治癒と育成の魔法をかけておいたのです、対象を破壊するだけではないのですよ」


 「凄ーい!」


 とミューが感動していた、俺は言葉もない。実に奥深い魔法技だった。それは風系統が得意とする魔法技だったのだが、俺は風の精霊に手伝ってもらいなんとか及第点のレベルまで漕ぎつけることに成功した。







 「本当に2人は優秀な生徒です、ここまで出来るようになるには通常はエルフでも1年はかかりますよ」


 その晩、皆で囲炉裏を囲み食事をしている時にせフィナは2人を大絶賛した。


 「ありがとう、セフィナのおかげで凄く戦力の強化になったと思う」


 素直に、セフィナの賛辞を受け取りそれを生かせるように今後の作戦に組み込んだ。


 後は、ゲート魔法の練習であったが、これは俺にはあまり才能がなかった、その代わりにミューが突然出来るようになった。


 翌日の練習の時に、急に何かひらめいた様子でミューが言う。


 「もしかして、これって空気を読んで作り出す感じでしょうか?」

 「そういう捉え方でも出来ると思いますよ」 


 う~ん……と目をつぶったミューが唸ってから空間に木の棒で円を描くとそこに別の景色が現れた。


 「できた!」

 「おお!!凄い!ミューもやるなぁ」

 「ふふ、やはり天才ですね」


 その初めに造ったゲートは小さいものだったが、なんども練習を重ねるうちに段々と大きく安定したものになっていった。


 まだ、一度行った場所のゲートしかつくれないのだが、それでも素晴らしい才能だとしか言いようがなかった。

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